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感謝の命名

大きな古寺の庭園より忍び込む、微かに秋を想わせる風。

真夏の日中でも涼しさを感じる、薄暗い本堂で遊ぶ天使。

世捨て人と自らが名乗る老人、その言葉を聞く真剣な眼差しを見ていた。


マチルダは考えていた、美しい横顔が何かを示しているようだった。

美冬も思いを巡らせていた、自らの知識をフル稼働させている強い瞳だった。


「難しく考えんでも良いんじゃよ、所詮世捨て人の老人の戯言じゃから。

 そこの小僧は面白いよの~、ワシが最初に会ったのは。

 確か小僧が3歳位の時やった、その時から恐ろしい程の、好奇心を持っておった。

 自分でここまで来れるようになると、よう遊びに来るようになって。

 何か分らん事があるとワシに聞きよった、不思議に思ってある日聞いてみた。

 なぜワシに聞きに来るのかと、小学2年の小僧に。

 そしたら言いよったわい、人と違う事を平気で言える変な老人やからって。

 ワシは嬉しくての、間違えちょっても良いんかいって聞き返した。

 そしたら追い討ちかけてきよった、算数の問題聞いてる訳じゃないから良いよとな。

 小僧は本質的に理解しちょったな、今日見て、また変化に驚いたぞ。

 今の基本的な考え方を言ってみろ」


和尚が笑顔で私に話を振った、マチルダも美冬も私を笑顔で見た。


『最近・・まぁ和尚はよく知ってるけど、俺は運命を受入れない人間なんだよ。

 それでも最近の出会いや、人との関わりの中で繋がってきた。

 それで自分はどうしようかと考えたんだ、今後は運命を受入れてみようかと。

 でも性格が曲がってるから、素直には出来なかった。

 それで考え出した、人生には原作者が存在すると。

 その原作者は、何年後なんて書いていないと。

 俺の経験と生き方とかを見ながら、直後を書いていると。

 俺は原作者に宣戦布告をしたんだよ、あんたの想像を超えて見せると。

 それが原作者の、唯一の望みだろうと思ったんだよ。

 そして最近は常に心で原作者に語りかける事で、落ち着けるようになったよ』


笑顔の3人を見ながら、笑顔で話した。

「素敵じゃない・・原作者か~」と美冬が微笑み。

「うん、素敵だね・・リンダも絶対喜ぶ話だよ」とマチルダも微笑んだ。


「本当に素晴らしい教師達がついちょるの~。

 じゃがの~、なぜかまだ連れて来んの~。

 小僧の側に常に付き添う、最強の教師の顔が見たいんじゃがの~」


和尚が虚空を見つめて、優しく言った。

「ゆりか・・おしょう、ゆりか」とマリアが大声で言った、その時強い波動が来た。

「おお、そうかマリア、ユリカと言う人なのか」と和尚が笑顔でマリアに言った、マリアは天使全開で頷いた。

「本当に素敵な人です、聡明で知的で・・世界を見ても滅多にいない存在です」とマチルダが嬉しそうに微笑んで、美冬も笑顔で頷いた。

「そうじゃろうな、伝わる気の存在が全く違うわい・・ワシも初めて感じたよ」と和尚が嬉しそうに笑った。

『連れてこんって、和尚に用があるようなタイプじゃないよ』と私も笑顔で返した。

「ワシが用があるんじゃよ、今度会わせてくれよ」と和尚が真顔で言った。

『それは良いけど、ユリカも嫌じゃないだろうから』と笑顔で返した、暖かい波動が来た。

「今のがOKの返事で良いんじゃろうかの~、ユリカさん」と和尚は私に微笑んだ。

私はハッとして和尚の目を見ていた、強い波動が来て、和尚が笑った。


その時、檀家であろう6人の老人が、縁側から本堂に入って来た。

6人ともマリアを見て笑顔になり、天使全開のマリアを、代わる代わる笑顔で抱いていた。

「和尚様、今日はありがとうございました」とマチルダが微笑んで頭を下げた。

「ワシも嬉しかったよ、また会えるのを楽しみにしちょるかい」と笑顔で返した。

美冬と私も和尚に礼を言った。

