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無用の壁

その瞳は感情を伝える、懐かしい大地の色で示す、大切な何かを。

海から上がった生命の、もう1つの故郷、緑の大地を匂わせる。

永い争いの歴史が漂う、西洋の神秘を湛えて輝く。

壁に閉ざされた世界を背負う者、マチルダ。


私がマリアを抱いて、マチルダが私と腕を組んで、マリアを笑顔で見ていた。

周りの人々の目は、全てマチルダに注がれている、金髪の美女が歩く方向に。

蕎麦屋に入って、店の静寂を楽しんで、リンダと座った座敷に上がった。

窓際から、マチルダ・マリア・私で座った、マチルダはご機嫌でマリアと遊んでいた。

『リンダと同じ物で良いの?』と笑顔でマチルダに聞いた。

「もちろん、それから始めたいよね~」と輝きながら微笑んだ。

私は大盛りぶっかけ蕎麦を注文し、マリアのおにぎりを頼んだ。


『マリアの感想は?』と言ってマチルダの膝に抱かれる、マリアに微笑んだ。

「間に合った・・そんな感じ」とマチルダが微笑んで返してくれた。

『同じ感想を聞いた事があるよ、爺さんだけど』と笑顔で返した。

「そこもお願いね、会ってみたい・・爺さん」と輝くニヤで返した。

「おしょう」とマリアがマチルダを見上げて笑った。

『マリア偉いね~、和尚覚えてるの~』とマリアに微笑んだ。

「ねこちゃん、おしょう」と嬉しそうに私に天使全開をくれた。

「どうして、リンダがマリアに会えなかったか分ったわ・・リンダは誘拐したかも、マリアを」と輝きニヤでマチルダが言った。

『リンダ、行動派だから・・危ないかもね~』と私もニヤで微笑んだ。

蕎麦が来て、マチルダは輝く笑顔で蕎麦を見て、割り箸を割った。

《何も教える必要ないな、さすがマチルダ》と思ってた。

私の蕎麦を小さなマリア用の器に盛りつけて、おにぎりとフォークと一緒に、マリアの前に置いた。


「いただきま~す」とマチルダが大きな声で言って、店の全員が見た、綺麗な日本語を話す金髪美女を。

「いただきま」とマリアも笑顔で言って、食べはじめた。

マチルダが美味しそうに食べながら、マリアの面倒を見ていた。

マリアがこぼしたのを、マチルダが笑顔で食べていた。

『マチルダが教えたんだね、リンダに蕎麦を』と微笑んで言った。

「美味しいよね~蕎麦、最近やっとNYにも日本食レストラン出来たけど、寿司ばかりでね」と真顔で返した。

『日本はアメリカの食べ物、ほとんど有るのにね~』とニヤで返した。

「基本的にアメリカの食べ物って無いんだよ、移民の国だからね、ネイティブアメリカンだけだから、祖国と呼べるのは」と少し寂しげだった。


『俺ね、今ドリーム・キャッチャー作ってるの、プレゼント用に』と意識して笑顔で言った。

「ハニ~、蘭に?」と輝きニヤで返して来た。

『PGにあと2人女の子の姉妹がいて、6歳と4歳の、お姉ちゃんがもうすぐ誕生日でね、そのプレゼント』微笑んで返した。

「素敵ね、中編みする時、気持ちを織り込むんだよ、その子を想ってね」と輝きながら私を見た。

『うん、そうするよ、最後の中編みが残ってるから』と笑顔で返した。

マチルダはジーンズの右腰に付いている、キーホルダーを出した。

そこに数珠繋ぎに付いている、沢山の小石を見ていた。

そして、縛っていた紐をほどいて、私に差し出した。

「センターに付けてあげて、マチュピチュで拾った石、強い力が守ってくれるよ」と最高の輝きを放った。

『ありがとう、最高だよ・・マチュピチュってどこ?』と照れた笑顔で聞いた。

「天空の城・・あとは自分で調べなさいね~」とニヤで返された。

『天空の城か~、聞いただけで、ゾクゾクするね』とニヤで返した。

