✒ 護衛の依頼 5
マオ
「 ──セロ、盗賊は確保したけど、ゴイズさん達を起こして先へ進むのか? 」
セロフィート
「 雨も止みましたし、此処で野営しましょう。
馬も体力を消耗して疲れてますし、このまま休ませます。
ワタシは馬の体を乾かします 」
マオ
「 分かった。
オリバーには周囲の見回りをさせるよ。
オレは──皆が風邪引かないように毛布でも掛けるよ 」
セロフィート
「 マオ、ミグリさんにもオリバさんと一緒に見回りをさせてください 」
マオ
「 分かった。
伝えて来るよ 」
セロに言われた事をミグリに伝える為に、ミグリが居る場所へ走る。
マオ
「 ──ミグリ、オリバと一緒に周囲の見回りをしてくれるか? 」
ミグリ
「 見回り?? 」
マオ
「 怪しい奴を見付けたら矢を射って追っ払うんだ。
出来るか? 」
ミグリ
「 したい!
する! 」
マオ
「 有り難な、ミグリ。
助かるよ。
オリバの所へ行こう 」
ミグリ
「 はい 」
何故か、やる気満々なミグリと一緒にオリバーの元へ歩く。
マオ
「 オリバ、ミグリと一緒に馬車周辺の見回りを頼めるか。
怪しい奴は斬り捨てて良いからな 」
オリバー・デグンス
「 マオ師匠──、“ 斬り捨てる ” って “ 殺せ ” って事ですか? 」
マオ
「 まぁ、そうなるな。
嫌なら此処で死ぬだけだぞ。
人間相手の戦いに慣れてて強ければ、相手を弱らせて捕らえる事も出来るだろうけど、オリバは未だそんな経験も余裕も強くもないだろ。
怪物を相手にするとは違うんだから、死にたくなければ殺られる前に殺れよ 」
なんて言ってはみるけど、本当はオリバーにもミグリにも人殺しなんてさせたくない。
だけど、相手は戦い慣れていて、人間を殺し慣れてる完全武装した盗賊だ。
近距離攻撃しか出来ない剣士のオリバーが加減なんかしてみろ、秒で殺られるだろう。
ミグリは遠距離攻撃の出来る弓使いだから、逃げる余地があるし、敵に突っ込む接近戦の剣士よりは生き延びられる確率は高い。
オリバーが敵と距離を取って攻撃の出来る特殊技や必殺技みたいな剣技でも覚えられればな…。
剣士なんだし、秘技とか奥義とか覚えれたりしないのかな?
使えた方が明らかに戦闘も楽になると思うんだけど……。
オレの産まれ故郷の≪ エルゼシア大陸 ≫では、必殺技,特殊技,奥義,秘技とかの剣技や刀技を覚えたりする事はなかった。
怪物を倒しても経験値なんて得られやしないし、ステータス画面を見ても数値なんて書かれてない。
抑LV自体が存在しないらしいからなぁ……。
だけど、この≪ オオカザッシュ大陸 ≫は≪ エルゼシア大陸 ≫とは違っていて──、冒険者登録をする必要があるけれど、怪物を倒せば経験値が得られるし、個人的なLVだってある。
ステータス画面で数値も見られて、自分の成長を確認する事も出来るみたいだ。
≪ 大陸 ≫に依って〈 大陸の法則 〉違うから〈 大陸の法則 〉と関係しているのかも知れない。
オレは別の≪ 大陸 ≫の出身者だからなのか、冒険者登録をして、怪物を倒しても経験値なんて得られないし、LVもない。
ステータス画面を見ても当然のように数値の部分は空白だ。
覚えた魔法の名前,熟練度,LV,消費する魔法力,攻撃対象範囲なんかは見れるんだけどなぁ……。
剣技も刀技も全く何にも覚えれてない。
やっぱり無いのかなぁ……。
装備する武器を変えたら剣技を覚えられるとか──、そういう便利な事にはならないのかな…。
魔族のロードさんは≪ 魔界 ≫の住人だから、LVがあったし、ステータス画面を見れば、ちゃんと数値も見れていた。
そう言えば、セロは以前──、「 地球人はLVを持ってなくて、LVを持つ陸民は存在しない 」とか言ってたよな。
だけど、≪ オオカザッシュ大陸 ≫の陸民はLVを持ってるよな……。
どうしてだろう??
なんて事を思いながら、オレは馬車の中で爆睡しているゴイズさん達の身体が冷えないように、履き物を脱がしたら丁寧に毛布にくるんであげた。
マオ
「 ──ふぅ…。
これで全員だな。
馬の食事を用意して、ゴイズさん達の朝食も作っとくかな 」
馬車から降りたオレはセロの元へ歩く。
セロは眠っている馬の体を丁寧にブラッシングしている。
マオ
「 セロは馬が好きなのか? 」
セロフィート
「 そう見えます? 」
マオ
「 見える見える。
起きたら疲れが取れてるし、体が乾いてるし、艶々になってるから吃驚するんじゃないか? 」
セロフィート
「 ふふふ。
そうですね 」
マオ
「 テスはオリバとミグリに付いててくれてるんだな。
セロ──、土魔法で竈,調理台,水場を作ってくれないかな。
朝食を作るからさ 」
セロフィート
「 朝食はワタシが〈 テフ 〉で構成します。
テントを出してますから、マオは休んでください 」
マオ
「 オリバとミグリが見張りを頑張ってるのに、オレだけ休む訳にはいかないだろ?
それに順調に行けば夕方には≪ 村落
セロフィート
「 マオ、ワタシが居
今は頑張り過ぎる必要はないです。
後
強制的に休まされたいです? 」
マオ
「 …………分かったよ。
セロに其
オレはセロが用意してくれたテントで休む事にした。
セロが何
どうしてだろう?
………………何
不安過ぎるぅ~~~~。
一抹の不安を抱えながら、オレはテントの中で仮眠を取る事にした。




