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夕暮れが近づく時刻を、壁にかけられた小さな時計が刻んでいた。

小さな和室でくつろぐ私達には、笑顔しかなかった。

7時を少し過ぎた時に、蘭が満開で言った。


「そろそろ行きますか、戦場が待ってるから」と微笑んだ。

蘭が支払って、ナギサとカスミから受け取らなかった。

「次回はどちらかに、出して貰うから」と楽しそうに笑って、私と腕を組んだ。

PGの裏階段が見えると、エミとミサが私を呼んだ。

私は笑顔で手を振った、その時にサクラさんが現れてナギサを見た。

「ナギサ!・・」と言って笑顔になった。

ナギサも笑顔で駆け寄って、サクラさんに抱きついた。


「サクラ姉さん、今帰りました・・そしてPGでお世話になります」と目を潤ませた。

「お帰りナギサ、楽しみだよ~頑張ってね」と抱いていた。

サクラさんが蘭を見て、優しい瞳で微笑んだ。

「良かったね・・蘭」と笑顔で言った。

「はい・・嬉しくて」と蘭も満開で微笑み、目を潤ませていた。

私がミサを抱いて、エミと手を繋いで最後を歩いた。

「チャッピー・・私にもあるの?」とエミが少し恥ずかしそうに聞いた。

『どうしたのエミ、何が?』と意識して優しく笑顔で聞いた。

「階段抱っこ」とエミが恥ずかしそうに可愛く微笑んだ。

『当たり前だろエミ、エミとミサとマリアは無制限であるよ』と微笑んで返した。

「うん、良かった~」と少女らしく笑って、手に力を入れた。


「私は?」とサクラさんがニヤで振向いた。

「お母さんは、お父さんがいるでしょ」とエミが笑顔で返した。

「すいません」とサクラさんが笑顔で謝って、全員で笑いながらPGに入った。

TVルームに私がエミとミサを連れて行き、女性達は準備に行った。

松さんとハルカが話していた、エミ・ミサはマリアと遊び始めた。

「また凄いのを捕まえてきたね~」と松さんが私に微笑んだ。

『9人衆の最近の緩みを、締め直すためにね』と2人に微笑んで返した、松さんが楽しそうに笑った。

「緩んでるの?」とハルカがニヤで聞いた。

『記録更新直後は危なかっただろ、俺は天気とか状況での言い訳は聞かないよ』とニヤで返した。

「確かにね、でも本当に凄い人だね」とハルカが嬉しそうに笑った。

『ハルカ、最近綺麗になったね・・そして本物を受入れるんだね』と微笑んだ。

「女帝になってやる、あなたに勝つにはそれしかないから」と笑顔で立って私の手を取った。


ハルカと手を繋いででフロアーに歩いた、私はハルカを見ていた。

「明日、マミお願いね」と可愛く笑った。

『うん、必ずマミに心残りを残さない状況は作ってやるよ』と笑顔で返した。

「ありがとう、私も頑張るよ~」と微笑んで返された。

『頑張れよ、魅宴でも』とニヤで返した。

「何!魅宴って?」とハルカが驚いて、私を見た。

『大ママのOKもユリさんのOKも出たよ、魅宴の研修頑張れよ』と笑顔で言って、指定席に向かった。

「本気なんだね、本気で私とマミを見ててくれるんだね」とハルカの声がした。

『ハルカ、ずっと見てるから・・俺に夢を見せてくれよな』と振返り笑顔で言った。

「見せてやるから・・ずっと見てて、日記に書いてね」と美しく笑った。

その時の笑顔を見て、ハルカも遠くに感じて寂しかった。

私はハルカの背中を見送り、指定席でレンが準備してくれた物をチェックしていた。


久美子はその夜はジャズの、明るく楽しいナンバーを弾いていた。

《久美子、ジャズも良いよな~》とチェックを終えて、座って聞いていた。

四季とユメ・ウミが座って静かに談笑しながら聞いていた。

