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『浮世絵ミステリー 歌麿・国芳 ヒットの謎』が面白かった!」

NHKで『浮世絵ミステリー』という番組をやっていた。取り上げたのは喜多川歌麿と歌川国芳である。このうち喜多川歌麿は、今度の大河の主役である蔦屋重三郎が売り出した浮世絵師ということで、番宣もかねての特集番組だろう。が、内容は期待以上に面白かった。逆に言うと、大河の方で歌麿や写楽がいずれ出てくるだろうが、その辺まで行くのが凄く楽しみになった。


しかし実は浮世絵と言うと、僕は北斎と広重は好きだが、美人画や役者絵にはあまり関心がなく、歌麿も国芳もほとんど知らない絵師だった。しかしこの特集を見て、実に感心した。


歌麿はそれまで、決まりきったポーズをとっていた美人画に『リアリティ』表現をもたらした人物、と言ってよかった。見返り美人っぽいポーズばかりとってる立ち姿の美人画の世界に、歌麿は『仕草』と『クローズアップ』を取り入れた。


『あらわるる恋』という絵では、女性が髪も乱れてるのに気づかず、何か嬉しそうに笑みを浮かべている。その指先は、何かをつまんだような、繊細なタッチで描かれている。恋心が思わず外に洩れてしまったのだろうか。この何気ない日常の中にある、女性の一瞬の表情を捉えた図案が実に素晴らしい。


それ以外にもの想いにふける女性や、仕事をしていて胸元がはだけてるのにも気が付かない女性など、実ににくい絵を描いている。ちらっとだけ乳首が見えてたりするのが、かえってそそる。上手い。


しかし女性名を出しちゃいかんとか、アップはいかんとか、松平定信が次々と歌麿が開発したウケる絵材を禁令にしていくのである。そして歌麿はどうしたか? 人間の女性を描いちゃいかんというなら、化物ならその範疇にはあたるまい。金太郎を育てた『山姥』を、歌麿は髪の振り乱れた妖気漂う美人として描いた。しかも、そこに子供である金太郎がいやらしく絡んでいる。


いや、やりやがったな、歌麿。という感じだ。この金太郎と山姥のシリーズはめちゃくちゃウケたらしく、30点以上あるそうだ。しかし、知恵を尽くして工夫し、権力に抗うその姿勢がいい。今まで歌麿に興味を持ったことはなかったが、俄然、興味を覚えた絵師となった。ドラマも楽しみだ。


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