緑の使者
天空より舞い降りた使者、この世の理想の姿を見せる。
その緑の瞳は限りなく深く澄んでいる、見つめられると停止する。
背景も感情も停止を余儀なくされる、何者かの強い意志で創られし者。
「マチルダ、疲れてないですか?」とユリカがマチルダに真顔で聞いた。
「大丈夫です、東京で休暇をとりました」と微笑んで返した、私はその輝きの正体を見ていた。
緑の瞳の輝きが尾を引いて流れる、その残像が煌いて揺れるのだ。
プラチナブロンドの髪が、反射を繰返す、光の当たる角度で色自体が変化する。
意志の強い視線が見つめる、少女の香りの強さは、リンダを思い出す。
そして圧倒的何かを経験している、それゆえ心に余裕がある、それが隠れない。
《精神がリンダと同じなんだね、マチルダ・・楽しい事の始まりだね》とユリカに囁いた。
ユリカが私に爽やか最強の微笑で、頷いた。
「それで、今からどうしようか~、エース」とマチルダが笑顔で私を見た、キラキラと輝いていた。
『何からしたいのかな~?いやらしい事以外なら、何でもOKだよ』とニヤで返した。
「いやらしい事は駄目なの?蘭さんが怒るんだ~」と怖い位のニヤできた。
『リンダ、マイ・ハニーの事まで話したんだね』と少し照れて返した。
「いつ会える、蘭さん・・どうしても会いたいの」とマチルダが真顔で返した、私は嬉しかった。
予想通りの反応で、リンダの気持ちが伝わってきて。
『夕方には会えるよ、きっとマチルダも好きになるよ』と笑顔で返した。
「楽しみ~、リンダが一瞬で好きになったって言うのは、珍しいから、絶対に会いたかったの」と微笑んだ、緑の変化を見ていた。
感動的だった、その感情の変化で目まぐるしく変る、深みが神秘的だった。
『リンダは蘭と、挨拶を交わす時間しか、無かったからね。
実はねマチルダ、蘭はリンダを知っていたんだよ。
リンダが写る新聞の切抜きを持っていた、大切に肌身離さず財布に入れてたよ。
蘭とリンダは生年月日が全く同じで、それで興味を持って記事を読んで、感動したって。
その生き方に共鳴して影響を受けたらしい、それで自分も乗り越えられたと言ってたよ。
リンダに会ったのを、本当に喜んでたよ』
マチルダの深い緑を見ながら、微笑んで言った、緑は変化しながら深くなった。
「リンダが聞いたら、凄く喜ぶよ、絶対に」と微笑んで返して来た、圧倒的に輝いていた。
《カスミがマチルダに会った時も、楽しみだ》と思って笑顔で頷いた、ユリカの波動を感じていた。
「じゃあ、ユリカさんとは、ゆっくり時間が取れるから、エースのPGに行きたいな~」とマチルダが可愛く微笑んだ。
『OK、いいよ・・最初は言葉に注意するように、厳しい女神がいるからね』とニヤで言った。
「任せて、これでも世界中で仕事をさせて貰ったのよ」と可愛く少し威張った。
『威張る時、胸を張らないで、過度に反応するから』とウルで返した。
「リンダの言った通りだね~、面白い」と可愛いニヤニヤを出した。
「荷物は置いていて良いわよ、エースがここまで送ってくれますから」とユリカが爽やかに微笑んだ。
「ありがとう、ユリカさん・・ユリカさんに会えただけで、この旅の意味がありました」とユリカに微笑んだ。
《すでに気付いてるのか、マチルダ、ユリカの力に》と思ってユリカを見た。
爽やかな笑顔で、深い深海の瞳で頷いた。
その笑顔が美しかった、ユリカの内面が全て出てるような美しさだった。
《そうだね、マチルダはユリカが怖いと思うような、強い何かがあるんだね》と心に囁いた、強い波動の返事があった。
「今からが面白いよ~、PGで一度働かせてもらうと、面白いけどね~」とユリカが爽やかをニヤを、私に出した。
「それは素敵ですね~、よろしくエース」と私の耳元に囁いた、その近さに少し震えた。
『楽しんでるね、マチルダ・・リンダの方が素直で可愛い』と必死にニヤで返した。
「エース、本当にブロンドに弱いわね~」とユリカが楽しそうに、ニヤを出していた。
「そうなんだ~、で・・リンダの方が可愛いの~」と微笑みながら、顔を近づけた。
私は一瞬停止状態になった、マチルダ以外が全て停止した、感情も停止したようだった。
何かに囚われたようで、だが不快でなかった、風を感じていた森を吹き抜ける風を。
『反則だよマチルダ、出来すぎてるよ、その顔』と停止が戻って、必死で間近のマチルダにニヤを出した。
