表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/454

永遠の憧れ

夜街の夏の終わりを強引に告げる、夏祭りの喧騒が地上から響いていた。

私は最高級品の容姿を持ち、内面の心のダイヤも輝きだした女を抱いていた。

重ねた唇を離せなかった、感情が溢れてきて止まらなかった。


私は制御不能に陥り、幻想の映像はカスミと出会ってから、今までの全ての事が流れていた。

カスミも何かを伝えてきていた、それが嬉しくて徐々に戻った。

唇を離し、間近のカスミを笑顔で見た。

「ありがとな、嬉しかったよ・・伝わったよ」と輝きが放たれた。

その強い輝きに目を奪われて、カスミの瞳の奥にある光源が、少し見えた気がした。

『カスミ、また変化してきたね、俺の想像はもう追いつかないよ』と微笑んだ。

「楽しませてやるから、ずっと見とけよ」と可愛く微笑んだ。

『楽しみだな~』と笑顔で返した。

「【永遠の憧れ】重過ぎないか、私には」と真顔で見た、。

最高級品の輝きに内面の自信が加えられ、発光する光源が深さを増したと感じた。


『足りない位だよ、それしか思いつかなかった・・それしかない、カスミには』と微笑んだ。

カスミがもう一度唇に短いキスをくれ、立ち上がった。

「うし、満タン・・戦場に行くよ、マシンガンを用意しな」と振向いて不敵に笑った。

私は走って、祭り会場に戻って、主催者に断ってマシンガンを担いだ。

PGに戻り、トイレから出てきた、ユメにマシンガンを渡した。

ユメは最強ニヤニヤで受け取り、控え室に消えた。

私は走って、フロアーに戻った、客席は満席で笑顔で溢れていた。


その時銀の扉が開き、カスミが右腕にマシンガンを担ぎ、左手でトロフィーを持って現れた。

笑顔で溢れる静寂がフロアーを支配した、カスミは3歩進み、トロフィーとマシンガンを床に置いた。

そして神聖な場所に敬意を示すように、深々と頭を下げた。

そして顔を上げて、マシンガンを持った。

今までで最強の不敵な美しい笑顔で、大きなモンローウォークで右から歩き出した。

女性が手拍子をはじめて、お客も最高の笑顔で手拍子をした。

カスミは隅から隅まで不敵を振り撒き、センターの位置に着いた、手拍子がやんだ。

カスミはマシンガンをかまえて、不敵を最大に戻して微笑んだ。


「今夜も心を撃ち抜くぜ、PGがNO1の称号を得た夜だから」と叫んだ。

そしてまるで弾が出てるかの様な、腕の反動をつけながら、右からマシンガンをゆっくり振った。

女性もお客も笑顔で、撃たれた振りをして、まるでウェーブのように倒れていった。

全てを撃ち抜き、マシンガンを担いで最大不適を出して。

「私が欲しけりゃ、死ぬ気でおいで」とニヤリと笑い、銀の扉に消えた。

お客も女性も最大級の拍手で送った、全員が楽しそうな笑顔だった。

フロアーに残された、大きなトロフィーが、PGの2つ目の夏の伝説を証明していた。


カスミは一気に、夜街次世代のトップ候補に躍り出る、ホノカとリョウを連れて。

その輝きが本物になっていく、内面から溢れ出てくる、限界は無いと不敵に笑いながら。


ここで、その後のカスミを記しておこう。

カスミはこの祭り以降、変化を繰返す、それは女性の全てのタイプを取り込むように。

リアンの炎も、ユリカの爽やかさも、アイさんの癒しも、サクラさんの話術も。

そして下からも、ハルカとマミの真直ぐさも、レンの曲げない強さも。

その後に登場した、最新型の女性達からも、貪欲に吸収した。

そして挑んだ、ナギサの華やかさと、蘭の温もりに。

