⭕ ギルドマスターからの依頼 2
オリバー・デグンス
「 セロフィート師匠,マオ師匠!
また広間があります! 」
マオ
「 地下は無駄に広間が多いみたいだな。
また空っぽの広間じゃないのか? 」
セロフィート
「 ミグリさんは広間に入らないようにしてください 」
マオ
「 セロ、どうしたんだ?
何でミグリを広間に入れないんだ? 」
広間の前で立ち止まってセロと話していると、1人で先に広間へ入って行ったオリバーの悲鳴が聞こえた。
オリバー・デグンス
「 ぎぇぇぇぇぇえええーーーーッッッ!!!! 」
マオ
「 オリバ?!
どうした、オリバぁ!! 」
オリバーの悲鳴が響き渡る広間へ足を踏み入れたオレは──、不覚にも「 うぎゃぁぁぁぁああああーーーーッッッ!!!! 」って大声で叫んでしまった!!
広間の中には大量の骸骨──白骨化した死体が積まれていた。
白骨化していない死体もゴロゴロある。
此処は死体置き場なのか??
マオ
「 な…何で…こんなに骸骨や死体があるんだよ!? 」
オリバー・デグンス
「 マオ師匠ぉ~~~!! 」
オリバーがオレに抱き付いて来る。
オリバーの勢いが強過ぎたのか、オレはバランスを崩して石床の上に倒れてしまった。
マオ
「 ──いってぇ……。
オリバ、抱き付くなよぉ!!
離れろぉ~~!
セロが見てるんだぞ、コラぁ!! 」
オリバー・デグンス
「 だっ…だって──、骸骨と死体ですよぉ!!
驚かない奴が居ますかぁ!! 」
マオ
「 だからって抱き付かなくても── 」
セロフィート
「 オリバさん、少し落ち着きましょう 」
言うや否や、セロはオレに抱き付いて離れようとしないパニクり気味のオリバーの腕をグイッと引っ張る。
オレの上にのしかかっていた邪魔なオリバーが、嘘みたいな力でヒョイッと動く。
マオ
「 セロ──、有り難な!
助かったよ(////)」
セロフィート
「 オリバさんもミグリさんと其処に居てください。
──マオはワタシ以外に押し倒されないでください 」
手を差し伸べてくれたセロに釘を刺される。
オレは被害者なのにな!!
文句を言われる筋合いはない筈だけど!?
セロに言ってやりたい。
セロから差し出された手を掴んで立ち上がると、セロがオレの耳元で「 君はワタシだけのマオだという自覚が薄いようですね 」って囁いた。
お…怒ってるのかな??
何が起きても怒らないセロが、オリバーに押し倒されたオレに怒ってるのか??
骸骨と死体の山を前にして、驚いて油断したオレが悪いってのか!?
理不尽っ!!
マオ
「 そ…それより──、何で…この広間にだけこんなにも沢山の骸骨や死体が集まってるんだよ? 」
セロフィート
「 ダンジョン化が解けた事と関係あるかも知れませんね。
武装している死体もありますし、冒険者達かも知れません。
白骨を分別します。
骨壷へ入れて回収しましょう 」
マオ
「 分別するったって、誰が誰の骨か分からないだろ。
身元も不明だしさ 」
セロフィート
「 何の為に便利魔法があると思います?
