⭕ 無属性スライムの可能性
──*──*──*── スライムの生息地
マオ
「 此処がスライムの生息地か。
何にもない広野だな。
こんな所にスライムが本当に居るのかよ? 」
セロフィート
「 広野には無属性のスライムが生息してます。
無属性のスライムは他の属性スライムと違い攻撃魔法が使えません。
その変わり便利な生活魔法を覚えさせる事が出来ます。
無属性スライムの可能性が無限大です 」
オリバー・デグンス
「 そうなんですか?
無属性スライムって冒険者達から “ 使えないスライム ” って言われていて、テイマーからも敬遠されてるスライムなのに… 」
セロフィート
「 無属性スライムを連れ歩く事を恥ずかしがる必要はないです。
笑われても胸を張り、堂々と歩いてください 」
マオ
「 オレは恥ずかしがったりしないけどな!
笑う奴には痛い目に遭ってもらうし! 」
セロフィート
「 使い魔はテムモンと違い契約者と対等な存在です。
使い魔の心を汲んで接してください 」
広野で遭遇した無属性のスライムは灰色がかった透明色をしている。
プルプルしていて、まるでゼリーみたいだ。
色が色だけに美味しそうには見えない。
セロは無属性スライムへ向かって古代魔法を発動させる。
無属性スライムの下に魔法陣が現れて、優しい虹色の光に包まれた。
セロフィート
「 契約が済みました。
これで無属性スライムはオリバさんの使い魔となりました 」
優しい虹色の光に包まれていた無属性スライムの色は、光の加減でオーロラのように綺麗な色をしている。
マオ
「 色が変わったな。
全く美味しそうには思えない色なのは変わらないけど…… 」
オリバー・デグンス
「 美味しそうに見えないって……、マオ師匠…… 」
マオ
「 物の例えだよ!
本当に食べたりしないって! 」
セロフィート
「 さて、このスライムには既に生活に役立つ便利魔法を修得させました。
不要なゴミ,解体後の臓物…等を与えれば食べてくれます。
ゴミ箱要らずで便利です 」
マオ
「 どんな便利魔法を覚えさせたんだ? 」
セロフィート
「 重量度の装備品や重たい荷物を持ち運びする時に役立つ軽減魔法、洗濯,掃除,入浴が出来ない時、汚れ物を綺麗にしてくれる浄化魔法、あらゆる体臭,汚臭,異臭を消してくれる消臭魔法、除菌,抗菌をして清潔感を保たせる清浄魔法,体力を回復させるヒール,疲労を回復させるナース,状態異常を治すエアリ,怪我や傷口を癒すキュア,暗闇を照らすライト,飲料水になる水属性のウォルタ,焚き火に必要な火属性のフレム,魚捕りに便利な雷属性のサンダラ,濡れた物を乾かすのに便利な風属性のウィンダ,竈や作業台を作るのに便利な土魔法のアーグ,熱い物を冷やしたり、保存するのに便利な氷魔法のクールド,半径5m怪物を拒絶させるバニシュ──。
取り敢えず、16種類の魔法を使えます 」
マオ
「 マジかよ、凄いじゃんか!!
無属性スライムって優秀じゃんか 」
セロフィート
「 属性魔法は戦闘では使えません。
あくまでオリバさんの生活を手助けする為のサポート魔法です。
戦闘には参加させず、スライムは魔法の鞄の中へ入れてください 」
オリバー・デグンス
「 移動する時も魔法の鞄に入れといた方が良いですか?
人混みの中に入ったらはぐれたりしそうですし… 」
セロフィート
「 迷子にはなりません。
使い魔のスライムがオリバさんから半径3m以上離れると魔法の鞄の中へ自動転移します。
マオとワタシからの餞別ですから、魔法の鞄,魔法の袋には防犯魔法を掛けてあります。
置き忘れ,スリ,置き引き,盗難,窃盗…等で魔法の鞄,魔法の袋を紛失したり,取られたりしないようになってます。
安心してください 」
オリバー・デグンス
「 そうなんですか?!
有り難う御座います!!
セロフィート師匠(////)」
セロフィート
「 オリバさん、スライムに名前を付けてください。
名前を付ければ、意思の疎通が出来るようになります 」
オリバー・デグンス
「 意思の疎通ですか?!
スライムと会話みたいな事が出来るって事ですか??
じゃあ早速、名前を付けなきゃですね!
