✒ ミグリ、冒険者デビュー 4
オレとオリバーは剣を構えて怪物を迎え撃つ。
右から左から怪物が襲って来る。
魔法陣の中は安全地帯になっていて、体力,疲労,怪我,状態異常を回復してくれる有り難い避難場所になっている。
オレには必要ないけど、オリバーには必要になる安全地帯だ。
オレは双剣を振るって怪物を倒す。
LV1 ~ 15の怪物がランダムで襲って来るけど、オレの敵じゃない。
オレは次々に怪物の急所を一突きして倒して行く。
手加減しなくて良いって、戦い易くて楽だな!
一方のオリバーは、怪物を楽々倒せているマオとは違い、かなり苦戦を強いられていた。
LV1 ~ 11迄の怪物は何とか倒せるもののLV12 ~ 15迄の怪物は未だ楽に倒せないでいた。
知らない技を繰り出して来る怪物が多く、技を避けるので精一杯だ。
中々怪物の急所を狙う事が難しい。
怪物は攻撃する順番を守らない。
セロフィートの詩歌を聞いて我を失い正気も失っている怪物は一切合切容赦がない。
オリバーは安全地帯へ何度も戻りながら怪物と対峙していた。
ミグリ
「 …………セロフィート様……オリバー様が……大変そうです… 」
セロフィート
「 オリバさんには未だLVが高過ぎたようですね。
この≪ 大陸 ≫では怪物を倒せば、経験値とやらが入るみたいですし、オリバさん自身のLVも上がるようです 」
ミグリ
「 ……経験値…………れべる…?? 」
セロフィート
「 この≪ 大陸 ≫で怪物を倒し、経験値を得る為には冒険者ギルドで冒険者登録をする事です。
冒険者登録をすれば怪物を倒して経験値を得られます。
冒険者登録をしていない者が怪物を幾ら倒しても経験値を得られません 」
ミグリ
「 ……ググも? 」
セロフィート
「 ミグリさんの冒険者登録は済ませています。
ミグリさんも怪物を倒せば経験値を得られます。
ミグリさん自身のLVも上がりますよ 」
ミグリ
「 …………怪物……ググにも倒せる?? 」
セロフィート
「 ミグリさんも怪物を倒したいです? 」
ミグリ
「 …………うん…。
……出来る?? 」
セロフィート
「 出来ますよ。
初心者のミグリさんにも使える武器を貸しましょう 」
ミグリ
「 ……武器…?? 」
セロフィート
「 特殊な弓矢です。
弓矢は狩猟をする為に生み出された武具です。
遠方の獲物に気付かれず、素早く獲物を仕留められる優れた狩猟道具です。
この弓矢は状況に応じ、縦向き,横向きに構えて使う事ができます。
使う矢には魔法を纏わせて射る事も出来ます。
怪物の苦手な魔法を纏わせて射れば深傷を負わせる事が出来ます 」
セロフィートは弓矢を物珍しく見詰めているミグリに手渡す。
ミグリ
「 …………軽い!
……弓矢は軽いんですか? 」
セロフィート
「 本来の弓矢は重たいですよ。
腕力の無いミグリさんには持てない代物です。
この弓矢はミグリさんにも扱えるように軽減魔法を掛けています。
玩具みたいに軽いでしょう? 」
ミグリ
「 はい!
……玩具よりも軽い…です。
重さがない…みたいです 」
セロフィート
「 軽減魔法を使うと、何でも軽く持てるようになります。
生活に役立つとても便利な魔法です。
ミグリさん、試しに矢を射ってみます? 」
ミグリ
「 ……うん!
……やってみたい…です!! 」
セロフィート
「 これが弓矢に使う矢です。
矢筒の中には矢が10本入ってます。
矢は買うと高いですから、5本になると射った矢が自動的に戻って来るようにしてます。
矢筒の底と矢に転送魔法を掛けてます。
矢を紛失したり、補充する必要がないようにしてます 」
ミグリ
「 凄い…です! 」
セロフィート
「 魔法は便利ですよ。
邪魔にならないよう、矢筒を肩から腰に掛けましょう 」
セロフィートはミグリが矢筒を肩から腰に掛けるのを手伝う。
セロフィート
「 ミグリさん、矢筒から矢を1本抜き取りましょう。
抜いた矢の長い部分──篦を溝の中へ入れます。
矢尻は溝から出しましょう。
羽根の後ろに出ている部分──矢筈の後ろに十字の窪みがあります。
窪みに弦を引っ掛けます。
弦を掛けたら矢筈を掴んで後ろへ引っ張ります 」
ミグリ
「 ……うん… 」
セロフィート
「 上手です。
試しにあの大きな怪物を狙いましょう。
的が大きいですから当たり易いですよ 」
ミグリ
「 ……はい! 」
セロフィート
「 急がず焦らず慌てず、じっくり的を見てください 」
ミグリ
「 ……はい… 」
セロフィート
「 射った後の反動を受けてバランスを崩す事は無いです。
安心して射ってください 」
ミグリは的にしている大きな怪物を確り狙い、矢を射った。
ミグリが射った矢は見事に怪物へ命中した。
急所は外したが、初めて射って命中した事が凄かった。
ミグリ
「 当たった…… 」
セロフィート
「 上手に射れましたね。
次はあの怪物を狙ってみましょう。
先程の的より少し小さいですよ 」
ミグリ
「 ……はい…! 」
ミグリはセロフィートに教えてもらいながら、怪物へ目掛けて次々と矢を射るのだった。