「あなたが行ったら・・失神するよ~、感動して」と輝きニヤニヤで返された。

私は【天空の城】と聞いただけで、心躍らせていた、その響きに。

マチルダがくれた石を、大切にポケットに入れた。


店を出て、マチルダがマリアを抱いた、私はニコちゃんでそれを見ながら歩いた。

「エ~ス」と後から大きな声が呼んだ、私は誰か分っていた。

《偶然かそれとも必然か?》と思いながら、笑顔で振向いた。

美冬が笑顔で必死で走ってきていた、私も笑顔で美冬を見ていた、その時マチルダが振向いた。

美冬は立ち止まった、2m位手前で、マチルダを見て凍結していた。

『美冬、リンダの友達のマチルダさん』とニヤニヤで紹介した。

マチルダは美冬と聞いて、私にマリアを渡して、最高の輝きで美冬に抱きついた。

「Mifuyu・・・・・」と英語で何か言った、多分感謝の言葉だった。

「・・・・・・」美冬も英語で答えた、美しい笑顔だった。

マチルダが美冬の左頬にキスをして、美冬が嬉しそうにキスを返した。


『美冬、マチルダ・・意地悪1点』と英語で話す2人をウルで見た。

「えっ、マチルダ日本語できるの?」と美冬が驚いて、私を見た。

「できるよ美冬さん、私は日本生まれです」と輝きニヤでマチルダが言った。

「最高・・さんは必要ないよマチルダ、私の英語どうかな~?」と笑顔で返した。

「充分通用しますよ、自信もって話せば、もっとスムーズになります」と輝く笑顔で返した、美冬は最高の笑顔で喜びを表現した。

『どうせ暇なんだろ、美冬、PGに行こう』と笑顔で美冬を誘った。

TVルームには誰もいなかった、マチルダを誘ってフロアーに行った。

マチルダはフロアーのセンターに立って、瞳を閉じていた、美しかった。


久美子がサマータイムを弾き始めた、マチルダが最高の笑顔になって、久美子を見た。

そして、美冬とシオンに手招きした、そして久美子に目で合図した。

「サマタ~ム・・・」と3人が楽しそうに歌い始めた、シオンが最高のニコちゃんだった。

美冬も本当に楽しそうだった、そして真ん中でマチルダが輝いていた。

間奏が来て、私が初めて聴く、強めのアレンジで久美子が弾いた。

マチルダは最高の笑顔を、久美子に向けた。

久美子はマチルダを見て、16歳の輝きを放った、徳野さんとボーイの笑顔があった。

ハルカとレンが体を同じように揺らしていた、マダムとユリさんも来た。

そして、蘭が駆け込んで来た、満開の笑顔でそれを見ていた。

私は蘭の満開の笑顔が見れて嬉しくて、蘭を見ていた。

歌が終わり全員で拍手をした、最高の笑顔の4人が頭を下げて、拍手に応えていた。


蘭が私の所に駆け寄って、抱きついた、私は抱きとめて蘭の香りを感じて安心していた。

「寂しかったろう~・・最高の出迎えの曲だったよ」と私を見て満開に微笑んだ。

『寂しかった』と笑顔で言って、蘭を抱き上げて、マチルダの前で優しく降ろした。

『蘭、マチルダちゃん、リンダの友達だよ』と蘭にマチルダを紹介した。

「マチルダ・・良く来たね~嬉しい~」と蘭が満開の笑顔で、マチルダに抱きついた。

マチルダは蘭に触れ、瞳が深緑にになり、最高の笑顔を見せた。

「蘭さん、会いたかった・・本当に温かい」と輝く笑顔で蘭を見た。

「しかし綺麗だね~マチルダ・・子供が制御不能にならなかった?」と蘭が満開ニヤをマチルダに出した。

「危険な状態で止めました、蘭さんブロンドに染めた方がいいですよ」とマチルダが輝きニヤで返した。

「今から行ってくる、マチルダいつまでいるの?」と抱き合ったまま、満開で聴いた。

「月曜日の午前中の便で、東京に発ちます」と真顔で返した。

