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笑顔の伝達者

人は目を逸らしている、現状が自分ではどうしようもないと。

目を逸らさず見ている者がいる、伝えて波を起こそうとする。

一人で出来なくても、多くの人が波を起こせば、変ると信じている。


活気のある純日本風居酒屋、ハッピを着た男達が歓迎を叫ぶ。

注文を受けた女性が、注文内容を叫び、男衆全員で了解を伝える。

ブロンドのマチルダは、楽しそうにその光景を見ていた。


「マチルダも、リンダの手伝いをしてるの?」と蘭が真顔で聞いた。

「はい、手伝いというか、私は世界中で見た事を、世界中で伝えています、今はそれしか出来ないから」と輝きの微笑で返した。

「そっか~、伝える事は誰でも出来るからね、感じて伝える事は」とカスミが私に微笑んだ。


「その通りよカスミ、無駄だと思ったときに、敗北が決まる・・リンダの言葉です。

 確かに世界には、悲惨な状況も、とんでもない生活環境もあります。

 それを見ると自分一人の力では、どうにもならないと思ってしまう。

 でもそれを伝えれば、100人に伝えれば、1人は共感してくれるかもしれない。

 共感が共感を生み、それが波になるかもしれないと。

 私達のような、若い女性だから聞いてくれる人も、いるんじゃないかと。

 だからリンダは、マスコミの取材を受けています、本意じゃないけれど。

 伝える事なら誰でも出来る、行動しないで敗北を宣言するなと。

 私はそうリンダに教わりました、私が挫折をしている時に。

 リンダは言います、人に祖国は無い、地球という故郷しかないと」


まっすぐに前を見て、強く言葉にした、マチルダの瞳を見ていた。

私はリンダを想っていた、その生き方を追いかけていた・・心で。

「マチルダ、PGでも沢山話をして伝えて・・私は伝えるよ私の周りの人達に」と蘭が優しく言った。

「うん、マチルダ・・私も・・マチルダ友達だろう、全部教えてな」とカスミは泣きながら言った。

「ありがとう、本当に嬉しいです」と蘭を見て、カスミの手を握った。


「エース教えて、リンダはあなたに聞けと言ったの、あなたは何をリンダに伝えたの?」とマチルダが潤む瞳で私に聞いた。

『マチルダ、俺が伝える事が出来たのは・・言葉は不要だ、愛が世界共通言語だって事だよ』とマチルダに微笑んだ。

「素敵・・リンダ幸せだったね」と俯いて泣いていた、その涙が切なかった。


「もう、泣き虫だな・・緑の瞳は泣き過ぎでなったな」とカスミが必死に場の空気を変えた。

蘭はずっと微笑んで見ていた、カスミに任せていた、マチルダの涙を。

「カスミも目が、ウサギのようになってるよ」とマチルダも輝きニヤで言った。

「仕方ないだろ、マチルダに出会えて、嬉しいんだから」とカスミがニヤで返した。

「今、少し惚れそうにになったよ」とマチルダがウルをした。

「私が欲しけりゃ、死ぬ気でおいで」と最大不敵を出した、マチルダがお尻のポケットからメモ帳を出して。

「それ、頂いちゃいま~す」と最強輝きニヤで、ペンを走らせた。

蘭と私はその漫才を、笑って見ていた。


「さて行くかね、戦場に」と蘭が微笑んで言った。

『今夜は俺がご馳走するよ、ミチルボーナスが出たから』と胸を張って威張った。

「素敵、エース・・ユリカさんと添い寝するだけあるね~」とマチルダがスペシャルニヤできた。

「隊長、今夜が楽しみですね~」とカスミが最大不敵を出し。

「やっぱりね・・楽しみやね~」と蘭が満開ニヤをした、私は一応ウルをしていた。

私が会計をしてると、3人が出てきた、静寂が支配した、居酒屋の喧騒が消えた。


周りの注目を全て集める、輝き2人組みの後を、ニヤニヤで蘭と腕を組んで歩いた。

PGに戻り、マチルダを私の指定席に座らせた、シオンが来て横にニコちゃんで座った。

