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月のマチルダ

まだ陽の高い金曜日の夕方、女優達が集まった。

大きな座敷に、大きな一枚板のテ-ブルを囲んでいた。

全員が笑顔で話していた、料理も大量に並んだ、飲み物も揃った。


「それでは乾杯しましょう、マチルダ本当によく来てくれました。

 あなたに受ける影響は、とても素敵な事だと感じています。

 今後も羽を休めに、いつでも帰って来てね、歓迎します。

 リンダとマチルダの想いが、少しでも届く事を祈って・・・乾杯」


ユリさんが薔薇で言って、「乾杯」と全員が笑顔で続いた。

マチルダが最高の笑顔を見せた、全員が笑顔で拍手をした。

「明日、さっきの件をホノカに伝えに行かせるよ、ホノカが1番外見的衝撃受けそうだね、マチルダに」とミチルが妖艶に微笑んだ。

「本当に楽しみです、銀河の奇跡に全て会えますね」とマチルダも輝く笑顔で返した。

「さぁ、若い人は沢山食べてね・・食が基本ですから、全てのエネルギーの」と薔薇で促した。


「ユリカ・・私達は若い人には入ってないよ」とユリカを隣で見ている、リアンが獄炎二ヤで言った。

「私、リアンみたいに、すぐお肉になったりしないから、大丈夫だわ」と爽やかに微笑んだ、美しかった内面の輝きが溢れていた。

「どうして、私は体が丈夫で、すぐお肉が付くんだろう・・お熱も出ないし」とリアンが私に獄炎ニカで言った。

『素敵な事だね、リアン・・俺も楽しみに待ってるのに』とリアンにニヤで返した。

「その時は私も行きます・・リアン姉さんは、危険過ぎるよね~、シオン」と蘭が満開で微笑んだ。

「はい、リアンはすぐにトウッ~て飛び越えるから、大変危険です」とニコちゃんで返した。

「シオンまで・・私の事を・・エースの意地悪」と嬉しそうにリアンが言った。


『リアン、俺は絶対に1度はリアンの添い寝をするよ・・シオンが世界を見る為に旅立つ時。

 それを空港で見送った夜は、リアンの側にいるから。

 一晩中ヨチヨチしてやるから、俺もリアンの胸で泣かせてね』


真顔でリアンに言った、リアンも美しい真顔で私を見ていた。

「約束だぞ・・その約束がないと、シオンを見送れないよ」とリアンが炎を上げて、真顔で言った。

『もちろん、その時に俺で良ければ、絶対にリアンの側にいるよ』と笑顔で返した。

「先生・・ありがとう、シオン最高に嬉しい」とシオンが目を潤ませて私を見た。

「その時は、私も許可しますよ、そして私はユリカ姉さんの家に泊まらせて下さい」と蘭が満開で微笑んだ。

「もちろん、状況をチェックして、危険な時は2人で乗り込みましょう」とユリカがリアンに爽やかニヤを出した。

「ユリカがいたか~、ユリカを大きくリードしようと思ったのに」とリアンも獄炎ニカで微笑んだ。

全員の笑顔があった、ユリさんも優しい目でリアンを見ていた。


「そうやって、かなり前から外していくんだね・・さすがだね最後の挑戦者」とミチルが私に妖艶に微笑んだ。


「シオンに対する特別は、また違いますからね~。

 ここにいるPGの若手は、全員特別みたいだから。

 カスミのは説明は不要だし、レンは自分で腕を掴んで連れて来たし。

 そしてハルカに対する物は、また全然違うよね、ハルカとミサキは。

 そして全く違う特別が、リンダとマチルダ。

 将来の何を見てるのか、私でも分からないですよ。

 ただ、相当に楽しい事だとは、感じています」


蘭が満開で、ミチルに微笑んだ、ミチルも最高の笑顔で頷いた。

「何か、余裕が出てきましたね~・・蘭は」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「今日、ミコト姉さんを見る目が怖かったよ・・蘭」とナギサが華やかに微笑んだ。

