✒ 森の中はデンジャラス 6
マオ
「 それで──、結局の所だ、彼奴等は何だったんだよ? 」
オリバー・デグンス
「 …………僕が見習い冒険者デビューした頃に御世話になっていたパーティに居た冒険者です…。
その頃の彼奴等も僕と同じで見習い冒険者でした。
僕より早く…メキメキと頭角を現して御世話になったパーティから独立したみたいです… 」
マオ
「 見習い冒険者だったのか。
あれで…… 」
オリバー・デグンス
「 見習い冒険者と言っても僕より歳上で……確か18,19ぐらいです 」
マオ
「 ふぅん?
同期でも年齢はオリバーより上なんだな。
──で、何で森の中に居たんだ?
森関連の依頼書は全部オレが剥がした筈だけど? 」
オリバー・デグンス
「 それは……僕が “ 大量に依頼を受けた ” って事を知って、態々手柄を横取りしに来たみたいです…。
キャンプ地が荒らされて汚されていたのは、依頼を受けた僕が “ 依頼書を持っている ” と思っていたからみたいで──。
僕を木に縛り付けてから依頼書を探していました。
どんなに探しても見当たらなかったので──、師匠達が戻って来る迄、テントに入って好き勝手していたみたいで…… 」
マオ
「 依頼書の横取りか。
そん事をする奴が未だに居るんだな 」
セロフィート
「 抑冒険者ギルドから禁止されてませんし。
自分で依頼を受けて達成させるより、他人が達成させた依頼書を横取りして提出する方が楽に★を集められます。
ふふふ…。
懐かしいですね、マオ 」
マオ
「 そうだな~~。
新座者だった時は、色んな冒険者達から目を付けられたもんだよな。
全員、半殺しにしてやったけどさ 」
セロフィート
「 今後もあるでしょうし、依頼書はオリバさんに持たせない方が良いですね 」
マオ
「 だな…。
それにしても、オリバのバックに〈 S・G 〉が居るって事を知らないのか? 」
オリバー・デグンス
「 知らなかったみたいです…。
抵抗はしましたけど……、言わなかった僕も悪かったです… 」
マオ
「 まぁ…済んだ事は仕方無いよ。
他人様のキャンプ地を好き放題に荒らして汚した彼奴等には、相応の罰を受けてもらう事にしたしな!
セロ、何時迄お仕置きするんだ? 」
セロフィート
「 ずっとです 」
マオ
「 ずっと?
助けたりしないのか? 」
セロフィート
「 はぁ?
助ける必要あります?
死ぬ迄あのままです 」
マオ
「 …………だな…。
セロの言う通りだ… 」
セロフィート
「 マオは助けたいです? 」
マオ
「 セロに助ける気がないなら、オレは口出ししないよ… 」
此処でセロの機嫌を損なうような事を態々する必要ないよな!
うん──、セロが「 助けない 」って言うなら、オレは何も言わないぞ。
マオ
「 彼奴等の事は忘れよう!
──オリバ、この子はミグリだ。
彼奴等が何処からか連れて来たみたいなんだ 」
オリバー・デグンス
「 彼奴等がキャンプ地へ来た時には7名しか居なかったです。
緑色の肌をした彼女は居ませんでしたよ 」
マオ
「 居なかった??
どゆこと? 」
セロフィート
「 麻袋にでも入れて運んで来たのではないです? 」
マオ
「 麻袋ぉ? 」
オリバー・デグンス
「 あっ──、それなら僕も見ました!
ゼインカが麻袋を担いでいました! 」
セロフィート
「 ミグリさんが入れられていた麻袋は──、これでしょうね 」
マオ
「 見覚えのない麻袋だな。
──結構デカいじゃん。
確かにこれならミグリも入りそうだ。
麻袋に入れて運ぶなんて酷い事するよ!
全く、人拐いじゃないかよ!
冒険者は人拐い迄するのか? 」
セロフィート
「 彼等が所持していた依頼書の中には、両性種を拉致,誘拐する内容はなかったです。
ミグリさん、彼等とは何処で会ったのか覚えていますか? 」
ミグリ
「 …………見世物小屋…です。
ググは……見世物小屋に居ました。
ググは……あの人達に買われました… 」
マオ
「{ セロ、“ ググ ” って何だ? }」
セロフィート
「{ 両性種が使う一人称の類いでしょう。
僕,俺,私…だと思えば良いです }」
マオ
「{ そっか。
〈 器人形 〉の “ アチ ” みたいなもんだな }」
セロフィート
「{ そうですね }」
マオ
「 ミグリは見世物小屋に居たのかよ。
緑色をしてたから珍しかったのかな? 」
ミグリ
「 …………はい…。
亜人種も……沢山居ました。
人間の子供も沢山…… 」
マオ
「 それって奴隷商じゃないかな?
奴隷商なら人間の子供も亜人種も居るからな。
奴隷を見世物にしてるのは、買い手に “ 大金を叩いてでも買う価値のある珍しい奴隷が居る ” って事をアピールする為かな。
本当の見世物小屋なら、亜人種は居ても人間の子供は居ない筈だよ。
珍しい動物,獣,怪物が檻に入れられて見世物になってる筈だしな 」
ミグリ
「 …………奴隷商…?? 」
マオ
「 ミグリは奴隷商を知らないみたいだな。
結果的に稀少な種族の両性種を保護する事が出来た訳だし、ミグリを買い取った彼奴等には感謝しないとなだな~~ 」
セロフィート
「 それはそれ、これはこれです。
無断でキャンプ地を荒し、好き勝手し放題の末、乱して汚した事は許されせません 」
マオ
「 だよな~~~!
セロの言う通りだと思うよ! 」
オリバー・デグンス
「 マオ師匠…。
──えぇと……ミグリさん?
ミグリさんが居た場所には、ミグリさんと同じ全身緑色の人は居なかったんですか? 」
ミグリ
「 ……ググだけ……でした 」
マオ
「 他の誰かに買われたとかは? 」
ミグリ
「 ……ググが来た時は、両性種はググだけ……でした。
ググが…来る前は知らない……です 」
マオ
「 そっか。
旅の道中にミグリの仲間を見付けたら、助け出して保護してやらないとだな。
故郷に送り届けてやらないとだし 」
ミグリ
「 …………ググは故郷に帰れる……ですか? 」
セロフィート
「 勿論です。
両性種は稀少な種族です。
存在を隠してでも悪しき者達から守る必要があります。
旅をしながらミグリさんの仲間を探しつつ、故郷を目指しましょう 」
ミグリ
「 ……はい…(////)」
セロフィート
「 マオ、オリバさんと夕食の準備をしてください。
ワタシはミグリさんの身支度を整えます 」
マオ
「 確かに、何時迄もボロボロの格好で居る訳にはいかないもんな。
夕食の準備は任せろ!
オリバ、手伝えよ 」
オリバー・デグンス
「 はい、マオ師匠!
今晩は何を作るんですか? 」
マオ
「 ボジロ鹿の肉を浸かったハンバーグだよ 」
オリバー・デグンス
「 ハンバーグですか!
チーズ──、チーズ入れましょうね!! 」
マオ
「 オリバのハンバーグにだけ入れてやるよ 」
オリバー・デグンス
「 有り難う御座いまぁ~~す♥️ 」
チーズ入りハンバーグは、オリバーの大好物だからな。
くどくないアッサリとしたチーズを入れてやろうと思う。




