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幼さの後悔

8月が過ぎようとしている、晩夏の昼下がり。

静寂のフロアーに、女神たちが光臨していた。

終始笑顔で希望と期待を抱いて、輝きを放ち続けていた。


残ると言ったナギサと別れて、魅宴を出た、リアンが準備に帰ると言って通りで別れた。

「蘭、私の家で準備して良いよ、着替えはもう良いんでしょ」とユリカが微笑んだ。

「本当に良いんですか、嬉しい~」と満開で微笑んだ。

私がエミのプレゼントの山をケンメリに積み終わり、サクラさんのブティクに行った。

私とユリカが後部座席に乗った、マリアはユリカに抱かれ、幸せそうに眠っていた。

狭い通りに横付けで止めて、私がプレゼントを運び入れた。


「豊君に、会えたんですか?」とカスミが蘭に不敵を出した。

「うん、奥さんにも会ったよ、素敵な16歳だったね~」と満開ニヤで言った。

「日曜日、私が豊君のガードを頼まれました・・特に銀河の奇跡に対して」とマチルダが微笑んだ、カスミが不敵で返していた。

「マチルダ、お願いがあるの・・この服着て、写真撮らせてくれない?店に宣伝用で飾りたいの」とサクラさんが微笑んだ。

「嬉しいです~、こんな可愛い感じは私ですね~」とカスミに輝きニヤを出しながら、試着室に入った。

「しかし、負けず嫌いは見てて楽しいね~」とユリカがマリアを抱いて入って来た。

「ユリカ・・もしかして、もう受けたの?」とサクラさんが驚いて、微笑んだ。


「はい、エースの頼みは断れません、私もリアンも」と爽やかに微笑んだ。

「最高です、ありがとうございます、ユリカ姉さん」とカスミも輝きながら微笑んだ。

「楽しみだわ~、ユリカの仕事・・やっと見れるのね」とサクラさんも最高の笑顔で言った。

その時マチルダが出てきた、可愛いチェック柄のミニのワンピースを着ていた。

靴も履き替えて、髪を少女っぽくサクラさんが仕上げた。


「完璧だわ、さすがマチルダ・・17歳で充分通用するね」とサクラさんが微笑み。

マチルダが少し威張って、カスミにニヤをした、カスミは不敵に微笑んで返した。

店の外に出て、マチルダがポーズをとっていた、それだけで人が集まっていた。

マチルダは人目も気にせず、笑顔を振り撒いて、輝きを放ちながらモデルをしていた。

女子高生達の視線を集めて、男達の憧れの視線も全て集めていた。


「最高よありがとうマチルダ、その服と靴はモデル代として、持って帰って」とサクラさんが微笑んだ。

「良いんですか、ありがとうございます・・気に入ってました」と最高の輝く笑顔で返した。

サクラさんとカスミと別れて、四海楼でご飯を食べた、私の家出話で3人が盛り上がった。

その3人の食べる量を笑顔で見ながら、マリアも沢山食べた。

ケンメリに乗り、ユリカのマンションに着いた、マリアはぐっすりと眠っていた。


ユリカの部屋に入り、蘭が満開でチェックしていた、ユリカも爽やかに微笑んでいた。

私はユリカの大きなベッドにマリアを寝かせた、マリアの手を握っていたら3人が覗いていた。

「このベッドルームは、かなり危険な香りがするんですけど」と蘭が満開で微笑んだ。

「雰囲気だけでも危険にしたいのよ、1人で寝るのは寂しいよ」と爽やかニヤで返した。

「さぁ、蘭からシャワーして・・それからゆっくりしましょう」とユリカが促した。

「それじゃあ、お先に~」と蘭が満開でバスルームに消えた。

ユリカとマチルダはリビングに消えた、私はマリアのチェックをしてリビングに戻った。


「しかし、豊という男は、絶対に期待を超えてくるんだね」とソファーに座った私に、ユリカが微笑んだ。

『今まで期待を裏切った事なんて、俺でも見たことないよ』と笑顔で返した。

「私もずっと考えてたけど、リンダも絶対にあの、心のスタートって話、感動するよ」とマチルダが微笑んだ。

『俺も聞いてて、背中を見てたけど・・怖かったよ、本気が伝わってきて』と真顔で返した。