「ばれてたの、滅多に会えないから・・必死で研究したのに」と満開ニヤで返した。

「怖い位の、負けず嫌いだな~」とカスミが蘭に不敵を出した。

「銀河の奇跡に、言われたくありません・・負けず嫌いトリオに」と満開ニヤで返した。

カスミが不敵ウルをして、全員が笑顔で見ていた。


楽しい話題で、箸も進み若手がかなり食べた、カスミとマチルダを筆頭に。

7時が過ぎた頃、解散になった、ユリさんが1人2000円徴収した。

マチルダの分と足らない分を、ユリさんが出して、私の分をミチルが出してくれた。

私は四天女と魅宴に行くので、店を出た所で蘭達と別れた。

蘭が靴の箱の入った、袋を手渡した。

「ミサキのお祝い、私とナギサから」と満開で微笑んだ、後でナギサが華やかに微笑んだいた。

『了解、渡しとくよ・・マチルダ待っててね、今夜は良い所に連れて行くから』とマチルダに微笑んだ。

「楽しみに待ってるね、ありがとう」と輝きながら微笑んだ。


私は四天女とも別れて、花屋で花束を受け取り、魅宴に向かった。

キングとエレベーターで一緒になった、キングはご機嫌な笑顔だった。

魅宴の入り口で、大ママも含めて、五天女が揃って談笑していた。

キングを見て、全員が最高の笑顔で、挨拶をした。

大ママが戻り、すぐに店に通された、魅宴は20人以上の女性が揃っていた。

キングと四天女の来店を見て、一気にフロアーに緊張が走った。


「最高の状況で、ミサキの船出をさせてやれる事が、私は本当に嬉しい。

 全員で鍛えてやってくれ、ミサキにも言うよ、ユリがハルカに贈った言葉を。

 ミサキの真価を問おう、舞台に上がるのか、裏方なのかを。

 これからの、仕事で見せてもらおう・・その真価を」


大ママが女性達に強く言った、女性達も全員が真剣に聞いていた。

「はい」と女性全員で返事をして、拍手をした。

ミサキが純白のドレスで、ミコトに連れられて、フロアーに登場した。

四天女とキングの姿を見て、ミサキがグッと力を入れて、深々と頭を下げた。

その美しい姿を見て、私は受付のテーブルで、メッセージカード書いた。


【青島で閉じ篭もってた少女へ

 あの時の凛とした背中を、忘れられない、その確かな淡い輝きも。

 自分に対して厳しい生き方も、そして大きな優しさも。

 トップを目指せ、その淡い光のままに・・常に側で見てる。

 通り地蔵の前で、いつでも待ってる。   若草公園のベンチより】


そう書いて花束に付けた、そして前に進んだ、大ママが私を笑顔で見た。

「ミサキ、挨拶をしなさい」と大ママが促した。


「やっとこの場所に立てました、閉じ篭もっていたあの時が遠い過去のようです。

 沢山の素敵な女性の背中を見ました、その背中が教えてくれました。

 後悔も涙も・・全て背負って、前に進もうと。

 もう私に迷いはありません、目指すべき世界が見えているから。

 まだまだ未熟で足りない部分が、多いと感じています。

 皆さんのご指導ご鞭撻のほど、今後ともよろしくお願いします」


ミサキは女性達を見て、最後にBOXのキングと四天女を見て、美しい真顔で深々と頭を下げた。

大ママが私を目で招いた、私はフロアーに上がりミサキの前に立った。


『ミサキ、綺麗だよ・・淡く輝いてる、ミサキらしく頑張れ。

 俺は自分で稼いだ金で、ミサキに贈るよ、17本の淡い薔薇を』


笑顔でミサキを見て、花束を差し出した、ミサキも最高の笑顔で受取り。

ミコトに花束を預けて、私に抱きついて、耳元に囁いた。

「もう1つプレゼントして、もう一段上げて、今ここで」と囁いて、瞳を閉じた。

私は優しく抱き寄せて、ミサキに唇を重ねた、静寂の中、唇で伝えた。

《ミサキ・・がんばれ、ずっと見てるから》と伝えていた。

唇を離し、ミサキを見た、最高の笑顔で輝いていた。

「よし・・ミサキ、BOXが待ってるよ、一人で行きなさい」と大ママが促した。

ミサキはBOXにもう一度深々と頭を下げて、BOXに向かった。

女性たちが全員、笑顔の拍手で見送った。

フロアーの奥の、ハルカの涙の横に、ミサキの母親の涙があった。


私は大ママの横に並んで、BOXに挨拶をするミサキを見ていた。

