小学生の蟹の話に驚く
ラジオで小学生が、自分の書いた作文を読むコーナーがある。そこで小四か五年の男の子が、作文を読んでいた。海へ行って、蟹をとってきた…という話だ。以降は記憶に基づく再現で。
『卵を持ってるメスは逃がして、オスを蟹を捕りました。虫かごに入れて持って帰りました』 ――ほほう、なるほど。女性に気を使うコンプラ重視だな。
『海水ではなく水に入れてますが、元気に暮らしてます。エサは、かつおぶしや、ザリガニのエサをあげてます』 ――なに? 海水でなくても元気なの? え? それ本当に元気? 一時的だから元気そうに見えるだけじゃないの? っていうか、エサはかつおぶしにザリガニのエサ? そうなの~!
『しばらくして、蟹が脱皮しました』 ――そうなんだあ。じゃあ、蟹は海水じゃなくても、本当に元気ってことね。けど、この後に驚きの話が…
『驚いたことに、足が一本取れてたんですが、脱皮したら足が生えてました』 ――はあ? 脱皮すると、足が元に戻るの? すげぇ…… 蟹も凄いけど、それを観察によって発見したキミも凄い!
多分、意識はしてないんだろうけど、この話、起承転結になってるのが凄いと思ったのね。
起・『蟹を拾ってくる』 承・『エサをあげる』 転・『蟹が脱皮する』 結・『足が元に戻ってる』
まず、起の導入部で、さりげないこだわりを見せて視聴者を惹きつける力がある。そして承の部分は地味なので退屈になりがちなんだけど、意外性がある話なので引っ張る力がある。そして動的な展開の脱皮! で、これがシメかと思いきや、驚きの復元能力。これで結。まったく申し分ない話だ。
小学生の作文とは思えないほど素晴らしい構成で、話を聞きながら惹きこまれた。上手いわあ、キミ将来は小説書きな。小さい頃に虫とか飼ってたけど、こんなに詳細に観察した事ないわ。キミはその観察眼だけでも、素晴らしい能力の持ち主だ! やはりリアルには、面白さがある。




