8
「そういえば侑…大賀と神田さんはどんな関係なんですか?」
「いつも呼んでるなら侑士でいいよ。あと俺も聡って呼んでくれてもいいからね、彼女してもらうんだから」
いやいや流石にいきなり名前呼びはハードルが高すぎませんか?!と思いながら彼女設定が継続されていることに気づく。
「…実は侑士とは古くからの付き合いなんだ。大学も一緒でね。同じ学部だし仲良かったよ」
「え、そうなんですね?!」
大学に行ってからは侑士とはお互い全く連絡を取らなくなってしまっていたため何をしていたのかも、もちろん友好関係も知らない。取引先として2人が接している時は全くそんなこと感じさせなかったし流石だなと感心してしまう。
「武藤さんに挨拶させてくれって頼んだのも僕だったんだよ。侑士からは隣の課の優秀な課長って聞いてたし。大学の頃に侑士がよく話してたのも武藤さんのことだってすぐ分かった」
「侑士がそんなことを…」
優秀と紹介してくれたことも嬉しかったが大学の頃も私の話をしていたのは驚いた。どんな話をしていたのか聞きたい気もするが侑士のいないところで聞いてしまうのはなんだか申し訳ない気がして深くは突っ込まないことにする。
「私神田さんと初めて会ったのはその時でしたよね?」
「武藤さんにとってはそうかもしれないんだけど、実は前にも会ってるんだよね」
「えっそうなんですか?!」
こんな端正な方一回見たらなかなか忘れないと思うんだけど。自分の脳のメモリをフル回転させても神田さんのことは思い出せない。
「…すみませんちょっと思い出せません」
「もちろんいいよ。過去のことは気にせず、これからの僕を知ってもらう気で来たからね」
軽く口角を上げると神田さんはコーヒーをゆっくりと飲む。それだけでも絵になってしまうなんて本当に羨ましい限りだ。
「あっそうだ、僕たちの関係のことなんだけど…」
神田さんに聞こうと思っていた話を向こうからしてくれて少しホッとした。切り出すタイミングがわからずずっと困っていたのだ。
「僕はこれからも続けて欲しいと思ってる。もちろん可能な限りで大丈夫なんだけどね。できれば一緒に参加してほしいパーティーもちょこっとあるんだ。武藤さんも必要だったら僕を利用してくれてもいいし…でも僕は本当に仲良くしたいとも思ってるよ」
侑士の友達なのだから私も仲良くなれると嬉しいという気持ちはもちろんある。私が彼女だなんて神田さんにとってメリットなんてほぼないだろうに、むしろ結婚相手を探すのに邪魔にならないだろうか。
「仕事が忙しくて相手もいないので私は全然いいんですが…私の方は親に侑士が彼氏がいると伝えてしまったみたいで。なるべく巻き込まないようにはします」
昨日も彼氏連れて来いっていきなり電話があって大変だったんですよ、と呆れたように笑うと神田さんは少し身を乗り出して私を見つめる。
「武藤さん、それ俺行くよ」
「えっ」
チュッ◯チャ◯スを食べながら作業をしているとなんだか天才ハッカーになったみたいで楽しいです
書きたいところを書いてるので超展開続きます