『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ』がよかった!
言いたい事は、題名で終わってるんだけどね。けど、NHKの作ったこのドラマはよかった。シーズン2で、前作も見てたんだけど、今回はさらに出来がよかったように思う。前作はそれほどSF的な仕掛けのいらない作品を集めてた印象だったけど、今回はCGを多用してSF的なガジェットが満載だった。
まずは第一夜の『鉄人をひろったよ』ね。この鉄人が本当に巨大で、しかも存在感がちゃんとあった。これはCGの時代だからできる実写化で、その意味じゃ『アイアンマン』みたいなものかも。それで主演の風間杜夫さんがよかったね。なんか、その辺の人のいいおじさんの、気の抜けた感じが凄くうまかった。
せっかく鉄人拾ってるのに、奥さんは犬猫みたいな感覚で「はやく捨ててきてね」とかいう。この辺のフシギと日常が隣り合わせの感じが、実に藤子作品だ。そして鉄人を捨てに行く際に、鉄人の背中に乗って夜の街の上空を飛ぶ風間杜夫の愉快そうな表情がよかった。そう子供の頃、そんな光景を夢見たでしょ。
『アン子、おおいに怒る』はSF的な小道具は少なかったけど、元ネタは僕の大好きな短編だ。これは『エスパー魔美』の元になった小品で、このしっかりしてるんだけど、ちょっと抜けてる感じのアン子のキャラがいい。僕は魔美が凄く好きなのだが、このアン子も魅力的だ。
『いけにえ』では、ずっと空中に浮かんだままの巨大UFOが登場してた。この作品に、主人公に「キミはいけにえだ」と真実を告げて、その後、新聞で死亡記事が載る記者がいるんだけど、この役を斎藤工がやってるのに驚いた。ほんとにちょっとの出番なんだよ。けど、存在感あったなあ。
『じじぬき』の泉谷しげるは、もう「良い」を通り越して最高だった! あの頑固ジジィの感じ、今じゃあもう表現できる人が少なくなった天然記念物のような存在だ。それを泉谷しげるが、バーンとやる。よかったねえ、これは。
奥さんの原田美枝子さんが美しくて、爺さんと釣り合うのだからそれなりの歳なんだろうけど、本当にお綺麗だった。で、これなら爺さんも天国の方を選ぶ、という説得力があったね。
『旅人還る』の森山未來もよかった。これは宇宙船をがっちりCGで作っていたし、「宇宙の果て」というネタもよかった。うん。全編、素晴らしかった。