風の渚
光が射してきていた夜街の正午前、真夏の光が勢力を伸ばしてきた。
深海の深い瞳と、獄炎の炎と宿した瞳に見られていた。
私は罪悪感すら抱えて進む道を選んだ、その笑顔の為と言い訳して。
「ここだから、一人でやってるらしい」とリアンがメモをくれた。
『ありがとう、行ってみるよ』と微笑んで受け取った。
「いつ行くんだい?」とリアンが真顔で聞いた。
『今夜、マミにお願いして行くよ、リアンもマミをお願い』と真顔で言った。
「了解、無理と思ったらすぐに引けよ」と獄炎で微笑んだ。
「私も1つだけアドバイス、今回は厳しい時間設定を自らに課しなさい」と昼食の注文の電話を終えた、ユリカが私に言った。
『了解、一気に行きたい、今回はそうしたいと何故か思ってるよ』と笑顔で返した。
「そうだよね、もし泥沼から連れ出したらどうするつもり?」とユリカが隣に座りながら微笑んだ。
『大ママは、もう無理だろうね?』と2人に聞いた。
「魅宴で雇うのは無理だよ」とユリカが真顔で言った。
『俺が大ママに頭を下げて、ナギサの指令を解いてもらう・・そしてマダムとユリさんに頭を下げてみる』と真顔で言った。
「PGか~、もしナギサの気持ちが昔に戻ったら、そしてユリ姉さんが許したら、PGは凄い事になるな」とリアンが嬉しそうに微笑んだ。
「あなたなら出来るような気がする、私達は幸せだよ、その夢が見れるだけでも」とユリカが爽やかに微笑んだ。
昼食の豪華な海鮮定食を、3人で食べた。
楽しい話題を3人とも意識して話した、私は落ち着いていたユリカの言葉で。
腕を組んだリアンとエレベーターに乗り、ユリカに手を振って別れた。
「今回はお前にとっては男はチョロイけど、ナギサは強敵だぞ」とリアンが腕に力を込めて、微笑んだ。
『大丈夫、俺にはリアンとユリカが応援してくれるから』と笑顔で返した。
私は笑顔のリアンと別れて、PGを過ぎて足早にナギサの店の確認に行った。
ナギサの店は西銀座の細い路地を入った、小さな店だった。
私が遠巻きに見てると、店の中から男が出てきた。
「じゃあ、4時に来るから、準備しとけよ」と命令口調で言って、こっちに向かって歩いて来た。
痩せた30代前半の男、顔は整っていて派手目のスーツを着て、見るからにホストだった。
私はずっと男の目を見ていた、私に近づいて来た。
「ガキが遊ぶ所じゃないぞ」と睨みながら私に言った。
『何大物ぶってるの、あんた何処の誰?』と目を逸らさずに、微笑んだ。
「は~ガキ・・怪我するぞ」と目の前に迫ってきた、私は呆れていた。
《迫力の無い奴だな~、殴り合い経験あるのかな~》と笑顔でその目を見ていた。
『やるの、あんた人を殴った事あるの?』と笑顔で聞いた。
「ちょっと来い」と私の肩を掴み、店に引き入れた。
カウンターの中に女性がいた、私は久しぶりに凍結した。
疲れた顔で、化粧もあまりしていなかったが、その雰囲気に息を飲んだ。
華やかだった、真顔で驚いて私達を見ていたが、華やかさが凄かった。
《これで笑顔だったら、どれだけ美しく華やかなんだろう》と私は男に引っ張られながら、ナギサに微笑んでいた。
店の奥の1つしかない、小さなBOXに連れて行かれた。
「ガキ、大人に喧嘩売ったら大怪我するぞ」と凄んだ、あまりの迫力の無さに笑顔が絶えなかった。
『どうするんだよ、兄さん早く誰か呼べば』と微笑んで返した。
「あんた、いい加減にして・・相手は子供じゃない」とナギサが出てきて、男に怒鳴った。
「うるせー、お前は口出すな」と男が怒鳴って返した。