「よし、時間あるね・・マチルダ、今回・・今回は時間あるね」と満開で強く言った、青い炎が包んでいた。

「はい、今回・・今回は時間あります」とマチルダも最高の笑顔で答えた。

《蘭、やっぱり凄いよ、一瞬で溶かした・・マチルダの抱えてる物を》と心に囁いた、暖かい波動が来て嬉しかった。

蘭が強調した【今回】それを受けたマチルダの【今回】は、どちらも、次回の約束をしいた。

出会って数分で、蘭は包んだ青い炎で、マチルダの目は深く潤んでいた。

全員が見ていた、蘭の凄さを感じていた、そして美冬・レン・ハルカは幸せを感じていた。

蘭の背中を追える幸せを、そしてサマータイムと蘭の炎で、シオンの瞳が輝きが変った。

その時には世界を見ていた、リンダとマチルダの棲む世界に行くには、蘭を目指そうと思っていた。


「じゃあ、ユリカ姉さんの家に泊まるんだね」と蘭がマチルダの前に立って微笑んだ。

「家にも一泊してもらいますよ、蘭の靴屋がお休みの前日に、蘭も皆さんもどうですか?」と薔薇でユリさんが言った。

「最高です、実は明日です・・金曜・日曜が休みです」と満開で微笑んだ。

「ユリさん・・皆さんって?」と美冬がユリさんに微笑んだ。

「もちろん、皆さんもお誘いしましたよ・・雑魚寝になりますけど」と薔薇で返した。

「最高です、雑魚寝」とマチルダが輝いて微笑んだ。

「本当にいいんですか!嬉しい~」と美冬が最高の笑顔で言った。

「大丈夫15人位までは、リビングをエースが片付けてくれればね」と私に薔薇ニヤを出した。

『了解しました、でも俺は雑魚寝には入れないから、ユリさんのベッドで良いんですね?』とニヤニヤで返した。

「それは2人の時に話そうと思ってたのに~」とユリさんが悪戯っ子を出した。

「蘭さんも、気苦労が絶えませんね~」とマチルダが素晴らしい日本語で、蘭に輝きニヤを出した。

「本当に・・ブロンドが次々来るからね~」と満開ニヤでマチルダに返した。

全員の笑顔が溢れていた、情熱のフロアーに。


10番に蘭・美冬・シオン・レン・ハルカとマチルダが座り、マチルダが中心となって笑顔で話していた。

私はタバコを買いに行くと断って、フロアーを出た、ユリさんが帰るところだった。

「マチルダも最高のホームランでしたよ、ありがとう」と通りに出て、薔薇で微笑んだ。

『そう思いました、影響の強い何かを持ってますね、マチルダ』と笑顔で返した。

「最高でしょう、宮崎じゃちょっと出会えない存在ですね」と嬉しそうに微笑んだ。

『そう思います、ユリカも嬉しそうでした』と笑顔で返した。

「添い寝しましたか?」と悪戯っ子を出した。

『もちろん、一晩中・・揺り篭が微かに揺れて、最高でした』と微笑んで返した、強い波動が帰ってきた。

「それは素敵だったね、良かったね、ユリカ」とユリさんが前を見て言った、優しい波動が帰ってきた。

ユリさんの車を見送り、タバコを買って、ユリカの店に行った。


奥のBOXでユリカが両手を上げて、爽やかニヤを出していた。

私はユリカを抱き上げて、ユリカの笑顔を見ていた、美しい笑顔だった。

『ユリカ、美しさが変化したように感じるよ、内面的な光みたいな』と笑顔で言った。

「添い寝効果よ、本当に気持ち良かったよ」と爽やかに微笑んだ。

『ごめんユリカ、言葉で伝えてなかった、今夜のレンの研修』と真顔で言った。

「そうだった、私も分らなくなってきた、言葉で聞いたのかどうか」と舌を出して笑った。


『今夜楽しみでしょう、マチルダとユリカか~・・怖い気もする』とニヤで言った。

「怖いってな~に、でも楽しみ・・凄いよ~マチルダ」と嬉しそうに微笑んだ。

『もう、影響受けてるよ・・特にマリアとシオン』と微笑んだ。

