⭕ コポルトを狩ろう!
──*──*──*── コポルトの生息地
マオ
「 此処がコポルトの生息地か。
岩場だな。
足場が悪いから足元に注意しながら戦う必要があるな 」
オリバー・テグンス
「 コポルトを狩るのは初めてなんです。
上手く倒せるかな… 」
マオ
「 心配するなよ!
オレが居るだろ。
コボルトより動きの遅いコポルトなんて余裕だ! 」
そんな訳で足場の悪い地形でコポルト狩りを開始した。
オリバー・テグンス
「 ──い゛ぃ゛っ!?
コポルトって意外と素早い!?
マオ師匠、動きが遅いなんて嘘吐かないでくださいよ!!
めっちゃ素早いじゃないですか!! 」
マオ
「 はぁ?
何言ってんだよ。
十分遅いだろ?
コボルトはコレより素早いんだぞ。
オリバ、まさか──、亀並みに “ 遅い ” なんて思ってないよな? 」
オリバー・テグンス
「 バリバリ思ってました! 」
マオ
「 胸張って自信満々に言うな!
この程度で “ 早い ” なんて言ってたら先が思いやられるなぁ…。
セロ、どうする? 」
セロフィート
「 マオがコポルトを弱らせて、オリバさんにトドメを刺してもらいましょう。
オリバさんには正しい剣の持ち方,正しい剣の扱い方,正しい剣術の基本と基礎を身に付けてもらいましょう。
剣技の応用が出来るようになってから再度、怪物退治の依頼を受けるとしましょう 」
マオ
「 剣を使う前に基礎体力を付ける必要があるだろ?
身体作りは一石二鳥にはいかないだろ… 」
セロフィート
「 良い品があります。
肉体強化の手助けをしてくれるサプリメントを食前に飲んでもらいましょう 」
マオ
「 セロぉ~~!
オリバにドーピングさせる気かよ… 」
セロフィート
「 人聞きの悪い事を言わないでください。
サプリメントはドーピング剤とは違います 」
マオ
「 セロが作った薬だろ? 」
セロフィート
「 薬ではなくサプリメントです 」
マオ
「 同じだろ~~! 」
セロフィート
「 違います。
サプリメントは健康を補う栄養剤──、栄養食品です 」
マオ
「 “ 剤 ” って付いてる時点でアウトだろ… 」
セロフィート
「 食事に混ぜて食べるプロテインにします? 」
マオ
「 オリバを薬漬けにすんなっての! 」
セロフィート
「 プロテインも薬ではないです。
手軽に摂取し易くする為にプロテインを凝縮した物がサプリメントです 」
マオ
「 …………怪し過ぎるぅ!! 」
セロフィート
「 怪しくないです。
ワタシが直に作ったプロテインサプリメントです。
健全な安全食品ですよ 」
マオ
「 オリバに変なもん食わすなよ… 」
セロフィート
「 大丈夫です。
身体に異常を来さない程度に調整します 」
マオ
「 そういう問題じゃないんだけど!? 」
オリバー・テグンス
「 あ、あのぉ~~?
師匠達、僕を差し置いて何の話をしてるんですか? 」
マオ
「 オリバの事だよ。
コポルトも満足に倒せないんじゃ、先が思いやられるからな。
セロと作戦会議してたんだ 」
オリバー・テグンス
「 作戦会議ですか? 」
セロフィート
「 コポルトはマオが弱らせます。
オリバさんは弱って動きが止まったコポルトにトドメを刺してください 」
オリバー・テグンス
「 分かりました!
マオ師匠、お願いします!! 」
マオ
「 オリバには1人でコブリンとコポルトを10体ずつ倒せるようになってもらうからな!
冒険者の最低ラインだって事を肝に命じろよ 」
オリバー・テグンス
「 マジですかぁ~~~~ 」
マオ
「 ほら、コポルトを倒すぞ!
準備しろ 」
オリバー・テグンス
「 は~~~い… 」
マオ
「 オリバ、気合を入れろよ!