「正直な子ね・・楽しくなりそう」と微笑んで、私の頬にキスをした、私は失神寸前だった。
マチルダが最高可愛いニヤで、自分の左の頬を差し出した、緑の視線から輝きが流れた。
私は震えを感じながら、余裕を装いキスを返した。
「はい、お土産」とマチルダがリュックから封筒を出した、私は受取り開けて見た。
蕎麦屋でリンダと、2人で写ってる写真が出てきた、リンダの笑顔を見ていた。
《この後が寂しかったな~》と思っていた、空港の別れが蘇り、切なくなった。
「私との写真も、そうやって見させるよ・・空港で泣かせるね」とマチルダが真顔で言った。
『マチルダ、帰る想像今からさせるなよ・・見送るだけの人間は辛いんだから。
俺は今からマチルダが帰るって言っても、寂しくて泣くよ。
何も出来なかったって、感じると辛いんだよ。
リンダに何もしてやれなかったから、時間のせいにしたりしないよ。
マチルダ、何でも言って、楽しんで思い出いっぱい、リュックに詰めて帰ってね。
俺は空港で泣くけど、その時までは、マチルダの側にいるから』
真顔でマチルダを見ながら言った、マチルダも美しい真顔で見ていた。
「ごめんね、試すような事を言って・・エース、リンダが言った通りだった」と美しい真顔で言った。
「初めて感じたわ、言葉が追い抜いてた・・最高だったよ」とユリカが深い深海で微笑んだ。
マチルダも笑顔になって、私の方を向いて、圧倒的に深いグリーンで私を見た。
「目を閉じて、リンダを描いて・・出来るでしょ」とマチルダが緑を深めたまま微笑んだ。
『マチルダ・・OK』と微笑んで返して、目を閉じた、マチルダが私の両頬に手を当てた。
薄い映像が出た、リンダを見つけた時の映像が、静止画像だった。
「イメージして、1番イメージが出来る人を」とマチルダが囁いた。
私は当然蘭をイメージした、蘭の姿がリンダに重なってきた、背景が鮮明になった。
そしてリンダも鮮明になってきた、蘭は完璧な姿で満開で笑っていた。
私は蘭の満開が嬉しくて、笑顔になっていた。
「よし、今日はここまで・・出し惜しみ~」とマチルダが笑った。
『マチルダの・・ケチ』と目を開けてウルで返した。
「でも、よく受入れたね・・映像」とマチルダがニヤで言った。
『考えても理解できないことは、考えないの・・天才だから』とニヤで返した。
「なるほど~、ある意味天才だよ、リンダが惚れるんだから」と最強輝き光線ニヤを出した。
『本当の話かな~、・・俺も好きだよリンダ・・I Love Rindaって叫んだのも嘘じゃないよ』と微笑んで返した。
「エースありがとう、リンダは大切な物を、エースに貰ったって言ってたよ」と微笑んだ、発光してきた美しく、内側が光を出してきた。
《少し心を開いたね、マチルダ・・可愛い奴だ、分りやすいね》と心に囁いた、ユリカが必死で声をたてずに笑っていた。
『俺の方が沢山貰った、世界を広げてくれた・・リンダは心の中に棲んでるよ』と笑顔で立ち上がって、マチルダに手を出した。
「私にもちょうだいね、大切な何か」とマチルダが腕を組んだ、私は笑顔で返した。
『ユリカ、夕方までに来るよ、ユリカ抱っこしないと、調子でないから』とユリカに微笑んだ。
「必ずよ、私も調子出ないから」と爽やかに微笑んで返した、美しさが少し強まったと感じていた。
ユリカに見送られ、エレベーターで降りて、通りに出た。
直射日光を浴びたマチルダの、プラチナブロンドの輝きが眩しかった。
『マチルダ、お歳はいくつ?』と笑顔で聞いた。
「20歳になったばかりよ、若いでしょ」と輝く微笑でで返して来た。
光が当たっているマチルダを、直視が出来ないでいた、それ程の輝きだった。
《20歳か~まさに銀河の奇跡》と思っていた。
「せんせーい、まって~」と後からシオンの声がした、2人で振向いた。
「先生、凄い~人と歩いてますね」と私にニコちゃんで言って。
「・・・・・・」英語でマチルダに、ニコちゃんで話しかけた。
『シオン、マチルダさん、日本語も上手だよ』と笑顔で言った、マチルダはシオンを優しく見ていた。
「シオンちゃん、マチルダです、お友達になってもらえますか?」とマチルダがシオンに微笑んだ。
「喜んで、シオンもそう思ってました」と全開ニコちゃんで微笑んだ、マチルダも嬉しそうだった。
