『公安捜査』を読んでみた
『公安捜査』(浜田文人著 ハルキ文庫)を読んだ。が、ちょっと内容の前に、気になる事がある。このハルキ文庫のカバーでは、浜田文人は2000年処女作『公安捜査』を発表とある。が、文芸評論家・関口苑生の解説によると、作家デビューは1996年の『殺人百萬発』(トクマノベルズ。後に全面改稿して『光る疵 天才ギャンブラー・三田一星の殺人推理』ハルキ文庫)が最初で、この時四十七歳だった、とある。
どっちが正しいのか? と思ってウィキを見ようと思ったら、ウィキのページがなかった。けど、本人のHPがあったのでそれを見てみる。それを見ると生年は1949年で、出身は高知県。96年に劇画原作『浪速梁山泊』がヒットし、以降、小説に転向。2000年に『公安捜査』と『光る疵』が並んでいる。
この人、元はフリーライターだったのだ。で、雑誌などに書いていたのだが、小説を書くようになったらしい。で、2000年に第一回の角川春樹小説賞に応募したのがこの『公安捜査』だった。これが最終選考まで残ったが、受賞はならなかった。調べてみると、この時は『夢幻郷』という題名だったぽく、筆名は変わってない。
この人、凄く力のある人で1999年の江戸川乱歩賞の最終選考に『裏切りの街 家出捜索人・賀集保』が残っている。これはその後、ハルキノベルズになっている。というような、浜田文人さんのほぼ処女作の本作なのだが――。
いや、面白かったね。会社社長の松原と、渋谷署の刑事坂東が相次いで殺される。実はこの松原は、詐欺・贈収賄などの疑惑があったにも関わらず、逮捕にまでは至らなかった。で、事件直後に警察に松原と内通していたというリストが届けられ、その中に坂東の名前もあった――
というのが発端。この二つの事件なんだが、別々の事件として捜査が始まる。主人公は渋谷署の刑事・児島。まだ若い刑事だ。――けど、裏表紙を見ると、主人公は公安警察の蛍橋、とある。どうなってるの? と思ったらダブル主役だった。蛍橋の方は、関西弁のオッサンだ。
新人賞では視点を変えない…というのが鉄則なのだけど、二人ぐらいはアリ。けど、視点が変わると読みづらいとは思った。が、これは中々面白い作品だ。




