✒ ミグリ、冒険者デビュー 6
──*──*──*── フィールド
──*──*──*── 安全地帯
セロフィート
「 そろそろ、第3ラウンドを始めましょう 」
マオ
「 ──はぁ?
第3ラウンドだって?
未だ怪物と戦わせるつもりかよ! 」
セロフィート
「 オリバさんとミグリさんのLVをもう少し上げましょう 」
マオ
「 マジかよ…。
レアアイテムもドロップアイテムも素材も十分の筈だろ? 」
2回目の戦闘を終えて安全地帯の中で休んでいると、セロがとんでもない事を言い出した。
セロフィート
「 次はLV1 ~ 30の怪物を呼び寄せます。
オリバさんには此処でLV30まで上げてもらいます。
ミグリさんはLV20を目指しましょう 」
ミグリ
「 ……はい!
……LV20……なりたい…です! 」
オリバー・デグンス
「 LV30ですかぁ!
…………そんなに上げれるものですか? 」
セロフィート
「 怪物を倒せば経験値は必ず得られます。
ひたすら倒してください。
怪物なら幾らでもワタシが呼び寄せます 」
オリバー・デグンス
「 セロフィート師匠って……鬼畜ですね… 」
セロフィート
「 誰が鬼畜ですか。
鬼畜を希望なら安全地帯なしで怪物と戦います? 」
オリバー・デグンス
「 ひえっ!
それだけは勘弁してくださいよぉ!! 」
マオ
「 セロ……オリバをからかうなよ…。
第3ラウンドが終わったら≪ 町 ≫へ戻って、昼食にするんだからな! 」
セロフィート
「 はいはい。
昼食を済ませたら冒険者ギルドへ行きましょう 」
そんな訳で──、ドSっ気の強いセロは意気揚々と3度目の詩歌を歌い始めた。
ランクの高いLV1 ~ 20の怪物が再び集まり出す。
怪物が出現すると、ミグリは先程と同様にLVの低い怪物を狙って矢を射る。
オリバーは自分の力だけで倒せる怪物を次々に倒して行く。
マオはオリバーが怪物にトドメを刺し易いようにLVの高い怪物にダメージを与えていく。
3人が怪物を相手に戦っている中で、セロフィートが何をしているのかと言えば、ミグリの使う弓矢の矢尻に魔法を込めていた。
怪物の属性と相反する属性を丁寧にミグリへ教えているのだ。
セロフィートがミグリに与えた弓矢の矢尻は、何度でも魔法を込める事が出来る魔鉱石が使われている特殊な矢尻だ。
セロフィートが趣味で作ったあらゆる毒を混ぜ合わせて出来上がった猛毒も矢尻には塗られている。
ドラゴンの命すらも奪い兼ねない猛毒が塗られている矢尻は、そのままでも十分にえげつない矢だが、魔法を込めれるとなると更にえげつなさが高まる。
両性種は人間よりも素質持ちが多く産まれる。
人間が10人中1人が素質持ちならば、両性種は10人中9人が素質持ちで産まれる。
殆んどの両性種の能力値は、人間よりも遥かに高くて優れている。
万能型の人間の凌ぐ超万能型の人種なのだ。
ミグリが成長すれば、間違いなくオリバーを超える事になるだろう。
セロフィートはミグリに簡単な基礎魔法を教えながら、矢尻に魔法の込め方を教える。
ミグリは素質持ちでもある為、物覚えが良く直ぐにコツを掴んでしまった。
セロフィートは満更でもないのか満足そうに微笑む。
ミグリもセロフィートの新しい玩具になりそうだ。
セロフィートはミグリが怪物に矢を当て易くする為に、地面を泥濘に変え、足下を不安定にした。
怪物のバランス感覚が狂い、次々に体勢を崩していく。
魔鉱石で出来た矢尻への魔法の込め方をセロフィートに教わったミグリは、矢尻に魔を込めると弓矢を構えて怪物に向けて矢を射る。
射った矢は外れる事無く、見事に命中する。
矢が的から外れないのは、セロフィートの魔法が能いているからだ。
ミグリは着実に怪物を倒して経験値を得ていく。
その様子を見ているセロフィートは満足そうだ。
バランスを失い体勢を崩した怪物を見て、「 チャンスだ! 」と思ったのばオリバーだ。
オリバーは泥濘に足を取られた怪物の隙を逃す事無く、トドメを次々に刺していく。
オリバーも着実に経験値を得て、LVを上げていく。
オリバーは1人でLV25の怪物を2撃で倒せる程になっていた。
鯔のつまりLV24迄の怪物迄ならば、オリバーの実力をだけで、一撃で楽々屠れるようになった──という事だ。
倒された怪物が落とすレアアイテム,ドロップアイテム,死骸は魔法陣に沈んで回収されていく。
回収する手間が省け、回収忘れも無い為、実に便利な魔法である。
レアアイテム,ドロップアイテム,素材を売れば、巨万の富を得られるのは確実であるし、間違いないだろう。




