ひまわりのひまわり
『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』参加作品です。
キーワードは『ひまわり』です。
平仮名なのをいい事に、言葉遊びしてみました。
どうぞお楽しみください。
「ひの〜よ〜じん!」
カチカチとならす きのおとが しずかなまちに ひびく。
「やめよう ねたばこ かじのもと〜!」
「上手だぞひまわり」
おとうさんが あたまを なでてくれる。
うれしい!
もっとげんきに こえをだす!
「コードのほこりに きをつけて〜! タコあしはいせん かじのもと〜!」
「いいぞひまわり。こうして皆が気をつければ、火事は減らせるからな」
「うん!」
おとうさんとくらす このまち。
かじで なくなっちゃったら かなしいもん。
「きをつけよ〜! ストーブのうえの せんたくもの〜!」
「寝る前に〜、消そう電気もストーブも〜」
「! ひまわりもそれいいたい!」
「あぁ、いいぞ。『寝る前に 消そう電気も ストーブも』だ」
「ねるまえに〜! けそうでんきも ストーブも〜!」
「上手だひまわり」
「えへへ〜」
おとうさんにおしえてもらって いえることがふえる。
なんかうれしい!
「この『ひまわり』って、わたしのなまえと いっしょだね!」
「あぁ。『火が出ないように見回る』から『火回り』だ。ひまわりがいる事で、きっとこの町で火事で困る人が減るだろう」
「うん!」
もっともっとがんばらないと!
「ひの〜よ〜じん!」
かじが すこしでもへりますように。
かじでこまるひとが へりますように。
「そろそろ帰るかひまわり」
「うん!」
きについたひもを くびにかけると おとうさんのてをにぎる。
つめたいてが じんわりあたたかくなる。
「またあしたも ひまわりしようね!」
「あぁ、勿論だ」
うれしくなって おとうさんのてをりょうてでにぎる。
するときゅうに おおきいこえがした!
「火事だー!」
「! ひまわり!」
「うん!」
こえがしたほうに けむりがみえる!
おとうさんといっしょにはしる!
「! これは……!」
おうちが もえてる……!
「まだ中に子どもが!」
たすけないと!
「おとうさん!」
「行けひまわり! 火災制圧モード!」
おとうさんのことばで からだからこがたユニットがはなびらみたいに てんかいする!
ユニットからしょうかざいをだして ひをけしながらせいたいはんのうをさぐる……!
いた! 5さいくらいのおとこのこ!
ユニットでもちあげて きゅうしゅつ!
「ひなた!」
「おかーさーん!」
ぶじをかくにんしたら あとはしょうか!
しょうかざいで ひはすぐきえた。
「すげー……。おねーちゃん、ロボット……?」
「うん!」
ひまわりは おとうさんのつくった たいかさいようロボット。
そして
「ひまわり、見事だ。流石は私の娘だ」
「うん!」
おとうさんの じまんのむすめなのです!
読了ありがとうございます。
最初は単に言葉遊びの『火回り』でやろうかと思ったんですが、向日葵の花のイメージも加えようと捻ってみたら、こんな話になりました。
何故幼女か? 可愛いからです!
あと救助に際して窓ガラスとか割っても、幼女なら許される気がするので。
次のキーワードは『おふだ』の予定です。
よろしくお願いいたします。