面倒な作業を楽して終わらせる為に魔法は生み出されたのですよ 」
マオ
「 そだったな…。
魔法を生み出した人──天界人は何が何でも楽をしたかったんだっけな? 」
セロフィート
「 装備品も分別します。
マオもオリバさん,ミグリさんと待っていてください 」
マオ
「 分かったよ 」
セロが古代魔法を発動させると、巨大な魔法陣が上下に出現して、骸骨や白骨死体,装備品を「 あっ! 」と言う間に飲み込んでしまった。
広間に残ったのは死体だけだ。
マオ
「 セロ、残りの死体はどうするんだ? 」
セロフィート
「 棺に入れて回収します。
死体が棺に入ると表面に死者の身元が分かるよう、文字が刻まれますす。
家族が居れば引き取ってもらいましょう 」
広間の中に空っぽの棺が次々に現れて、身元不明の死体が棺の中へ入っていく。
魔法って凄いよな。
どう見ても面倒で大変な作業がスムーズに片付けられていく。
こんなのを目の当たりにしたら、誰だって魔法を活用して楽したがるってもんだ。
死体がinした柩の上には文字が刻まれていく。
フルネーム,年齢,性別,生年月日,出生地,出身地,没年日,没齢──簡単な個人情報が柩の表面に彫られている。
個人情報が刻まれた柩は魔法陣の中へ沈んでいく。
セロフィート
「 先へ進みましょう 」
マオ
「 そだな。
此処みたいな広間が他にもあったら嫌だな… 」
セロフィート
「 魔法で回収しますし、問題ないです。
マイバイ証も何枚か見付けましたし、例え〈 疾風の蒼雷 〉の5名を見付けられずとも十分な働きはしてます。
ギルドマスターから報酬をふんだくりましょう 」
マオ
「 うわぁ~~~~容赦ないなぁ…… 」
セロフィート
「 何を言いますか。
正当報酬を頂くだけです 」
マオ
「 何で最近になって階段が見付かったんだろうな?
最近、階段が発見されたにしては古い骨が多かったように見えたし… 」
セロフィート
「 誰かが故意に地下へ続く階段を隠していたかも知れませんね。
隠し忘れた階段が他の冒険者に発見されてしまった──とか、間抜けな原因かも知れませんよ 」
マオ
「 あぁ~~、意外と有りそうな理由だな。
だけどさ、地下はダンジョン化してたじゃないか。
強い怪物だってウジャウジャしてるのに、階段を隠して独り占めする理由が分からないな 」
セロフィート
「 “ 独り占め ” とは違います。
1パーティで隠していた可能性もありますけど、冒険者ギルドには内緒にしてダンジョンを複数のパーティで共有していた線も否定は出来ません 」
マオ
「 マジかよ 」
セロフィート
「 ダンジョンを見付けても冒険者ギルドへの報告義務はないです。
隠していても罪にはなりません 」
マオ
「 そうなんだ… 」
セロフィート
「 今回の遺跡の件は、冒険者ギルドへ報告します 」
マオ
「 遺跡の地下がダンジョンじゃなくなった事と怪物も出現しなくなった事だな! 」
オレ達は綺麗になった遺跡の地下を探索し続けた。
地下は3階迄だった。
地下2階には他にも広間はあったけど、骸骨,白骨死体,死体は無かった。
地下3階は牢獄になっていて、拷問室まであった。
牢獄の中には年代を感じる古い骸骨がゴロゴロとあって、セロ以外──のオレ達は肝を冷やした。
セロが古代魔法を発動させると全ての牢獄の中に魔法陣が出現して、骸骨が魔法陣の中へ沈んでいった。
セロフィート
「 遺跡の地下探索は済みました。
地上へ戻りましょう 」
マオ
「 オリバ,ミグリ──、地上へ戻るってさ 」
オリバー・デグンス
「 やっとですか?
早くベッドで寝たいです~~ 」
ミグリ
「 キャンプしたい 」
セロフィート
「 そうですね。
今夜は遺跡の前でテントを張って休みましょう 」
オリバー・デグンス
「 えぇ~~?!
今夜は≪ 村落 ≫に戻らないんですか?!
ベッドで寝たかったのになぁ~~~ 」
セロフィート
「 明日ならベッドの上で寝れます。
遺跡の外へ転移しますよ 」
セロは転移魔法を発動させる。
魔法陣がオレ達の足下に出現して光だした。
どうせ転移するなら宿泊してる宿屋の宿泊室に転移してほしいよな!
オレは言わないけどなぁ~~~。
◎ 訂正しました。
セロに行ってやりたい ─→ セロに言ってやりたい




