復活の時
陽に照らされて輝く街を見下ろしていた、陽はまだ高かったが暑さを感じなかった。
私は最高の気分で、空を見ていた。
《こんな時にタバコって吸いたくなるのかな~》と思っていた。
「やめろよ、空を見るのは」と後から突然カスミが抱きしめた。
『可愛いやろ~』と前を見たまま言った。
「まず、昨日のホノカの事、本当にありがとう」と耳元に囁いて。
「そして、今の蘭姉さんを見て私も幸せになったよ、内容は分らないけど」と強く抱きしめた。
『俺が蘭やカスミに出来ることって、少し考えてたんだよ』と体を回してカスミを抱きしめた。
『ありがとう、カスミ・・いつも見ててくれて』とカスミの耳元に優しく囁いた。
「化粧が崩れる・・もう何も言うなよ」と言って抱かれていた、カスミの優しさが嬉しかった。
「もういいかな~、それ以上があるのかな~」とハルカが笑顔で言った。
『またハルカが邪魔したよ、リーダー』とカスミに囁いた。
「ハルカの意地悪」とカスミが振返り、ハルカに微笑んだ。
「危なそうだったから、エースが迎えに来ないと動けないって、蘭姉さんの指名」とハルカがニヤで言った。
『仕方ないな~、甘えん坊ばっかりで』と体を離したカスミと、ハルカに微笑んでフロアーに行った。
10番で蘭が一人で待っていた、俯いているので顔が見えなかった。
私は駆け寄って、屈んで蘭を覗き込んだ。
『蘭、大丈夫?』と優しく声をかけた。
「大丈夫じゃない・・大丈夫じゃない」と俯いたまま蘭が言った、私は蘭の隣に座った。
『蘭、良かったね』と優しく囁いた。
「ばか~、どうして泣かすの・・どうして・・どうして出来るの」と言って私に抱きついて、泣いていた。
『蘭が大切だから、昨夜ミチルが教えてくれて、今日リアンとユリカに聞いたんだよ』と泣顔の蘭に微笑んだ。
『蘭は四天女とミチルに感謝して、俺は自分の為にしたんだから・・蘭の寂しそうな顔を見たくなくて』と言って強く蘭を引き寄せた。
「嫌だ、あんたに感謝する・・だから私の側にいて」と蘭が強く抱きしめて、私に満開で微笑んだ。
『ずっと側にいるよ』と微笑んで返した、蘭は満開で頷いて私の胸に戻ってきた。
静寂のフロアーにサマータイムが響いてきた、久美子の優しさが嬉しかった。
私は蘭と手を繋ぎTVルームに戻った。
マダムとユリさんとナギサが話していて、カスミがマリアと遊んでいた。
「部屋はどうするの?」とユリさんがナギサに薔薇で微笑んだ。
「出来るだけ早く出ます、嫌な思い出しかないから」とナギサが微笑んで返した。
「お金は有るの?」とユリさんが心配そうに聞いた。
「大丈夫です、こっそり貯めといたから・・それにエースがあのバカに金払えって言ってくれました」とナギサが私を笑顔で見た。
「最後の交渉、一人で大丈夫?徳野さんに同行してもらう?」とユリさんが私に聞いた。
『大丈夫です・・・』私はチンピラの話をして、ユリさんを安心させた。
「分りました、蘭いいですね、あなたにリハビリを任せて」と蘭に微笑んだ。
「はい、やらせて下さい、まぁすぐに戻るでしょうけど」と蘭がナギサに満開で微笑んだ。
「ありがとう、蘭」と言ってナギサが目を潤ませた。
「もう泣かないの、ご飯行くんだから」と蘭がナギサの手を握った。
「じゃあ、細かい事は明日以降に決めましょう」と薔薇で微笑んで、私を見た。
「蘭、カスミちゃんとナギサと先に行ってて、エースを借りますね魅宴まで」と蘭に薔薇で微笑んだ。
「どうぞどうぞ」と蘭も満開で微笑んで返して、「今夜は場所を○○に変えたから」と私にも満開で微笑んだ。
『了解、後で行くよ』と笑顔で返した。
「行きましょう、私も大ママに挨拶します」と私に腕を組み、薔薇で微笑んだ。