笑顔が溢れていた、キングの横にミサキが笑顔で座り、それを四天女が笑顔で囲んだ。

花束のメッセージを読んだミコトが、私に微笑んだ。

私も笑顔で返した、ミコトが花束を母親に預けた、母親が私を見て微笑んだ。

私も笑顔で返して、ハルカを手招いた、ハルカに蘭とナギサの贈り物を託して。

BOXの後からキングに挨拶をして、ミサキに微笑んで、魅宴を出た。

ミコトが見送りに来て、私に最高の笑顔を向けた。


「危なかったよ、さすがにウルウルしたよ」とミコトが余裕で微笑んだ。

『まだまだ・・ミコト楽しもうね、素敵な勝負を』と笑顔で返して、エレベーターに乗った。

「いつでも待ってるから・・たまには私を指名してね、日曜も楽しみにしてるよ」とミコトの笑顔に、笑顔で答えた時に、扉が閉まった。

私は最高の気分で、通りに出た、そしてローズのビルのエレベーターに乗り、3階を押した。

8時を少し過ぎていた、ゴールド・ラッシュの受付に笑顔で向かった。

『お酒飲まないから、少し良いですか?』と受付の女性に笑顔で言った。

「もちろん、ご案内します」と笑顔で返されて、若いボーイがやってきた。


私はその夜の最初の客だった、1番奥のBOXに通された。

「ご指名は、誰かありますか?」とボーイが笑顔で聞いた。

『流星のセリカちゃんを、お願いします』と笑顔で返した、ボーイも笑顔で頷いた。

ゴールド・ラッシュはPGの半分程の広さで、明るい感じの店だった。

美しい20代半ばの女性が笑顔で近づいてきた、私も笑顔で返した。

《千鶴・・やっぱり綺麗だ、雰囲気もあるな~》と思った、強い波動が返って来た。


「ママの千鶴です、最高の嬉しい来店ですね」と美しく微笑んだ。

『PGの小僧です、よろしく千鶴ママ・・綺麗ですね~』と立って笑顔で頭を下げた。

「噂通り、正直なのね」と笑顔で返しながら、隣に座った。

「セリカ、すぐ来ますから・・ありがとう、セリカの変化に驚きましたよ」と笑顔で言った、明るさが輝く感じだった。

『何もしてませんよ、セリカが可愛いから、興味を持っただけですよ』と微笑んで返した。

「今、裏でセリカ大変な状況かも、皆に囲まれて」と楽しそうに笑った。

『千鶴ママ、若いですね~、今までミコトに会ってたから・・同じ歳なんでしょ、ユリカに聞きました』と笑顔で言った。

「嬉しいね~、最高です・・凄い名前がどんどん出てくるし」と微笑んで返された。

その時、奥からセリカが歩いて来た、最高の可愛い笑顔で近づいた。


「本当に約束を守ってくれるのね、ありがとう」と笑顔で頭を下げた。

『絶対に守るよ、セリカ・・俺はセリカを見てるよ、誓いを忘れなければ』と隣に座るセリカに微笑んだ。

「心配しないで、私にも大切な誓いだから・・絶対に衝動に負けたりしないよ」と流星で輝きが流れた。

「そこまで行ってるの、ほんの数時間で」と千鶴が驚いて私を見た。

「ママ、数時間も無かったです、ほんの1時間で」とセリカが千鶴に微笑んだ。

「私も今度、抱っこをして欲しいな~」と千鶴がニヤで言った。

『もちろん、千鶴ママなら、こっちからお願いします』と笑顔で返した。

「約束よ」と笑顔を残して千鶴が、BOXを後にした。


『良い店だね、セリカ・・安心したよ』と笑顔で隣のセリカに言った。

「うん、ママも素敵な人だし・・ねぇ今度、PG見せてよ」と可愛く微笑んだ。

『いつでも良いよ、俺がいるときなら』と笑顔で返した。

「嬉しいね~、あのユリさんが作った店が、見てみたかったの」と笑顔で返した、その可愛さと輝きの流れに見入っていた。

『セリカ・・俺、セリカに本気だから、信じてね・・そしてシオンとセリカの時代を感じたよ』と真顔で言った。

「私がシオンと肩を並べられると、本気で思ってるの?」とセリカも真顔で返してきた。

『思ってるよ、俺も・・シオンも』と微笑んだ。

「了解・・私も負けないよ、自分に・・そして挑戦するね、銀河の奇跡に」と微笑んだ、可愛い瞳の中の流星が群れになって流れた。

『楽しみにしてるよ、また来るよセリカ・・そしていつでも見てるから』と微笑んだ、セリカも笑顔で頷いた。


セリカと会計に行った、1000円だった。

『サービス良すぎませんか?』と受付の女性に微笑んだ。