「私、もう嫌・・やっぱり出て行く」とナギサはかなりの剣幕で言った。
「お前住むところも、働ける所も無いくせに・・風俗でも行くんか」と男が吐き捨てた。
「街を出る・・本気だから」と背を向けたナギサの腕を私が掴んだ。
『ナギサ、迎えに来たんだ・・本気でやり直すか?』とナギサの瞳を見て聞いた。
「なに?どういう事」とナギサが驚き私を警戒して言った。
『ナギサ、もう自分に嘘を付くことをやめる?こんな愛情の無い男と別れる?』とナギサを引き寄せて、男の反対側に2人で座った。
「てめー、なに訳の分からん事を言ってるんかい」と男が私に向かって喚いた。
『いいから切り札呼べよ、その方が話しが早いから』と静かに男の目を見て言った。
私のその表情をナギサが見て、ナギサの警戒の力が消えた。
男が電話をしていた、私はナギサの髪の毛を上げて目を見て微笑んだ。
『本当に綺麗だね・・ナギサ』と意識して笑顔で言った、ナギサはただ放心状態で私を見ていた。
『ナギサ、もう分ってると思うけど。
あの男、電話は出来るけど俺からナギサを取り返す事もしないんだよ。
ナギサは奴のどこが好きなの、愛情の欠片も無いような男のどこがいいの?
ナギサはどうして自分に嘘をつくの、ナギサはどうして愛されてるのに逃げるの?
教えてナギサ、信じられないだろうけど俺がこの生活から出してやるから』
優しく笑顔で、ナギサの目を見て言った。
「愛されてない・・愛された事ないんか無い」と目を閉じて眉間に皺を浮かべて、震えながら静かに言った。
私はナギサを抱きしめて、耳元に囁いた。
『嘘つきだな~ナギサは・・蘭は今でも待ってるぞ、ナギサを愛してるぞ』と優しく囁いた。
その時ナギサの腕に力が入った、そして声を上げて号泣した。
男は離れた席から私を睨み見ていた、私は男に興味が無くなり無視してナギサを抱いていた。
《一気に行け、ユリカもそう言ったんだ》と自分で確認した。
『ナギサ、またやらないか・・俺が大ママにナギサの指令を解いてもらうから』とナギサの両頬を両手で持って、顔を向けて目を見て優しく言った。
『最後のチャンスに賭けろ、ナギサ・・全てを賭けてみるか?』と強く言った。
「助けて、必ず必死でやるから、今の私を離さないで」と泣きながら言った。
『良く出来ました、ナギサ・・側にいるから少しお休み』と言って抱きしめる力を強めた。
その時店のドアが開いて、外の光が射し込み、若い男が2人入って来た。
そのどう見てもチンピラの2人組みは私を見て、男に言った。
ナギサは2人を見て、私にしがみつき震えた。
「マキ、まさか絞めて欲しいって、この子じゃないよな」とマキに凄んだ、マキも一瞬怯んだが頷いた。
「お前バカだろう、水商売しててこの子を知らないのか」と背の高い方がマキに怒鳴った。
その時ナギサが私を見上げた、私はナギサに微笑んで頭を撫でた。
「又会ったな」と背の低い男が私に微笑んだ、私も笑顔で返した。
『怖い人が来たから、驚いたよ』と微笑んで言った。
「よく言うよ、海竜の兄貴も望月の兄貴まで友達のくせに」と笑った。
その会話で、マキが引きつった表情で私を見た。
「小僧って呼んでいいかな?」と背の高い方が言った、『もちろん』と笑顔で返した。
「どうするかね、このバカ」と微笑んで返してきた。
『今日のところは引き揚げてもらえませんか、話があるので』と丁寧に言って、頭を下げた。
「了解、こいつの事で何か有ったら、電話してくれ」と背の低い方が名刺をくれた。
