Summer Time
金色に輝く髪は遠い国へと誘い、青い目が微笑む時に楽園を示す。
言葉の意味を失った私は、強い気持ちで抱いていた、寂しげな女神を。
私の心の中にはもう一人の蘭が蘇っていた、上野駅の冷たいベンチと不安な心を連れて。
『大丈夫だからね、心配しないで・・OKだから』と私は静かに抱かれてるリンダに囁いた。
「OK?」と私を見た、真っ青の瞳が輝きを取戻して、微笑んでいた。
『OKさ、OK・OKだよ』と笑顔で言った、リンダは私を見て頬にキスをしてくれた。
私がニヤニヤしていると、リンダが自分の左頬を突き出した。
私はかなり緊張して、優しくキスをした。
女性の店員がそれを見て微笑みながら、飲みの物をテーブルに置いて去って行った。
『カフィーってコーヒーなんだね、1つ勉強になったよリンダ』と笑って言った。
「カフィー」と笑顔で飲んでいた、私も一口コーラを飲んで、自分を落ち着かせて聞いた。
『リンダ・・フロム・ハウス?』と単語を並べて笑顔で聞いた。
「ニューヨーク」とかなり考えて笑った、本当に引き込まれそうになる笑顔だった。
『カッケー、ニューヨーク・・憧れやな~』と満面の笑顔で返した。
「カッケー」とリンダが私の真似をして笑った。
《そっか!でかいマリアと思えば良いのか!胸のでかいマリア》と私はニヤニヤしていた。
『リンダ、ゴー・どこ・ミヤザキぶ~んどこ?』と身振り手振りで笑顔で聞いた。
「MIYAZAMIブ~ンTOKYO」と飛行機の離陸を手で示した、私は笑顔で頷いた。
『トゥデイ?』と聞いた、「YES」と笑顔で答えた、楽園の輝きが強まった。
『チッケット・ルック・ミイ』と手でチケットを見せてと言った。
リンダは可愛いピンクのリュックをゴソゴソ探して、チケットを出した。
リンダが探すのにテーブルの上に、着替えらしい派手なピンクの小さなパンティーまで出していた。
『リンダ、デンジャラス・マイ・ど~ん』とパンティーを指差して、撃たれた真似をした。
「ど~ん」と笑って「ど~ん!」と両手で胸を持って私に突き出した。
『ヘルプ・・・ミィ』と言ってリンダに思い切って倒れこんでみた、リンダは私を抱いて泣き真似をした。
『じゃ~ん』と言って復活をした、リンダは楽しそうに笑っていた。
私はリンダの胸が私の右腕に当たっているのを楽しみながら、チケットの確認をしていた。
15時45分発の東京行きの便だった、私はリンダを笑顔で見て。
『OK・リンダOK・時間あるね』と微笑んだ。
「OK・・・エアポート・OK?」とリンダが笑顔で言った。
『OK・マサセナサ~イ』と笑顔で返して、リンダも楽園のブルーを深くして。
「ミャキャシェニャシャーイ」と真似をした、私とリンダは何度もそれを大声で繰返したいた。
水槽を出て、リンダの重いリュックを右腕に担ぎ、左腕をリンダが組んで靴屋に寄った。
蘭が少し固まって、我に返り駆け寄った。
「新しいガールフレンドは、そこまで行くのか」と満開で微笑んだ。
『リンダ・マイ・ハニ~・ラン』と蘭を紹介した。
「オ~・ラン・イッツ・ビューティフー」とリンダが蘭に笑顔で言った。
「リンダ・サンキュー・ユー・ビューティフー」と蘭が満開笑顔で返した、蘭の凄さを感じていた。
『迷子みたいだから、空港まで送ってくるよ』と蘭に言って、蘭の満開で頷くのを見てPGに向かった。
その時代の宮崎では外人というだけで珍しく、特にブロンド美人だから周りの視線を全て浴びていた。
TVルームを少し開けて、顔だけ出した。
マダムとハルカとレンがいた、私はマダムに笑顔を見せた。
『マダム、ごめんなさい、カスミの準備には帰るから、お暇下さい』と真顔で言った。
「ん?理由は?」とマダムが顔しか出さない私を見て聞いた。
『迷子見つけて、この子』とリンダと一緒に部屋に入った。