そして英語で楽しそうに、2人で話し始めた、久美子が楽しげなジャズを弾いていた。

四季が登場して、シオンがマチルダを10番に案内した、笑顔が溢れて話をしていた。

《なるほど、ユリカの言った、マチルダをフロアーに出すと、面白いの意味が分かったよ》と心に囁いた、暖かい波動が返ってきた。

ユメ・ウミが来て、サクラさんが入った、マチルダは一人一人に笑顔で挨拶をした。

久美子が旅情的な感じの曲になった、アイさんと蘭とナギサとカスミとハルカが入った。

その光景を私は笑顔で見ていた、マチルダが中心になって、カスミと漫才をして笑顔を作っていた。


ニコちゃんシオンを呼んで、レンを送って来るから、マチルダを後で指定席に座らせるように頼んだ。

レンが黒魔女で来た、私はニヤでレンを見た、女性達も笑顔で見ていた。

『どうしたレン・・怖いのか』とニヤニヤで言った。

「石にするよ・・行くよ」と可愛いニヤで返して、腕を組んで来た。

私は緊張気味の黒魔女と、ユリカの店に出かけた、通りを歩く時レンは少し緊張していた。

「エースに、なんて礼を言えばいいの?リンダの話」とレンが微笑んで言った。

『俺は関係ないよ、久美子が実力で勝ち取ったのさ・・・感謝するなら約束して』と微笑んで返した。

「良いよ、約束なら何でもするよ」と笑顔で答えた。

『久美子がどんな道を選んでも、笑顔で背中を押すって、そしてレンの幸せを探すと誓って』と真顔で返した。

「なんで、なんで泣かす・・頼むから、抱っこして連れて行って」と必死に涙を我慢してレンが言った。

私はレンを抱き上げて、笑顔でレンを見た、レンも笑顔で返して来た。

『抱っこ伝説もプレゼント、黒魔女の方が有名になるぞ』とニヤで言った。

「望むところだよ・・エース、誓うよ・・必ずそうする」と可愛く微笑んだ。

『よし、じゃあ・・ユリカスペシャル』と言って階段を登った、レンは瞳を閉じて集中していた。

暗くなった夜空に月が浮いていた、半月の光が照らしていた、魔女の可愛い顔を。


ユリカの店に入るとユリカが出てきた、爽やかな笑顔でレンに微笑んだ。

レンは頭を下げて、ユリカに連れられて、女性達を紹介された。

笑顔で話す黒魔女をBOXで見ていた、ユリカが黒い服を見て何か言って、レンに楽しそうな笑顔だ出た。


「可愛いじゃない、黒魔女も」とユリカが来て、爽やかに微笑んだ。

『でしょ、俺は好きだけど、レンはやっぱり自信が持てないんだよ』と笑顔で返した。

「少しでも、自信になると良いけどね」とユリカが微笑んだ、美しく色気が漂った。

『ユリカ、急に綺麗になりすぎ、なんか緊張する』とニヤで言った。

「あれからリアンが来て、明日お熱出すって言って、帰って行ったよ」と楽しそうに笑った。

『リアン怖い、厳しい試験を絶対する』とウルで返した。

「筆記試験じゃないわよ、実技試験だよリアンは」と爽やかニヤで返された、私はウルウルで返していた。

お客が2組入ったので、レンに【GO】サインを笑顔で出して、レンの【了解】を見て店を出た。


通りをPGに向かっていると、呼び込みさん達に、マチルダの事をしつこく聞かれた。

私は逃げるように、裏階段を登った。

フロアーに行くとシオンとマチルダが話していた、女性達もシオンを想ってサインを送らなかった。

私はハルカポジションに立った、客は7割方入っていた。

「先生、マチルダちゃん疲れてるよ、充電してあげて」とシオンが真顔で言った。

『OKシオン・・ありがとう』と笑顔で返して、マチルダを見た、少し影が出ていた。


『マチルダ・・今夜は充電してやるから』とマチルダの真横に立って、優しく笑顔で言った。

「良いの?」とマチルダが微笑んだ、少し弱い声だった。

『マチルダ、遠慮なんかするなよ・・俺にはこれしか出来ないんだから』とその場で抱き上げた、マチルダが私の首に腕を回した。

私はマチルダを笑顔で見た、マチルダも笑顔だった。

