⭕ 護衛の依頼 6
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── トーゴフ村
≪ 町 ≫を出発して、野営を2泊してした夕方、目的地の≪ 村落 ≫へ無事に到着した。
馬の調子が良かったのか、張り切って頑張ってくれたお蔭もあって、遅れを取り戻せたみたいだ。
依頼主のゴイズさん達と分かれた後、暫く滞在する為に宿屋を探した。
≪ 町 ≫の周辺しか知らないオリバーの為に、暫く≪ 村落 ≫に滞在して、冒険者ギルドの依頼を受ける予定だ。
ミグリも初めての≪ 村落 ≫が珍しいのか楽しそうにはしゃいでいる。
宿屋を決めてチェックインしたら、夕食の時間だ。
≪ 村落 ≫にある宿屋は、泊まって寝るだけのシンプルな宿屋ばかりで、食堂が付いていない。
食事をする為には酒場へ行く必要がある。
酒場は久し振りだなぁ~~。
オレは酒を飲めないけど、料理には期待したい。
──*──*──*── 酒場
食事時って事もあってか、客が多くて賑やかだ。
注文した料理の味は──、そこそこ…かな。
食材には問題はないけど、手に入る調味料や香辛料が少ないって事が関係してるのかも知れない。
何はともあれ、屋根と壁のある建物の中で食事が出来る事にオリバーもミグリも喜んでいるみたいだ。
マオ
「 セロ、明日は冒険者ギルドへ行くんだろ? 」
セロフィート
「 行きますよ。
依頼書に冒険者ギルドのスタンプを押して貰う必要がありますし 」
マオ
「 スタンプ? 」
セロフィート
「 護衛依頼では到着した目的地にある冒険者ギルドでスタンプを押して貰う決まりになってます。
到着した証になります 」
マオ
「 へぇ~~そうなんだな。
≪ 村落 ≫の冒険者ギルドに所属してる冒険者って多いのかな? 」
セロフィート
「 ≪ 集落 ≫≪ 部落 ≫≪ 里 ≫よりは多いでしょうね。
≪ 集落 ≫≪ 部落 ≫≪ 里 ≫にある冒険者ギルドには、≪ 村落 ≫の冒険者ギルドに所属している5名以上の冒険者パーティが派遣されるようになってます 」
マオ
「 冒険者にも派遣ってあるんだ 」
セロフィート
「 冒険者には活動拠点を決めないフリー冒険者と活動拠点を決めて活動する所属冒険者に分かれます。
〈 S・G 〉はフリー冒険者になります。
所属冒険者は冒険者不足で悩んでいる≪ 集落 ≫≪ 部落 ≫≪ 里 ≫へ派遣される事もあります。
派遣される冒険者は冒険者ランクB,冒険者レベル5以上と決まっています。
派遣先の冒険者ギルドで3ヵ月、依頼を受けたり治安を守ったりします 」
マオ
「 へぇ……そんな制度があるなんて知らなかったよ… 」
セロフィート
「 冒険者ギルドでは各リーダーを集めて交流会が開かれます。
情報交換をしたり、他のパーティと交流したいリーダーは交流会に参加してます 」
マオ
「 そうなんだ。
セロも参加してるのか? 」
セロフィート
「 情報を提供しに行ってます。
有力な情報を提供すると、★が5つ貰えます 」
マオ
「 マジかよ!? 」
セロフィート
「 楽をして★を貰いたい,貴重な情報を得たいリーダーは毎回参加してます 」
マオ
「 そうなんだ… 」
セロフィート
「 ≪ 村落 ≫にある冒険者ギルドは “ 派遣支部 ” としても知られています。
色んな≪ 集落 ≫≪ 部落 ≫≪ 里 ≫へ行きたい冒険者にとって派遣は好都合な制度です。
様々なサービスが受けれますからね 」
オリバー・デグンス
「 活動拠点を決めないフリー冒険者,活動拠点を決める所属冒険者,3ヵ月単位で彼此移動する派遣冒険者……。
冒険者にも色々あるんですね 」
セロフィート
「 ソロで活動するか、パーティを組んで活動するかも自由です。
オリバさんにその気があれば、≪ 王都 ≫で活躍する冒険者にもなれます 」
オリバー・デグンス
「 ≪ 王都 ≫ですか?
≪ 王都 ≫は美人が多いって聞きますもんね!
行ってみたいなぁ~~ 」
マオ
「 ≪ 王都 ≫で美人なお姉さん達を集めてハーレムを作るか? 」
オリバー・デグンス
「 えへへ(////)
それも良いですね~~ 」
ミグリ
「 ググも≪ 王都 ≫に行きたい 」
マオ
「 じゃあ、ミグリを故郷に帰す前に寄ろうな 」
ミグリ
「 うん! 」
セロフィート
「 冒険者ギルドへ寄った後は、観光しましょう。
長閑で良い場所ですよ 」
ミグリ
「 観光……したい! 」
セロフィート
「 折角ですから、皆でお買い物を楽しみましょう 」
オリバー・デグンス
「 お買い物……出費が増えるぅ~~~~ 」
マオ
「 セロが出してくれるんだから、確り楽しめ! 」
オリバー・デグンス
「 えぇ~~~。
折角借金を返し終わったのに、また作るんですかぁ~~ 」
マオ
「 オリバ…… 」
セロフィート
「 ふふふ。
今回は返済しなくて良いですよ。
お金の心配をしないで楽しんでください 」
オリバー・デグンス
「 セロフィート師匠ぉ~~(////)
有り難う御座いますぅ~~ 」
マオ
「 オリバ、泣くなよ~~ 」
4人で笑い合いながら食べると、そこそこの味付けの料理も美味しく感じる。
こういう夕食も良いよな。
セロフィート
「 折角の酒場です。
ワタシも1曲、歌うとしましょう 」
マオ
「 自由に歌っても良いんだっけ?
太っ腹だなぁ~~。
どんな詩歌を歌うんだ? 」
セロフィート
「 秘密です♪ 」
椅子から腰を浮かせて立ち上がったセロは、酒場に用意されているステージに向かって歩く。
酒場に場違い過ぎる長身の美麗人── “ 白銀の精霊 ” とも呼ばれている吟遊詩人のセロがステージの上に立つと、騒がしくて賑やかだった酒場がシン──っと静まり返った。
誰もがセロに注目していて、セロの美貌に釘付けだ。
セロは音量を調節しながら美声で詩歌を歌い始める。
何語なのかオレには全く分からないけど、セロの歌声は聴き手の心を容赦なく鷲掴む。
心を震わせたいる自覚もないのか、涙を流している事にすら全く気付かないで、セロの詩歌に聴き惚れている。
セロの歌声は──、麻薬だ。
脳ミソをトロットロに溶かしてしまうような危険過ぎる麻薬だ。
聴き手達は全員、悦ったように両目をトロぉ~~ンとさせていて焦点が合ってない。
口から大量の涎を垂れ流しながら、セロの詩歌に聴き惚れている酒場の様子は異様な光景だ。
ヤバい薬をシャブりまくって、頭がラリってスパークしてる危ない奴等の溜まり場みたいになってらぁ~~。
歌うのは勝手だけど、やり過ぎだぞぉ、セロぉ!!




