⭕ お買い物タイム
──*──*──*── 武具屋
本来ならば、武器屋,防具屋,装飾屋に寄って必要な武器,防具,装飾品を買うんだけど、ランクGには敷居が高過ぎるから武具屋で買い物をする。
武具屋はそれなりに品揃えが良くて、初心者向け用に武器,防具,装飾品が売られている。
初心者向けを売りにしている事もあって、値段もかなり良心的だったりする。
まぁ、それには “ それなりの理由 ” ってヤツがあって、誰かが使っていた中古品を取り扱ってるんだよな。
使い込まれていてるから安値で買えるって訳だ。
店側からすると、要らない中古品をお金と交換して、代わりに処分してもらってる──って事だ。
良い商売してるよな!
マオ
「 本当は新品が良いんだけど、慣れる迄は中古品を使うと良いよ。
セロ──、この鎧はどうかな? 」
セロフィート
「 オリバさんには重たいです。
負担になりますね。
軽減魔法が使えれば問題ないですけど── 」
オリバー・デグンス
「 あの~~、セロフィート師匠。
軽減魔法って何ですか?? 」
セロフィート
「 武器も防具も材料となる素材に寄って重さが異なります。
重たいと動き難くなりますね。
そうならない為に武器,防具の重さを軽減させる便利な魔法があります。
それが軽減魔法です。
覚えていると便利ですよ。
汚れを消す浄化魔法、臭いを消す消臭魔法、除菌,抗菌をする清浄魔法は重宝します。
最低でも体力を回復するヒール,疲労を回復させるナース,怪我や傷を癒すキュア,状態異常を治すエアリも覚えると良いです。
暗闇を照らすライトも便利ですね 」
オリバー・デグンス
「 あ、あのぉ~~~。
僕は剣士なので魔法は使えないんですけど…… 」
セロフィート
「 スライムに覚えさせれば良いです 」
オリバー・デグンス
「 は?
スライム…ですか??
いゃいゃいゃいゃ、僕は剣士ですよ!
テイマーじゃないんですから、怪物をテイムするなんて出来ませんよ!! 」
セロフィート
「 テイムではなく使い魔として契約します 」
オリバー・デグンス
「 使い魔??
テイムと違うんですか? 」
セロフィート
「 怪物を使役するのは同じです。
テイムされた怪物はテムモンとなり、テイマーの相棒として戦闘に参加出来る戦闘要員として役に立ちます。
使い魔は非戦闘要員なので戦闘には参加出来ません。
日常生活に役立つので常に守ってあげてください 」
オリバー・デグンス
「 戦闘に参加出来ないって事は1人で戦うんですか?
キツいんですけど…… 」
セロフィート
「 サポータが居ると楽ですよ。
テムモンは主人が死んでも生きてますけど、使い魔は主人が死ぬと共に死にます。
一蓮托生です 」
オリバー・デグンス
「 本当ですか!?
…………考えさせてください…… 」
セロフィート
「 オリバさんに拒否権はないです。
ワタシからの餞別です。
有り難く受け取ってください 」
オリバー・デグンス
「 餞別って押し付けられるものでしたっけ?? 」
マオ
「 それなら重たくて丈夫な鎧も買っとくか? 」
セロフィート
「 必要ないです。
ブーツ,肘宛,膝宛も見ましょう 」
マオ
「 鎧より胸当てにした方が良いかな?
マントも要るよな?
防水効果があって、寒さを防げる厚手のマントが有れば良いんだけど…… 」
セロフィート
「 これからの季節を考えて爪先の冷えないブーツが良いですね 」
マオ
「 悴んで剣を握れなくならないようにグローブ式の小手も要るよな? 」
セロフィート
「 頭に受けるダメージを軽減させる防具と首を守る防具も必要です 」
オリバー・デグンス
「 あっ、あのぉ~~師匠達……。
そんなに買い揃える必要があるんですか? 」
セロフィート
「 中古品ではありますけど、その軽装でフィールドへ出るよりはマシです 」
マオ
「 そうだぞ、オリバ!