「ママからの申し付けです・・エース割引」と笑顔で返してきた、私も笑顔でお礼を言った。

『セリカありがとう、また来るね・・無理だけはするなよ』と言ってエレベーターに乗った。

「待ってるからね・・誓いは絶対にまもるから」と微笑んだセリカに手を振って別れた。


PGの指定席に入ると、9割の客の入りで、シオンがニコちゃんでサインを繋いでいた。

マチルダはTVルームだと思っていた、3人娘が来てるから、エミと話してるのかと思った。

『シオン、セリカやってみるよ・・どこまで出来るか分らないけど』とシオンに微笑んだ。

「先生、シオンは幸せです・・セリカちゃんの事も、リアンとの約束も」と目を潤ませた。

『シオン、ありがとう・・仕事中は泣かないで、シオンもプロになるんだろ』とシオンの頭に手を置いて、笑顔で優しく言った。

「はい、シオンは絶対、素敵なプロになってみせます」と笑顔で言った、美しく輝いた、純白のシオンが。

私はフロアーを見ていた、蘭の青い炎が溢れていた、そしてナギサの華やかさも溢れ出した。

《ユリさんのいない状況が、蘭とナギサを加速させてるよ》と心で囁いた、強い波動が返って来た。


私はシオンに断って、TVルームに行った、久美子とマチルダとエミが笑顔で話していた。

ミサとマリアは疲れていたのか、眠っていた。

私はミサの手を握り、体温と鼓動を確かめて、マリアの確認もした。

「チャッピー、世界の遺産見たいんでしょ・・明日持ってくるね」とエミが可愛く微笑んだ。

『うん、それなら重いから、お迎え行くよ』と笑顔で返した。

「大丈夫だよ~、ドリーム・キャッチャー・・ベッドに付けたよ、凄く安心して眠れるよ」と少女の輝きで微笑んだ。

『そうか~、良かった・・早目にミサの分も作らないと』と笑顔で返した、エミも笑って頷いた。

マチルダが立ち上がり、二人で出かけた、通りに出て借りていた、カズ君のチャリに乗った。


「素敵な予感・・どこに行くの?」とマチルダが最高の笑顔で言った。

『星空を見に行こう・・最高の夜だから』と微笑んで、ペダルを漕いだ。

マチルダが後で私にしがみついて、英語の歌をご機嫌で、歌っていた。

私は知り合いの益田の爺さんに、電話して頼んでおいた小船を借りた。

「おま~、こんな可愛い子と・・外海に出るんか」とシワシワで微笑んだ。

『シート乗せてくれてる?マス爺』とニヤで返した。

「おう、燃料も満タン・・波も穏やか、最高じゃぞ」とシワシワ笑顔で返してきた。

マチルダの最高の笑顔を見ながら、手を引いて桟橋に行った。


『マチルダ・・怖くない』と小船の準備をしながら、前に座ったマチルダに聞いた。

「何も怖くないよ・・最高の気分だよ」と輝く笑顔で返してきた、私も笑顔で頷いた。

モーターの紐を引き、エンジンの回転を調整して、スクリューに動力を伝えた。

大淀川を、河口に向かった、風に靡くプラチナブロンドが輝いていた。

河口の真ん中を静かに、波を乗り越えながら進んで、波の立たない場所から全開で沖を目指した。

陸の光が遠ざかり、月光と星の輝きだけの世界になった。

マチルダは夜空を見上げていた、私は位置を標す照明だけを下向きに点けて、小さな碇を沈めた。


『気に入ったかな・・月のマチルダ?』とマチルダの横に座りながら、笑顔で言った。

「最高~!・・この世界も、月のマチルダという言葉も」と最高の笑顔で叫んだ、大きな声に驚いた。

『うん、元気が出たね、良かったよ・・ここは蘭もまだ連れてきてないよ』と真横で囁いた。

「ありがとう、シート広げて、添い寝で空を見たい」とマチルダが甘えた。

私は笑顔で頷いて、部厚いクション素材の、丸めてあるシートを広げて、マチルダに腕枕した。

空には満天の星が瞬き、月が浮かんでいた、海の深さを感じて、心が解放されていた。

マチルダも美しい横顔で、空を見ていた、輝いていたその緑の瞳が。


「絶対にフェリーとかじゃ味わえないね、この開放感」と空を見ながら、マチルダが言った。

『うん、絶対に無理だよ・・小さな小船じゃないとね』と私も星を見ながら返した。

この世界には私とマチルダしかいないと、錯覚しそうな程の、静寂に包まれていた。

