⭕ コブリンを倒そう
セロの怪物を強制的に引き寄せる詩歌の効果は発動してから約60分。
1時間もの間、オリバーは剣を振り続ける羽目になった。
勿の論、オレも棍棒を振って振って振り撒くって、様々な怪物を気絶させた。
トドメをオリバーに刺させる為だ。
冒険者ギルドでは、請け負った依頼書の依頼を達成したり、冒険者ギルドが出している課題を達成すると冒険者ランクや冒険者レベルを上げる為に必要な★を貰える。
依頼者からの評価や依頼品,素材品,肉類…等の状態をギルド側が判断をして、評価に見合った★の数を貰えるんだ。
貰える★の数は1個 ~ 5個で、甲で★5個,乙で★4個,丙で★3個,丁で★2個,辛で★1個と評価に依って★の数が決まっている。
冒険者ランク,冒険者レベルを上げるのは楽な事じゃない。
冒険者ランク,冒険者レベルを1つ上げる為には★を100個、集める必要があるんだ。
冒険者ギルドが出している課題の種類は──、◯◯○怪物を何体狩かったか──、○○○怪物が落とすドロップアイテムの○○○を幾つゲットしたか──、○○○怪物の素材の○○○を幾つゲットしたか──、○○○怪物の肉を幾つゲットしたか──等々がある。
怪物を狩っても切り口の状態を見られたり、素材の状態を見られたりする。
素材や肉の状態を見て、解体の仕方を考察されたりするらしい。
様々な細かいチェックが入るから、甲評価で★5個を貰う為には、丁寧で繊細な解体技術や下処理技術を磨かないといけないんだ。
当然だけど甲評価の付けられた課題の品は高値で冒険者ギルドに買い取ってもらえるから、磨かれた技術は活きるし、努力も報われるから損はしないようになっている。
試験を受けてライセンスを習得して解体屋に転職したり、下処理屋へ転職する冒険者も居るぐらいだ。
これがまた儲かる職業なんだよな。
特に下処理屋なんてのは、解体屋,冒険者よりも遥かに儲かる職業なんだ。
下処理ライセンスを習得するのは容易じゃないから人数が少ない。
稀少な存在だから、幾らでも下処理料を吹っ掛けてぼったく──いや、ふんだくれる強い立場だったりする。
出来る事ならオリバーにも解体技術や下処理技術を伝授したいと思ってるんだけど、こればっかりは本人次第だから……。
自分でするのが面倒な冒険者なら金をケチらず解体屋,下処理屋に丸投げするもんだ。
オリバーが金をケチって──いや、節約して自分でしたがる派なのか、専門職へ丸投げして楽する派なのか、オレには分からないから無理強いは出来ない。
強制して教えたからって完璧にマスター出来る技術じゃないし、やっぱり自ら求めて欲する意欲がないと技術は身に付くもんじゃない。
解体も下処理も甲評価レベルで出来る冒険者は間違いなく女性にモテるとは思うよ?
相手を見る目が養われてなければ、都合良く利用されるだけ利用された挙げ句の果てにポイされて泥水を啜るレベルまで落ちるのがオチだろうけどな!
因みにセロとオレは解体技術も下処理技術も甲評価の★5個の常連だ!
オレの技術力なんてセロの足元にも及ばないんだけど、人間から見たらオレの技術力は神業レベルなんだとか。
だったらオレより遥かに上手いセロの腕前は何て言うんだろうな??
そんな訳で、依頼書の依頼を達成する序でに、「 冒険者ギルドから出ている課題もクリアしちゃおうぜ! 」ってな理由で、セロは強制的に怪物を呼び集める詩歌を歌ったんだとオレは思いたい。
仮に違っていたとしても、オレの中ではそういう事にしとこうと思う。
詩歌を歌い終わったセロはと言えば──、後方にて〈 テフ 〉で構成した椅子に座りながら、暢気に紅茶を飲みつつオレとオリバーが苦戦してる状況を楽しそうに観戦している。
何
マオ
「 ──セロ!!
傍観してないで手伝えよ!!
セロが呼んだ怪物
セロフィート
「 傍観ではなく、応援してます 」
マオ
「 馬鹿野郎っ!!
紅茶を片手に見てるのを “ 応援してる ” とは言わないんだよ!!
何
セロフィート
「 マオ、ワタシは吟遊大詩人です。
吟遊大詩人を戦わせると末代まで祟られます。
何
マオ
「 セぇロぉ~~~~~~!!!! 」
セロフィート
「 マオ──、オリバさんもワタシの分までファイトしてください♪ 」
オリバー・デグンス
「 セロフィート師匠って見た目に反して中身が鬼畜ぅ~~~~!! 」
セロフィート
「 誰が鬼畜ですか。
人聞きの悪い弟子
マオ
「 セロ──、もうっ、呼ぶなよ!!
絶っっっ対に呼ぶなよっ!! 」
セロフィート
「 怪物
マオ
「 ちょっ──セロ、マジで止
オレが止
セロめぇ!!
幾
殺さない程度に気絶させる加減って、めちゃんこ難
セロフィート
「 お疲れ様でした。
良
中
オリバー・デグンス
「 …………そ……それは……どうも…………はぁ……はぁ…………しんどぉ~~~~…… 」
マオ
「 セロ……、いきなり無茶させるなよ…。
未
セロフィート
「 コポルト退治は昼食
良
マオ
「 食後の運動かよ…。
──まぁ、でも、かなりのドロップアイテムや死骸が出に入ったよな。
解体したらガッポリ出来るな! 」
セロフィート
「 冒険者ギルドの課題も幾
実践経験は低くても冒険者レベルは上がります。
今後の成長が楽しみですね 」
マオ
「 成長ねぇ?
{ 使い物にならないぐらいズタボロにする気じゃないよな?
オレと違うんだから、手加減してやれよ? }」
セロフィート
「 マオ、酷いです。
{ ズタボロにはしません。
きちんと “ 使える ” 冒険者に育てましょう }」
マオ
「{ たく、オリバを何
オリバー・デグンス
「 …………師匠達、コソコソ話しないでくださいよぉ~~ 」
セロフィート
「 はいはい。
此
マオ、準備をしてください 」
マオ
「 オレかよ!! 」
セロフィート
「 お願いします。
ワタシだけのマオ♪ 」
マオ
「 セロ…。
はぁ……分かったよ。
準備すれば良
椅子に座って待ってろ 」
オレはセロの “ お願い ” を聞いて、昼食