表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/454

Summer Time

金色に輝く髪は遠い国へと誘い、青い目が微笑む時に楽園を示す。

言葉の意味を失った私は、強い気持ちで抱いていた、寂しげな女神を。

私の心の中にはもう一人の蘭が蘇っていた、上野駅の冷たいベンチと不安な心を連れて。


『大丈夫だからね、心配しないで・・OKだから』と私は静かに抱かれてるリンダに囁いた。

「OK?」と私を見た、真っ青の瞳が輝きを取戻して、微笑んでいた。

『OKさ、OK・OKだよ』と笑顔で言った、リンダは私を見て頬にキスをしてくれた。

私がニヤニヤしていると、リンダが自分の左頬を突き出した。

私はかなり緊張して、優しくキスをした。


女性の店員がそれを見て微笑みながら、飲みの物をテーブルに置いて去って行った。

『カフィーってコーヒーなんだね、1つ勉強になったよリンダ』と笑って言った。

「カフィー」と笑顔で飲んでいた、私も一口コーラを飲んで、自分を落ち着かせて聞いた。

『リンダ・・フロム・ハウス?』と単語を並べて笑顔で聞いた。

「ニューヨーク」とかなり考えて笑った、本当に引き込まれそうになる笑顔だった。

『カッケー、ニューヨーク・・憧れやな~』と満面の笑顔で返した。

「カッケー」とリンダが私の真似をして笑った。

《そっか!でかいマリアと思えば良いのか!胸のでかいマリア》と私はニヤニヤしていた。


『リンダ、ゴー・どこ・ミヤザキぶ~んどこ?』と身振り手振りで笑顔で聞いた。

「MIYAZAMIブ~ンTOKYO」と飛行機の離陸を手で示した、私は笑顔で頷いた。

『トゥデイ?』と聞いた、「YES」と笑顔で答えた、楽園の輝きが強まった。

『チッケット・ルック・ミイ』と手でチケットを見せてと言った。

リンダは可愛いピンクのリュックをゴソゴソ探して、チケットを出した。

リンダが探すのにテーブルの上に、着替えらしい派手なピンクの小さなパンティーまで出していた。

『リンダ、デンジャラス・マイ・ど~ん』とパンティーを指差して、撃たれた真似をした。

「ど~ん」と笑って「ど~ん!」と両手で胸を持って私に突き出した。

『ヘルプ・・・ミィ』と言ってリンダに思い切って倒れこんでみた、リンダは私を抱いて泣き真似をした。

『じゃ~ん』と言って復活をした、リンダは楽しそうに笑っていた。


私はリンダの胸が私の右腕に当たっているのを楽しみながら、チケットの確認をしていた。

15時45分発の東京行きの便だった、私はリンダを笑顔で見て。

『OK・リンダOK・時間あるね』と微笑んだ。

「OK・・・エアポート・OK?」とリンダが笑顔で言った。

『OK・マサセナサ~イ』と笑顔で返して、リンダも楽園のブルーを深くして。

「ミャキャシェニャシャーイ」と真似をした、私とリンダは何度もそれを大声で繰返したいた。


水槽を出て、リンダの重いリュックを右腕に担ぎ、左腕をリンダが組んで靴屋に寄った。

蘭が少し固まって、我に返り駆け寄った。

「新しいガールフレンドは、そこまで行くのか」と満開で微笑んだ。

『リンダ・マイ・ハニ~・ラン』と蘭を紹介した。

「オ~・ラン・イッツ・ビューティフー」とリンダが蘭に笑顔で言った。

「リンダ・サンキュー・ユー・ビューティフー」と蘭が満開笑顔で返した、蘭の凄さを感じていた。

『迷子みたいだから、空港まで送ってくるよ』と蘭に言って、蘭の満開で頷くのを見てPGに向かった。

その時代の宮崎では外人というだけで珍しく、特にブロンド美人だから周りの視線を全て浴びていた。


TVルームを少し開けて、顔だけ出した。

マダムとハルカとレンがいた、私はマダムに笑顔を見せた。

『マダム、ごめんなさい、カスミの準備には帰るから、お暇下さい』と真顔で言った。

「ん?理由は?」とマダムが顔しか出さない私を見て聞いた。