「うん、しかし我が後輩ながら、蘭は凄いね~、感動したよ」と爽やかに微笑んだ。

『何ですぐに分るのかな~、敏感なんだね・・悲しみとか寂しさに』と真顔で言った。

「蘭は心の許容量が違うのよ、ユリ姉さんレベル・・だから全ての経験を塗り込めるのよ、心に」とユリカも美しい真顔で言った。

『なんか良く分るよ、底の無い深さを感じていたから・・そこが好きなんだけど』と笑顔で返した。

「もっと愛してみなさい、その深さに驚くから・・私も忘れずにね」と爽やかに微笑んで、瞳を閉じた。

《忘れないって、言ってるでしょ・・ユリカを忘れたりしないよ》と囁いて考えるのをやめた。

ユリカの寝息を感じて、香りと重みと温度の世界に入った。


ユリカが起きて、優しく降ろして、手を振って別れた。

PGに戻ると、TVルームにエミとミサも来ていて、マチルダと楽しそうに話していた。

「蘭さん、一旦帰って来るって言ってたよ」とマチルダが輝きながら微笑んだ。

『了解、マチルダここにいてね、少し仕事みてくるよ』と微笑んで返した。

「大丈夫だよ、私はあなたの側にいるから」とニヤで言った、私もニヤで返してフロアーに向かった。

フロアーにはシオンとレンがいて、シオンがレンにサインを教えていた。

《凄いな~シオン》と思ってタバコをバラしていた。

久美子がジャズを弾いていた、私はドリーム・キャッチャーの最後の仕上げに取組んだ。

エミをイメージして、その強い瞳を想って編みこんでいた。


「素敵な物ができそうね」とマチルダが笑顔でやって来た、私が椅子を隣に置いた。

『最後の仕上げが、最高の石だからね・・どうしようか考えてたんだよ』と笑顔で言った。

「良いのよ、作り方も素材もたいした意味はないよ、作り手の想いに比べれば」と輝く微笑で言った。

『そうだと思うよ、偶像崇拝でも何でもそうだけど、形ある物にたいして意味はないよね』と真顔で返した。

「マチュピチュは知らないのに、偶像崇拝は知ってるのね」と輝きニヤできた。

『本で読んだよ、案外好きなのそっちの方は』とニヤで返した、マチルダの笑顔があった。

マチルダがフロアーを見ていた、美しい横顔を私は見ていた。


「アメリカでも、フランスでも経験したけど・・こんなに熱の残る場所は知らないよ」とフロアーを見ながら言った。

『想いが溢れてるからね、全力でやろうという想いが』と真顔で返した。

「大切な事よね・・全力でやる」と私を見た、美しい真顔に停止させられた。

「隊長、固まってますよ・・ブロンドに弱いロボット」とカスミの声がした。

「やっぱり、染めてこようかしら」と蘭の返しが聞こえた。


「マチルダです、よろしく」と輝く微笑で、カスミに言った。

「カスミです、よろしくマチルダ」と負けずに輝きを放出して微笑んだ。

『カスミ、マチルダも20歳だよ・・銀河の奇跡』とカスミにニヤを出した。

「でも、カスミ本当に素敵ね~、日本レベルでは」とマチルダが最強輝きニヤをカスミに出した。

「あら、マチルダもブロンドレベルじゃ、素敵な方ね」とカスミが最強不敵で返した。

蘭と私はニヤニヤで2人を見ていた。

「明日、私もここのフロアーに入るから、私に付いてきて良いわよ」とマチルダも最強不敵を出した。

「あら、じゃあ私が案内してあげる、でもそれじゃあ目立たないよね~」とカスミがウルを出した。

「最高~、お友達になってね・・カスミ」とマチルダがカスミに抱きついた。

「当然、私もそう思ってたよ・・マチルダ」とカスミも優しく笑った。

「よし、ご飯行こう」と蘭が満開で微笑んで、4人で出かけた。

私が蘭と腕を組み、その前をマチルダとカスミが腕を組んで歩いた。

夜街の関係者全員が息を飲んで、マチルダとカスミを見ていた。