3人の固まるのを見て、《田舎者め》とニヤニヤして。
『空港行って来るから』と微笑んだ。
「わかった・・気を付けてな」とマダムが言った、ハルカもレンもリンダの美しさに固まっていた。
私は笑顔でリンダとエレベーターに向かおうとすると、ピアノの音が聞こえた。
私はリンダを連れて、フロアーに向かった。
リンダをハルカの指定席に座らせて、久美子に声をかけた。
『久美子、サマータイムリクエストして良い?久美子が世界で通用するか、聴きたいから』とニヤで言った。
「ふふ~ん、かかって来なさい」とニヤで返された、私はリンダと手を繋いで出て行った。
「素敵~、綺麗なブロンド・・可愛い~」と言ってピアノを向いた。
私はリンダと6番に座った。
『リンダ、サマータイム』と笑顔で言って、手だけピアノを弾く真似をした。
「オ~!」と言ってリンダがピアノの横に立って久美子を見た。
久美子はリンダの瞳を見て、笑顔になった、そしてリンダに目で合図を送った。
「サ~マタイム・・・♪」とリンダが歌い始めた、私は立ち尽くして見ていた。
私は歌詞が有ることすら知らなかった、そしてリンダの子守唄のような美しい声を聞いていた。
そして久美子とリンダが、たまに目を見てお互い合図するのを感動して見ていた。
《音楽凄いな~言葉が無駄な物に感じる、久美子凄い子だな~》と思って見ていた。
段々とリンダも入ったようで、腹筋を押さえて叫びに近くなった。
サビになったら、2人とも汗をかいて何かを表現しようとしていた。
私はただ感動して見ていた、一流のオペラ歌手の独演のような2人を。
終了して、リンダが久美子の頬にキスをした、久美子も立ってリンダにキスを返した。
拍手がおこった、徳野さんと数人のボーイとマダムとハルカとレンだった。
リンダと久美子が笑顔で頭をさげて、リンダが久美子に何か言って、久美子が笑顔で頷いて座った。
「エース・プリーズ」とリンダがフロアーのセンターで私に手を出した。
私は笑顔で手を出すと、リンダが私の手を持って型を教えてくれた。
リンダが久美子に目で合図を出した、久美子がワルツを弾きだした。
「ワン・トー・スリー」と下を見ながら、リンダが教えてくれた。
私は楽しくて、リンダの気持ちが嬉しくて、必死にやっていた。
楽しかった、リンダの美しい笑顔が間近で溢れていて、少し早い鼓動まで感じた。
久美子が3曲奏でてくれて、終わった。
リンダが私を抱きしめて。
「サンキュー・エース」と微笑んだ。
『サンキュー・リンダ』と笑顔で返して、リンダを抱き上げて6番まで歩いた。
リンダが皆に手を振って、エレベーターに乗った。
リンダの笑顔が嬉しくて、楽園のブルーの瞳を見ていた。
『リンダ、お腹空いただろう』と言って食べる真似をした。
リンダはお腹を押さえ、私に楽園ウルをした、可愛くて可愛くて泣きそうだった。
『アメリカ・チャイナ・イタリア・ジャパン?』と国の名前を言った。
「ジャパン・スタンダード」と言って、麺を食べる仕草をして微笑んだ。
『OK・ウドン・ソバ・ラーメン?』と笑顔で聞いてみた。
「ソバ!」と笑顔で返してきた、私も微笑んで返した。
有名な蕎麦屋に入り、店の全員の視線を浴びながら、奥の座敷に並んで座った。
『リンダ・ホットorアイス』と聞いてみた、リンダは私を見て可愛く微笑み。
「アイス・プリーズ」と言った、私は食べやすい、大盛りぶっかけ蕎麦を頼んだ。
リンダが隣で何か書いていた、私は英語なので、ただリンダを見ていた。
リンダが小さなアルバムを出して、色々な国の事を写真を見せながら話してくれた。
私はリンダと笑顔で写ってる、人種も肌の色も違う人々の笑顔を見て、笑顔で頷いていた。
リンダは笑顔で話したり、時には悲しそうに、時には寂しそうに話した。