『了解です、行こうか・・ユリ』と微笑んで返した。
「はい、あなた」と悪戯っ子で微笑んだ。
「チャー・・うわき」とマリアが言って駆けてきた私が抱き上げた、皆が大爆笑していた。
「マリアにいけない言葉、教えたのは誰かかしら?」と私に薔薇ニヤできた。
『マリアTVだよね~』と天使の笑顔のマリアに言いながら、ユリさんとTVルームを出た。
通りに出ても、ユリさんは笑顔で腕を組んでいた。
私は左でユリさんと腕を組んで、右腕にマリアを抱いて歩いていた。
『ナギサの事、本当はユリさん的にはどうなんですか?』と真顔で聞いた。
「本当の事を言いますね、私は蘭があなたに言わない気持ちも分っていました」と私を見て。
「私から言うべきかと悩んでました、誰から聞いたのかしら?」と薔薇で微笑んだ。
『ミチルママです、昨夜・・』私はカスミとホノカの事を話した。
「ミチルですか!だからユリカもリアンもあなたに賭けたんですね」と嬉しそうに薔薇で微笑んだ。
『ミチルが教えた事に、それ程の意味が有るとは思いませんでした』と真顔で返した。
「期待して良いのね、ミチルも・・本当に楽しい日々よ」と美しく薔薇で笑った。
『ユリさん、そうそう来週の金曜日・・』とマミの件を話した。
「素敵ですね、もちろん同伴しますよ・・お店はナギサが起動に乗れば私も自由に動けるから」と楽しそうだった。
魅宴に着くと、入口にいたボーイさんが飛んできて、フロアーに案内された。
すぐに大ママが出てきた、笑顔でマリアに手を出した。
「大ママ、ナギサの事」までユリさんが言うと。
「使ってくれるのかい?」とマリアを抱きながら、大ママが笑顔で聞いた。
「はい、エースを信じて」とユリさんも薔薇で微笑んで返した。
「ありがとう、ユリ・・感謝するよ」と笑顔で言って、私に歩み寄り軽く抱きしめられた。
「見事だった、本当に嬉しかったよ・・ありがとうエース」と大ママが言った。
『自分がもう限界みたいだったよ、ナギサ』と私も大ママに笑顔で返した。
「それでも、お前が突っ込んだからさ、ナギサの内面までな」と優しく囁いた。
大ママが離れて、ユリさんが薔薇で微笑んだ。
「ユリ、それと明日マミの・・・」大ママがマミのケジメの話をした。
「かまいませんよ、PGはエースを信じていますから」とユリさんが大ママに微笑んで返した。
「ありがとう、マミは2週間で驚くほど成長したよ」とユリさんに言って。
「まだ言ってないのかい?」と私を見た。
「何の事かしら」とユリさんも私を見て、微笑んだ。
「ハルカだよ、エースに魅宴の研修頼まれて、OKしたんだよ」と大ママが微笑んだ。
「本当に良いんですか、魅宴で研修なんてハルカは幸せですよ」と嬉しそうに薔薇で返した。
「何言ってるんだい、少しでも勉強になるのなら私も嬉しいよ」と大ママが笑った。
ユリさんと大ママに礼を言って、魅宴を出た。
駐車場に行きながら、ユリさんは私と腕を組んだまま微笑んで挨拶をしていた。
「PGはどうなるのかしらね~」と嬉しそうに薔薇のまま微笑んだ。
『凄いんですよね、ナギサ・・見ただけで圧倒されました』と微笑んで返した。
「あなたは見たいんですね、本当の本気の蘭を」と美しい真顔で私を見た。
『うん、見てみたい・・その為の環境を、俺の出来る範囲で全力で作りたい』と笑顔で返した。
「怖いですよ~、その時の蘭は」と薔薇の微笑で返された。
『うん、蘭には心残りなんて残してほしくないんだ』と笑顔で言った、ユリさんも薔薇で頷いた。
マリアを車に乗せて、運転席のユリさんを笑顔で見た。
『ユリさん、この車あと5年は乗ります?』と笑顔で聞いた。
「そうですね、何もなければその位は乗りますよ」と薔薇で返した。
『ミチルボーナス、5年後この真っ赤なユリスペシャルZを、格安で譲って下さい』と笑顔で聞いた。
