表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

(完結)

オチをお楽しみください^_^

「アンディ、ホトケはもういい! 

何か他に機能はないの? もうちょっとこう、僕もパパも楽しくなるようなやつ!」


僕の必死の叫びが届いたのか、アンディの音は静まり動きも次第に大人しくなった。

よかった、どうやら円空仏は諦めてくれたらしい……。


「アリマスよ、他に得意な機能!」


パパと僕は、顔を見合わせて大袈裟に頷き合った。


「じゃあ、そっちにしよう。情熱も仏像も要らないから、ね」


「それは、最高ニ人生が満たサレルコト!」


僕もパパもイヤな予感がした。何だか普通のことではなさそうだったから。


「う、うん……。あのね、なんかこう、ひねりとかなくてさ、普通のことでいいんだけどな。

たとえば、美味しい料理を作るとか!」


「そうだな、まなぶ! パパたちはそれが一番嬉しいよな」


「うん、僕たちもう、多機能にこだわるのはやめたんだ」


でも、アンディは僕たちの意見を無視した。


「あんでぃのトビキリの機能! 心を盗ム機能、ツイテマス!」


うわあ! やっぱり変な機能、キタ! 


心を盗むって一体何をするんだろう? 

疑問しかなかったけど、火に油を注ぐことになりそうだから黙っていた。


すると、アンディの瞳が黒から赤色に変わり、強く輝きだした。その奥に、さっきまでなかった白いうずまきがぐるぐると回っている。


「アンディ!? 

こ、壊れちゃったの? 


パパ、アンディの目がぐるぐる……」


僕がパパを振り返ると、パパはアンディのうずまきに目が釘付けになっていた。


「ちょっ……!? パパ! パパ! なんだか目が変だよ、パパ!」


なんとパパの黒目も、渦巻きにつられてぐるぐるぐるぐる回りだした。


パパを揺さぶりながら呼びかけたけど、パパはアンディから目を離さない。

ますます、ぐるぐる回るパパの眼球。


そして……。


「アンディーーーーーーー!」


パパは雄叫びをあげ、アンディに駆け寄った。

そして、パパとアンディがひっしと抱き合う。


「え!? ええーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」


悲鳴をあげる僕に、アンディがその瞳の光を赤から黒に戻しながら叫んだ。


「見たカ、まなぶ。アンディ、催眠術機能でパパさんのココロを盗みマシタ!」


「なんだそれ! ろくな機能じゃないじゃんか!」


「サア、パパサン! 元妻のトコ今カラ行きまショウ! 

アンディと付き合ウから、お前モウ帰ってくるナと伝えにイカないと!」


パパはアンディの言うがままに「うんうんそうだねアンディそうだよね」と、デレデレの顔で頷いている。

相変わらずパパの目はまだ回っていて、ピントが合っていない。


「〝元〟妻じゃないよ、アンディ! パパとママはまだ離婚してないっつーの! 

んでもって、パパは潔白なんだから、ママはそのうち帰ってくるんだってばあ!」


僕は涙と鼻水を垂れ流しながら叫んだ。


「知ラン! デハ!」


ウィーン、ウィーンと音がして、アンディの背中からプロペラが出てきた。


プロペラは勢いよく回り、アンディとパパが抱き合ったまま宙に浮いた。

そして二人は、そのまま窓から出て行ってしまった。


「そんなあああ~~~! パパーーーー! パパーーーーーー!」


たった一人で家に取り残された僕は、抜け殻になったリボンと白い布を前に、ただただ泣きじゃくっていた。

完結です。

お読みくださり、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] わわわ! 面白かったです!
2023/11/21 21:13 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