私にはそれが何より嬉しかった、通じないなんて些細な事で諦めない、その姿が好きだった。
リンダは目の前に置かれた蕎麦を見て、瞳を輝かせて私に楽園ウルをした。
私はリンダが可愛くて、微笑んで返して。
割り箸をリンダの目の前で割って見せた、リンダは最強楽園で微笑み割り箸を割った。
『リンダ・上手だね』と笑顔で拍手した、リンダは威張って胸を張った。
私は笑顔で食べ方を教えた、リンダは私を真似て美味しそうに食べていた。
リンダは沢山話してくれた、私は頷く事も無くリンダのブルーの瞳を見ていた。
リンダの感情で深みの色の変化する、楽園の海のブルーを見ていた。
リンダは大盛りを全部食べて、満足そうだった。
そしてカメラを出した、私が店員のおばさんにシャッターを頼みリンダと写った。
リンダが紙とペンを出して、私に微笑んだ。
「エース・ネーム・アドレス」と私に微笑んだ、少し寂しげなリンダを見ていた。
『どこの国でもこうやって、別れを感じるんだね・・強い子だね、リンダ』と無理やり笑顔を作った。
私は実家の住所と名前をローマ字で書いて渡した。
リンダはその書かれた紙を大事そうにしまい、私に無理やり微笑んだ。
私は手を繋ぎバス停に歩いた、リンダが隣で必死に笑顔で話すのが切なかった。
私はバスの中で、隣で必死に話すブルーの瞳を見ながら、涙を必死に我慢して笑顔を作っていた。
リンダも私も同じ必死であると、お互いに分っていた。
真夏の太陽光線が、リンダの髪で反射して美しく輝いた。
リンダは何かを話しながら、瞳の色で私に伝えた。
空港に入り、リンダが搭乗手続きをして、私に手招きした。
受付カウンターを横に歩いて、一人の窓口の女性が付いてきた。
リンダが私に手紙を渡した。
「・・・・」リンダが話し出した。
「私の住所が書いてあるので、必ず遊びに来てね」後の女性が通訳してくれた。
「私はあなたを絶対に忘れない、きっかけは頼まれたけど。
水槽に入る前から、そうじゃ無かったよ、楽しかった。
あなたがずっと守ってくれた、必死に笑わせてくれたね。
サマータイムもダンスも蕎麦も、全部忘れないよ。
日本が本当に好きになったよ。
日本で1番良い思い出ができたよ、ありがとう。」
リンダが歩み寄り抱きしめてくれた、私もリンダを抱きしめた。
「エース」とまで言って、リンダが私を見た、潤む楽園の瞳を見てなんと言ったのか分った。
『I Love Rinda』と言ってリンダを笑顔で見てから、抱き上げた。
リンダは私の首に腕を回し、強くしがみついた。
私は人混みのフロントを、リンダを抱いて歩いた。
搭乗を呼ぶアナウンスを聞きながら、2階に階段を登った。
搭乗窓口前でリンダを抱いたまま、泣いているリンダを見た。
『リンダ、必ず会いに行くから、まきゃしぇにゃしゃーい』と微笑んだ。
「ど~ん」と言ってリンダは笑顔で撃たれた振りをした。
『リンダ、忘れないよ・・絶対に忘れない・・リンダ』と笑顔で言って、リンダの笑顔を見てゆっくりとリンダを降ろした。
いきなりリンダに唇にキスをされた、私は嬉しくて笑顔を返した。
リンダが髪の毛を一本抜いて、私の手を取って手首に縛った。
「ワシュレナイ」と潤むブルーで言って背中を向けた、私はリンダの背中をそっと押して。
『ありがとう・・・リンダ』と囁いた、限界を感じていた、必死に立っていた。
リンダの背中が見えなくなっても、動けなかった寂しくて寂しくて固まっていた。
私は慎重にリンダの髪の毛をほどき、大切にポケットに入れて。
『よし!』と気合を入れて、見送りの展望デッキに行った。
飛行機の窓を探していたが、ブロンドは見えなかった。
《飛行機の別れは寂しいな~》と思って見ていると。
最後の乗務員らしき人が、扉の確認をしていた。