『迷子見つけて、この子』とリンダと一緒に部屋に入った。

3人の固まるのを見て、《田舎者め》とニヤニヤして。

『空港行って来るから』と微笑んだ。

「わかった・・気を付けてな」とマダムが言った、ハルカもレンもリンダの美しさに固まっていた。


私は笑顔でリンダとエレベーターに向かおうとすると、ピアノの音が聞こえた。

私はリンダを連れて、フロアーに向かった。

リンダをハルカの指定席に座らせて、久美子に声をかけた。

『久美子、サマータイムリクエストして良い?久美子が世界で通用するか、聴きたいから』とニヤで言った。

「ふふ~ん、かかって来なさい」とニヤで返された、私はリンダと手を繋いで出て行った。

「素敵~、綺麗なブロンド・・可愛い~」と言ってピアノを向いた。

私はリンダと6番に座った。

『リンダ、サマータイム』と笑顔で言って、手だけピアノを弾く真似をした。

「オ~!」と言ってリンダがピアノの横に立って久美子を見た。

久美子はリンダの瞳を見て、笑顔になった、そしてリンダに目で合図を送った。


「サ~マタイム・・・♪」とリンダが歌い始めた、私は立ち尽くして見ていた。

私は歌詞が有ることすら知らなかった、そしてリンダの子守唄のような美しい声を聞いていた。

そして久美子とリンダが、たまに目を見てお互い合図するのを感動して見ていた。

《音楽凄いな~言葉が無駄な物に感じる、久美子凄い子だな~》と思って見ていた。

段々とリンダも入ったようで、腹筋を押さえて叫びに近くなった。

サビになったら、2人とも汗をかいて何かを表現しようとしていた。

私はただ感動して見ていた、一流のオペラ歌手の独演のような2人を。

終了して、リンダが久美子の頬にキスをした、久美子も立ってリンダにキスを返した。

拍手がおこった、徳野さんと数人のボーイとマダムとハルカとレンだった。


リンダと久美子が笑顔で頭をさげて、リンダが久美子に何か言って、久美子が笑顔で頷いて座った。

「エース・プリーズ」とリンダがフロアーのセンターで私に手を出した。

私は笑顔で手を出すと、リンダが私の手を持って型を教えてくれた。

リンダが久美子に目で合図を出した、久美子がワルツを弾きだした。

「ワン・トー・スリー」と下を見ながら、リンダが教えてくれた。

私は楽しくて、リンダの気持ちが嬉しくて、必死にやっていた。

楽しかった、リンダの美しい笑顔が間近で溢れていて、少し早い鼓動まで感じた。

久美子が3曲奏でてくれて、終わった。

リンダが私を抱きしめて。

「サンキュー・エース」と微笑んだ。

『サンキュー・リンダ』と笑顔で返して、リンダを抱き上げて6番まで歩いた。


リンダが皆に手を振って、エレベーターに乗った。

リンダの笑顔が嬉しくて、楽園のブルーの瞳を見ていた。

『リンダ、お腹空いただろう』と言って食べる真似をした。

リンダはお腹を押さえ、私に楽園ウルをした、可愛くて可愛くて泣きそうだった。

『アメリカ・チャイナ・イタリア・ジャパン?』と国の名前を言った。

「ジャパン・スタンダード」と言って、麺を食べる仕草をして微笑んだ。

『OK・ウドン・ソバ・ラーメン?』と笑顔で聞いてみた。

「ソバ!」と笑顔で返してきた、私も微笑んで返した。


有名な蕎麦屋に入り、店の全員の視線を浴びながら、奥の座敷に並んで座った。

『リンダ・ホットorアイス』と聞いてみた、リンダは私を見て可愛く微笑み。

「アイス・プリーズ」と言った、私は食べやすい、大盛りぶっかけ蕎麦を頼んだ。

リンダが隣で何か書いていた、私は英語なので、ただリンダを見ていた。

リンダが小さなアルバムを出して、色々な国の事を写真を見せながら話してくれた。

私はリンダと笑顔で写ってる、人種も肌の色も違う人々の笑顔を見て、笑顔で頷いていた。

リンダは笑顔で話したり、時には悲しそうに、時には寂しそうに話した。

