✒ 伝説は隠蔽と捏造で出来ている
──*──*──*── ロブグルーの生息地
マオ
「 へぇ~~、此処がロブグルーの生息地か。
ガチで水辺だな。
動く度に水が跳ねるな。
雷魔法が使えたら秒で感電死させれるのにな~~ 」
オリバー・デグンス
「 感電死……ですか? 」
マオ
「 死ぬかどうかは分からないけど、感電すれば痺れるだろ?
動けない間に倒しちゃえば良いから楽だし 」
オリバー・デグンス
「 良いですね、魔法って!
剣士じゃなくて魔法騎士を目指せば良かったかな… 」
マオ
「 魔法騎士ぉ?
魔法剣士じゃなくてか? 」
オリバー・デグンス
「 魔法剣士って語呂が悪いじゃないですか。
魔法騎士の方が格好良くないですか! 」
マオ
「 オリバの基準は “ 格好良さ ” なのか? 」
オリバー・デグンス
「 当たり前じゃないですか!
格好良くないと異性にモテないですし、異性にモテなければ、ハーレムは実現しませんよ!! 」
セロフィート
「 オリバさんはレイアード・ノルジェを目指してます? 」
マオ
「 誰だよ、そいつ 」
セロフィート
「 レイアード・ノルジェはあらゆる種族の異性を虜にした伝説のハーレムキングと呼ばれている魔法騎士です 」
マオ
「 あらゆる種族の異性を虜にした?? 」
オリバー・デグンス
「 そうなんです!!
レイアード・ノルジェの男の中の男なんですよ!!
セロフィート師匠の美貌には劣りますけど、レイアード・ノルジェも相当な美男子で、誰もが憧れる格好良い魔法騎士だったと伝えられています! 」
マオ
「 へ、へぇ~~~。
結局は顔なんだな… 」
セロフィート
「 その情報は正しくないです。
質の悪い隠蔽と捏造です。
実物のレイアード・ノルジェは美男子でもなければ、格好良くもなかったです。
寧ろ、オリバさんが幻滅するような醜男でした 」
オリバー・デグンス
「 えぇっ?!
醜男……ですか!? 」
セロフィート
「 レイアード・ノルジェは美男子ではなくても誰もが羨み憧れる大金持ちでした。
大金に靡かない美女も、レイアード・ノルジェの下半身を一度味わえば虜となり、自らレイアード・ノルジェの女になりたがりました 」
マオ
「 そうなのか? 」
セロフィート
「 はい。
種族は違えど、女性が真に求めるモノは、美貌でもなければ、お金でもなく、男性の立派で逞しい迸る下半身だという事です。
醜男であっても、お金を持っていなくても、下半身で女性を満足させる事が出来れば、種族の垣根を超えた自分だけのハーレムを作り、持つ事が出来ます。
必要以上に格好良さに拘る必要はないですよ、オリバさん 」
マオ
「 マジかよ……。
男は黙って下半身か… 」
オリバー・ノルジェ
「 格好良くなくて良い……。
醜男でも良い…。
お金を持っていなくても良い……。
………………で、でもっ──、僕はモテたいですっ!!
異性にモテて異性からちやほやされたいです!! 」
セロフィート
「 モテなくても、ちやほやされなくても、ハーレムは “ 作れる ” と言う事です 」
オリバー・デグンス
「 だ…だけど……僕の──は……そんなに立派じゃないですし……。
格好良さに便乗するしか…… 」
セロフィート
「 そんなオリバさんにとっておきの薬が── 」
マオ
「 セロ!
変なもんをオリバに飲ませるなよ!! 」
セロフィート
「 『 変なもん 』とは酷いです。
怪しい薬ではないです。
下半身に自信のない男性の強い味方になってくれます 」
マオ
「 怪しさ1000%じゃないかよ!!
却下だ、却下!!
オリバに絶対に飲ませるなよ! 」
オリバー・デグンス
「 自信のない下半身の強い味方──。
セロフィート師匠、それを僕にください!! 」
マオ
「 自分から怪しい薬物に手ぇ出すな!!
そんなの飲んでみろ、薬漬け人生真っ逆さまだぞ!
もっと自分を大事にしろぉ!! 」
セロフィート
「 マオ──、オリバさんに変な事を吹き込まないでください。
可愛い弟子を薬漬けにはしません 」
マオ
「 どうだかなぁ~~。
もう既に薬漬けされてたり── 」
セロフィート
「 してません。
プロテインサプリメントは薬物ではなく栄養剤だと何度言えば良いです? 」
マオ
「 飲む度に依存性が強くなるサプリメントじゃないよな? 」
セロフィート
「 マオ、ワタシを信じてください。
健康食品に依存性はないです 」
マオ
「 …………はぁ…。
とっととロブグルーを狩るぞ!
セロは薬をしまえよ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
“ エロは儲かる ” と言ったマオの為に作ったのに… 」
マオ
「 言ってねぇよ 」
セロの手から怪しげな液体の小瓶を奪い取ったオレは、セロのポーチの中に小瓶を無理矢理突っ込んだ。
マオ
「 余計なお喋りは終わりだ!
オリバ、剣を構えてロブグルーを向かい打て!
盾を上手く使うのが勝機のポイントだぞ! 」
オリバー・デグンス
「 は、はいっ!! 」
オリバーは剣を構えて水辺に佇む。
セロが詩歌を歌うと水辺から続々とロブグルーが出現して来た。
オリバーは握っている剣を振り、ロブグルーを倒しに掛かった。
ザリガニ系の怪物だから、ロブグルーの身は正しく丁寧に下処理をすれば刺身として食べる事が出来る。
オリバにも食べさせてやりたい1品だし、飲食店へ売り込めば高値で買い取ってもらえる激レア素材でもある。
冒険者ギルドにはロブグルーの身を依頼する依頼書はなかった。
冒険者ギルドの課題にもロブグルーの身に関しては無い。
〈 S・G 〉の御得意様になってくれてる飲食店へ持っていけば、喉から手を出すように買い取ってくれるだろう。
依頼書にはロブグルーを最低でも50体は退治するように書かれている。
1時間で何十体のロブグルーを倒せるのか、オリバーのお手並みを拝見させてもらうとしよう。




