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1〜2日おきに連載します。
3話完結、気軽に読めます^_^
僕はまなぶ。小学四年生。今日は僕の誕生日だ。パパがでっかい荷物を抱えて帰ってきた。
「まなぶ、10歳の誕生日おめでとう! これはパパからのバースデイプレゼントだよ」
「ありがとう、パパ!」
金色のリボンをほどくと、プレゼントを包んでいた白い布がはらりと落ちた。中から出てきたのは、僕と変わらない身長のロボットだった。
「わあ、すごい! パパ、これってロボット? 何のロボットだろう」
そのロボットは、真っ白でつるつるのボディをしていた。そして、大きな黒い瞳。
「こんなロボット見たことない。とっても優しそうな顔!」
「これはね、多機能ロボットだ!」
「たきのうロボット……?」
「そうだよ、まなぶ。多くの機能があるから『多機能』。家事をやってくれるロボットは、パパも前々から欲しいと思っていたんだ。
けどこのロボットはそれに加えて、色んなことができる機能がついてるって説明だったよ。電気屋の店員さんも『イチオシですよ!』と熱心に勧めてくれてね」
「へえ、家事以外の機能も!」
実は僕の家にはママがいない。
もう三ヵ月も前の話だけど、パパの会社にパパを好きなおーえるさんがいて、その人がママに攻撃を仕掛けたらしい。それでママは怒って実家に帰っちゃったってわけ。
でも、パパは実際にはそのおーえるさんとは何にもなかったから、それをママが理解すれば、すぐにでも帰ってくるって考えてるんだって。
パパは自信満々に言った。
「全部あの娘の狂言なんだよ、まなぶ。パパも驚いたんだ」
僕の頭をぽんぽんと撫でながら。
「だから、しばらくの我慢だよ。ママはもうすぐ帰ってくるからね。だってパパは潔白で、全ては誤解なんだから」
でもパパしかいないんじゃ、ご飯は毎日ウーバーイーツかレトルトカレー。
それに部屋も散らかりっぱなし、洗濯物も間に合わない。
体育の授業がある日に、体操服が乾いてないことが続いていた。
「育ち盛りのまなぶの食事がこんなんばっかじゃよくないなあ」
そんな日々を送っていたから、家事ロボットは欲しいよね、って折に触れて言い合ってたんだ。だから、このプレゼントはすっごく嬉しい。
「ひとまず、まともなお料理が食べられるようにはなるね!」
「ママほどの腕前じゃあないだろうがなあ。ロボットはちゃんと栄養バランスとか計算して
作ってくれるから、出前やレトルトよりは身体にいいはずだよ」
「よし、早速電源を入れてみよう!」
僕はロボットの背中にあるスイッチをONにした。
ロボットの黒い瞳に光が宿り、ゆっくりと動き出した。
ウイーン、ウイーンと首を左右に振り、パパと僕の顔を交互に見てから喋りだす。
「おふたりとも、ハジメマシテ。ろぼっとノあんでぃート申シマス」
「アンディーか! よろしく、僕はまなぶ」
「まなぶクン、ヨロシクお願イシマス」
「アンディー、君は料理が作れるの?」
「ハイ、料理はモチロン、オ掃除も洗濯も家計簿をつけることもデキマス」
「そんならよかった! 今日から毎日ご飯作っておくれ」
「もちろんデス、まなぶクン」
つづく!