『和尚、今度の日曜日の午後、暇ならPGに招待するよ、マチルダの送別会』と笑顔で言った。

「おお、良いの~、参加させてもらうよ」と嬉しそうな笑顔で返してきた、私も頷いてマリアを迎えに行った。

マリアを抱き上げると、老人達に天使全開で手を振った、老人達も笑顔で手を振っていた。


「次は・・どこに行きましょう?」と美冬が運転席で微笑んだ。

『海が見たい・・俺3日も海を見ないと、死にそうになるの』とウルで言った。

「良いね~、賛成」とマチルダも乗ってきた、美冬も笑顔で頷いた。

車が走り出すと、すぐにマリアは眠ってしまった、楽しそうな笑顔で。

「でも、和尚様素敵だよね~、お客で来ても可愛いし」と美冬が微笑んだ。

「確かに素敵だよ、宗教家としての、1つの理想の姿なのかもしれないね」とマチルダも笑顔で返した。


真夏の光を浴びて、可愛い軽自動車が海へとひた走っていた。

防潮林である松林の樹海を見ながら、細い道を抜けると一つ葉の浜が見えてきた。

現在では人工ビーチと、マリーナになった辺りである。

右手に数組のサーファーがいて、左手にアベックらしき車が止まっていた。

マリアが起きたので、抱き上げて砂浜を波打ち際まで歩いた。

美冬とマチルダは、その場で海を見ながら、笑顔で話をしていた。

私はマリアがウルをするので、コンバースを脱いで裸足になった。

マリアを波が届くギリギリで、両手を持って立たせて、足だけ海を感じさせて天使の笑顔を見ていた。


かなり遊んでから、マリアを抱き上げた、天使全開で頬にキスしてくれた。

帰ろうと振返ると、美冬とマチルダに、サーファーの男2人が話しかけていた。

笑顔で話していたので、安心してコンバースを拾い、砂浜を歩いて戻った。

男達は仲間の元に帰って行った、2人がニヤで私を見ていた。

『美冬・マチルダをナンパするとは、勇気があるね~』とニヤで言った。

「そう思って話してみたら、中身が無くって・・あんたを見て慌てて逃げたよ」と美冬が笑った。

「怖い男だね~、どうして中学生をあんなに恐れるのかが、怖いよ」とマチルダも笑った。

『きっと、子持ちと思われたのさ・・どっちかが』とニヤニヤで返した。


「またあんなひどい事言ってますよ、美冬母さん」とマチルダが輝き最強ニヤを出した。

「本当に、胸の張りがお乳が出そうなのね、マチルダママ」とニヤニヤで返した。

私はコンクリートで足の砂を叩きながら、笑顔でその譲り合いを見ていた。

車に乗り込み、案の定マリアは即寝した、前の2人は楽しそうに、若い女性らしい話をしていた。

私はマチルダの笑顔とその話の内容に、なぜか少し安心していた。

マチルダの、普通の20歳の女性としての一面が見れたので、嬉しかったのだ。


「エース、お願い・・今からマチルダ借りて良い?」と突然美冬が言った。

『別に俺の許可は、不必要だと思うけど』と笑顔で返した。

「それは必要だよ、今夜マチルダ、フロアーに出るんだから」と美冬が前を見て言って、マチルダが振向いて微笑んだ。

『じゃあ、準備に間に合うように』と笑顔で返した。

「ありがとう、四季とユメ・ウミで食事しようと思ってね」と美冬が前を見て微笑んだ。

「素敵~、楽しみ~」とマチルダが輝きながら美冬を見た。

『美冬、マチルダ意外と、オジサン臭い食べ物が好きだから』とマチルダにニヤをした。

「そうなの~、・・私もだけど」と美冬が笑った。

『それと、食べる量はカスミレベルだから』と笑顔で言った。

「それは凄いよね~、マチルダもカスミも、それでスタイル維持出来るのが」と美冬が関心した。

「私、さっき痛い所突かれて、お腹少しやばいかも」とマチルダがウルで言った。

『腹筋しなさい、寝る前に10回するだけでも違うよ』とニヤで返した、マチルダが笑顔で頷いた。


橘通りで私がマリアを抱いて降りて、2人に手を振って見送った。

TVルームにはマダムとユリさんにウミが来ていて、エミとミサと遊んでいた。