マチルダがシオンの頬にキスをして、シオンが最高ニコニコちゃんで、キスを返した。
PGの裏階段を登りながら、マチルダとシオンは英語で話していた。
シオンの本当に嬉しそうな、ニコちゃん笑顔を、マチルダの深い緑の瞳の笑顔が見つめていた。
《シオン、どんな影響を受けるんだろう、凄そうだ》と思った、暖かい波動が同意を示した。
3人でPGに入った、TVルームにはマダムと、ユリさんハルカにレンが来ていた。
シオンを先に入らせ、マダムとユリさんに言った。
『マダム、ユリさん、俺の友達が遠方から来て、PGを見せてと言ってるんだけど』と笑顔で言った。
「あら、らしくないですね、どうぞ入ってもらって下さい」と薔薇で微笑んだ。
私はマチルダを招き入れた、ユリさんとシオン以外が固まった。
「まぁ、素敵な女性ですね、どうぞこちらに入って」とマチルダに薔薇で微笑んだ。
「こんにちわ、マチルダと言います、突然来てすいません」と綺麗な立ち姿で、頭を下げた。
ユリさんが最高の薔薇でマチルダを見ていた、マチルダも嬉しそうにユリさんを見ていた。
マチルダの瞳が最高に輝いた、緑が澄み切った透明感を出していた。
「素晴らしい、本当に素敵です、よくその若さでそこまで辿りつきましたね」と最高の薔薇で微笑んだ。
「ありがとうございます、あなたのその言葉が、最高に嬉しいです」と微笑んだ、ハルカとレンは呆然とその輝きを見ていた。
《ユリさんどこまで見えてるんだろう、女性を見る本物のプロは》と思っていた。
私はマチルダにを座らせて、全員を紹介して、マチルダの来日目的を話した。
「経験もしたいという事かしら?」とユリさんが薔薇継続で聞いた。
「はい、チャンスがあれば、全て経験したいと思っています」とマチルダも微笑んで返した。
「ここもやってみますか?良い経験になると思いますよ」と薔薇で微笑んだ。
「嬉しいです、よろしくお願いします」と微笑んで頭を下げた、日本人のような対応だった。
その時久美子がマリアと帰ってきた、マリアはマチルダを見て駆け寄った。
マチルダはマリアを抱きとめて、天使全開のマリアを見ていた、優しい緑だった。
『マリア、マチルダだよ』と私がマリアに声をかけた。
「まちるだ!」と驚くほど強い声で呼んで、両手をマチルダの頬に当てた。
その時のマチルダの笑顔の輝きに、震えた、緑の瞳が発した輝きに、我を忘れて見入っていた。
マチルダは瞳で、何かをマリアに伝えてるようだった。
マリアは天使全開で見ていた、深い緑の森のような瞳を。
「マリア」とマチルダは優しく言って、マリアの両頬に手を当てた。
その時マリアが涙を流した、私は固まってその光景を見ていた、その美しい光景を。
誰も動けなかった、マリアの流した涙の透明度に触れて、静止していた。
暖かい何かが包んでいた、出会うべくして出逢った者を、包んでいた。
「まちるだ、ありがと」とマリアが天使で言った。
全員に感動が溢れた、どうしようもない感情が溢れ出した。
マリアの長台詞を初めて聞いて、その声の美しさが、待ちに待った時が来たのを告げた。
強い波動が何度も来た、ユリカの喜びも伝わってきた。
ユリさんは泣いていた、嬉しそうに、マリアに薔薇で微笑みながら。
「マリア、ありがとう」とマチルダも目を潤ませていた、マチルダの瞳は発光を止めなかった。
マチルダの深いグリーンに映る、マリアを見ていた、天使の笑顔が緑で守られているようだった。
静寂の支配する、絵画のような光景を、全員が感動して見ていた。
少し落ち着いて、久美子が切りだした。
「私、久美子と言います、マチルダさんよろしくお願いします」と可愛く微笑んだ。
「よろしく、久美子ちゃん」とマチルダも輝く笑顔で返した。
「マチルダさんは、今は何処にお住まいなんですか?」と久美子が笑顔で聞いた。
「登録上はリンダの家になってます、一年の内1ヶ月程度しかいませんけど」と微笑んで返した。
マチルダが久美子を見ていた、グリーンが少し淡くなった。
《視点を合わすでけじゃないな、それだけならこれだけ変化をしない》と思っていた。
「あなたが、ピアニスト久美子ですね、リンダからの伝言があります。
もし将来の道で悩んだ時は、一年を挑戦に賭けなさいと。
その才能を早くから、クラッシックだけに捧げないで欲しいと。
本場を感じて欲しい、リンダはいつでも待っています。