レン・カスミ・ハルカ・蘭・サクラさんの順番で入って来た。

「大ママ本当に喜んでたよ」とマミが後から言った。

『違うぞマミ、大ママが1番嬉しいのは、マミが心残り無くデビューする事だよ』と振向いて微笑んだ。

「うん、大丈夫・・覚悟は出来たから」と真顔で返した、可愛さの中に美しさを秘めていた。

『さすが、魅宴の姉御・・貫禄あります』とニヤで返した。

「どの辺の話かな~」とニヤをしながら、椅子を持って私の横に座った。

『可愛い腹筋ちゃん』とニヤニヤで返して、マミの優しいパンチを受けていた。


その時久美子のピアノが止まった、そして弾き始めたのはやはり激しい曲だった。

行進曲のような、少し軍隊をイメージさせたが、暗い感じではなかった。

「久美子ちゃん、凄い子だね・・これ戦争から帰還する時の喜びの曲だよ」とマミが久美子を見ながら微笑んだ。

『そっか~、ナギサの帰還を久美子なりに感じたんだ~』と私も久美子の踊るように弾く姿を見ていた。

久美子は最後はやはり腰を浮かし、弾き終わった時に右手を上げて笑った。

最高の16歳の笑顔に、全員で立って拍手した。


静寂が戻った時に銀の扉が開いた、女性達全員が息を飲んで見ていた。

私は真横の姿が見れなかった、強烈な何かが近づくのを感じていた。

その強烈な何かは、深々と頭を下げてフロアーに歩いた。

その背中は綺麗に立ち、背骨のラインが美しく真直ぐに伸びて。

肩のラインと綺麗なクロスを描き、首筋から下顎にかけて得体の知れない色気を放ち。

真っ赤なドレスの主張を全て掻き消して、華やかに女性達の前に立ち一礼をした。

ナギサだった、私は自分の想像力の無さに愕然としていた。

それ程美しく華やかだった、そしてどこか自由な女だと思って見惚れていた。

ユリさんが現れて、女性が円を描いて立った。


「今夜から、ナギサがPGに加わります、数年前まで蘭と同じ評価を受けていました。

 その姿を近日中には、見せてくれると思います。

 感じて欲しい・・蘭とナギサ。

 貴女方世代の本物の女を・・それを私は期待します」


ユリさんがそう言って、ナギサを見た。

「私はユリさんにチャンスを頂きました、このラストチャンスに全てを賭けます。

 そして、PGの何かの役にたちたいと思っています。

 皆さん色々と教えて下さい、よろしくお願いします」と言って深々と頭を下げた。

「よろしくお願いします」っと言って女性全員で返礼した。


「伝説以上だ、さすが大ママが惚れ込んだ逸材だね」とマミもナギサを見て呟いた。

『夜の申し子・・分る気がする』と私も呟いた。

『楽しくなりそうだ~・・マミ今夜も9時前に出るよ』とマミに微笑んだ。

「了解・・ローズか気合入れます」と可愛く微笑んで返された。

私はマミに笑顔で頷き、ハルカの位置にスタンバイした。

その時に開演を迎えた。

「今夜も開演しましょう」の声に、「はい」のブザーを鳴らした。

木曜なのに出足が凄かった、8時20分に満席を達成した。

私は満席Vサインを出した、それで炎が上がった。


ナギサは蘭に付いて回り、その存在感をお客にも女性達にも見せつけた。

蘭とサクラさん指名の2人客が来ると、カスミがナギサと動き出した。

輝きと華やかさが2人で動くだけで、視線が追うのが分った。

ナギサは全くブランクを、私には感じさせなかった。

その華やかさと会話の技術で、カスミを圧倒していた。

《本当の実力はこれ以上なのか、蘭と肩を並べるのか~凄いなナギサ》と思っていた。

マダムが来て、私に笑顔を見せた。

「自分が連れて来た、女の凄さが今分ったかい」と微笑んだ。

『俺は想像力の無い人間だと、確信させられたよ』と笑顔で返した、マミと変るマダムを見送り。