何が良いかな?? 」
オリバーは無属性スライムに名前を付ける為に歩きながら考えている。
オレはセロに頼んで無属性スライムを抱っこさせてもらっている。
プヨプヨ,プニプニしている無属性スライムには目が付いてない。
どうやって周りを見てるんだろうな~~。
マオ
「{ セロ、このスライムは本当にオリバの使い魔になったのか? }」
セロフィート
「{ 何故です? }」
マオ
「{ 何故って……。
だってさ……オリバは人間だろ。
オリバの身に何か起きたらスライムは契約者を失うわけだろ?
その後は自由になるのか? }」
セロフィート
「{ 実はスライムとオリバさんは仮契約です。
オリバさんがスライムに名前を付ける事で、スライムがオリバさんの仮使い魔となる事を承諾する事になります。
オリバさんには内緒にしてください }」
マオ
「{ えっ、仮??
仮契約?
仮使い魔??
じゃあ、このスライムと本契約してるのは誰なんだ? }」
セロフィート
「{ 当然、ワタシです。
スライムには自分の意志でワタシの元へ転移出来るようにしてます。
オリバさんの扱いが、あまりにも酷ければ早々に見限り、逃げるように教えました。
本契約者がワタシですから、あらゆる物理攻撃も魔法攻撃も無効化します }」
マオ
「{ マジかよ…。
セロが本契約者だからスライムの安全は完全に保証されるわけだな。
それにして “ 酷い扱いされたら逃げて来い ” って…… }」
セロフィート
「{ 何事にも保険は必要です。
“ スライムが欲しい ” と言っていたでしょう }」
マオ
「{ 言ったけど…。
もしかして、オレの為に?? }」
セロフィート
「{ スライムの本契約者はワタシですけど、スライムが戻って来た時には、マオの使い魔となります }」
マオ
「{ セロぉ~~、オレの為にぃ~~(////)}」
セロフィート
「{ オリバさんが見限られるか、死ぬまで待っていてください }」
マオ
「{ お預け期間が長いな~~~ }」
セロフィート
「 オリバさん、スライムの名前は決まりました? 」
オリバー・デグンス
「 はい!
僕の姓がデグンスなので──、“ テス ” にします! 」
マオ
「 テスか。
良いんじゃないのか? 」
オリバー・デグンス
「 初めまして、テス!
僕はオリバー・デグンスだよ。
今は未だ見習い冒険者だけど、Sランク冒険者を目指してるんだ!
テスと僕は相棒だよ 」
仮使い魔:テス
『 にゅ~~ 』
オリバー・デグンス
「 ──!?
師匠! 」
今、テスが鳴きました? 」
セロフィート
「 無事に意思の疎通が出来るようになりましたね。
好感度,友情度,信用度,信頼度がバランス良く上がれば、思念で会話が出来るようになります。
テスさんの鳴き声は、契約者のオリバさんにしか聞こえません 」
オリバー・デグンス
「 そうなんですね。
テス、今から宜しく! 」
仮使い魔:テス
『 にゅにゅ~ 』
無属性スライムのテスを相棒にしたオリバーは嬉しそうだ。
生憎とオレにはテスの鳴き声は聞こえない。
本契約者のセロには聞こえてるのかな?
セロフィート
「 もう直ぐコポルトの生息地に着きます。
オリバさん、テスさんを魔法の鞄の中へ入れてください 」
オリバー・デグンス
「 はい、分かりました。
テス、魔法の鞄の中へ入ってくれるかい?
この中に入れば安全だからな 」
仮使い魔:テス
『 にゅ! 』
オリバーが声を掛けるとテスは素直に魔法の鞄の中へ入って行った。
マオ
「 セロ、魔法の鞄の中って安全なのか? 」
セロフィート
「 勿論です。
仮にオリバさんが転んで魔法の鞄の上に倒れても中身への影響はないです。
中に入っているテスさんが潰れる事もないです 」
マオ
「 そうなんだ。
良かった。
コポルトを10体倒したら冒険者ギルドに戻るのか? 」
セロフィート
「 そうですね。
日が暮れる前に切り上げて≪ 町 ≫へ戻りましょう 」
マオ
「 日が暮れる前に倒せるかな、10体も… 」
セロフィート
「 怪物を呼び寄せれば10体ぐらい余裕で倒せます 」
マオ
「 却下な~~ 」
セロフィート
「 はいはい 」
◎ 訂正しました。
痛い目に合ってもらう ─→ 痛い目に遭ってもらう