フロアーの女性の暖かい視線を感じて、蘭を見た、満開に微笑んで頷いた。

マチルダを抱いたまま、裏階段を登った。


「本当だな~、リンダが空港で抱っこされて歩いて、降ろされたくなかったって言ってたよ」とマチルダが微笑んだ。

『俺も・・降ろしたくなかったよ、そして追いかけたかった』と真顔で返した。

月光に照らされた、マチルダを見ていた、笑顔が美しく輝いていた。

最上階に着いて、夜景を見ていた、南風が気持ちよかった。

「少し、話をしようよ」とマチルダが微笑んだ。

私も笑顔で頷いて抱いたまま、階段に座ってマチルダを引き寄せた。

「慣れたね、プラチナブロンドに」と間近のマチルダが美しく微笑んだ。

『マチルダがね、抱かれても警戒の力が抜けたから、俺は警戒とかされると緊張するんだよ』と微笑んで返した。

「どうして?」と真顔で聞いた、彫の深い顔が半分闇に覆われて、逆に幻想的だった。

『最近出会った女性達が、何かしら心に傷があったから、女性を大切に扱うようになったんだよ』と微笑んだ。

「そっか・・さっきの偶像崇拝の話は、途中でしょ?」と可愛く聞いてきた。

『簡単な話で良い?難しく考えたくないから』と笑顔で返した、マチルダも笑顔で頷いた。


『物にはそれほどの価値がない、それを作るのに込めた想いにすれば。

 マチルダの言葉嬉しかったよ、俺もそう思ってたから。

 俺達はまだ子供だから、当然自由になる金は少ないんだよ、小銭だけ。

 でも好きな人の記念日には、なにか贈りたいよね。

 そしたら考えるの、色々考える、限られた範囲の中で、相手を想ってね。

 そうしたら気付いたんだよ、相手もその時は、ずっと俺の事考えてるってね。

 俺の事を想ってくれてるって分ったら、嬉しくてね。

 そして思った、最高だとね・・その時間が最高のプレゼントだと思った。

 その時を俺のために使ってくれる事がね。

 リンダの記事を読んで考えたんだよ、色々と考えてみた。

 宗教で争うのも、文化の違いを受入れないのも、肌の色で差別するのも。

 全ての原因は、欲だよね・・豊な国にしたいとか、豊な生活がしたいとか。

 でもその豊さって、結局どっか購入する豊かさが基本だよね。

 俺は未熟な子供だから、理解出来ないんだよ、それが豊な事なのかと。

 俺ね蘭と結婚して、子供が出来て、その子供達が独立したら。

 どこか南の島で暮らしたい、海の近くで波音を聞いて。

 そして蘭の笑顔があれば最高だと思ってる、明かりは月光で良い。

 TVも車も無くて良い、蘭と波音があれば、そう思ってるんだよ。

 子供でしょ・・マチルダ』


マチルダの瞳を閉じた美しい顔を見ていた、月光に照らされた幻想的な顔を。


「子供じゃないよ・・素敵な話だね。

 私も愛する人とそうしたいと思ったよ、いつか羽を休める時はそうしたい。

 欲が原因・・正しい考えだよ、でも95%の人が踊らされてるの。

 この世界を牛耳ってる、ほんの一部の人間によってね。

 マスコミ・・TVも新聞も雑誌も、全てスポンサーで成立っている。

 たから真実が伝わらない事がある、スポンサーの都合で曲がるんだよ。

 そして1つ教えとくね、その一部の人間達は、誰一人平和を望んでいない。

 平和は金にならないから、表では平和を叫び、裏では望まないんだよ。

 文明は日々進歩している、アメリカのある企業の打ち出した計画。

 インターネット・コミニケーションが普及すると、閉ざす事は難しくなる。

 何処にいても世界と繋がるんだよ、映像でリアルに見れるんだ、素敵な事だよね。

 でも忘れないで、自分で見ないと駄目、目だけで見ても感じない。

 匂いも、感触も、音も、味も感じてみないと、リアルには分らない。

 さっきの壁に対する、蘭さんとカスミの言葉、ストレートで本当に嬉しかった。

 感動したよ、そして再確認した、不必要な物だとね。

 世界には壁や線で仕切られた、同じ民族が沢山いるんだよ。