ニューヨークに来るならば、生活の援助をリンダがしたいと言っています。
それだけの素質があると言ってましたよ、その時が来たら選択の1つにしてね」
マリアを抱いたマチルダが、優しい笑顔で久美子に言った。
この時の、久美子の喜びは想像できない。
久美子の顔が輝きを増して、目を潤ませてマチルダを見ていた。
「本当に嬉しいです、リンダさんにそう想われて、マチルダさんに伝えて頂いて。
選択の時、自分に正直に判断します、そしてその時はリンダさんに連絡します。
ありがとうございます、リンダさんの言葉だけでも勇気がもらえました。
たった一度のセッションだったけれど、私には一生の宝物になっています。
そうリンダさんにお伝え下さい」
16歳の最高の輝きで、マチルダを見ながら、久美子は微笑んで頭を下げた。
頭を上げずに泣いていた、自分の才能を最高の相手に認められ、嬉しくて泣いていた。
マチルダは私にマリアを預け、久美子の前に座り、抱きしめた。
「絶対に自分を信じるのよ、そして感じてね、世界の広さを」と輝きながら抱いていた。
愛おしい妹を抱く、姉のように優しかった、レンも泣いていた嬉しそうに。
「マチルダさんは、ご両親のお生まれは、北欧かしら?」とユリさんが真顔でマチルダに聞いた。
「ドイツです・・東ドイツ」とマチルダが真顔で返した、東ドイツの言葉が弱かった。
ユリさんの目が優しく深くなった、マチルダの緑も深緑になっていた。
2人は見つめあい、それ以上何も話さなかった。
ユリさんが薔薇で微笑み、マチルダも美しい笑顔を返した。
私は勉強不足で、東ドイツを聞いても、何もイメージ出来なかった。
「我家にも一泊してほしいわ、マリアの為にもお願いできる?」と最高の薔薇で微笑んだ。
「もちろん、光栄です」とマチルダの笑顔が輝いた。
「蘭の靴屋の休みを聞いてから決めますね、蘭とエースも招待します」と薔薇で微笑んだ。
「ありがとうございます、最高です」と輝く笑顔で返した。
『マチルダ、お腹空いてるだろ・・蕎麦食べに行く?』とマチルダに微笑んだ。
マチルダが最高の笑顔になった、引き寄せられていた、深いグリーンに。
「ここは自由に出入りしていいですよ、時間が有る時はできるだけいらしてね。
そして皆と話をして下さい、あなたの話を。
それだけで皆得る物があります、よろしくねマチルダ。」
ユリさんが薔薇で微笑んだ、マチルダも輝く笑顔で返して頷いた。
『ユリさん、マリアを連れて行くよ』と私もユリさんに笑顔で言った。
「マリア、良かったね・・マチルダに会えて」とユリさんがマチルダに抱かれるマリアに言った。
「よかった」とマリアが天使で返した、その言葉が明瞭で、ユリさんは涙を見せた。
「ほい、ミチルボーナス」マダムが笑顔で封筒を差し出した。
『ありがとう、マダム・・助かります』と笑顔で受け取った。
「明日は高級な物を、食べに行こうね・・エ~ス」とマチルダがニヤで私を見た。
『マチルダ・・慣れたよ、その笑顔・・文化に触れなさい、日本人は粗食です』とニヤで返した。
「そう、これも慣れたの」と言って胸を押し当てた。
『アメリカ人怖い、ストレートに来る』とウルウルで返した、全員が笑っていた。
マチルダの深い緑に映る、天使が微笑んでいた、その緑の大地に包まれて。
マチルダの驚きは、続いて行く、世界の広さを伝えてくれる。
リンダが感謝の気持ちで送り出した者、笑顔の伝道師・・距離を凌駕する心。
緑の世界、大地の息吹・・マチルダ。
久美子は高校を卒業と同時に、ニューヨークに渡る。
大学の推薦を全て蹴って、自分に賭けた。
ニューヨークでリンダの家で暮らした、そして本場のジャズに触れ続けた。
その活動は恵まれない子供の、笑顔の為にも弾き続けた。
セントラルパークを南西に行くと、大きな古い邸宅がある。
リンダの祖父と父が、血と汗で作り上げた遺産。
マチルダの父も母も、ドイツ統一前に亡くなった。
【壁を越えろ、それだけが望みだ・・マチルダ】と書かれた手紙。
リンダの家の暖炉の上に飾られている、父から10歳のマチルダへのメッセージ。
その言葉が、生まれた意味だと知っている、最強の意志を持つ者・・マチルダ。
リンダの家には、今も久美子がご主人と、2人のお子さんと暮らしている。
笑顔で帰りを待っている、リンダとマチルダと・・そしてユリカを。