マリアがパッと目を覚まして、ウミに駆け寄り遊びに加わった。

「ユリさん、疲れたんじゃないですか?」とユリさんの額に、影を感じて言った。

「少し張り切っちゃって、歳かしら」と薔薇で微笑んだ。

『ミチルが泣きますよ、ユリさんが誇りだと言ったんですから』と笑顔で返した。

「私も充電してもらおうかしら」と薔薇で微笑んだ、私は笑顔で頷いてマリアを見てユリさんを誘った。


裏階段に出て、ユリさんを抱き上げた、薔薇で微笑んでいた。

直射日光が当たらない時間になっていて、最上階まで登った。

ユリさんは目を閉じて静かに抱かれていた、美しい成熟した女の顔だった。

最上階に着くと、乾いた南風が気持ち良く、最高の気分で景色を楽しんだ。

ユリさんに直射日光が当たらないように注意して、階段に座って少し引き寄せた。

《静かだ、他の誰よりも圧倒的に静かだな~》と思って美しい寝顔を見ていた、暖かい波動が帰ってきた。

ユリさんは疲れていたのだろう、30分ほど寝ていて、ハッとして目を開けた。


「ごめんなさい、あまりに気持ち良くて、本気で寝てました」と薔薇で少し照れた。

『30分ですよ、疲れためたら駄目ですよ』と笑顔で返した。

「今日は朝から、最高に嬉しい事が有ったから、準備に制御がかからなくなって」と薔薇で微笑んだ。


『ユリさん、その事はもう心の中にしまって下さい。

 俺はその何倍もの物を、ユリさんとマリアから受け取ってますから。

 そして俺も嬉しかった、最も大切な試験に合格した気分でした』


ユリさんの間近の顔に圧倒されながら、薔薇の瞳を見て言った。

「ありがとう、そうしますね・・今日の和尚様はどうでしたか?」と薔薇で微笑んだ。

『マチルダにも美冬にも、充分意味が有る話をしてましたよ・・生臭のままで』と笑顔で返した。

「そうでしょうね、マチルダにとっては、宗教家という感覚すら変える存在でしょうから」と笑顔で返された。

『ユリカに会いたいので、会わせろと言われましたよ』と真顔で言った。


「いよいよですね・・私が子猫で訪ねた時も聞かれました。

 何かを感じているみたいですね、絶対にユリカにとって、プラスになる事でしょう。

 ユリカはもちろん、あなたに言った言葉なら聞いてますから、楽しみにしてますよ。

 どこまで登るのでしょう、あのユリカという存在は、頂上が無い気がしますよ」


私を見ながら薔薇で微笑んだ、強い波動にユリカの喜びを感じていた。

『ユリさんでも、ユリカの頂上をイメージ出来ませんか?』と微笑んで返した。

「今日、見た瞬間に衝撃を受けました、変化の凄さに・・私の期待を遥かに裏切ってくれます」と最高の薔薇で微笑んで。

「頂上など存在しない、天に続く階段を登っているような感じですね、ユリカは」と嬉しそうに言って、立ち上がった。

私も笑顔で立ち上がり、TVルームに戻ると、ウミが出る所だった。

『今夜、夕食会であまり飲むなよ』とニヤでウミに言った。

「仕事前にそんなに飲まないよ、それに最高の楽しみが、仕事終わりに待ってるし」と笑顔で返したウミと、手を振って別れた。


TVルームに入ると、ハルカ・レン・シオンも戻って、カスミも来ていた。

『ハルカ、何時に行くの?』と笑顔で聞いた。

「今夜と明日だけ、裏方とサービスだから・・7時40分には入ろうね」と笑顔で返してきた。

『了解、土曜からフロアー出るのか~』とニヤで言った。

「やめてよ、緊張するでしょ・・魅宴のフロアーなのよ」と真顔で焦っていた。

『会話の内容は同じだよ、ただ魅宴のお客の嗜好が、そう思わせるだけ』と笑顔で言った。

「教官お願いします・・アドバイスを」と笑顔で頭を下げた。


『うむ、しかたあるまい・・。

 俺もリョウが心配で、初日に適応できるか見に行ったんだけど。

 ピーチが若い子ばかりの、PGみたいな感じって聞いてたから。

 でもすぐに順応してたよ、会話の内容は、ほぼ同じなんだよ。