『ありがとう、助かったよ』と笑顔で言った、2人も笑顔で帰って行った。
『さて、マキ・・やろうか、ここでいいか表に出るか』とマキの目を見て、静かに言った。
「勘弁してくれ」とマキが頭を下げた。
『条件は沢山あるぞ、いいんやね』と静かに聞いた、マキは頷いた。
『今は時間が無いから、まず明日の昼までにナギサの部屋のあんたの荷物引き揚げて。
もちろん、言わなくてもいいだろうけど、2度とナギサに近づかないで。
それと今後絶対に、ナギサの事を口にしないで。
そして言ってやって、正直に言わないと電話するよ。
ナギサに近づいた訳を、今ここで言って』
私はマキの目を見ながら、意識して静かに言った。
「名前を売りたかったんだよ、魅宴の女を引っ張って、それだけさ後は金ズルだよ」とマキが言った。
ナギサが立って殴りかかろうとするのを、私が抑えた。
『ナギサ、もういいよ・・こんな奴に触れるなよ、俺がこいつには条件出しに行くから』とナギサを振向かせ抱きしめた。
『じゃあ、又会いに行くよ、さっさと部屋を片付けな』と微笑んだ、マキが立ち上がった。
『おい、金は用意しろよな今夜掻き集めろよ、そうしないと電話海竜に回すぞ』と真顔で言った。
「いくらいるんだ」とマキが小さな声で聞いた。
『最低でもナギサが1年は余裕で暮らせる位、それとこの店の処分もよろしく』と微笑んだ、マキは頷いて出て行った。
『さっナギサ・・とにかく化粧しようね』とナギサの顔を見て微笑んだ。
「あと5分だけ、お願い」と笑顔で抱きついて、甘えた。
『蘭にそっくりだ』と耳元に囁くと、「ありがとう、最高」と強く抱きついた。
ナギサが化粧をしてる時に、PGに電話してマダムに謝って。
TVルームに出来ればユリさんと居てほしいと、頼んで切った。
ナギサは少し元気が出たようで、化粧をする瞳も輝きが戻っていた。
ナギサの化粧が終わり、奥でゴソゴソと着替えをして出てきた。
「これで良いかな?」と私に微笑んだ。
私は見惚れていた、確かにまだ顔の張りなどは疲れが残っていたが。
全体的な美しさは絶品で、その華やかさに目を見張った。
『噂以上、さすがだね・・ナギサ』と笑顔で手を出した、ナギサは笑顔で腕を組んできた。
光溢れる路地に出た時に、ナギサが空を見上げ華やかに笑って。
「最高に気持ちいい~」と叫んで私の腕を引っ張った。
《さて、これからの方が難関だよ、ユリカ今から行くから》と心に囁いた。
ユリカのビルのエレベーター前で、ナギサが緊張して私を見た。
『ちゃんと謝れよ、ユリカも心配してたんだぞ』とナギサに微笑んだ、ナギサは真顔で頷いた。
ユリカの店を開けようとすると、ユリカが先に開けてナギサに抱きついた。
「お帰りナギサ、遅かったね待ってたよ」と深く静かに言った。
ナギサは泣いていた、声を上げてユリカにしがみついて。
「BOXまでお願い」とユリカが私を見たので、ナギサを抱き上げてBOXに運んだ。
『ユリカ、俺』まで言ったら、「もう来るよ、大ママもリアンも」と爽やかに微笑んで、ナギサの隣に座った。
その時に大ママとマミが入って来た、私は大ママに深々と頭を下げた。
「エース・・お前」とナギサを確認して、私の肩に大ママが手を置いた。
「ナギサに貸しを付けな、その方がナギサの今後にいいよ」と大ママが私の耳元に小さく囁いた、私は嬉しくて目だけで合図した。
「エースの話なら聞こうかね~」と大ママが真顔で私に言った。
私は大ママに土下座した。
『大ママお願いします、ナギサを魅宴に戻してなどと贅沢は言いません、ナギサの指令だけ解除して下さい』と必死の振りをして叫んだ。