そして【永遠の憧れ】であるカスミが永遠に憧れた、ユリさんの生き方に。


リョウが26歳で結婚引退をして、ホノカが28歳でジンと手を繋いで去った。

カスミはホノカが去ってから、現役(接客をする)NO1を手に入れる。

その容姿は圧倒的で、気さくで不敵な微笑を持ち、内面の温もりには蘭が存在した。

絶対に完成しないと内面の光が提示して、常に前を見て上を目指した。

その当時女帝と言われたリアンと、姉妹のような関係で共に夜街の華だった。


カスミが私に寂しさを感じさせるのは、カスミ29歳、私が22歳の冬だった。

紹介された男を見て、私は嬉しかった、その真っ白な男が。

畜産農家を営む32歳の、純な男がカスミに腕を組まれて照れていた。

暖かい男だった、カスミに会う為に月に2度だけ夜街に通った。

その期間・・6年、男は酒も飲まず、カスミに会いたくて指名していた。

自ら主張する事無く、カスミの話を聞いていた、優しく目を見ながら。

3年が過ぎた頃には、2人は話す事も無く、その男の時だけはカスミは目を閉じていた。

テーブルの下で、手だけを繋いで、充電するように瞳を閉じていた。


カスミが紹介してくれた夜、終演したPGのフロアーで私は右手を出した。

カスミは涙を流して、首を横に何度も振り続けた。

私は強引にカスミの右手を掴んで、必死に笑おうとしたが、泣いていた。

『カスミ・・ありがとう、返すね・・そしておめでとう、嬉しかったよ』と必死で言った。

カスミは俯いて泣いていた、私はカスミを抱き上げて、その輝く瞳を見ていた。

「ありがとう・・幸せになれるよ・・あの夏があるから、熱いあの時が支えてくれるから」と目を閉じて泣いていた。

私はカスミを控え室に見送り、10番に座り一人で泣いていた。

《ユリカどこにいる、逢いたいよ、今はユリカに逢いたいよ》と心で叫んでいた。

私はその時も、勿論蘭を愛していた、しかし心を支え続けた2人が消えて淋しかった。


そして私は抱きしめられた、26歳の美しい女・・ハルカに。

ハルカは何も言わずに抱いてくれた、ハルカの全身から出ている温もりに抱かれていた。

「まだ、終わらない・・ケイとマミが現役でいる限り、あなたの夏には終りは来ない」とハルカが強く言って、唇にキスをした。

それで私は自分に戻った、13歳の未熟な夏に、忘れえぬ時に。


昨年カスミの家も口蹄疫の問題で、牛を全て殺処分された。

農協の対策会議で、300人の暗い表情の人々の前でカスミは発言した。


「人は産まれた時には0だった、今は0に戻っただけだろ。

 人は何度でもやり直せる、私はそれを知っている。

 この目で見たし、感じてきた・・暗い顔でいても明るい顔でいても、同じ時間だ。

 前を見よう、幸せだと感じよう・・また0から楽しめるんだから」


そう言って輝きながら最強不敵を出した、50歳を過ぎたカスミ。

その輝きは衰えを拒絶していた、挫折などで止まるのを拒否していた。

その心には確実に、あの薔薇が存在していた。

今でも私は声を大にして言える・・カスミこそ【永遠の憧れ】だと。



カスミが扉に消えて、マミが私に微笑んだ。

「あのカスミ姉さんを、追わないといけないんだね・・やってみるよ」と美しく笑った。

『がんばれ・・マミ』と言ってマミの頭に手を置いて、フロアーを見ていた。

ユリさんとカスミがいなくても、土曜の満席を維持できるその女性達を。

私が状況をチェックしてると、またフロアーに静寂が訪れた。

カスミが一時審査の白いドレスを着て、扉から出てきた。

一礼して、フロアーに笑顔を見せた、その発光は全てを凌駕して輝いていた。