 ただ、多分硬い話しが好きな客が、多いんだろうね。

 そして圧倒的に違うこと、客同士の会話が多いんだよ。

 多分接待が多いんだろうね、だから女性も聞いていない振りさえする。

 そして受けてから投げるんだよ、会話のキャッボールかな。

 相手の全てのモーションを見て、受けれるけど、自分も見られる。

 最終的に自分が構えた所に狂い無く、ボールを投げ返されると気持ち良いんだね。

 PGに求められるのは、相手の打つ球を予測して、素早く打ち返す卓球のラリー。

 変化を付けたり、ギリギリに打ったり、いきなり手前に落としてみたり。

 その変化の大きさと、スピード感が速いほど相手も楽しいよね。

 だから同じだよ内容は、でもハルカが感じるほど勉強になるよ。

 ハルカ、ミコトだよNo1ミコトを見ろ、PGに居ないタイプだから。

 ミコトの魅力、それは余裕なんだよ、どこか安心できる余裕。

 ミコトって漢字で、命って書くらしい、魅宴の命。

 その意味が分ってくる、その本質に驚愕する、大ママは今でもユリさんが欲しいんだ。

 ユリカのユリを貰った事も、ミコトに込めた想いも感じてしまう。

 俺は大変な者をプレゼントしたのかも知れない、リョウはミコトを吸収する。

 リョウは吸収力が抜群に強い、そして自分を変化させ続ける、それを楽しんでしまう。

 そして心が折れない、俺はそれだけは確信している、ここまでの経験があるから。

 リョウは今後どんな事があっても、絶対にその心は折れない。

 そして言い訳をしない、リョウは完全にカスミと肩を並べる存在になったよ。

 9人衆が本気ならば、ユリさんから目を逸らしてる時間は無いよ。

 遠すぎるから、蘭からとか言ってる暇は無くなった。

 ユリさん・アイさん・サクラさん・蘭とナギサ、全てから吸収しないと。

 必死に研究しないと、リョウの背中が見えなくなるよ。

 俺はリョウの初日の、ミコトを見る視線に驚いた。

 魔性の女を隠す事無く、吸収する視線に。

 笑顔で接客しながら、ミコトが動いた瞬間、片方の瞳だけ素早く動く。

 ミコトも気付いて、それを喜んで楽しんでいる。

 そして明日デビューしてくる、その熱い状況のフロアーにミサキが。

 PGまでリアルに見たミサキが、何を吸収するのか想像も出来ないよ。

 現状はこんな状況、俺の個人的な感想だけどね』


最後はハルカに微笑んで、カスミを見た。

「了解、次のテーマの提示なんだな」とハルカが言葉が出ないので、カスミが私に不敵で答えた。

『楽しくて、涙が出そうだろ』とニヤで返した。

「楽しいよ、本気で最近楽しくて、寝る時間が惜しい位だよ」とカスミも輝いて笑った。

「ごめんなさい、ありがとう・・少し考えてしまって、私も楽しい」とハルカが微笑んだ。


「確かにミコトは大ママが授けた名前です、4年前22歳のミコトに命名しました。

 その日に、ここに連れて来ましたよ、マダムも私もその雰囲気に驚きました。

 私も大ママに少し嫉妬を覚えました、魅宴はその当時、絶対的NO1のユリカ。

 そして19だけど、その素質を誰もが羨むナギサが居ましたから。

 うちには当然、リアンが居ましたけど、リアンの下が中々いなくて。

 マダムも私も焦っていました、その時ですリアンが連れて来ました。

 蘭を・・嬉しかった~、ミコトとナギサの分を埋めて余りある、その素質に触れて。

 今のPGには、その蘭とナギサが居るのですよ、大丈夫ですよ。

 あなたが贈ったリョウは、本当に素晴らしい素材です。

 でも9人衆も負けないでしょう、絶対に心が折れない覚悟があると、私は信じます」


最後はカスミとレンとハルカを見て、薔薇で微笑んだ。

「もちろんです、覚悟は出来ています」とカスミが笑顔で返して。

「私もです」とハルカとレンが続いた。

「まぁPGには、エースがおるから、心が折れる前に気付いて手を出すしな」とマダムが笑顔で言った。