ナギサが走ってきて、私の横に土下座した。
「大ママ、私がバカでした・・許して下さい」と必死に頼んだ。
「仕方ないね~、エースの頼みだから解除するんだ、絶対にこの土下座忘れるなよ」と大ママが言って帰って行った。
ユリカが見送りに行った。
私はナギサの肩に手を置き、体を起こした。
『良かったね、ナギサ』と微笑んだ、ナギサが抱きつき泣いていた。
「なんだい、もうそんな関係かい」とリアンが駆け寄ってナギサに抱きついた。
「お帰りナギサ、心配してたぞ~」と獄炎全開で微笑んだ、ナギサはリアンに抱かれて泣いていた。
『ユリカありがとう、でも感じてたねナギサが逃げたがってるの』と腕を組んできたユリカに言った。
「そこまでは分らないよ、ただあなたから覚悟の気配が無かったからね」と爽やかに微笑んだ。
『さて、今からいくらでも会えるんだから、ナギサ化粧を直してね』と微笑んで。
『俺が出来る限りの事はする・・PGの面接だよ』と真顔で言った。
「本当に面接してもらえるの?蘭と同じ場所で働けるの?」とナギサが真顔で言った。
『働けるかは、面接のナギサ次第だよ・・面接までは俺が必ずしてもらう』と微笑んだ。
「なぜ・・私なんかの為に」とナギサがまた涙を流した。
『俺、蘭を愛してるんだよ、そしてリアンもユリカも好きなんだよ、だからナギサも好きになりたいんだ』と屈んでナギサの肩を持って優しく言った。
「絶対に好きにならせる、必ずPG・・ユリさんのOKもらうよ」と華やかに泣きながら微笑んだ。
ナギサがユリカの化粧品で、化粧直しをしていた。
「大ママ泣いてたぞ、どんだけ大ママ泣かすんだい」とリアンが微笑んだ。
『大ママ凄いよ、大きさが・・女帝だね』と微笑んで返した、リアンも笑顔で返してくれた。
ナギサの化粧がほぼ終わり、私にナギサが微笑んだ。
《疲れが取れたらどれほど綺麗なんだろう》と思っいながら、笑顔を返した。
「あなたの想像以上よ」とユリカが微笑んだ、私は大袈裟に驚いてみせた。
ユリカとリアンに見送られ、ナギサとPGに行った。
TVルームの前で、ナギサを小窓の所に待たせて、一人で入った。
マダムとユリさんとハルカとレンがいた、マリアは寝ていた。
『マダム、かってしてごめんなさい』と真顔で頭を下げた。
「理由があるんやろ、はよ話せ」とマダムが言った。
私は座り、マダムとユリさんを見て、真剣に言った。
『マダム、ユリさん一人面接して下さい、お願いします』と頭を下げた。
「もう、冷や冷やしましたよ、来てるんでしょ今からやりましょう」と薔薇の笑顔で言った、マダムも頷いた。
私はナギサを呼び入れた、その時マダムもユリさんもハッとしてナギサを見た。
『俺が大ママの指令をさっき解いてもらったから、面接お願いします』と言って、ナギサを座らせた。
「マダム、ユリさんご無沙汰しています・・絶対に迷惑はかけません頑張ります」とナギサが土下座した。
「頭を上げて、ナギサ」と薔薇で微笑んだ、ナギサを聞いてハルカが私を見た、優しい目だった。
「許可します、条件は最初のうちは蘭に付く事、そして若手にその技術を伝授すること」とナギサを見た、ナギサは泣きながら頷いた。
「そしてあなたの紹介者に感謝して、絶対に裏切らないと誓いますか?」と最後は薔薇で微笑んだ。
「誓います、ありがとうございます、必ず何かのお役に立てるようにがんばります」ともう一度頭を下げた、私はナギサの手を握っていた。