蘭にサインを出して、満開の笑顔で頷くのを見て、カスミとナギサを見た。

2人とも私に微笑んでくれた、マミが来たので2人で出かけた。


通りに出て、マミと手を繋ぎローズを目指した。

「明日、駅集合でいいの?」とマミが私に微笑んだ。

『何処でもいいよ、俺はユリカの所から行くから』と微笑んで返した。

「じゃあ、ユリカさんの店に私が行くね」と可愛く言った。

『マミ、怖い時は言えよ、無理はするなよ』と真顔で返した。

「怖い事なんてないでしょ、私にはエースが付いてるんでしょ」と笑顔で言った。

『もちろん、ずっと側にいるよ、ハルカとマミが登るのも見てるよ』と笑顔で返した。

「うん、もう話さないで・・折角の可愛いマミちゃんが台無しになるから」と前を見て私を引っ張った。


ローズに入ると、BOXは満席でカウンターに3人組と2人組みがいた。

《またまた最高の展開》とマミを見てニヤをした、マミもニヤで返した。

リアンが来て、マミを連れて3人組の前に立った。

上司と部下と思われるサラリーマンにマミを紹介した。

3人は嬉しそうにマミを見ていた、マミも淡い光を強めて笑顔で頭を下げた。

私はカウンターの一番手前に座った。

ローズの綺麗な宴会にいた女性が、オレンジジュースを出してくれた。

「また何か良いことしたでしょう、リアン姉さんご機嫌よ」と笑った。

『そうなんだ~、リアンは可愛いね~』と微笑んで返した、笑顔で返されて2人組みの前に戻った。

私はマミをチラチラ見ていた、少し驚きながら。


マミが相手をしている男な中で1番嬉しそうなのは、中年の上司だった。

もちろん若い2人も楽しそうだが、上司の笑顔は違っていた。

《なるほど~淡い魅力は歳を重ねた方が効くんだよな~》と関心しながら見ていた。

BOXの一組の団体が帰り、リアンが見送って私を後から抱きしめた。

『良いのかな~、営業中に・・俺刺されたりしない』とリアンに言った。

「だって嬉しいんだもん」とリアンが私の耳元に囁いた。

『明日、早目に来てユリカの店においでよ、蘭とナギサも行くみたいだから』と振向いて微笑んだ。

「楽しみだな~、マミは大丈夫だから行ってきな・・ミチルママに報告に」とリアンが獄炎で微笑んだ。

『うん、少しだけ行ってくるよ、マミに言っといてね』とリアンに微笑んで。

マミにサイン【少し】【出る】を出した、マミは目だけで頷いた。


私はミチルの店に足早に行った。

店を覗くとBOXに3組、カウンターに2人組みがいた。

《さすがミチル、ここも凄いな~》と思ってカウンターの1番奥に座った。

ホノカが私の所に来て、美しく微笑んだ。

絶品だった上品さを惜しげもなく出していた、その高貴な輝きに暫し見惚れた。

「エース、ありがとうカスミと会わせてくれて」と言って笑った。

『今度お礼して、ホノカを抱っこしてみたい』と笑顔で返した。

「やったー、私凄く興味あったの、昨夜カスミも少し話してくれたから」と上品に笑った。

『楽しみにしてるね』とニヤで返した時に、ミチルが来た。


「嬉しいね~、通ってくれて」と妖艶に微笑んだ。

『ミチル本当にありがとう、話してくれて、ユリさんも喜んでたよ』と笑顔で返した。

「ナギサ!もう行ったのかい?」と驚いて私を見た。

『ナギサ、今夜PGデビューしたよ・・ありがとう、ミチル』とミチルの前に立って頭を下げた。

その時にミチルに抱きしめられた、ミチルは強く抱きしめた。

「なんだろう、最高に嬉しいよ」とミチルが囁いた。

『俺も嬉しかった・・蘭の笑顔も、ナギサの笑顔も』とミチルに囁いた。

「ねえ、こうやって来てね、私が2人の自分と会話が出来るまで」と私を見て微笑んだ。

『もちろん、ミチル・・今日またミチルを好きになったよ』と微笑んで返した。