「ちょっと待ってね・・マチルダどうぞ、話止めとくから」と蘭が戻ってきた。

「止めといて下さいよ~、入ってきま~す」と笑顔で言って、バスルームに消えた。

「なんか、高級ホテルみたいで、楽しいですね~」と蘭がユリカに満開で微笑んだ。

「私達は夜街の若い女性達に、夢を見せないといけないと、ユリ姉さんに言われてるからね」とユリカも爽やかに微笑んで返した。

「そうですよね、リアン姉さんの家も凄いですもんね」と蘭が笑顔で返した。


「リアンのは、また特別よ・・シオンの為でもあったから、リアンは今最高の時期が来てるよ」とユリカも嬉しそうに言った。

「そうですよね~、シオンに対して同性では絶対に出来ない事を、平気で誰かさんが、こじ開けるから」と蘭が私に満開で微笑んだ。

「その反動で、かなりの弾丸を撃ち込まれて、瀕死の重傷だったけど」とユリカも爽やかニヤできた。

『死にかけたら、復活させてくれるから・・シオンは』とニヤで返した。


暫く蘭とユリカが雑談をして、私は笑顔でその話を聞いていた。

「ユリカ姉さんは、セリカ知ってますか?」と蘭が聞いた、私は興味津々光線を出した。

「一度会ったけど、凄く自分を隠せる子で驚いたよ・・ゴールドは千鶴の店でしょ?」とユリカが蘭に真顔で返した。

「そうです、千鶴さんの店ですね・・千鶴さんミコト姉さんと同じ歳ですよね」と蘭も真顔で返した。

「うん、ゴールド出す前は、ミコトと千鶴は仲が良かったんだけどね」とユリカも真顔で返した。

『千鶴さんって、どこにいたの、出す前?』と私がユリカに聞いた。

「あんたが、潰さなかった所だよ」とユリカが爽やかニヤを出した。

『ピーチなの・・ピーチを辞めて、あんな大きな店を出したの・・凄いね』と真顔で返した。


「当然スポンサーがいるんだよ、ピーチの武藤も手を出せなかった奴がね」とユリカも真顔で言った。

「繋がるよ~、そのスポンサーは大きな病院の、院長の息子だよ、マチルダが帰ってきたら話してね・・ミホちゃんの話」と蘭も真顔で言った。

「蘭と私とマチルダがいるんだから、これ以上の状況はないでしょ」とユリカも爽やかに微笑んだ。

「私もそれを聞かないと、NYに帰れないと思ってたよ」とマチルダの声が後からした。

マチルダが髪を拭きながら、ソファーに座った、私は3人の視線に押されて話した。

私は感じていた、ユリカが蘭を誘ったのも、この状況を作る為だったと。

そして、蘭もそれを分っていて来たのだと、多分マチルダも分っていたのだと。


『小3の1月15日、ヒトミの体調が急激に悪化して。

 俺は呼ばれたんだよ、小児病棟の看護婦さんが、朝俺の家に迎えに来た。

 祭日の朝で家にいたから、ヒトミの病室に駆けつけた。

 病室の前に両親と祖父母らしき人達がいて、母親が私を見て泣きながら病室に促した。

 俺はヒトミの左手を握って、ヒトミ頑張れよ、俺が寂しいだろって伝えた。

 ヒトミは、凄い温度の変化で伝えてきた、最後の力を振り搾って。

 【今までありがとう、次に両親が入って来たら逝くね。

  でも悲しまないで、私は楽しかったよ、そしてあなたは成すべき事があるのよ。

  ずっと見てるから、頑張って・・本当にありがとう】

 完璧に伝わってきた、その温度の変化で、原始の伝達方法で。

 俺は泣かなかったよ、ヒトミに背中を押されたから、そして病室を出たんだ。

 外階段のドアの前で、外を眺めてたら、小児病棟の婦長さんに手を引かれた。

 昨日まで空いていた、特別個室に通された、そこのベッドに座っていた。

 見た目は可愛い少女、ただ瞳に全く光が無い、6歳のミホだった。

 お願いだから、お話ししてあげてねって、婦長さんに言われた。

 俺はミホの横に笑顔で座った、それまで障害を持った子とはかなり遊んでた。

 でもミホは障害も、病気も持ってなかった、ただ心に大きな傷を抱えていた。

 それから毎日、俺の時間はミホに費やした、ヒトミの最後の伝言だと分ってたから。

 4年生に上がる、桜が散り始めた頃、ミホの手の温度が変った。

