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「ねえ紗奈すごい誠実な人やねえ!」
「…そうなの。か…聡さんすごくいい人よね」
いつの間にか母は神田さんへの評価が高まっているようで神田さんがトイレに行っている間にテンション高く話しかけてくる。
いつの間にか父親とも打ち解けているようで、今度一緒に将棋でも、なんて2人で笑っていた。
「しかも、侑士くんとも仲良しっていうやない?2人ともええ人やから紗奈の近くにいてくれて安心やわぁ。…でもね、お母さん本当は紗奈、侑士くんと付き合うんかなって思っとったんよ」
「…えっなんで侑士?」
「だって侑士くん紗奈に合わせて仕事選んだくらいだし、紗奈のこと好きなのかなって思ってたんやけどねぇ」
「えっ?!待ってそれどういう…」
「すみません戻りました」
神田さんが戻ってきたためお母さんとの話は中断されてしまった。侑士が私と同じ仕事を選んだってどういうこと?
「…ただいま」
混乱する頭を整理しようとしたところで妹の夏海が帰ってきた。夏海は神田さんを見て少し睨みつけたような気がした。
「…夏海?どした?」
「私侑士くんしか認めないから」
「えっ」
また侑士の話が出てきて驚く。うちの家族はみんな侑士のことが大好きすぎないか?
「ちょっと夏海、失礼やろ。紗奈の彼氏さんの神田さんよ。ごめんね神田さん、夏海侑士くんのこと大好きでね…」
「いきなり訪ねてきてびっくりしますよね、すみません。紗奈さんとお付き合いさせていただいております神田です。侑士さんとも大学の同期で仲良くさせてもらってます」
頭を下げる神田さんに夏海は一瞬怯んだような顔をした。
「…侑士くんの知り合いなの?じゃあ侑士くんはお姉ちゃんがこの人と付き合ってることも知ってるの?」
「えっ、うん…一応この間話したよ」
話したというか会場で会ったというか。そういえば侑士にまた電話するって言って電話を無理やり切ってから連絡するの忘れていたなと思い出す。
「…信じられない!お姉ちゃんってどうしようもなく鈍感でバカだとは思ってたけどここまでだったとはね!」
「えっちょっとどういうこと?!」
部屋を飛び出す夏海を全員でポカーンと見つめることしかできない。慌てて追いかけようとすると神田さんが「僕に行かせて」と私の手を掴んで制す。
「いやでも…」
「夏海さんとちょっとお話しさせてもらいたいんだ」
怒る理由もなんとなくわかるからね、と神田さんは眉を下げる。何も分かっていない私が行っても確かに火に油を注ぐだけかもしれない。
「じゃあお願いします…」
神田さんは任せて、と言いながら私の目を見てこくんと頷く。この場を立ち去る神田さんを見て本当にこんなことに巻き込んですみませんとまた心の中で謝るのだった。
バタバタしすぎて時間が取れない…5月くらいからまた忙しくなるのに今この状況でヒーヒー言ってて既に心配です。。侑士のことも心配です、、