そんなんじゃ直ぐ死ぬぞ!
無駄死にしたいのかぁ? 」
セロフィート
「 マオ、煽り過ぎです。
オリバさんにもペースがあります。
オリバさんに合った訓練計画を立てましょう 」
マオ
「 セロ…… 」
セロはオリバーに甘いなぁ。
オレにはスパルタなのにぃ!!
解せない。
マオ
「 ──よし、今ので10体目だ!
オリバ──、どうだ。
トドメは刺せたか? 」
オリバー・テグンス
「 ──はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……な……何とか…… 」
オリバーは両肩で大きく息をしている。
棍棒で叩いてフラフラしているコポルトにトドメを刺すだけの作業なのに、消耗が激しくて酷く疲れているみたいだ。
幾らなんでも疲れ過ぎだろぉ!!
マオ
「 軟弱者だなぁ~~。
やっぱ、剣を握る前に基礎体力を付けさせるべきだな~~ 」
セロフィート
「 マオはラオインダさんからどの様な訓練を受けてました? 」
マオ
「 剣を握る前に基礎体力と肉体作りがメインだったな。
ラオインダはオレが子供だからって手加減も妥協もしてくれなかったよ。
オレの目標が守護衛士だったからな 」
セロフィート
「 ではマオがラオインダさんから受けた訓練を参考にして、オリバさんに合わせた訓練計画を立てるとしましょう 」
マオ
「 コポルトも倒せたし、日が暮れる前に≪ 町 ≫へ戻れそうだな 」
セロフィート
「 オリバさん、マオと一緒にランニングしながら≪ 町 ≫を目指してください 」
オリバー・テグンス
「 はい?
ランニング……ですか?? 」
セロフィート
「 ランニングです♪
途中で歩くいたり止まったりするのは禁止です。
真面目にランニングしてください 」
オリバー・テグンス
「 えぇ~~~!?
ランニングって……僕、コポルトを倒して疲れてるんですけど!? 」
セロフィート
「 オリバさんはワタシに口ごたえの出来る立場ではない事を自覚してください。
ワタシはマオの師匠です。
マオより強いワタシに口ごたえをするなら、最低でも1人でドラゴンを討伐出来る実力者になってください 」
オリバー・テグンス
「 ひ…1人でドラゴンを討伐…… 」
セロフィート
「 マオなら1人でもドラゴン100体は軽いです。
ですね、マオ 」
マオ
「 ははは……。
オリバ、1人でドラゴン退治は最終目標にすれば良いよ 」
セロフィート
「 ドラゴンを倒せたら間違いなく女性にモテます。
望まなくてもハーレムを作れます 」
オリバー・テグンス
「 ハーレム…… 」
セロフィート
「 ランニングはハーレムへ近付く為の近道です。
近道をしたくないです? 」
オリバー・テグンス
「 近道……。
近道、したいです!!
僕、ハーレム目指してランニングしますっ!! 」
セロフィート
「 その意気です、オリバさん 」
セロの口車にまんまと乗せられたオリバーは、セロの言う通りに≪ 町 ≫を目指してランニングをする事になった。
オレもランニングをしないといけないとばっちりを受ける羽目になったけどな!!
マオ
「 セロはランニングするのか? 」
セロフィート
「 ワタシはしません。
疲れる事を態々するわけないでしょう 」
マオ
「 そうだったな。
セロだもんな…… 」
コポルトの生息地を離れて、オレはオリバーと共にランニングをしながら≪ 町 ≫を目指した。
オリバーは縺れそうな足を懸命に動かして走る。
体力が無いなりに頑張ってると思う。
掛け声を「 ハーレム 」にしている効果かも知れない。
はっきり言って「 ハーレム 」って言いながらランニングするのは恥ずかしい。
こんなの誰かに見られたら──って思うとゾッとする。
オレ、貧乏クジを引いてばっかりな気がするぅ……。
◎ 訂正しました。
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