 ほんの少しだけど、俺は分ったんだ、ヒトミで徹底的にやってたから。

 そしてそれから2週間したら、俺を見る時の瞳が変化した。

 そしてミホが教えてくれた、温度の変化と瞳の深さで、見せてくれた。

 俺にとって初めての経験だったけど、子供だったから何も違和感を感じなかった。

 映像で流れたんだ、美穂の視点の映像で。

 ミホが起きて歩き回るんだよ、血の海の中を、兄・父親そして母親の血の海を。

 多分4歳位のミホが、母親にすがりつく、そして自分の手の平を見るんだ。

 真赤に染められた、手の平を・・その時誰かが目の前に立つ。

 大きな大人の男が・・いつもそこで映像が切れた。

 俺は確かに怖かったけど、それよりミホが可愛くて。

 毎日抱きしめて、伝えたんだよ、もう大丈夫だって。

 ミホは少しずつ回復していた、夏前には俺や看護婦さんには笑顔も出ていた。

 言葉も近いと思ってた頃、院長の息子と名乗る医者が来た、刑事を連れて。

 俺は絶対に駄目だって言ったんだ、その医者と刑事に。

 刑事の方がまともだったよ、大丈夫ですかと何度も医者に確認したから。

 そのバカなボンボンと、その取り巻きの若い医者が、大丈夫って言いやがった。

 婦長も看護婦も大反対して、院長に相談に行ったが間に合わなかった。

 その息子の医者が、ミホに写真を見せた、そしてミホは全てを遮断した。

 俺はその医者に殴りかかって、刑事に止められた。

 院長が来て、息子を恫喝したが、後の祭りだった。

 そして、その息子と若い医師達が、ミホをどこかに隔離した。

 ミホの祖父母に嘘を言って、俺から遠ざけた、誰も知らない場所に。 

 俺はその場所だけは、院長にかけあって突き止めた、必ず近い将来ミホに会いに行くと。

 俺が守ってやれなかったから、ミホに辛い思いをさせたから。

 ヒトミが最後に命を賭けて、伝えてくれた事だから。

 俺にしか出来ないと、見送った仲間達が・・信じてくれるから。

 だから絶対にミホに会いに行く、その方法も考えている。

 俺には今、最高の女性達が付いているから、絶対に大丈夫。

 必ずもう一度強く言ってやる、あのバカな若い医師達に。

 机上には無いと、専門書にも書いてないと。

 ミホを救い出せるのは、愛しかないんだと・・強く言ってやる。

 それが俺の生き方だから、その為の力だから。

 その力をリンダが上げてくれたから、マチルダが映像を鮮明にしてくれたから。

 ユリさんが見ててくれるから、シオンが俺の間違いを正してくれるから。

 カスミが不敵で応援してくれるから、沢山の女性達が見ててくれるから。

 マリアが3人娘が、俺の生き方を見てるから。

 豊兄さんがその背中で押してくれるから、キングが何でもね~よと言ってくれるから。

 そして・・ユリカが俺を支えてくれるから、優しく厳しい愛で。

 そして・・蘭が青い炎で守ってくれるから・・本気で愛してくれるから』


ここで限界だった、私は蘭に抱かれて泣いていた、悔しくて泣いていた。


「エース、がんばれよ、私はどっからでも見れるんだから。

 あんたが本当に大変な時は、私かリンダが必ず来るからね。

 豊も恭子もマキも、全員知っていたんだね、ミホの事を。

 そしてエースの後悔も、それでも豊は微笑んだよ。

 エースを信じてるんだね、あの3人も・・そして私も信じてるよ。

 必ず見せてくれるって、理屈じゃない愛を」


マチルダが私を見ながら、深緑の瞳を潤ませて、優しく言った。


「やるしかないね、私も蘭もそう思ってる。

 あなたがこの先に進みたいのなら、避けては通れない。

 私は感じてるよあなたの事は、そして蘭がずっと側に付いてる。

 これ以上の状況は無いよ、本気でやりなさい。

 まずは・・セリカから、セリカが絶対にヒントをくれます。

 そして千鶴も、応援してくれる、エースが本気なら」


深海の深い瞳で、ユリカが美しい真顔で言った。

