✒ ミグリ、冒険者デビュー 5
ミグリが後ろから矢を射ってくれているお蔭もあり、オリバーが対峙している怪物がバランスを崩して隙が出来た。
このチャンスをオリバーは見逃さず、すかさずバランスを崩した怪物の急所を狙い、斬り付けて倒して行く。
セロフィートがミグリに弓矢の扱い方を教えている様子がオリバーの視界に入った。
オリバーは視界に入った光景を見て──、“ 怪物を倒すのに苦戦している自分の為に、セロフィートがミグリに援護をさせてくれているんだ! ” と思った。
安全な場所からの援護であるから、ミグリが怪物に襲われる事はないだろう。
何せ傍らには自分よりも強いマオを鍛えた剣術の師匠でもあるセロフィートが居るのだから。
マオ
「 ──大分減って来たな。
オリバ、大丈夫か? 」
オリバー・デグンス
「 はい!
何とか無事に倒せてます!
ミグリさんが離れた場所から弓矢を射ってくれて、助かってます 」
マオ
「 弓矢ぁ?
セロがさせてるのかな?
まぁ良いや。
──オリバ、別々に怪物を倒すのは止めだ! 」
オリバー・デグンス
「 はい!
正直……1人で倒すのはキツいですぅ~~ 」
マオ
「 だろうな…。
セロの奴、呼び寄せる怪物のLVを予定より高く設定したのかも知れないな。
全く……、Sっ気が強いんだから…… 」
オリバー・デグンス
「 えぇ~~?
じゃあ、LV15以上の怪物が混ざってるって事ですかぁ?! 」
マオ
「 ミグリの矢が当たり易いように、怪物の背をミグリ向けて倒すぞ! 」
オリバー・デグンス
「 分かりました! 」
マオとオリバーは怪物の背中をミグリに向くように、安全地帯を背にして怪物と対峙する。
何処からか戦闘シーン中の曲でも流れて来そうだ。
マオが加減をして怪物を攻撃し、弱った怪物をオリバー剣で斬り込み倒して行く。
1人で怪物を倒すよりも効率が良い。
LVの低い怪物はミグリの射った矢で倒されて行くし、オリバーでも1人で一撃で倒せる怪物は、オリバーに任せながらマオはオリバーが1人でも倒せない怪物を狙い、愛剣で正確に急所を狙い突き刺して行く。
高ランク怪物の数も減って来た。
そろそろ1時間になる頃かも知れない。
ラストスパートだ。
マオとオリバーの連携は中々のもので、順調に怪物を倒せている。
オリバーが安全地帯へ入る回数も減っている。
多くの怪物に止めをさせている事もあり、オリバーは実に多くの経験値を得られている事だろう。
ランクの高い怪物は同じLVの怪物よりも得られる経験値が多いのだ。
マオ
「 ──ふぅ…。
やっと怪物が居なくなったな。
オリバ、お疲れ。
1時間、良く頑張れたな。
成長ぶりが凄いぞ!
剣術も様になって来てるし、間違いなく素質あるよ 」
オリバー・デグンス
「 本当ですか、マオ師匠?!
嬉しいです(////)」
マオ
「 弟子の成長を実際に見れて、オレも嬉しいよ! 」
弟子の成長を喜んでいると、セロとミグリが安全地帯に向かって歩いて来る。
セロフィート
「 マオ,オリバさん、お疲れ様です 」
オリバー・デグンス
「 セロフィート師匠!
ミグリさん、弓矢が使えるんですね 」
ミグリ
「 ……教えてもらいました…(////)」
セロフィート
「 次はミグリさんも加えて怪物と戦闘してみましょう 」
マオ
「 次はセロも戦闘に加われよ! 」
セロフィート
「 吟遊詩人は非戦闘要員です。
戦えませんけど? 」
マオ
「 そう言うの要らないから!