私と蘭はニヤニヤで後を歩いた、蘭の満開ニヤがすぐ横に有って嬉しかった。


その夜は、純日本風居酒屋に行った、マチルダが目を輝かせて喜んだ。

マチルダは嫌いな物が無く、自分でも何品か選んだ、それを聞いて3人で笑った。

オクラ納豆とイカの塩辛と肉じゃがをマチルダが頼んだからだった。

3人が生ビールで、私がコーラでウルで乾杯した。

「日本は20歳からだね~、お酒」とマチルダが輝きニヤを私に出した。

「マチルダ、ビールで良いの?何でも頼んでね」と蘭が満開で微笑んだ。

「私、血はドイツ人だから、ビール好きですよ」と微笑んで返した。

「ドイツか~素敵だな~、どっちなの?」とカスミが最後は真顔で聞いた。

「東よ、私自信は行った事無いけど」とマチルダも真顔で返した。

「行けるよ、あんな壁、そんなにもたないさ」とカスミが微笑んだ、優しい輝きだった。

「私もそう思うよ、必ず無くなる・・必要無い物は」と蘭が深い目で言った。

「本当に・・来て良かった・・言葉でこんなに嬉しい事は、今までないです」とマチルダが俯いた。


「こら、マチルダ・・泣き虫だな~、そんなんじゃ、明日は私の影に隠れるよ」とカスミが横のマチルダを抱いて言った。

蘭と私はその姿を見て嬉しかった、カスミの下手くそな、最高の愛情表現が。

「それは無いわ・・カスミが明日、ブロンドに変えたとしても」とマチルダがカスミに最強輝きニヤを出した。

「よし、その意気だね~マ・チ・ル・ダ」と最強不敵で返した。

4人で笑いながら食事をした。

マチルダが自分で頼んだ3品と、から揚げや焼き鳥まで沢山食べた、終始笑顔だった。


「蘭さん、何時何分に産まれたか、聞いていますか?」とマチルダが微笑んだ。

「うん、全部7だから覚えてるよ、午前7時7分」と満開で返した、マチルダが少し考えて、パッと明るく笑った。

「リンダ6時7分に産まれたと言ってました、香港で」と最高に輝く笑顔になった。

「えっ!・・時差は?」と蘭が驚いて聞いた。

「日本が1時間早いです」と最高の笑顔でマチルダが微笑んだ。

「不思議だけど最高の気分だよ・・凄く嬉しい~」と蘭が最高満開笑顔で言った。

蘭の笑顔を3人で見ていた、蘭は不思議な運命を感じたのだろう。

居酒屋の喧騒の中、私達だけ世界に想いを馳せていた、どんな偶然があるのかと。


カスミとマチルダは素敵な友達になる、カスミの変化は蘭を追う中で身についていた。

その下手くそな愛情表現に、温もりが出てきていた、次の開花が迫っていた。


私は恥じていた、マチュピチュも、ベルリンの壁の意味すら知らなかった事を。

勉強しなければ、せめて自分に必要な事を、勉強せねばと感じていた。


これから十数年後、ベルリンの壁の崩壊が伝えられた。


カスミから電話があった、受話器の向こうで、カスミの啜り泣きが伝わってきた。


「マチルダどこにいるんだよ!教えてくれよ」


「どこで喜びを味わってるんだよ、逢いたいよ・・マチルダに・・」


そう言って泣いていた、その声も言葉も、この時の20歳のカスミだった。


私はTVニュースの映像を見ながら、カスミの泣き声を聞いていた。


【あんな壁、そんなにもたない】と言ったカスミ。


【必ず無くなる、必要無いものは】と言った蘭。


私は誇りに思っていた、それを堂々と主張できる者を。


カスミ、絶対にマチルダもあの時、カスミに会いたかったと思うよ。


大丈夫、カスミの気持ちは伝わってるから、ユリカが伝えてくれたから。


あの緑の瞳の輝きを、また見せてくれるよ。


月下の雫・・月のマチルダが・・。

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