「よし、大丈夫だね・・私が付いてる、どんな事でもきちんと見てる・・恭子と同じ台詞を言うよ、私はあんたの生き方まで愛してるから」と蘭が満開で微笑んだ。

『うん、やってみるよ・・必ず成し遂げて見せる、あの天使に誓いを立てたから』と扉を開けて私を見てる、マリアを見た。

マリアが私に歩み寄り、私の目の前に立って、天使レベル全開になった。

「ちゃっぴー・・えーす」と強く言って、私の両頬に両手を当てた。

私は最高の気分で心が満タンになるのを感じて、マリアを抱き上げた、天使全開で微笑んでいた。

3人がマリアを抱く私を見ていた、私はマリアの笑顔が支えだった。

リョウの時に感じた、マリアが伝えてくれる事が、私の自信になっていた。

3人の笑顔に見つめられて、私は至福の時にいた。


「ユリカ姉さん、和尚様の話・・素敵だったんでしょう」と暫くして、蘭が満開で微笑んだ。

「うん、最高だったよ、でも自分で話すのは照れるよね、エースよろしく」とユリカが爽やかニヤを私に出した。

蘭の満開と、マチルダの輝く笑顔が私を見た。

『俺もこの話は感動したよ、マリアと子猫を・・・』私はユリカの羊水の中の出来事を話した。


「最高の素敵な話しですね、凄く納得できました」と蘭が最高の満開で、ユリカに微笑んだ。

「私、この旅でどれだけの物を、貰って帰るんだろう・・最高です」とマチルダが輝く笑顔で言った。


「私も嬉しかった~、そして三度感動したよ。

 羊水の揺り篭、そこに響いた母の子守唄・・エースの言葉に。

 私は最初エースを警戒していて、完全に自分を遮断していたの。

 だからエースも、最初は生きてる人間として、感情が持てなかったと言ったわ。

 それを抱っこでこじ開けて、私の内面に入ってくれた。

 私自身も記憶の無い、その深い世界にまで。

 ただ水の意味だけを探しに、そして辿り着いた答えが。

 羊水の揺り篭、そこに響いた母の子守唄だったの。

 私はエースが帰ってから、震えて泣いたのよ、嬉しくて。

 感情が止まらなかった、その答えが嬉しくて、その時に少し記憶が蘇ってた。

 母の子守唄の記憶が、もちろん内容は分らなかったけど、ただ嬉しかった。

 多分、妹も泣いたと思うよ、その最高の解答を聞いて。

 そしてその夜、蘭が言った、世界中の全員が否定しても。

 私は羊水って叫べると言った言葉、嬉しかったよ、ありがとう・・蘭。

 そして分った、それ以降エースが言葉の端々に、常に言ってくれるのが。

 ユリカって呼んでくれるのが、嬉しかった意味が、分ったの。

 エースは感じてたのね、私の大切な妹の存在まで。

 エース、あなたは自分を信じていい、あの解答だけでも私はあなたを信じるよ。

 ミホちゃんの事、誰にも出来ない・・あなたにしか出来ないよ。

 私と蘭とマチルダは、絶対にあなたを信じてるからね」


ユリカ美しい深海の瞳が見ていた、蘭とマチルダが笑顔で見ていた。

「マチルダ、リンダに報告する事が、多くて大変だね」と蘭が満開で言った。

「はい、全部書いてますけど、報告の時に・・どれだけ泣くんでしょう、怖いです」とマチルダも微笑んで返した。

『ねぇ、ユリカ・・覚悟って何の覚悟なの?』とユリカにニヤをした。

「決まってるでしょ、あなた以外の男を好きになる・・か・く・ご」と爽やかニヤで返された。

「多分泣くな・・絶対」と蘭が満開ニヤで私を見た。

「今度は、私の胸で泣いていいよ~・・ホレ・ホレ」とマチルダが輝きニヤで言った。

私は3人の笑顔を見ながら、ウルウルをしていた、マリアを抱いて。

ユリカはこの台詞で、完全に隠した、その本当の覚悟を。

私は2度とその事に触れなかった、寂しくなりそうで。


窓から見える大淀川の雄大な流れが、海へと続く道を示していた。

キラキラと夏の陽に川面が煌き、月の影響を受ける、海の満ち引きの影響を川も受けていた。


「よし、今の話でプレゼントは決めたよ、今日の分は距離を凌駕する・・強い意志があれば」マチルダが私に向き直った。

私は蘭にマリアを渡した、蘭は満開で受け取った。