防御力ダウンとか攻撃力ダウンとか素早さダウンとか──、眠らせるたり痺れさせて動きを止めるとか出来るだろうが!! 」
セロフィート
「 はいはい。
ワタシは怪物の動きを止めるとします。
マオは怪物の体力を減らしてください。
トドメはオリバさん,ミグリさんに刺してもらいましょう。
テスさんはオリバさんを応援してあげてください 」
無属性スライム:テス
『 にゅにゅ~ 』
セロフィート
「 安全地帯を広げます。
ワタシの椅子を中心にして半径3mにしましょうか。
なるべく安全地帯から離れないように戦ってください。
ミグリさんは、安全地帯の中から矢を射りましょう 」
ミグリ
「 はい…… 」
マオ
「 おい。
何で椅子を中心にするんだよ? 」
セロフィート
「 動かない物の方が良いでしょう?
椅子がないと座れませんし 」
マオ
「 座る気満々かよ! 」
セロフィート
「 魔法を使うのに立っている必要はないです 」
そう言うとセロは安全地帯の中心に自分専用の椅子を出して座りやがった。
これにはオリバーもミグリも言葉が出ないようだ。
セロフィート
「 水分不足で倒れてもいけませんから、テーブルの上にティーポットとティーカップを置きます。
喉が渇いたら遠慮せず水分補給してください 」
マオ
「 …………緊張感が無いな… 」
セロフィート
「 レアアイテム,ドロップアイテム,死骸の回収はワタシに任せて戦闘に集中してください 」
マオ
「 魔法で回収するだけだろ~~ 」
セロフィート
「 その魔法を使えるのはワタシだけでしょうに。
パーティで唯一の魔法使いを敬ってください 」
マオ
「 はぁ……。
兎に角だ、安全地帯から出ないと戦えないオリバのサポートはセロに任せるからな!
死なせるなよ 」
セロフィート
「 はいはい。
大事な弟子を死なせたりしません。
では──、怪物を呼び寄せる詩歌を歌います 」
マオ
「 セロ、LVの高い怪物は呼び寄せるなよ!
オリバが苦戦するからさ 」
セロフィート
「 はいはい。
次は気を付けます 」
マオ
「 次は??
やっぱりLVの強いモンスターも混ざってたんだな!! 」
セロフィート
「 詩歌は魔法より調整が難しいんです 」
マオ
「 吟遊大詩人を名乗ってるんだから、ちゃんと調整しろ! 」
セロフィート
「 マオは怒りんぼさん~~♪」
マオ
「 …………オリバとミグリが反応に困ってるだろ… 」
セロフィート
「 ふふふ♪
では、歌います 」
セロは椅子から腰を浮かせて立ち上がると、自慢の美声で詩歌を歌い始めた。
高ランクでLVの低い怪物がフィールド上に次々に出現する。
詩歌を歌い終えたセロが分厚い本を出すと、魔法を発動させる。
今回は杖を振らないんだな~~。
セロが発動させた魔法は雷雨だ。
どんな魔法かと言うと、ビリビリ感電する雨に打たれ続けて動けなくなる効果がある。
持続時間は分からないけど、雨が降り止まない限り、怪物は感電しっぱなしだ。
怪物にしか効かないから、オレもオリバーも雷雨の効果を受けない。
オレはトドメを刺さないように感電して動けないでいる怪物へ次々にダメージを与える。
オリバーが怪物にトドメを刺しては怪物の数を着実に減らしていく。
ミグリはLVの低い怪物を狙っては、矢を射て倒している。
ミグリの命中率は中々みたいだ。
安全地帯から背中を向けてるオレからはセロの様子は分からないけど、多分セロは椅子に座って読書でもしてるんじゃないだろうか。
なんか、そんな気がする。
雷雨が止むと、体が乾いた怪物から動き出す。
大分怪物の数は減っていて、LVの低い怪物はミグリが1人で倒し終えたみたいだ。
マオ
「 オリバ、暫く安全地帯で休んでろ。
オレは怪物を弱らせとくから、その間に水分補給してろ 」
オリバー・デグンス
「 師匠……。
有り難う御座います! 」
オリバーは息を切らせながら安全地帯へ戻って行く。
オレは1人で怪物と対峙して愛剣を振るう。
もう一回雷雨をブチかましてほしいんだけど、無理かな??
◎ カッコイイ必殺技や特殊技が1つも無かった…。
名前を考えるのが、めんどくさい。
技名を思い付く人って凄いですよね❗