私はサインも飛ばなくなったので、リンさんと話しているマダムに断ってマミを誘った。

マミと手を繋いで、通りにでた、祭りの音がまだ響いていた。

「どこ行くのかな~、デートかな~」とマミがニヤで言った。

『研修終了試験・・マミの花を蕾にする試験』と笑顔で言った。

そう言って、魅宴の裏扉に連れて行き、マミに微笑んだ。

『案内せい・・姉御』と笑顔で言った、マミは嬉しそうに笑って。

「殿・・こちらでございます」と微笑んで、扉を開けた。


私は初めて魅宴の裏口から入り、事務所のようなTVのある部屋に案内された。

大ママが若い女性とお茶を飲んでいた、私を見て笑顔を見せた。

「やっと魅宴で働く覚悟が出来たんだね~」と微笑んだ。

『いつでも、追い出されていいように、勉強に来たよ』と笑顔で返して。

『大ママ、マミにPG終了試験をしたい・・マミに後で白いドレスを着せて、俺が抱っこでPGまで歩く、マミに伝説を1つプレゼントする』とニヤで言った。

「最後の最後まで、マミを見てくれるんだね」と大ママが嬉しそうに笑顔で言った。

『最後・・マミが女帝になって、ヴァージンロードを歩くまで』と笑顔で返した。

「試験受けるんだね、マミ」と大ママが笑顔で言った。

「もちろん、カスミ姉さんに負けれませんから」と美しく微笑んだ。

大ママも若い女性も、そのマミの表情を嬉しそうに見ていた。


私は時間が有ったので、魅宴の裏の全てが見渡せる場所から、フロアーを見ていた。

マミはボーイと話して、私に微笑んで、奥に消えた。

私は飽きもせず、PGより少し暗く静かなフロアーを見ていた。

「研究熱心ね、エース」と声をかけられた、私は振向いて案の定固まった。

20代半ばの少し気の強そうな目をした、美しい女性がスカイブルーのドレスで立っていた。

その瞳の強気な光に息を飲み、その全体が醸し出す【余裕】に心が掴まれた。

『素敵なあなたは、NO1ですね』と笑顔で返してみた。

「正解・・よく出来ました~」と笑顔で歩み寄った、近づく時のその余裕がPGにはいないと感じた。

『やっぱり、魅宴は凄いな~NO1も怖い』とニヤで言った。

「何が、どう怖いのか200字以内に述べよ」と美しく笑った、笑顔でも目の強さが落ちなかった。


私は左手を出して、数える振りして目の前の女性に眉間を、右手で指差して。

『ここ』と笑って、『2字で済んだ!』と驚いた表情を作った。

「そこは癖なの、緊張するとなるの」とニヤで返した。

『緊張してるの・・俺に惚れるなよ、火傷するぜ』といつもの台詞で返した。

「抱っこの条件ってあるの?」とニヤニヤで返してきた、美しくそして余裕のある笑顔だった。

《全体的な余裕だけなら、ユリさんクラスだな~》と関心していた。

『基本的には美しいこと、体重60kg未満で、香りが良いこと・・そして俺に意地悪言わない事』とニヤで返した。

「私は、クリアーという事でいいのね?」と近づいて笑った。

『そのまま、最終チェック』と言って顔の横に鼻を近づけた、冗談でしたのに誘惑された。

その初めての香りに、爽快な高原の木陰に吹く風のようだった。

『ギリギリ・・セ~フ』と真横の耳に囁いた、その時彼女が首を振り私を見た。

あまりの至近距離で見られて、私は焦っていた、彼女は余裕で微笑んで。

「ギリギリなの・・ギリギリなんだね・・ギリギリなのかい?」とニヤ出で言った。

唇が触れそうなほど近かった、彼女の爽やかな口臭が流れてきた。

『実は、100点です・・満天です・・完璧です』と言って思い切って抱き上げた。


彼女は余裕の笑顔で、私の首に腕を巻いた。

『俺、負けず嫌いなんで・・その余裕が憎らしい』とニヤで言った。