 悪意を、子供のうちから洗脳して植え付け、無意味な憎悪でコントロールしたり。

 強力な力で押さえつけたり、酷い現状は数限りなく存在する。

 でも今夜本当に私は救われたよ、蘭さんのあの言葉、必要の無い物はなくなるって。

 私も必ずそうなると思ってる、憎しみが不必要だと気付く時がくると」


マチルダは私を見て、最後は最高の輝きで、微笑んだ。

『うん、俺も思ったよ、絶対にそうだとね』と微笑んで返して。

『マチルダ、今夜はお休み・・ゆっくりと』と言ってマチルダの額に手を当てて、瞳を閉じさせた。 

「安心できるね、充電か~、さっき女性達が言ってたから、私が眠っても、少しは抱いていてくれる?」

瞳を閉じたまま、囁いた、マチルダが愛おしかった、常に何かと闘ってる、顔の陰りが切なかった。


『浅い眠りの時は抱いてるよ、深い眠りに入ったら、マリアの側に寝かせてあげる』と静かに囁いた。

「ありがとう、お休みのキスをして」と囁いた。

私はさすがに緊張した、マチルダを少し引き寄せて、唇を重ねた。

離したくなくて、暫く重ねていた。

唇を離して、マチルダを見た、眠ってるように静かだった。

風が吹いて、プラチナブロンドが煽られた、マチルダの香りが漂ってきた。


マチルダの少しクタビレタTシャツが、可愛かった、大切に着てるのだろうと思えて。

綺麗な服を着たら、どんなに華やかなんだろう、そう思いながらリンダを想っていた。

映像が現れた、その鮮明さに驚いた、そして場面が蕎麦屋に飛んだ。

リンダが小さなアルバムを見せる場面だった、鮮明な画像に声も明瞭に聞こえた。

リンダが一枚一枚説明してくれた、私はそれを見ていた、嬉しくて。

《これで何を言ったのか、分るよ・・ありがとうマチルダ》と心で囁いた、暖かい波動が包んだ。


半月とネオンに照らされた、私より少し背の低い美しい女性が、疲れを見せて眠りに落ちた。

完全な脱力が伝わってきた、寝息を感じた、本当に天使のような寝顔だった。

私は深い眠りに落ちたマチルダを、暫く見ていた、月光の下で。


《さてこれからが大変、脱力女を抱いて階段降ります、応援してね・・ユリカ》と囁いた、強い波動が応援してくれた。

私はマチルダを抱き上げて、慎重に階段を降りた、予想以上に下りは緊張した。

TVルームの扉を足でノックした、久美子が開けてくれた。

眠ってるマチルダを見て、簡易ベッドに走って、ベッドを整えてくれた。

マチルダを優しく寝かせ、額にキスをして照明を消した。


「エース、ありがとう・・リンダの話、本当に嬉かった」と可愛く久美子が微笑んだ。

『久美子が実力で勝ち取ったのさ・・お礼して』とニヤで言って、頬を向けた。

「生意気ね~」と笑顔で言って、キスしてくれた。

『マチルダ、起きたらよろしく』と久美子に笑顔で言って、松さんに笑顔を向けてフロアーに戻った。


シオンがニコちゃんで、業務サインを繋いでいた、完全にスムーズになっていた。

私は指定席に座り、フロアーの蘭を目で追っていた、蘭の満開が私の気分を上げた。

「先生、シオン本当に嬉しかったよ、マチルダちゃん・・ありがとう」とニコちゃんがコーラを持って来た。

『うん、先生も嬉しかった、素敵な友達ができて』とコーラを受け取り、笑顔で返した。

「明日、私もユリさんの家に行きます、もっと皆と仲良くなりたいから」と可愛く微笑んだ。

『そっか~、良かった~、シオン来ないと、先生、意地悪された時の、味方が誰もいないから』とニコちゃんで返した。

「シオンが守ってあげましょう・・先生、私・・行くね・・世界に」と言ったシオンの真顔に見惚れた。

強い意志を反映させた時の、瞳の輝きが美しかった、私は嬉しくて笑顔になった。

『うん、シオンはそうすると思ってる・・そして先生も必ずそうするよ』と真顔で返した。

ニコちゃんに戻って、シオンが頷いて背を向けた、その綺麗な背中がデビューを予感させていた。

