⭕ ギルドマスターからの依頼 1
──*──*──*── ギルド長室
ギルドマスター、通称ギルマス。
冒険者ギルドを運営する最高責任者で、“ ギルド長 ” とも呼ばれている。
ギルドマスターに選ばれるのは、冒険者ランクSの冒険者からだと言われている。
オレ達の前にはギルドマスターが居て、立派な机の後ろにある立派な椅子に腰を下ろして座っている。
耳が長いからエルフ族かな?
エルフ族は長身で美丈夫な容姿をしている者が多いけど、≪ オオカザッシュ大陸 ≫でも同じみたいだ。
絹糸のように美しい金髪の長い髪は、首の左右から三つ編みされた髪が出ている。
胸の前で高価そうな髪飾りで留められているけど、邪魔にならないのかな?
近くで見ても男なのか女なのか性別が分からないぐらい美貌の容姿をしている。
オレのセロには負けてるけどな!!
ギルドマスター
「 突然の呼び出し、済まないね。
応えくれて感謝するよ 」
声からしてギルドマスターは男だ。
セロフィート
「 構いません。
用事が済んだ後でしたから。
用件を聞いても? 」
ギルドマスター
「 西の森に古い遺跡があるのは御存じか? 」
セロフィート
「 存じています。
〈 疾風の蒼雷 〉に関して──でしょうか? 」
ギルドマスター
「 話が早いな。
流石は噂に名高い〈 S・G 〉だ 」
セロフィート
「 買い被り過ぎです。
薬草採取をしている最中に発見した怪我人の男性が偶々〈 疾風の蒼雷 〉の1人だっただけです。
冒険者ギルドへ運んで来たのは彼等ですし 」
ギルドマスター
「 それについても礼を言わせてもらいたい。
彼の手当て迄して、此処まで運んでくれた事、心から感謝する。
有り難う 」
マオ
「 ど…どう致しまして……。
一命を取り止めてくれて良かったです… 」
見て見ぬ振りして見捨てなくて正解だったな……。
ギルドマスター
「 彼には5名の仲間が居る。
彼以外の5名の捜索を依頼したい 」
マオ
「 あの──、4名じゃないんですか?
〈 疾風の蒼雷 〉は5人パーティだって聞いてますけど… 」
ギルドマスター
「 確かに彼等は5人パーティだったが、遺跡探索の依頼を受けた後に1人メンバーを加えていたんだ 」
セロフィート
「 西の森にある遺跡周辺に残りの5名が居るかも知れないと? 」
ギルドマスター
「 〈 S・G 〉には遺跡の地下へ入り、〈 疾風の蒼雷 〉の5名を捜索してもらいたい。
今、この冒険者ギルドに〈 疾風の蒼雷 〉以上の冒険者パーティは〈 S・G 〉の貴方達しか居ないんだ 」
セロフィート
「 リスクが高い依頼ですね。
今は見習い冒険者のオリバさん,ミグリさんを抱えています。
探索依頼を受けるのは構いませんけど、捜索には時間が掛かります。
見付けれたとしても既に── 」
ギルドマスター
「 最悪の結果も承知した上で依頼をしたい。
彼等の遺体が無ければ遺品の回収だけでも構わない…… 」
セロフィート
「 薬草採取も途中ですし……困りましたね 」
セロ……全然 “ 困まってます ” って感じがしてないんだけど!!
セロフィート
「 誰でもないギルドマスターからの直々の依頼ですし、借りを作らせていただくとしましょうか。
〈 疾風の蒼雷 〉の捜索依頼を受けましょう 」
ギルドマスター
「 おぉ……引き受けてくれるか!
有り難う、助かるよ 」
セロフィート
「 早速、西の森へ向かいます。
マオ,オリバさん,ミグリさん、行きましょう 」
マオ
「 お、おぅ 」
セロフィート
「 ギルドマスター、失礼致します 」
ギルド長室のドアを開けて出ると目の前は冒険者ギルドの外だった。
セロめ、時間短縮する為にゲート魔法を使ったな!
オリバーとミグリが驚いているじゃないか!!
セロフィート
「 魔法を使いました。
人気の無い路地へ入りますよ。
遺跡へ転移します 」
マオ
「 ミグリは転移魔法は初めてだったな。
セロが転移魔法を使える事は内密にな? 」
ミグリ
「 うん……言わない 」
人気の無い路地へ移動すると、セロが転移魔法を発動させる。
魔法陣が足下に出現して光った矢先──、光が消えるとオレ達は遺跡の前に転移していた。
──*──*──*── 西の森
──*──*──*── 古い遺跡
ミグリ
「 …………凄い… 」
オリバー・デグンス
「 一瞬でしたね…。
セロフィート師匠、日が暮れるのに遺跡に入るんですか? 」
セロフィート
「 遺跡の地下に入ってしまえば、朝も夜も関係無いです。
安全地帯の結界を発動させます。
魔法陣から出ないよう注意してください 」
セロは再び古代魔法を発動させると足下に黄色と緑色が混ざった光を発する魔法陣が出現した。
セロフィート
「 オリバさん、魔法の鞄からテスさんを出してください 」
オリバー・デグンス
「 分かりました 」
オリバーが魔法の鞄からテスを出すと、セロはテスへ照明魔法を使うように指示を出す。
テスはぷるるんと体を揺らすと、セロの言う通りに照明魔法を発動させた。
セロフィート
「 今から遺跡の地下へ入ります。
テスさんを先頭にマオ,オリバさん,ミグリさんの順で進んでください。
ワタシは最後尾を歩きます 」
マオ
「 とか何とか言ってぇ──、ちゃっかり遺跡の外で待ってたりしないよな? 」
セロフィート
「 マオ、何を言いますか。
マオ “ だけ ” なら兎も角、オリバさんとミグリさんが居るのにそんな事しません 」
マオ
「 『 だけ 』を強調して言うな!