「いいですよ、5年後の約束をしてくれるのね」と薔薇で笑ったユリさんとマリアを見送った。
私は蘭の言った、マダムとハルカと行った居酒屋に歩いていた。
5時を少し過ぎた夜街は、開店前の準備の匂いに溢れていた。
私は大好きなその匂いを、思い切り吸い込んで深呼吸をした。
居酒屋の個室の座敷に案内されると、蘭の隣にカスミが座り向かいにナギサが座っていた。
カスミが楽しそうにナギサと話していた、ナギサも今までと違う笑顔が出ていた。
『ラッキー、ナギサの隣が空いてる~』と言って笑顔で座った。
「ナギサが目で、怖いくらい訴えた」と蘭が満開でニヤした。
『ナギサ、俺に惚れるなよ』とニヤでナギサを見た。
「もう遅い、あの状況の、あの出会いなら・・惚れるよ」と笑顔で返してきた、ハッとするほど華やかだった。
私のコーラが来て、皆で笑顔で乾杯した。
「カスミちゃんには聞いて欲しいから、私から話しとくね」とナギサがカスミに微笑んだ、カスミも嬉しそうに微笑んで頷いた。
「私は魅宴に18で入ったの・・・」ナギサが自分の歴史をカスミに話した。
カスミは美しく輝く真顔で頷きながら聞いていた。
「蘭、待っていてくれてありがとう、そして最後まで信じてくれてありがとう。
今日私は気付いたよ、エースに愛される事から逃げるなと言われて。
愛された事が無いと言ったら、嘘つきだって言われた。
今でも蘭が私を愛してるって言ってくれた、本当に嬉しかった。
ありがとう・・蘭・・愛してくれて」
ナギサは最後は蘭を見て、涙を見せて言った。
「うん、ありがとう・・私も嬉しかったよ、友達だろ当然だよ」と蘭が満開で微笑んだ。
ナギサは静かに泣いていた、そして誰よりもカスミが泣いていた。
「はい、終わりにしますこの話は今ので終了です」と蘭が言ってビールを一気に飲んだ。
「美味しい~」と満開で笑って私を見た。
『仕事前に大丈夫かな、明日は靴屋もあるでしょ?』とニヤで蘭に言った。
「靴屋は明日も休み、さっき日曜出勤の子と交代してもらった」と満開ニヤで返した、私はその嬉しそうな笑顔が何よりも嬉しかった。
「ナギサ姉さん、私も昨夜エースに友達になりたくなる子を、紹介してもらいました」とカスミが輝く笑顔で言った。
「それは良かったね、でもカスミちゃんの相手なら凄いんだね」とナギサが華やかに微笑んで返した。
「凄かったです、でもすぐに受入れられました・・自然に」とカスミも微笑んで返した。
「私も蘭を見たとき、すぐに受入れたの・・今までで初めて唯一の存在よ」と笑顔を2人に向けた。
「私もだよ、ナギサだけだったよ」と蘭も満開で返した。
楽しそうな3人を、私も笑顔で見ていた。
「蘭は私の事をエースに言わないのに、誰に聞いたの?」と華やかに微笑んで私を見た。
『ナギサ、本当にナギサは愛されてるよ、俺にナギサと蘭を想って言ってくれたのはね』とナギサを見た。
ナギサは真顔で私を見ていた、美しさに吸い込まれそうだった。
『ミチルだよ、そしてユリさんも俺に話そうかと思ってたらしいよ』と笑顔で言った。
「蘭、ごめんね」と言ってナギサが私に抱きつき、私は受け止めて優しく抱いていた。
蘭とカスミは優しい目で見ていた。
「あの腕を掴まれた時、凄く嬉しかった・・理由無く嬉しかったよ」と私を見上げて微笑んだ。
「そして、最後のチャンスに全てを賭けろって言ってくれた事も・・でもね1番嬉しかったのは」と言って蘭とカスミを見た。
「言葉の端々にナギサって言ってくれる事だった、それが何より嬉しかった」と微笑んだ。
「分ります、凄く分ります・・本当に嬉しいですよね、私を見てくれてるって思えて」とカスミが輝く笑顔で返した。
