✒ 護衛の依頼 4
──*──*──*── 翌日
野営地で朝食を食べて、人数分の昼食の準備を済ませたら、テスに簡易調理台,簡易竈,簡易水場を元の土に戻してもらった。
忘れ物が無いか確認して、全員揃っているか人数の確認をしたら、馬車が動き出す。
今日の天気は昨日とは打って変わって、今朝から曇り空だ。
雨が降りださないか心配になる。
雨が降れば護衛のオレ達も馬車の中で一夜を過ごす事になる。
昼食は用意してるから良いけど、夕食の用意迄はしてない。
どうすっかな~~。
オレもセロと御揃いのポーチを腰に付けてはいるけど、中に入ってるのはセロがくれたオレ専用の空腹を満たしてくれる減らない飴玉入りの瓶,セロと御揃いの真っ白いコート,愛刀の2振り,セロがオレにくれたお小遣いの入った銭袋,魔法の袋だけだ。
食料になるような物は入ってない。
本当で、どうすっかなぁ~~。
正午になる前に曇天が増えて来て、ポツポツと降って来た。
オレはポーチの中から真っ白いコートを出して着る。
馭者と交代してオレが馬車馬の手綱を持っている間に馭者も用意していた雨具を身に付けた。
暫くするとポツポツがザァーーーという雨に変わって降りだした。
本振りにならなきゃいいけどな……。
馬車はスピードを落として進む。
雨が降っていても怪物は変わらずフィールド上を跋扈している。
セロが張ってくれている怪物除けの結界の効果のお蔭もあって、怪物は馬車に近付いて来ない。
蜘蛛の子を散らすように怪物は馬車を避けるようにして離れていく。
古代魔法の力は凄いな。
これを不浄にも使ったら良いんじゃないか?
不浄に怪物が近付けないように、怪物除けの結界を張れば良いじゃん!
オレが思い付く事を古代魔法を使えるセロが思い付かない筈がない。
セロは気付いてる筈だ。
だけど、してない。
セロは本当に不浄をどうにかする気は更々ないんだ……。
「 惑星の意思だから 」とか言ってた気もするけど……、浄化をして無くすわけじゃないんだから、怪物が近付けないように結界を張っても問題ないんじゃないか?
惑星の意思を尊重しない事が、〈 久遠実成 〉の信頼を裏切る行為になるからしないのか??
後でセロに聞いてみよう!
怪物は寄って来ないけど、餌を求めて飢えた野犬や獣は容赦なく馬車に近付いて来る。
普通の野犬や獣じゃなくて、不浄の悪影響を受けて突然変異した動物達だ。
突然変異した動物は怪物には入らないみたいだから、馬車に近付いて来たら倒さないといけない。
ミグリは弓矢を射るって倒すし、オレとオリバーは剣を振るって抗戦する。
セロは何してるのかって?
雨が降ってるから、雷魔法を使って、襲って来る動物達を丸焦げにしてくれている。
リアルな丸焦げはエグい。
丸焦げになった動物の死骸がフィールド上に横たわる光景は実にシュールだ。
トラウマもんだな。
セロがブチかました雷魔法が効いたのかは分からないけど、突然変異した動物達は恐怖に戦いたのか尻尾を巻いて逃げて行った。
きっと本能で、セロには “ 近付いたらいけない危険な存在なんだ ” って事を感じ取ったんじゃないかな?
ゴイズさん御一行もセロの雷魔法の威力にドン引きしているみたいだし……。
対象を丸焦げにして即死させるような雷魔法なんて誰も見た事ないんじゃないかな??
セロが発動させる魔法って恐ろしい威力があるもんな。
多分あれでも魔法の威力を弱める為の魔法を何十にも重ね掛けしているんだろう。
恐ろしい……。
馬車は雨の中、ゆっくりとだけど順調に進んでいる。
馬車の中で昼食を食べた。
馬車は馬を休ませる為に雨宿りが出来そうな場所を探して走るけど、雨宿りが出来そうな場所は見当たらない。
冷たい雨に打たれっぱなしの馬が可哀想に思う。
夕食も馬車の中で済ませる。
オレは飴玉があるから、食べずに取っといた昼食分の料理を空腹のオリバーへ食べさせた。
これからは余分に食料を持っとかないといけないな~~。
馬を休ませれるような場所が見付からないまま、馬車は雨の降る中、夜通し走る事になったみたいだ。
雨のお蔭もあってか、盗賊や山賊が出て来ないのは有り難いかな。
なんて思っていたのも束の間、雨が止んで夜空に月が出た。
雨が止んで心無しか馬達も喜んでいるのか足取りも軽くなってた気がする。
雨が止むのを待っていたかのように、柄の悪い奴等がワラワラと出て来た。
何処を根城にしてんのか、盗賊だろう。
盗賊に関してはセロに任せれば良い。
武装して襲い掛かって来る盗賊達に対して、セロは広範囲の睡眠魔法を発動させて、オレ達以外を眠らせてしまった。
ゴイズさん達もグッスリと眠っている。
馬車から降りたセロは、浮遊魔法を発動させると爆睡している盗賊達を1ヵ所に集めた。
オレはオリバー,ミグリと一緒にセロが出してくれた縄を使って盗賊達の両手首,両足首を縛った。
口には白い布で猿轡をした。
盗賊達の目には周りが見えないように目隠しをしている。
セロは転移魔法を発動させて盗賊達を何処かへ転移させてしまった。
護衛中に盗賊のアジトへ行くわけにはいかないから、≪ 村落 ≫に滞在している間か、帰りに寄るのかも知れないな。
◎ 訂正しました。
可愛いそう ─→ 可哀想