「無理でしょう、中学生が何しても、焦りませんよ」と余裕満開で笑った。

『必ず焦って、最後は感動で泣かせて見せますよ・・素敵なあなたのお名前は?』と笑顔で聞いた。

「魅宴のミコトです、よろしくね・・ボ~ヤ」と不敵な余裕を見せて微笑んだ。

『どんな字でしょう?』とウルで聞いてみた。

「命って書くのよ、それでミコト」と微笑んだ。

『それは凄い名前だ~、魅宴の命か~』と本当に関心していた。


「あっ!」と言って、マミが駆け寄った。

「ミコト姉さん、大丈夫ですか、何もされませんでした?」とマミがニヤをした。

「大丈夫よ~、私のような美しい女に、手なんか出せないみたいよ・・ボ~ヤ」と余裕ニヤで返した。

『ミコト、いきなり意地悪3点』とウルで言った。

「マミは何点なの?」と余裕笑顔で聞いた。

『18点、ちなみに今のNO1はカスミの36点』とニヤで返した。

「すぐにNO1になってあげるわ、ハルカの研修の時だけで」と余裕ニヤをした時に、ボーイがミコトを呼びに来た。

私はミコトを優しく降ろし、笑顔で見送った。

『ハンカチ常に持っとけよ、ミコト・・号泣するから』と背中に声をかけた、振向かずに右手だけの余裕の返事で返してきた。


「本当にどういう神経してるの?ミコト姉さんを抱き上げるなんて~」とマミが微笑んだ。

『マミ、やきもちだね』と微笑んで返した。

「ほらほら、遊んでないで帰りなさい、後で迎えに来るんでしょ」とマミが笑顔で私の背中を押した。

私は裏口で、マミに手を振って別れた。

ユリカのビルの下にユリカが笑顔で手を振っていた。

私はユリカの笑顔で、完全な制御不能に陥って、動けずにその場で泣いた。


ユリカいる通りの反対側の、リンダがしゃがんでいた所だけ光って見えて。

ブロンドのリンダが座っていた、そして笑顔で楽園ブルーからスコールを流した。

私はユリカを見ようと必死になった、駆け寄るユリカが見えていた。

そしてユリカに強く抱かれた、でもブロンドのリンダ手を引いて、水槽に向かう自分が見えていた。

「リンダを初めて見た時に・・本当は私は凍ったの、あなただったから」とユリカが囁いた。


「本質的な心が向きが全く同じだったから・・探究心の角度が向きが同じだった。

 強さはリンダの方が圧倒的に強いけど、向きが同じなの。

 幸せな事よ、そんな相手にめぐり合えて・・奇跡だよ。

 だから、悲しまないで、今は追わないで・・リンダを。

 私が淋しいから!」


ユリカの叫びが、完全に私を復元した、リンダがきちんと記憶の中に入った。

通りを歩く人々の視線を集めて、ユリカと抱き合っていた。

『ユリカ、瞳を閉じて』と微笑んだ。

ユリカは私を見上げ、瞳を閉じた。

私は少しユリカを引き寄せて、唇に浅いキスをした。

ユリカに気持ちを伝えるのに、長く唇を重ねていた。

通りを歩く人々の、視線など気にもとめないで。

大切なユリカの淋しい思いを、消し去るために・・・。


カスミは私にとって大切な宝物だった。


しかし今でも近くに存在するので、安心感がある。


ユリカはやはり早くに別れたので、感情的になってしまう。


しかし私とユリカの5年間は、蘭との関係の次に濃密だった。


私が自分からユリカの唇に、唇を重ねたのはこの一回だけである。


この時のユリカの叫びは、今も心の中にある。


普通の女性の叫びだったから、本当に嬉しかった。


揺り篭でない、心の叫びだったから。


ユリカ・・ありがとう・・愛してくれて・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