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『趣味どきっ! 武者小路千家』を見る

シリーズの三回、四回目でこれで終了。三回目は『炭の並べ方』。茶室にある炉の中に炭をくべてくわけだけど、この炭がやたら種類がある。面白いのは「ぎっちょう」っていう炭で、これだだけど結構メインになる炭。切り口は花みたいになっていて綺麗。多分、炭なんだけど凄い高価。


これを見てて思い出したのは、アウトドアの薪のくべ方。基本、中心部に火のつきやすい素材を置いて、その周りに細い薪、段々と太い薪を置いていく、みたいな感じ。なんでも置いて置けばいいというものではなくて、これにもテクニックがあるのだけど、茶道の炭のくべ方もこれに近いものだった。興味深いのは、この炭積みを、主がやった後に客もやることだ。それをみんなで囲んで観る。なんか不思議な世界だ。茶道ってお茶飲むだけじゃないのね。


四回目は夜の茶会で、結構、あったかいものや食事なども出て、普通イメージする茶会とはまた趣の異なるものだった。しかし通して思ったのは、とにかく細かい作法がきっちり決まっていて、それが大変だな、という事だ。その一つ一つには凄く合理性がある。その行動の生まれは多分、凄く合理的で必要性に基づいたものだ。


しかしそこでやってる人たちを見ると、どうもその所作を「なぞってる」印象になってしまう。この時に、こういう事を言う、こう振る舞う、こう移動するなど、合理性うんぬんではなく、それを後追いすることが必然の形式になっている。茶道はすっかり形式美の世界になっているのだと思った。


それはそれで奥深いものがあるかもしれないけど、僕はちょっと無理だな、とか思ったのだ。しかし終わりの方で、最も大事な濃茶を淹れた。その時に、見るからに凄い茶碗が出てきた。黒の楽茶碗で、ちょっと大ぶりだけど画面越しに見ても判るよい品だ。…とか思ってると、『一入作』とテロップが出てきた。


なにぃっ! それ樂家の人だよね、マジで? 調べたら四代目だった。生まれが1640年とある。…凄い品だ。考えてみれば楽茶碗というのは、千利休が虚飾を排する意図を込めて、敢えて無造作な造りの茶碗を尊んだのが始まりだ。僕は楽茶碗が好きで、あちこちで飾られているものを見たし、「それ風の」コーヒーカップとかぐい吞みとかを使っている。しかし、本物の迫力たるや凄いものだ。形式美は無理、とか思ってた印象が一発で吹き飛んだ茶碗だった。


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