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 1時間後、私は家の近くのカフェでお茶をしていた。

 今日はミルクティーにしちゃおうかな。頭働かせるためにたっぷり砂糖も入れとこ。あとホットドッグとスコーンとクッキーも買っとこう。あっここのサンドイッチも好きなんだよな。まぁいけるか。今日は何も食べてなくてお腹空いてるし。

「じゃあ電子マネーでお願いします!」

 ピピッ

「えっ」

 光ったのは私の携帯ではなく後ろにいた神田さんのものだった。

 いいから先行ってて、と神田さんは後から自分の分のコーヒーも支払う。


 困惑しながらも思ったよりいっぱいになったトレーを運んでいるとコーヒーだけ持った神田さんが後ろからトレーを奪い、運び出す。

「何から何まですみません」

「いいよ、誘ったの僕だし。安いもので申し訳ないけど、ここはかっこつけさせて」




 1時間前、母との電話が終わり携帯を見ると神田さんからのメッセージが入っていた。

『おはよう。できれば直接会って今後の話をさせて欲しいからどこかで待ち合わせできないかな?カフェとかでも』

 そういえばお腹も空いてたなと思った私はカフェなら軽く準備するだけだしいいかと思い了承した。


「神田さんの私服結構カッチリしてますね」

「そりゃかっこよく見られたいしね」

 へぇ、まぁイケメンっていうのは常に誰かに見られているもんなぁ、そんなとこまで気を遣っているのか、と神田さんの大変さを憂いた。

 ちょっと違う伝わり方してるかもだけどまぁいいか、と神田さんは片眉をあげて笑う。


「はっ!そうだ昨日侑士の話するって言って完全に忘れてました!」

「すぐ帰しちゃったもんね。大方予想はつくから大丈夫だよ」

「そ、そうですか…?」

 私は神田さんに侑士の話をする。小学生からの幼馴染だってこと。大学は別だったけどたまたま入社式で一緒になったこと。実は侑士に強がって彼氏がいると言ってしまったが手立てがなく一緒に行こうと思っていたのは侑士だったこと。そして彼女と公園にいるのを見て逃げ帰ってきてしまったときに神田さんと出会ったこと。

 神田さんは時々優しい顔で笑いながら相槌を打ってくれる。本当に最近会った人とは思えないくらい心地いいなと思いながら私は一つずつ伝えていく。


「ひとつ聞いていい?」

「はい、どうぞなんでも」

「彼女といるの見て泣いたのは彼のことが好きだったから?」

 私もここは少しだけ引っかかっていたところだったが侑士は家族みたいなものだし本当に嫉妬したとかそういう感情ではないと思う。


「いや、たぶん本当に虚しかったんだと思います。彼氏がいるって強がって嘘をついた自分と、見せつけるような事をされて傷つく自分が」

「そっか。じゃあチャンスはあるんだな。それにしても武藤さんって本当に優しいよね」

 神田さんが言ってる意味がわからず、ん?と言いながら首を傾げるとにこやかに笑う。

「だってそんな見せつけるようなことされて嫌な気持ちになったのに侑士のことは絶対悪く言わないじゃん。僕だったら絶対侑士のせいにして怒っちゃうな」

「…まぁ正直そうしたい気持ちもあったんですが。でもそんなことするより私が幸せになるのが1番平和的解決かな、と」


 お門違いの怒りだしこんな事で侑士がキレられても可哀想ではあるよなと思うと私が幸せになってやればいいだけかと思い直した。

 神田さんは一瞬驚いた顔をしたが私を見つめながら笑いかける。

「そういうところ変わらないな…」

 小声で呟く神田さんの声が聞こえなくて私はもう一回お願いします、と伝えたがニコニコ微笑まれるだけでスルーされてしまった。

今の所神田さんがただただ怖い人になっていて申し訳ない…笑 これからもまぁただただ怖い人なんですが…笑

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