蘭が私を見て満開で笑った、私は嬉しくて笑顔で返した。
『ナギサ、ユリさんが凄く期待してたよ、ナギサの登場でPGに与える変化をね』とナギサの耳元に優しく言った。
「見ててね、私は絶対に全てに恩返しをするよ・・水商売にも」と言って腕の力を強めた。
「皆、喜びますよ~、本物が好きだから」とカスミが輝く笑顔でナギサに言った。
「カスミが1番嬉しいでしょ」と蘭が満開でカスミに微笑んだ。
「うん、ワクワクが止まらない感じ・・私はやっと自分が出せる世界に来れたと感じてる」と輝いた。
「似てるな~やっぱり、出合った頃のナギサに」と蘭が満開でカスミに返した。
「うれし~、その言葉が1番うれし~」とカスミが蘭に抱きついた。
ナギサが嬉しそうにカスミを見ていた、優しい目だった。
「エース、お願いもう大丈夫だから、聞かせて今思ってる事?」とカスミが私に笑顔で言った。
『カスミ・・嬉しいよ、よくそこまで来たね。
俺、最近色々な店に行って少し感じた、誰にでも同じじゃ結局駄目なんだって。
それは仕事だから仕方ないって、思えばそうなんだろうけど。
ユリさんでさえ、キチンと分けている。
相手に対してどこまでという、線を引いているんだよ。
蘭も、きっとナギサも・・リアンもユリカもミチルも引いている。
そしてその線を相手に気持ちよく意識させる技術、それが難しいんだね。
PGでは、ユリさんと蘭とアイさんサクラさんは、それが出来ているんだよ。
そして多分ナギサも出来る、9人衆はまだどこかで自分の制御がかかるね。
カスミはまだ最後の段階で、信じていないよね。
カスミ俺はカスミには、生意気だろうが何だろうが俺の気持ちは全て伝える。
もう自分を信じていいだろカスミ、お前こそが次世代のトップだと俺は信じている』
最後はカスミに微笑んだ、カスミは私を見ていた。
「本当に全部伝えるな、そして見てるな」とカスミが真顔で言った。
『見てるよ、俺はカスミで夢を見てるし期待してる。
そしていつか本当の意味で、カスミを愛してくれる男が出現するのを祈ってる。
そしてその時の、俺の寂しさも覚悟している。
俺はその時に心から祝ってやれる、人間になりたいと思ってる。
だから伝えるカスミには、全て残らずに俺の気持ちは伝える。
ユリカにもハルカにも、そしてナギサにも全て伝えるよ』
カスミの輝く瞳を見ていた、その隣で蘭が満開で泣いていた。
「うし、夢を見せてやるよ・・そしていつか寂しい想いもさせてやる」とカスミが静かに言った。
「蘭、この子復帰祝いにちょうだい」と雰囲気を変える為に、ナギサが蘭にニヤをした。
「親友でもたとえ母親でも、それだけは出来ん」と蘭もニヤで返した。
「お前、伝説以上をどれだけ作るんだよ~」とカスミも不敵で微笑んだ。
『スーパースターとはそういう者だよ』とニヤで返した。
3人の笑い声に包まれて、ナギサの体温を感じていた。
蘭の満開が嬉しかった、絶対に散らない、儚さの影もない満開の桜のような笑顔が。
私の想像は完全に裏切られる、ナギサは圧倒的に本物だった。
その姿は歩くだけで、華やかさを撒き散らす。
それをカスミは間近で見続ける、そして気付き本当の美しさを追い求める。
カスミにとって蘭とナギサの存在が、最高の生き方の憧れとなる。
絶対に完成されない者・・カスミ、挑み続ける強固な意志。
その輝く姿が最高の目標になる、強固な意志では絶対に負けない。
ハルカの心を開放する、カスミの不敵の笑顔が誘い続ける。
ハルカをその世界まで来いと、余裕で笑い続ける・・全力で来いと。
PGの夏は灼熱の舞台、そして復活の叫びが木霊する。
そして全員が目撃する、蘭の本当の姿を。
その温もりに包まれる、最高の時も迫っていた。
笑顔で話す私達4人にも・・・。