私にはそれが何より嬉しかった、通じないなんて些細な事で諦めない、その姿が好きだった。


リンダは目の前に置かれた蕎麦を見て、瞳を輝かせて私に楽園ウルをした。

私はリンダが可愛くて、微笑んで返して。

割り箸をリンダの目の前で割って見せた、リンダは最強楽園で微笑み割り箸を割った。

『リンダ・上手だね』と笑顔で拍手した、リンダは威張って胸を張った。

私は笑顔で食べ方を教えた、リンダは私を真似て美味しそうに食べていた。


リンダは沢山話してくれた、私は頷く事も無くリンダのブルーの瞳を見ていた。

リンダの感情で深みの色の変化する、楽園の海のブルーを見ていた。

リンダは大盛りを全部食べて、満足そうだった。

そしてカメラを出した、私が店員のおばさんにシャッターを頼みリンダと写った。

リンダが紙とペンを出して、私に微笑んだ。


「エース・ネーム・アドレス」と私に微笑んだ、少し寂しげなリンダを見ていた。

『どこの国でもこうやって、別れを感じるんだね・・強い子だね、リンダ』と無理やり笑顔を作った。

私は実家の住所と名前をローマ字で書いて渡した。

リンダはその書かれた紙を大事そうにしまい、私に無理やり微笑んだ。

私は手を繋ぎバス停に歩いた、リンダが隣で必死に笑顔で話すのが切なかった。

私はバスの中で、隣で必死に話すブルーの瞳を見ながら、涙を必死に我慢して笑顔を作っていた。

リンダも私も同じ必死であると、お互いに分っていた。

真夏の太陽光線が、リンダの髪で反射して美しく輝いた。

リンダは何かを話しながら、瞳の色で私に伝えた。


空港に入り、リンダが搭乗手続きをして、私に手招きした。

受付カウンターを横に歩いて、一人の窓口の女性が付いてきた。

リンダが私に手紙を渡した。

「・・・・」リンダが話し出した。

「私の住所が書いてあるので、必ず遊びに来てね」後の女性が通訳してくれた。

「私はあなたを絶対に忘れない、きっかけは頼まれたけど。

 水槽に入る前から、そうじゃ無かったよ、楽しかった。

 あなたがずっと守ってくれた、必死に笑わせてくれたね。

 サマータイムもダンスも蕎麦も、全部忘れないよ。

 日本が本当に好きになったよ。

 日本で1番良い思い出ができたよ、ありがとう。」


リンダが歩み寄り抱きしめてくれた、私もリンダを抱きしめた。

「エース」とまで言って、リンダが私を見た、潤む楽園の瞳を見てなんと言ったのか分った。

『I Love Rinda』と言ってリンダを笑顔で見てから、抱き上げた。

リンダは私の首に腕を回し、強くしがみついた。

私は人混みのフロントを、リンダを抱いて歩いた。

搭乗を呼ぶアナウンスを聞きながら、2階に階段を登った。

搭乗窓口前でリンダを抱いたまま、泣いているリンダを見た。


『リンダ、必ず会いに行くから、まきゃしぇにゃしゃーい』と微笑んだ。

「ど~ん」と言ってリンダは笑顔で撃たれた振りをした。

『リンダ、忘れないよ・・絶対に忘れない・・リンダ』と笑顔で言って、リンダの笑顔を見てゆっくりとリンダを降ろした。

いきなりリンダに唇にキスをされた、私は嬉しくて笑顔を返した。

リンダが髪の毛を一本抜いて、私の手を取って手首に縛った。

「ワシュレナイ」と潤むブルーで言って背中を向けた、私はリンダの背中をそっと押して。

『ありがとう・・・リンダ』と囁いた、限界を感じていた、必死に立っていた。

リンダの背中が見えなくなっても、動けなかった寂しくて寂しくて固まっていた。


私は慎重にリンダの髪の毛をほどき、大切にポケットに入れて。

『よし!』と気合を入れて、見送りの展望デッキに行った。

飛行機の窓を探していたが、ブロンドは見えなかった。

《飛行機の別れは寂しいな~》と思って見ていると。

最後の乗務員らしき人が、扉の確認をしていた。

そこにリンダが突然現れて、両手を私に振った。

私も両手を必死に振って、リンダを見ていた。

