『裏切りの島で』をめぐって
毎朝、新聞小説を読む。今、連載されているのは、塩田武士の『裏切りの島で』だ。読み始めて結構経つが、これが中々面白い。
舞台はインターネットを原則禁止にした島「久遠島」だ。最初はこのインターネットを禁止にした島の、「昭和レトロ」的な描写がなされる。いわば『三丁目の夕日』的な作品かと思いきや、さにあらず。そこにハシビロコウ(鳥)の仮面をかぶった謎のユーチューバー『シン』が現れ、各地で動画配信をしてまわり、島に混乱をもたらす。これが中々、興味深かった。
村役場職員の楓はシンを探すが、シンは逃げた挙句、女子中学生の弥生にかくまわれる。そして若い世代は皆、ネットに飢えている、という島の事実を聴かされるのだ。
そしてシンがユーチューバーとして、バズって成功し同級生たちより一躍有名人のなり金持ちになったが、周りが就職する中、自分はユーチューバーとして人気が落ち、チームも解散して途方に暮れる…という、ユーチューバーの悲哀が描かれる。こういうところの描写は、現代にタッチしてて面白かった。
で、楓は遂にシンを見つけるが、実はシンを呼んで仕掛けたのは、同僚の愛だったという事が判明する。そこでネット禁止の村政を巡り不信感を持っていた楓は、改めてシンに村の現状の取材を求める。しかしその取材の中で判ってきたのは、逃亡するシンを追った中に混じっていた反社風の男たちの存在。
実は村に反社がいるのではないか――と思い潜入するが危機的状況になる。しかしそこを屈強な男、雄一郎が救ってくれる。雄一郎の助けもあって、シンはさらに村の隠された真実――闇カジノの現場にまでたどり着くが、そこを牛耳る反社の連中に追われる。しかし雄一郎は反社の連中をなぎ倒しシンと逃亡する。この辺はほぼアクションもので、朝からハラハラしながら楽しめた。
で、実は雄一郎はネット環境がない久遠島が暴力団の隠れ家になってることを捜査に来た刑事だったことが判明。しかもシンの友人であり、久遠島へ読んだ愛は、雄一郎の妹だった!――と、ここまで進んだところで『まだ間に合う! 新章突入』と特集があったのだ。え~っ! これから新章? いや、もう終盤かと思ってたけど……。多彩な仕掛けが楽しめる一作! まだ期待!




