⭕ ミグリ、冒険者デビュー 3
──*──*──*── フィールド
防具屋で防具を新調して、オーダーメイドも頼んだ後、≪ 町 ≫を出た。
今はフィールドに居る。
冒険者ギルドが出している課題を達成させる為に怪物を狩るんだ。
ミグリも居るから、あまり強い怪物が出現するフィールドへは行けないけど、セロが居てくれるお蔭もあって、此方が態々怪物の強いフィールドへ出向く必要がなかったりする。
セロの詩歌でLVが低くてもランクの高い怪物を大量に呼び寄せる事が出来てしまうからだ!!
ランクが高くてLVも高いとオリバーが倒せない。
だから、オリバーでも倒せるLVに調整したランクの高い怪物をセロに呼び寄せてもらうんだ!
ミグリは戦闘へは参加しないから、セロの隣でテスを抱っこした状態で立っている。
戦闘経験の無いミグリに、オレとオリバーが怪物と戦う戦闘シーンを見学させるつもりだろう。
ミグリにカッコイイ姿を見せてやりたい。
セロフィート
「 マオ,オリバさん──、準備は良いですか?
LV1 ~ 15の範囲でランクC ~ Sの怪物を呼び寄せます 」
マオ
「 何時でも良いよ! 」
オリバー・デグンス
「 僕も大丈夫です!
セロフィート師匠、お願いします! 」
セロが美声で怪物を呼び寄せる魅惑の詩歌を歌い始める。
セロの美声には幾つかの特徴があって、怪物によって効果は異なるみたいだけど、大半の怪物はでろんでろんに泥酔して何も考えられないパープーにしてしまうらしい。
聞き惚れた詩歌の言いなりになった状態で、オレやオリバーに襲い掛かって来るんだ。
以前、セロとオレはオリバーに対して、「 怪物にも守るべき社会,仲間,家族,友人が居るんだぞ 」って事を話したけど、そんな事を一切合切全く無視したような酷い詩歌だ。
「 あの言葉は何だったんだ? 」と言われて責められても文句は言えない。
セロとオレは怪物に対して、至極酷い事をしている。
でもまぁ、これも弟子を一人前の冒険者にする為だ。
オリバーを冒険者ランクD,冒険者レベル4にする為には必要な事なんだ。
完全に此方の勝手な都合なわけで、怪物には悪いけど、勘弁してもらいたい。
そうそう、冒険者レベルの最低はレベル1で、最高はレベル10だ。
オリバーが冒険者ランクDになる迄に冒険者レベル4に上げてやりたいから、冒険者ギルドが出している課題を多く達成させる必要があるわけだ。
ランクGの間にレベル9に上げて、ランクFの間にレベル7に上げて、ランクEの間にレベル5に上げて、ランクDの間にレベル3に上げて、ランクCの間にレベル1に上げる事が出来れば、ランクBからはレベル上げをする必要がなくなし、ランク上げに専念する事が出来るようになるんだ!
冒険者ランクBで冒険者レベル10の冒険者なんて中々居るもんじゃない。
ギルドマスターを通じて冒険者ギルドから優遇良くしてもらえたり、贔屓にもしてもらえるだろう。
オリバー・デグンス
「 マオ師匠は両手剣ですか? 」
マオ
「 オレは元々双剣士なんだ。
今は愛剣を使ってるけど、愛刀も2振り持ってるよ 」
オリバー・デグンス
「 えっ?!
マオ師匠って刀も扱えるんですか?!
刀剣って、1振りで城を買えちゃうぐらい高額な武器じゃないですか!! 」
マオ
「 刀で城が買えるって──。
刀の価値、狂ってないか?? 」
オリバー・デグンス
「 狂ってませんよぉ!!
本当に広い庭付きの城が買えちゃえるんですからね!! 」
マオ
「 へ、へぇ~~。
そうなんだな~~ 」
これはセロに知らせない方が良いかも知れないな。
セロの事だから既に知ってるかも知れないけど!
オリバー・デグンス
「 マオ師匠──、周辺が騒がしくなって来ましたよね? 」
マオ
「 セロの詩歌を聞いて強制的に此方へ向かって来てるんだ。
オレ達に倒される為だけにな! 」
オリバー・デグンス
「 ………………マオ師匠、セロフィート師匠と言ってましたよね?
怪物にも守るべき社会と── 」
マオ
「 皆迄言うな。
分かってるよ。
言ってる事と殺ってる事が物凄く “ 矛盾してる ” って事はさ! 」
オリバー・デグンス
「 あ……自覚はされてるんですね… 」
マオ
「 してるに決まってるだろ!
一体何れだけの数の怪物を屠って来たと思ってるんただよ!
主にオレがっ!! 」
オリバー・デグンス
「 セロフィート師匠は戦われないですもんね… 」
マオ
「 怪物のLVが低いからって油断するなよ!
ランクが高い怪物は通常の怪物よりも能力値が高くなってるからな! 」
オリバー・デグンス
「 あっ、はい!! 」
周囲がザワ付き始める。
怪物が集まって来た!
小さな怪物 ~ 大きな怪物迄、種類も様々だ。
出現した怪物全てが稀少なレアアイテムを落としてくれるランクの高い怪物だなんて、未だに信じられないけど、流石はセロだな!
怪物の意思を完全に無視して、大量の怪物がオレとオリバーに向かって襲い掛かって来た!