「もう一度地球を出して、月から」とマチルダが真顔で言った、私は目を閉じて地球をイメージした。

あの美しい地球がすぐに現れた、段々遠くなり、足元に無機質な月の表面を感じた。

「生命の誕生・・その第一歩、月の影響・・海の満ち引き」とマチルダが静かに言って、私の両頬に両手を当てた。

私は心も頭も空にしていた、いつもの映画を見る感覚になった。


流星がいくつも流れた、地球に落下して、そこが爆発して、黒煙が上がっていた。

青い海が何度も大きくうねり、地上を侵食していた、そして光速で私の視野が地球に降りた。

アフリカ大陸を見渡す地点で止まった、そして後から強力な力を感じた。

海に白波が立った、月の力が完全に届いていた、月と地球の永遠の関係を示唆した。

海に透明な無数の何かが発生して、それが徐々に増えだした、生命の誕生だと感じた。

そこで映像が切れた、マチルダが手を離した。


「ここまで、これ以降はあなたが感じて、これは私の考えだから事実と異なるよ」とマチルダが輝きながら微笑んだ。

『うん、勉強するよ・・マチルダありがとう最高だよ』と笑顔で返した。

「また良い物貰ったんだ、良かったね~」と蘭が満開で微笑んだ。

『蘭、慰安旅行の時・・夜寝る前、若草公園思い出した?・・俺、蘭の視点で感じたよ』と微笑んだ。

「うそ・・うん、思い出してた・・なんか嬉しいね、いつも一緒みたいで」と蘭が満開で笑った。

「蘭姉さんは、本当に凄いですね~、最高ですよ・・普通は嫌か、気持ち悪がります」とマチルダが微笑んだ。


「そうなの・・どうしてかな~?

 私はユリカ姉さんが、この子を感じてくれてる事もすごく嬉しいよ。

 当然、私の事も感じてくれるし、それが嬉しいの。

 能力とかそういうの、私は分からないけど、でも絶対に否定はしないよ。

 事実として、私はユリカ姉さんの、羊水の揺り篭で救われたし。

 それに私もたまに何かを感じるし、この子を若草公園で見たときも感じたよ。

 ハルカを一番街で見つけた時も、感じたの、出会う為にそこにいるって。

 私は今やっと乗り越えたから、今は本当に心に従順でいられる。

 周りの全ての人がいたから、誰一人欠けても、ここには来れなかったよ。

 もちろんリンダもマチルダも含めて、だからこの子が私を感じるなら。

 最高だよ、私には隠すものなんて無いから、全てを見せたいから」


ユリカの最高の爽やかな笑顔と、マチルダの深緑の瞳が見ていた。

私も嬉しくて蘭を見ていた、蘭に抱かれたマリアが天使全開で蘭を見ていた。

「蘭・・ありがとう、最高の同調を見せてくれて・・女性で初めて感じたよ」とユリカが微笑んだ。

その背景の大淀川が、いつの間にか停滞の時間が来ていた。

河口からの、潮に押され始めた、月の影響を受けて満ちてきていた。

マチルダの言葉を思い出していた、【距離を凌駕する、強い意志】という言葉を。


マチルダが、父の伝言を達成する為に、身に付けた力。


【壁を越えろ、それだけが望みだ・・マチルダ】その父の伝言に対する1つの答え。


マチルダは常にイメージで越えている、壁も山も海も・・国境も。


マチルダのそれの基点は月だった、マチルダは持っていた内蔵型GPSを。


感覚的バード・アイ、常に自分を上からも後からも見れる。


自分の存在を的確に地球上に表せる、その能力に驚愕した。


月に到達したばかりの時代である、GPSなど漫画の中にも無かった。


だからこそ到達できたのだろう、その研ぎ澄まされた感覚で。


進歩が常に新しい【便利】を提供して、人は何かを失ってしまうのだろうか?


最後の大切な物まで失うのだろうか、コミュニケーションの基本まで。


人と会って会話をする、相手の目を見て、息使いを温度を感じる事さえ。


最新型が最良品だとは限らない、必要が無ければ無くなってしまう。


人の感覚も感性も・・多分、愛することさえ・・必要が無くなれば・・。









 

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