「わたしもよ」と言ってもう一度強く抱きしめて、ミチルが離れた。

私はミチルとホノカに礼を言って、ローズに向かった。


ユリカのビルを見上げた、夜空に星が瞬いていた。

《ユリカ無理してないか、少し熱が高いから無理するなよ、明日蘭とナギサも連れて行くね》と囁いた。

私がローズのビルに入ろうとすると、ユリカの声がした。

「お熱があるの~、階段登れないの~」と爽やかに微笑んだ。

私はユリカに駆け寄り、額に手を当てて微笑んだ。

『ユリカが大変だ、階段抱っこしないと~』と微笑んで、ビルの外で抱き上げた。

通りを歩く人々の視線を楽しんで、階段に向かった。

ユリカは笑顔で抱かれていた、私も笑顔でユリカを見ていた。


「女はね基礎体温が変化するんだよ、知らないの?」とユリカが爽やかニヤできた。

『そうなんだ~、知らなかったよ』と笑顔で返した。

「でも普通は気付くレベルじゃないんだよ、だから嬉しかったの」と腕に力を入れて近づいた。

『そうなの、俺はすぐに気付いたよユリカの事は』と囁いて返した。

「明日はマミをよろしくね」とユリカが囁いた。

『その言い方は覚悟が出てるのかな?』と囁いて聞いた。

「全然、でも辛いんだね・・ハルカもマミも先に行くのが」とユリカが優しく囁いた。

『少しね、でもユリカが永遠の18歳でいてくれるなら大丈夫だよ』と囁いて返した。

「今のも本音なの!私にそんな酷な要求するのね」と私の顔を見て、可愛いウルで言った。

『本音だけど、ユリカが側にいてくれればいいんだよ』と微笑んで返した。

「なるほど~、そんな風に使うのね~これからの変化が楽しみ~」と爽やか笑顔で言った。

最上階でユリカを降ろし、手を振って別れた。


ローズはBOXに2組、カウンターに単独客が3人来ていた。

マミはリアンとBOXの中年の団体席で、笑顔で接客していた。

「あれで17歳でしょう、怖いねなんか」とローズに初めて来た時に会った、可愛い女性が私の前で微笑んだ。

『うん・・お姉さんあまり見ないよね、いつも探すんだけど』と微笑んで返した。

「なるほど~噂通りだね、嬉しい事をサラって言えるんだ」と可愛く笑った。

『嬉しい事って考えてないからだよ、思った事を言ってるだけ・・子供だから』と笑顔で言った。

「私、リアンの妹のシオンです、接客はしないのよ、お手伝いをたまにね」と目だけで笑った。

『美人姉妹だね、でも歳が離れてるよね』と微笑んだ。

「半分だけだから、血がね・・私は後妻の子供」と真顔で言った。

『そうなんだ~、なんで接客しないの?』と笑顔で聞いた。

「苦手なのよ人と話すの、かまえちゃって」と微笑んだ。

『そっか~、俺は子供だから良いのか~』とウルで言った。

「違うよ、自分から話題を振るのが苦手なの・・それと沈黙の時間が苦手」と舌を出して笑った。

その可愛さは秀でていて、完成されていないアイドルのような雰囲気があった。

確かにリアンとは違う優しい顔立ちで、ただ視線の定まらない感じが気になっていた。


『接客中の沈黙は、嫌なもんだろうね』と微笑んで返した。

「うん、でも女友達とでも、もちろん彼氏とでも嫌だよ」と少し近づいて真顔で答えた。

《遠かったんだ、少し距離をとるんだな~視線が落ち着かないのは何だろう?》と思いながら。

『シオンとだったら、俺は沈黙も楽しいけどね』と笑顔で言った。

「沈黙が楽しいの?」と真顔で返した、又半歩近づいた。


『楽しいよ~絶対、沈黙の時には相手の吐息や鼓動まで感じたりできるし。

 それに言葉ってどっか脚色されるでしょ、本心って案外沈黙の方が分りやすいんだよね。

 シオン・・見せたくないの、それとも知りたくないの?

