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プロローグ
「…なんで泣いてるんだろ」
レセプションに向かう途中で逃げ帰ってしまった私は止まらない涙を拭いながらトボトボと道を歩いていた。
これからどうしたらいいのか分からないしどうする手立てもない。戻るべきか。とにかく1つわかるのは今私が側から見たら惨めであるということ。
「はぁ……もうなんで私がこんな目に」
正直はじまりは自業自得ではあるのだが。なんとなく認めたくなくてどこかに責任転嫁できないか考えてしまう。そんなことしても無駄だし仕方があるまい。
また視界がじんわりと滲み始めたところでふるふると首を振る。何をしているんだ私は。
目の端をぐいっと手で拭うとくるっと振り返りそのまま会場へ向かう道へと向き直る。
まさかこの時から自分の人生が大きく動き出すことになるとは。今の私はまだ知らない。