リンダが乗務員に促され帰る時に、指のサインを出した、PGのサインを。

【了解】【戻ります】と出して見えなくなった、私は手摺りに手を突いて泣いていた。

限界が来て、ただ一人で泣いていた。

飛行機のエンジン音が響いて、動き出した。

反転した飛行機の反対側の窓に、煌くブロンドが見えた。

リンダが小刻みに手のひらを振っていた、私は両手を振って大声で叫んだ。


『I Love Rinda』と叫んでいた、海に向かい機首を上げた飛行機に向かって。

私は青空を見上げていた、世界の広さを感じて。

夢と希望に包まれて、空を見ていた。


トボトボと空港を出て、バス停のベンチに座っていた。

「帰ろうエース」と隣で美冬の声がした、四季が全員立って泣いていた。


『ありがとう、大切な思い出が出来たよ』と必死で笑ったけど、涙が溢れた。

私は駆け寄った美冬に抱かれて泣いていた、大空に夢を馳せながら。

「100点以上の答えを見せて貰ったよ、幸せだった」と千秋が抱いてくれた。

「リンダも絶対、大切な思い出を持って帰ったよ」と千夏が抱いてくれ。

「まだ夏は終わらないよ、帰ろうね・・蘭姉さんが待ってるよ」と千春が抱いてくれた。


『四季に意地悪3個づつ追加』と笑って立ち上がって。

4人に囲まれて、笑いながら帰路についた。

美冬の運転する車を、橘通りで降ろしてもらい、レコード屋に入った。

サマータイムのジャケットを見て、驚いていた。

始まりは、戯曲の子守唄だった、私は説明書きを読みながら、アメリカを想っていた。

《リンダ、待ってろよ必ずマイハニーと行くからね》と心に囁いた。

1番良いと店長らしき、オヤジが勧めたのを買って、PGを目指した。


赤玉駐車場に祭りの舞台を作っていた、私はそれを横目に通りに出た。

「聴きたいんでしょ」と腕を組まれた、ユリカが爽やかに微笑んだ。

『あ~、ユリカも共犯だね、意地悪3プラス』と微笑んで返した。

「いよいよ最大のライバル、カスミを捕らえたわ」と嬉しそうに微笑んだ。

私は祭りの準備の沢山の人の前で、可愛いユリカを抱き上げて。


『どうするユリカ、降りるかい?』とニヤで聞いた。

「どうして降りるの、姫は疲れたのじゃ~、誰かが毎日泣くから~」と笑顔で言って、私にしがみ付いた。

『今日は泣くさ、ブロンドのボインだよ・・辛いよ』とユリカに囁いた。

「折角リンダの話、通訳してやろうと思ったのに、今のでや~めた」と爽やかニヤで返された。

『ユリカ姫、ボインのユリカ姫』と機嫌をとりながら歩いていた。

週末の祭りの熱が上がりだした、細い通りを。

《リンダ、東京着いたかな~》と空を見上げた、ユリカも空を見上げて。

「バスの中で、リンダが言ったよ・・世界を旅をして、初めて別れが辛くて涙を我慢してるよって」とユリカが囁いた。

『俺、英語分ってきたかも』と微笑むと。

「違うよ・・女が分ってきたんだよ」とユリカが微笑んで、瞳を閉じた。


私は夏の熱が揺らす通りの先の、リンダがしゃがんでいた所を見ていた。

真夏の陽射しが照りつける、輝くブロンドとブルーを蘇らせながら。


私の視野を何時間かで広げてくれたリンダ、世界中を旅する女神。


私はそれから何度もリンダに会う、そして教えてもらう。


人には翼が有るのだと、言葉などに縛られては駄目だと。


あの狭い通りで、NOと言って笑顔で手を出した気持ちを忘れるなと。


言葉に頼ってきた、この時の私には最高の経験だった。


リンダありがとう、話してくれて。


リュック1つで旅をする女神・・RINDA


あのリンダのサマータイムが、1番響いたよ。


どんな一流のミュージシャンよりも・・。


ブロンドの煌き・・青の言葉・・最高の楽園・・【I Love Rinda】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