「月のマチルダか~・・最高に嬉しい称号だよ、エースと私の2人だけの」と私を見た、あまりの近さに緊張した。

『急に見ないで・・マチルダはやっぱり、緊張するよ』とニヤで返した。

「無理・・今から強く行くからね・・充電して、半年分くらい」と笑顔で言って、強く抱きついた。

私はマチルダの背中を支えて、抱きしめていた、マチルダが少しずつ静かになっていった。

微かな海水のうねりに、小船が揺られ・・ユリカの揺り篭のようだった。


マチルダの寝息を感じていた、暖かい体温とマチルダの香りに包まれていた。

私は星空を見ていた、ミホを思っていた、ユリカの言葉を思い出しながら。

《ユリカ、少し分ったよ・・セリカの自傷行為の訳、悲しみに溺れてるんだね》と心に囁いた、強い波動が何度も来た。

《分ったよユリカ、今度ユリカも連れて来るからね》と囁いた、強い波動が一度来て終わった。

マチルダはぐっすりと2時間近く眠っていた、小船のすぐ横で大きな背ビレが動いた。

位置を標す下向きの照明に、小魚が集まって、それを目当てに来たなと思っていた。

マチルダも目を覚まして、私を見上げた、私は笑顔をマチルダに向けた。


『スペシャルゲストが来たよ、マチルダは運が良いね』と囁いた、マチルダは不思議そうに私を見ていた。

私はマチルダを優しく起こして、背ビレの姿を見せた、マチルダの最高の笑顔があった。

「素敵すぎる・・こんなに美しいの、イルカって」と目を潤ませて、笑顔になった。

その時イルカが反転して、顔を見せた、こっちをじっと見て、一声鳴いて深く潜った。

そして、一度大きくジャンプを見せてくれた、最高の輝きで飛んだ。

月光に照らされて、美しいシルエットで、2度目のジャンプを見せた。

「ウォ~~!」とマチルダが最高の笑顔でイルカに向かって叫んだ。

その時3頭のイルカが同時にジャンプして、深く潜った、静寂が戻ってきた。


マチルダは最高の笑顔で振向いた、美しかった、完全復活をしたマチルダに見惚れていた。

「ここの水深はどの位あるの?」とマチルダが、一筋の涙を流して聞いた。

『多分、200m位だよ・・釣りのポイントだから』と笑顔で返した。

「自由なんだね、イルカ達は・・そして本当に優しいんだね」と泣きながら、笑顔で言った。

『3頭のジャンプは、俺でも初めて見たよ、この辺じゃ出会うことも、難しいんだよ』と笑顔で優しく伝えた。

マチルダは海を見ていた、海に棲む美しく優しい生命を、その緑の瞳で感じてるようだった。


「エース・・本当にありがとう、私絶対に忘れないよ」と言って輝く笑顔で抱きついた。

『マチルダ、俺も絶対にマチルダを忘れたりしないよ・・だから絶対に無理はするなよ』と強く抱き寄せ、耳元に囁いた。

「うん、約束するよ・・自分を大切にするから」と私を強く抱きしめて、囁いた。


月光が海に一筋の道を照らした、遥かなる輝く道が未来を提示してるようだった。

穏やかな海が包んでくれていた、距離にも時間にも負けない、緑の瞳の女神を。

私はマチルダを抱きながら、遥かマチュピチュを想っていた、海の向こうの世界を。

太平洋に抱かれて、微かに揺れる揺り篭の中で、私はマチルダを抱いて幸せを感じていた。


私はマチルダがくれた、映像の基点、月にマチルダの存在を感じていた。


だから夜釣りで行った、この場所を思い出し連れて行った。


その後、蘭ともユリカとも行った、2人とも感動していた。


そして2人ともイルカの出迎えを受けた、蘭もユリカもその姿を見て泣いた。


月光と星の瞬きだけの光に、暗い海から現れて照らされる、その輝く姿に感動する。


そしてその瞳の優しさに癒される、私はそれで感じる、ミホの突破口を。


ミホを最終段階まで持って行った時の、最終手段を思いつく。


信じてほしい、イルカの持つ圧倒的癒しを。


その感情まで存在する、愛すべき生命体を。


奇跡を起こす・・数十頭の・・イルカ達が・・。


ミホの言葉を復活させる・・その愛らしい泣き声で・・優しい瞳で。


人は海から産まれたのだと・・DNAが反応する・・月が見ていた。


月光の下で・・奇跡を見ていた・・。




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