何度も言うけど、これは必要最低限の装備だからな。
“ 必要最低限 ” って事を忘れるなよ。
オリバ──、この肘宛と膝宛を試しに装備してみろ。
状態は良さそうだけど実際に身に付けてみないと身体に合うか分からないからな 」
オリバー・デグンス
「 分かりました… 」
オリバーはオレから受け取った肘宛と膝宛を受け取ると不服そうな顔をしながらも身に付けてくれた。
マオ
「 一寸動いてみろよ。
付け心地は、どうだ? 」
オリバー・デグンス
「 う~~~ん、悪くは無いと思います。
ベルトで調整するんですよね?
イケると思います 」
マオ
「 そうか?
なら、買いだな。
此方のグローブ式の小手も付けてみろよ。
掌と指の部分に滑り止めが付いてるんだ。
柄も握り易いと思う 」
オリバー・デグンス
「 ……………………ん~~~確かに握り易いですね。
何かの拍子に柄が飛んでき難いかも知れません 」
マオ
「 手に馴染んでるか?
サイズは合ってるか? 」
オリバー・デグンス
「 大丈夫っぽいですね 」
マオ
「 じゃあ、それも買いだな 」
セロフィート
「 オリバさん、耳当て付きの皮の帽子です。
被ってみてください。
首にはコレを。
無いよりはマシです 」
オリバー・デグンス
「 は、はい…… 」
オリバーはセロから手渡された耳当て付き皮帽子と皮の首宛を素直に身に付ける。
胸当て,肘宛,膝宛以外は革製品だけど、仕方無いかな。
本当は胸当てと同じ素材の兜にしたいけど、いかせん重たい。
両腕や両足にも付けさせてやりたいけど、オリバーは身体作りをしてなさそうだしなぁ……。
重たくなると動きも遅くなるからな…。
セロフィート
「 ブーツはコレにしましょう。
オリバさん、マントを付けてください 」
オリバー・デグンス
「 はい… 」
オリバーはマントを身に付ける。
店内に設置されている姿見で全身を見たオリバーの顔が歪んで見えたのは、オレの気の所為じゃなかったみたいだ。
オリバー・デグンス
「 な゛っ……何ですかっ、コレぇっ!?
カッコ悪いじゃないですかぁ!!
ダッサいんですけどぉ!!」
セロフィート
「 オリバさん、先ずは見た目より命を重視してください。
オリバさんは未だ見習い冒険者です。
経験と実力を兼ね備えたCランク冒険者とは違います。
自分が底辺のGランク冒険者である自覚と認識を持ってください 」
オリバー・デグンス
「 うぅ……耳が痛い~~ 」
あぁ~~……1番言われたくない相手から言われちゃったなぁ……ははは……。
まぁ、オリバーはセロの正体を知らないからな…。
マオ
「 地道に冒険者レベルを上げような。
怪物は倒してナンボだからさ! 」
オリバー・デグンス
「 はい…… 」
セロフィート
「 オリバさん、武具代も出世払いしてもらいますね 」
オリバー・デグンス
「 はい……。
有り難う御座います… 」
オリバーは今にも泣きそうな顔をしている。
う~~~ん、大事な命を軽視した軽装でフィールドに出ない方が良いんだけどなぁ…。
ぺーぺーの見習いだもんな。
命を懸けた真剣勝負をしないと武具の必要性が分からないのかも知れない。
セロフィート
「 必要最低限の武器,防具,装飾品も買い揃いました。
フィールドへ出て怪物と遭遇してみましょう 」
マオ
「 いよいよだな! 」
武具屋を出たセロ,オリバー,オレは、フィールドへ出る為に出入り口へ向かって歩き出した。
◎ 訂正しました。
非戦闘員 ─→ 非戦闘要員