「いつから、やりますか?」と薔薇で聞いた。
『今夜からだよ、今夜は帰れないよ・・俺の布団貸すから蘭の家に泊まってね』とナギサに言った。
ナギサは私に抱きついて、泣いていた私はこの時点でやっと安心していた。
「蘭はそういえば、今日は靴屋休みよね?」とユリさんが私に薔薇で微笑んだ。
『もうすぐ来るよ、化粧を直して髪もちゃんとしないと、蘭が泣くよ』とナギサに言って。
『ハルカ、案内頼んで良いかな?』とハルカに微笑んだ。
「もちろん」とハルカが微笑んで返して、ナギサを連れてレンと出て行った。
『マダム、ユリさんありがとうございます』と頭を下げた。
「何言ってるか、またボーナス出さんといかん女やぞ・・ナギサは」とマダムが微笑み。
「私、蘭と同じですよ、なぜ毎日がこんなに楽しいのかと、今思っています」とユリさんも薔薇で微笑んだ。
私はもう一度笑顔で礼を言って、フロアーに行った。
久美子が練習していて、私を見て微笑んだ。
『久美子、お願い・・サマータイム1回だけ』と笑顔で言った、久美子も笑顔で頷いた。
私は指定席に座り目を閉じて、久美子の弾くサマータイムを聞いていた。
マキのナギサに言った言葉が蘇り、怒りが涌いてきた。
「もう、久美子ちゃん独り占めにして~」と蘭が後から抱きついた。
『今夜は、ミノルさんとこ行くんだったね』と蘭に笑顔で言った。
「うん、どうしたの・・なんか疲れた?」と私を見て蘭が言った、私は微笑んで返した。
蘭の後ろにユリさんとマダムが来ていた。
『大丈夫だよ蘭、話しがあるからちょっと来て』と笑顔で言って、蘭の手を繋ぎ10番に行った。
『蘭、俺また蘭に黙って行動した、ごめんね』と真顔で蘭に言った、蘭は緊張して私を見ていた。
『蘭にお願いがあるの、今夜からフロアーに入る人のフォローを頼みたいの』と蘭に微笑んだ。
「何、何・・どうしたの?」と蘭が私に真顔で言った。
『やってくれる、ちゃんと受入れてやってくれる?』と蘭の顔の前に近づいて、蘭を見ていた。
「あなたの頼みなら、どんな子でもやるよ」と蘭が微笑んだ。
『じゃあ、お願い・・この人を』と振返りハルカを見た。
ハルカが頷き、銀の扉を開けた。
ナギサが立っていた、蘭を見て立ち尽くし大粒の涙を流した。
蘭はナギサを見て、やはり大粒の涙を流して。
「ばか~・・・早くここに来て!」と叫んだ涙を流し満開の笑顔で。
ナギサはその言葉に我に返り駆け出した、そして蘭も立って両手を広げた。
ナギサは蘭の胸に飛び込んで、蘭はそれを受け止めて2人で泣いていた。
私はそれを見て久美子だけを残して、全員でTVルームに戻った。
私も嬉しくてTVルームを通り越して、裏階段に行って踊場で外を見ていた。
《ユリカ・リアン・・ありがとう、蘭も喜んでくれたよ》と青空に囁いた。
PGの伝説のメンバーが全員揃った、ナギサは見せる全力の本物の姿を。
そして炎は燃え上がる、世界は広いのだと・・まだ見ぬ美しさも有ると。
蘭とナギサのコンビは一気に伝説を作る。
そのコンビネーションに、9人衆は触発されて上を目指す。
最も強い影響を受けるのが、ユメ・ウミコンビである。
【ツウィンズ】の始まりも近い、PGは失速を拒絶した。
誰も止まることを選ばない、全員がその姿でこう叫ぶ。
【人はどんな状況からでも、必ずやり直せる】と叫んでいた。
その姿が観客に乗移り、客足の絶えない日々が続いていく。
ナギサの本質が花開くのも、もうそこまで来ていた。
夜の申し子・・儚さの誘惑・・波音の囁き。
放浪の女神・・風のナギサ・・。