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6

 

 怒涛の1日だった。

 感情の起伏も激しすぎて自分の脳もついていけていない気がする。

「と、とりあえず風呂だけ入ろう…」

 そのままベッドにダイブしたい気持ちをぐっと堪えお風呂に入る準備をする。

 ドレスを脱ぎ、シャワーを浴びに行こうとしたところで携帯が鳴る。


「…侑士」

 ディスプレイに表示された名前を見て思わず呟く。今日のことは侑士は悪くないし私が確認しなかったことが1番の原因だが、だからと言って侑士と今まで通り何事もなかったかのように話せるかといえばそれは違う。

「…ごめん今日だけ。明日からはまた普通に戻るから」

 そう呟くとそっと着信音を切り携帯は裏向きに置いた。



 泥のように眠ってしまった。今日が休日で本当に良かった。起きてスマホを確認すると時刻はすでに15時だった。

「社会人になって昼まで寝てたの初めてかも…」

 時間を確認すると同時に通知が目に入る。

 侑士から2回の着信と1通のメッセージ。そして神田さんからのメッセージ。とりあえず神田さんの方を開く。

『今日はお疲れ様。本当に助かった。またよろしくね

 ちなみに明日って空いてたりする?』

 …明日かぁ。仕事だなぁ。ん??って今日のこと?!

 流石に昼過ぎに起きて準備する気になれず神田さんすみませんと思いながら素直に『メッセージ遅くなりすみません 今起きました』と打ち込んだ。


 侑士のメッセージは『着信気付いたら連絡して』という簡単なもの。もういつも通りにしようと決めていたため小さなため息をつきながら発信ボタンを押した。


「…お疲れ」

「お疲れ様!ごめん昨日帰って寝ちゃってさ~起きてから気づいた!なんかあった?」

「いや…」

 侑士にしては歯切れが悪く調子狂うな~と思いながら昼まで寝るなんて学生以来だよ~なんて話す。私はいつも通りに話すことができている気がする。どちらかというと侑士が変じゃないか?


「てか聡とはどこで?」

「あー…ほら前紹介してくれたじゃん?そこからちょこちょこ会うようになって!」

 侑士には本当のこと言ってもいいかな、とは思いながら昨日見せつけで呼び出された事をまだ(少しだけ)根に持っている私は適当に話を作って話す。あとで神田さんにはごめんなさいしておこう。

 聡って呼ぶなんて取引先なのによほど仲がいいんだな。


「聡は…「あっねぇごめん電話かかってきた!また今度話そう!じゃあね!」

 侑士が何か聞こうとしていたがタイミングよく母からの電話が入る。そういえば今日は日曜日だった。母からの電話に出ないとめちゃくちゃめんどくさいことになるためここは出ておきたかった。侑士すまん。


『ちょっと紗奈!あんた彼氏いるんだって?!』

 ……早い。あまりにも早すぎる。どこから漏れるんだそんな話。

「何どうしたのお母さん。急すぎるよ」

『昨日侑士くんから連絡あったの!紗奈にもいい人いるみたいですよって!私としては侑士くんと付き合ってくれるもんだと思ってたんだけどー』

「侑士か…」

 なぜこんなに侑士と母が仲良いのか分からないがおしゃべりな母に言われてしまったものは仕方がない。明日には親戚中に広まってそうだ。

『ねぇ今度連れてきなさい!お母さん会いたいわ!』

「えっ…いやぁまぁ予定合えばね…」

『絶対だからね!あと侑士くんにもよろしくね!』

 あまりにも母が嬉しそうで何も言えなくなる。あと上機嫌なおかげで電話がめちゃくちゃ短かった。

 そこだけは侑士に感謝をしながら、心の中で何度目か分からない神田さんごめんなさいをしたのだった。

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