「そうですね~、それではその次の段階はどんな事でしょう?」とユリさんが薔薇で微笑んだ。


『もう、大御所2人で答えまで教えて・・次は当然出しますよ。

 本当の本気で集中した、蘭を・・9人衆にブルブル震えてもらいます。

 そして間髪入れずに出しますよ、最終で最強の・・シオンを。

 あのリョウですら、一目で勝つ自信が無いと言った、シオンを。

 俺は、シオンだけは誰からも吸収しなくて良いと、言っています。

 そしてシオンの中に残るのは、シオンが本当に好きな物だけです。

 それで絶対に上手くいく、シオンは今までなどでは、比較出来ない存在だから』


最後はニコちゃんを見ながら、笑顔で言った、ニコちゃんシオンが嬉しそうに頷いた。

「今頃こんな質問しますけど、エースって誰かが命名したんですか?」とレンが言った。

「大ママだよ、こやつは大ママから通り名、五天女から称号を勝ち取ったんじゃ」とマダムが笑顔で言った。

「そうなんですか!私かなり大変な名前を貰ってる」とレンが微笑んだ。

「私が源氏名1号です」とハルカが笑顔で威張った。

「ほらね、あん時称号おねだりしといて良かったよ、こんな時が来るから」とカスミが不敵を出した。

全員で笑っていた、私は少しづつ理解してきた、この世界の商売という物を。

《ユリカ、後で魅宴の帰りに抱っこに寄るからね》と囁いた、暖かい波動で返された。


私はこの時点で、蘭と旅に出る覚悟をしていた。

それを5年後~7年後と思っていた、高校卒業すぐか成人した約束のプロポーズまでにだと。

だからリアルに近くで見れるのは、カスミがトップを取るまでが、限界だろうと思っていた。

結局その事は蘭とユリカにしか話さなかった、カスミにすら話さなかったのだ。

だからBESTを尽くそうとしていた、それから5年、あのリンダが地下に潜る事になるまで。


いつか離れる日が来ると感じながら、全力でカスミとレンとハルカを愛していた。


失う怖さを抱えて、必死で愛し続けた、納得して引退して欲しくて。


レンから4年後、久美子がアメリカに渡り安定した時に、相談される。


ユリさんと私は、レンに独立したいと相談される、スナックがやってみたいと。


前向きな挑戦にユリさんも賛成した、私も大賛成でユリカに相談した。


そしてユリカが自分が預かって、経営の勉強をさせると言ってくれたのだ。


レンはそれからユリカの元で必死に働き、1年が経過した時にユリカがレンに全てを譲るのだ。


辞める理由を言わずに、泣きじゃくるレンを励まして、ユリカは去ってしまう。


私がユリカの店の店名を、仮名すら使わなかったのは、思い入れが強すぎて出来なかった。


レンはユリカから受け継いで、本当に必死に店を守り抜いた、そして受け継いで5年後。


店の改名をする、新店名は・・【ユリカの棲家】だった。


レンの深い想いに皆感動して、泣いた・・リアンがその当時女帝だったリアンが。


エレベーターを出て、その看板を見た時点で蹲り泣いて、動けなくなった。


私がリアンを抱き上げて、BOXの一つだけ色の異なる位置に、リアンを座らせた。


そして私が隣に座った、その時にリアンが気付いた。


ユリカの場所なのか!私が頷くと、リアンは再び号泣していた。


私がユリカと毎日過ごした、ユリカの位置の部分だけ切り抜いた。


そして新しいソファーにも、それを張り替えていたのだ。


「約束は守ったよ、久美子の背中を押して、自分の幸せを追いかけたよ」と笑ったレン。


最高の愛情表現を見せてくれて、ありがとう、幸せだったよ。


レンとの出会いも、俺がユリカのビルを、見上げていた時だったね。


今でもあるよ、あの夜空だけは・・2人で見上げた夜空だけが・・。










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