 常に距離をとるのは良い事だろうけど、恋愛相手なら寂しいよねその距離が』


最後は微笑んだ、シオンは私を見てカウンターの奥に向かった。

《まずかったかな、怒らせちゃった》と焦っていたら、シオンが歩いてきて私の横に座った。

「どうして距離をとるって思ったの」と真顔で言った、間近のシオンはやはり可愛かった。

20歳位であろう、若さに負けない肌の張りと少し気の強そうな目が印象的だった。

『実際に立ってる時も離れてたし、視線が定まらなかったでしょ・・距離を補足してたんだよね』と意識して優しく言った。

「うん、どうしても相手の目を見て話すのが続かないの」と唇だけで笑った。

『シオン先に聞いとくけど、何か辛いことがあってそうなったの?』と真顔で聞いた。

「違うよ、家庭も良い家庭だったし、リアンも優しくて恵まれてた方だよ」と久々に笑った。

『恋愛関係は?』とニヤで聞いた。

「人並かな、もちろん激しいのは経験なし」と可愛く笑った。

『シオン、今いくつなの?』と情報収集を笑顔ではじめた。

「今年19歳になるよ、短大生なのだ~」と笑顔で威張った。

『その感じだよね~可愛さは秀でてるから・・女友達との関係は難しいのかな~』とニヤで言った。

「男は可愛いって言ってくれるけど、自分自身はリアンを見て育ったから、全然そうは思えないんだよ」と少し照れて笑った。

『確かに10歳上にあれがいれば、トラウマになるよね~』とニヤニヤで言った。


「リアン、私を凄く可愛がってくれて、今でもだけど・・半分母親みたいな感じ」と笑った、その笑顔が輝いた。

『はい、止めて~・・今、その笑顔がシオンの笑顔です・・可愛いよ、やっぱり』と笑顔で言った。

「可愛いの私・・人並でしょ」と可愛いニヤできた。

『可愛いよ~、全体的な雰囲気も柔らかくて・・好みの問題でリアンにも勝ってるよ』と真顔で返した。

「そう思う?・・えへ」と19歳の笑顔が出た、その時目が緩んで優しい光が放たれた。

『なるほど~、気の強そうな目は意識して作ってるんだね・・防御本能かな?』とニヤで聞いた。

「ん~、多分リアンを追い求めたから・・子供の頃間違ったんだよイメージを」と言って私の肩を叩いて、ケラケラと笑った。

『あの炎の瞳を、そうとったのか~可愛い奴め』と私は笑顔のシオンの頭を撫でた。

「仕方ないでしょ、子供のイメージだから」と間近に寄って微笑んだ。

《よし、この距離感だ、ここからが大切》と自分で確認した。


『でも根本的な問題はまだだね、距離の問題・・心の距離』と微笑んだ。

「自分でも分らないの、でもかまえるって言うか・・自意識過剰みたいな」と可愛い真顔で言った。

『家族以外って事?』と優しく聞いた。

「そうだね~、家族だけかな」と微笑んだ。

『そっか~、考え過ぎなんだよ・・シオンさっきと一緒、イメージ間違ってない?』と微笑んで返した。

「間違ってるのかな~・・」と考えた、可愛かったその素直な心が。

《やっぱりね~、素直で真面目過ぎるんだ・・ハルカタイプ》と思っていた。

『シオン、今何に対するイメージを確認したの?』と笑顔で聞いた。

「女友達に対する時と、今までの彼氏との時」と上目使いで聞いた、間違ってたのと瞳で問いかけた。

『シオン、多分シオンのイメージで間違ってるのは・・自分自身だよ』とニヤで言った。

「えっ」と私を見て、「先生・・教えて」と可愛く笑った。


『シオン人って多分そんなに完璧じゃないよ、素直で真面目は良い事だけど。

 それを自分をイメージする時には外すんだよ、シオンのはこうでないといけないって感じでしょ。

 自分をイメージするってもっと楽しい事だよ、こうありたいとか、こう成りたいとかね。

 さっきのリアンのイメージの間違いで思ったよ。

 シオンのリアンへの憧れは実は外見じゃない、外見なんて重要視してないんだよね。

 リアンのそのどこか自由な生き方に、憧れてるんだね。

 シオン間違ったら駄目だよ、自由ってそれを外してから生まれるもんだよ。

 それでシオンが傷つくかもしれないけど、距離感は消えるよ。

 そしてシオンが近づけば、相手も近づくと思うよ。

 沈黙は恐れる事じゃない、沈黙が気にならない相手の事を。

 好きな人だと言うんだと思う、そして相手もそう言うよ・・好きだって』


笑顔で言って、隣のシオンを優しく抱いてみた。

シオンは拒否反応を示さずに、軽く私の背中に腕を回した。

『シオン・・何も言うなよ、沈黙で感じろ・・俺が練習ロボットになるから』と囁いた。

BOXから見えないカウンターの隅で、シオンを優しく抱いていた。

シオンの温度と吐息を感じていた、シオンが少しづつ近づいて。

最後に私の胸に横顔を付けた、目を閉じて静かだった。


私は立って支えていた、その時リアンが覗いた。

その驚いた顔を見て、【静かにね】って目でサインを送った。

リアンは嬉しそうに獄炎で私に微笑んで、頷いた。

私にとってこのシオンが生徒になる、私の夜街での経験を全て注ぎ込む。

カスミやレンの時はまだまだ手探りだった私は、この素直なシオンに伝える。

シオンの心は白かった、そしてシオンの変化を喜びながら見続けるのだ。

天使の微笑み、白い温もり、嘘のない世界に棲む者。


私にとってシオンは本当に可愛かった、その白い心が好きだった。


その後シオンは自ら決断して、夜街の女になる。


短い期間だった、だが人々の心には深く残った。


どこか歌うように話す言葉、流れ込む心地よさ。


優しい響きに心が癒された。


優しく響く愛の詩・・その名も 詩音。









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