そこにリンダが突然現れて、両手を私に振った。
私も両手を必死に振って、リンダを見ていた。
リンダが乗務員に促され帰る時に、指のサインを出した、PGのサインを。
【了解】【戻ります】と出して見えなくなった、私は手摺りに手を突いて泣いていた。
限界が来て、ただ一人で泣いていた。
飛行機のエンジン音が響いて、動き出した。
反転した飛行機の反対側の窓に、煌くブロンドが見えた。
リンダが小刻みに手のひらを振っていた、私は両手を振って大声で叫んだ。
『I Love Rinda』と叫んでいた、海に向かい機首を上げた飛行機に向かって。
私は青空を見上げていた、世界の広さを感じて。
夢と希望に包まれて、空を見ていた。
トボトボと空港を出て、バス停のベンチに座っていた。
「帰ろうエース」と隣で美冬の声がした、四季が全員立って泣いていた。
『ありがとう、大切な思い出が出来たよ』と必死で笑ったけど、涙が溢れた。
私は駆け寄った美冬に抱かれて泣いていた、大空に夢を馳せながら。
「100点以上の答えを見せて貰ったよ、幸せだった」と千秋が抱いてくれた。
「リンダも絶対、大切な思い出を持って帰ったよ」と千夏が抱いてくれ。
「まだ夏は終わらないよ、帰ろうね・・蘭姉さんが待ってるよ」と千春が抱いてくれた。
『四季に意地悪3個づつ追加』と笑って立ち上がって。
4人に囲まれて、笑いながら帰路についた。
美冬の運転する車を、橘通りで降ろしてもらい、レコード屋に入った。
サマータイムのジャケットを見て、驚いていた。
始まりは、戯曲の子守唄だった、私は説明書きを読みながら、アメリカを想っていた。
《リンダ、待ってろよ必ずマイハニーと行くからね》と心に囁いた。
1番良いと店長らしき、オヤジが勧めたのを買って、PGを目指した。
赤玉駐車場に祭りの舞台を作っていた、私はそれを横目に通りに出た。
「聴きたいんでしょ」と腕を組まれた、ユリカが爽やかに微笑んだ。
『あ~、ユリカも共犯だね、意地悪3プラス』と微笑んで返した。
「いよいよ最大のライバル、カスミを捕らえたわ」と嬉しそうに微笑んだ。
私は祭りの準備の沢山の人の前で、可愛いユリカを抱き上げて。
『どうするユリカ、降りるかい?』とニヤで聞いた。
「どうして降りるの、姫は疲れたのじゃ~、誰かが毎日泣くから~」と笑顔で言って、私にしがみ付いた。
『今日は泣くさ、ブロンドのボインだよ・・辛いよ』とユリカに囁いた。
「折角リンダの話、通訳してやろうと思ったのに、今のでや~めた」と爽やかニヤで返された。
『ユリカ姫、ボインのユリカ姫』と機嫌をとりながら歩いていた。
週末の祭りの熱が上がりだした、細い通りを。
《リンダ、東京着いたかな~》と空を見上げた、ユリカも空を見上げて。
「バスの中で、リンダが言ったよ・・世界を旅をして、初めて別れが辛くて涙を我慢してるよって」とユリカが囁いた。
『俺、英語分ってきたかも』と微笑むと。
「違うよ・・女が分ってきたんだよ」とユリカが微笑んで、瞳を閉じた。
私は夏の熱が揺らす通りの先の、リンダがしゃがんでいた所を見ていた。
真夏の陽射しが照りつける、輝くブロンドとブルーを蘇らせながら。
私の視野を何時間かで広げてくれたリンダ、世界中を旅する女神。
私はそれから何度もリンダに会う、そして教えてもらう。
人には翼が有るのだと、言葉などに縛られては駄目だと。
あの狭い通りで、NOと言って笑顔で手を出した気持ちを忘れるなと。
言葉に頼ってきた、この時の私には最高の経験だった。
リンダありがとう、話してくれて。
リュック1つで旅をする女神・・RINDA
あのリンダのサマータイムが、1番響いたよ。
どんな一流のミュージシャンよりも・・。
ブロンドの煌き・・青の言葉・・最高の楽園・・【I Love Rinda】