《シオンのデビューは・・やっぱり寂しいよ・・ユリカ》と心に囁いて、暖かい波動で包んでもらった。


「シオンの成長した背中を見て、落ち込んでる暇は無いよ」と蘭が来て真横で囁いた。

『うん、そうだね、蘭が帰ってきて、少し感情的なんだよ』と微笑んで蘭を見た。

「あなたが望んだ、私の本気の集中がもうすぐだよ、覚悟してね」と満開で微笑んだ。

『了解、楽しみだな~、ユリカ添い寝の罰は』とニヤで聞いた。

「罰じゃない、同じ事を今夜私にするように、背中合わせじゃないやつ」と満開ニヤで返された。

『了解、少し大人になったね・・蘭』と微笑んだ、満開で頷いて扉に消えた。


「ありがとうね、マチルダもユリさんの家のお泊りも、四季は全員参加よ」と美冬が微笑んだ。

『美冬、明日の午後空いてる?マチルダを、連れて行きたい所があるんだよ』とウルで頼んだ。

「うれしー、私に頼んでくれるの」と美しい笑顔で返して来た。

『全ての始まりは、美冬の勇気だろ・・ユリカが言ってたよ、数年前の蘭みたいだって、美冬が』と笑顔で返した。

「最高の人に、最高の褒め言葉をもらった・・嬉しい、明日1時に来るね」と最高の笑顔で言って、扉に消えた。


「私が、そんなに可愛いのか?」とカスミが不敵で来た。

『うん、カスミが可愛くてしょうがないよ、その変化が俺に勇気をくれるよ』と笑顔で返した。

「私も嬉しかったよ、マチルダと出会えて、世界が広がったよ」と美しく輝いた。

『うん、素敵な関係だと思って見てたよ、カスミ・・カスミの愛情表現、最高だよ』と微笑んだ。

「私も、自分を好きになってきたよ・・今からだよ、本物のきゃしゅみが出るのは」と微笑んで扉に消えた。


私は指定席に座り、安心感に包まれていた、見守られている事を感じて。

居場所がある幸せを感じていた、素敵な女性達に囲まれて。

そして感じた、そこまで行かなければならないと。

《ユリカ、マチルダを豊兄さんに、会わせるね・・決めたよ》と心で囁いた、強い波動が何度も来た。


私は考えていた、豊兄さんはどうしようかと、マチルダに会えば行ってしまうんじゃないかと。

豊とはそういう男だと知っていたから、心が示した場所に躊躇なく行く人間だから。

そして、不遇な環境の子供や、障害やハンデを持った子供に、圧倒的に優しい人間だから。

でも会わせない訳に行かない、マチルダの旅が完結しないと思っていた。


情熱のフロアーを見てると、映像が流れた。

野犬に対して拳を握り、微笑んで話しかける、豊兄さんの背中が・・。


マチルダはこの夏物語以降、地下に潜るまでの5年の間に、9回伝えに来た。


一泊であったり、1週間滞在したり、来た時はとにかく楽しかった。


マチルダが世界を伝えてくれた、そしてエミが最も影響を受けた。


マチルダもエミに執着していた、その能力を認めていたから。


エミが全員にマチルダの話を伝えた、時に笑顔で、時に泣きながら。


だからこそ、直接心に響いた、エミの言う事だから。


リンダは地下に潜る前に、サクラさんにエミの奨学金を託していた。


エミが医学を目指すでも、何をするにしても使って欲しいと。


そしてその事実は、隠して欲しいと頼んだ、そうマチルダが伝言した。


エミ・・君は返したよ、その行動で・・リンダに奨学金は返済したよ。


あの時私が、この事実を話したのは、エミに誇りを持って欲しかったから。


リンダとマチルダが、託した人間としての、誇りを感じて欲しかったからです。


君は返したよ、リンダとマチルダの想いに・・強い想いと意志で返済したよ。


マチルダが笑っているよ・・「返済した利息分が多すぎるぞ、エミ」と言って。


不敵な笑みで微笑んでいる・・今のエミを見て・・嬉しそうに。













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