オレだけだったら、遺跡には入らないつもりかよ! 」
セロフィート
「 ちゃんと入ります。
──ミグリさん、ワタシと手を繋いで歩きましょう。
安全地帯の中に居る限り、怪物には襲われません。
安心して歩いてください 」
ミグリ
「 はい… 」
オリバー・デグンス
「 怪物に襲われないんですね~~。
良かったぁ~~ 」
マオ
「 さっさと入って〈 疾風の蒼雷 〉の5名を探そう! 」
オリバー・デグンス
「 はい! 」
ミグリ
「 うん! 」
照明魔法を使用してくれているテスを先頭にして、オレ,オリバー,ミグリとセロの順番に遺跡の地下へ入った。
──*──*──*── 地下1階
テスの照明魔法とセロの安全地帯の結界魔法のお蔭で遺跡の地下は明るく照らされて歩き易い。
階段を降りると遺跡の地下はダンジョン化していた。
今迄は何かの遺跡だった筈で、階段らしい物なんて見付からなかった筈なのに、何時から現れたのか、地下へ続く階段が現れるなんて妙な話じゃないかな?
遺跡の地下がダンジョン化してるなんて誰が思うだろう。
ダンジョンは怪物の巣窟だし、下手をしたら魔物と遭遇する事も有るかも知れない。
魔物に関しては、あまり倒したくはない。
ロードさんを慕う人間に危害を加えない魔物さん達の存在を知っているからだ。
≪ オオカザッシュ大陸 ≫にも人間に危害を加えない魔物は居るだろう。
セロは人間よりも、人間から理不尽に虐げられる最弱な魔物の味方をするからな…。
どうか魔物と遭遇しませんように!!
マオ
「 ──大分奥まで来たけど、誰も見掛けないよな。
遺品になりそうな装備品も見当たらないし…… 」
セロフィート
「 この辺で夕食にしましょう 」
マオ
「 あっ、そうだった!
セロから渡されたお弁当、未だ食べてなかったよ!
昼食を抜いてたの忘れてたな… 」
オレ達は遅い昼食と夕食にする事にした。
安全地帯の中でセロがレジャーシートや座布団を出してくれる。
皆でブーツを脱いでレジャーシートの上に上がったら、座布団の上に腰を下ろして座る。
ミニテーブルを囲むようにして座ったら、セロが作ってくれたお弁当をミニテーブルの上に置いて広げた。
セロが魔法のティーポットで紅茶を注いでくれる。
ダンジョンの中でピクニックをする事に慣れてないのか、オリバーとミグリはビクビクしている。
まぁ、幾ら安全地帯の中に居るからと言って、安心してピクニックなんて出来る程、オリバーもミグリも神経が図太くないんだろうな。
要は慣れだよ、慣れ!
──*──*──*── 2時間後
確り腹拵えを終えて、確りと休憩も終えたら、更に奥へ進む為に歩き始めた。
食事と休憩に2時間も使うぐらいだから、セロは分かっているのかも知れない。
〈 疾風の蒼雷 〉の5名は既に生きてないって事を────。
マオ
「 あっ──、階段がある!
未だ地下があるんだ? 」
オリバー・デグンス
「 えぇ~~。
下りるんですか…。
そろそろ行き止まりになってほしいんですけど…… 」
マオ
「 ダンジョンってのは階層に依って広さも違うし、環境も変わったりするんだよ。
地下が何百階も続いたりしてな 」
オリバー・デグンス
「 ダンジョンって最悪じゃないですかぁ! 」
セロフィート
「 このダンジョンは出来たばかりですし、そんなに深くないと思いますよ 」
オレ達は地下へ続く階段を下りると更に先へと進んだ。
──*──*──*──地下2階
地下には広場があって、奥には台座があった。
何の台座かは分からないけど、“ 何か ” が穴の中に突き刺さっていたんじゃないかな?
マオ
「 この穴って何の為に空いてるんだろうな? 」
セロフィート
「 剣でも刺さっていたのでしょう。
随分と古い台座です。
此処に突き刺さっていた物を〈 テフ 〉で構成しましょう 」
セロの両手の中に〈 テ
〈 テ
〈 テ
マオ
「 わぁ……結構、立派な剣じゃんか。
大剣ってヤツだよな?
重たそうな大剣だな~~ 」
セロフィート
「 試しに穴へ突き刺してみましょうか 」
そう言うとセロは穴の中へ大剣の先を入れ始めた。
大剣は真ん中まで入ると、カチッ──と音を鳴らして止
オリバー・デグンス
「 …………今、 “ カチッ ” って音がしましたよね?
何
セロフィート
「 怪物
誰かが大剣を抜いた事で怪物
大剣が抜けないよう、大剣に触
セロは大剣が突き刺さっている台座へ古代
安全地帯の結界も解除したみたいだ。
マオ
「 セロ、本
セロフィート
「 大丈夫です。
広間から出たら入室禁止の結界魔法を掛けます 」
セロに言われて早
広間から出ると通路は綺麗になっていた。
暗かったのに明るくなっていて、オドロオドロしさも不気味さも微塵も感じない。
一体何
ミグリ
「 綺麗になってる。
明るい… 」
セロが広間に結界魔法を掛けると、広間の出入り口に壁が出来た。
誰もこの奥が広場になっているなんて分からないようになった。
セロフィート
「 先へ進みましょう。
ダンジョン化も解除されたみたいです。
歩いていれば何
オリバー・デグンス
「 本
マオ
「 居
森の中に居
広場だった場所から離れて、更に先へと進んで行く。
通路が明るくなった事で、テス
怪物
ミグリはテス
テス




