⭕ 美味い飯と適度な運動
──*──*──*── 1ヵ月後
冒険者ギルドで見習い冒険者の育成依頼を請け負った日から、約1ヵ月が経った。
体力が無くて、貧弱で軟弱なオリバーを鍛えるだけの日々は異様に長かったような気がする。
体力作りをする為には欠かせない基礎体力を付ける為の【 基礎体力向上トレーニングメニュー 】と身体作りをする為の【 肉体強化のトレーニングメニュー 】とバランス取れた筋肉作りをする為に表層筋と深層筋を鍛える【 体幹トレーニングメニュー 】と身体に必要な栄養を取り入れる【 日替わりスペシャルメニュー 】等々をオリバーの為にセロが直々に考えてくれた。
トレーニングメニューとトレーニングスケジュールを見せてもらったけど、エグい程のスパルタスケジュールで背筋が冷えてゾッとした。
故郷の≪ エルゼシア大陸 ≫にある≪ レドアンカの都 ≫で、オレは “ 守護衛士 ” になりたくて、断固反対していた兄貴,父親代わりのマーフィの目を盗んで、マーフィと仲の良かったラオインダへ「 剣術の稽古を付けてくれ! 」って頼み込んだ。
当時、未成年だったオレの為にとラオインダが考えてくれたスペシャルハードなトレーニングメニューの内容はあんまり思い出したくはなかったけれど、オリバーのトレーニングメニューを考えるセロの為に参考として、思い出せる限りのトレーニング内容を思い出してセロヘ話した。
セロがオリバーの為にと考えたトレーニングメニューとトレーニングスケジュールは、ラオインダがオレの為にと考えてくれたトレーニングメニューなんか足元にも及ばないレベルの遥かに恐ろしいハードスケジュールだった。
ラオインダから受けていた訓練,特訓,鍛練,稽古,指導の数々は当時、未成年の子供にとってかなりキツかったし、辛かったし、「 慈悲の欠片も無いのか! 」ってぐらい悪意を感じたもんだけど、ラオインダは人間だった。
だから、ラオインダにも大親友の義弟のオレに対する優しさは何処かに有ったんじゃないかって、今なら思える。
当時のオレが幼くて未熟者で自分の事だけで精一杯だったから、ラオインダの優しさに気付けなかっただけなのかも知れない。
マーフィから頼まれて、オレが守護衛士になる事を諦めるように敢えて厳しいトレーニングをさせていたのかも知れないけどな~~。
だけど──、オレはラオインダから受けたトレーニングを最後迄やり切った。
めげる事なく、心を折らずに諦めずに最後迄やり遂げれたんだ。
過去の自分が守護衛士になる為に頑張ってくれたから、オレは念願の守護衛士になる事が出来たんだ。
夢を諦めずに死ぬ気で頑張ってくれた過去の自分に「 有り難う! 」だし、未成年のオレを必要以上に厳しく鍛えてくれたラオインダにも「 有り難う! 」だ。
オリバーにも夢を実現させる為に死ぬ気で根性入れて頑張ってもらいたい。
「 ハーレムでウッハウハな余生を送りた~~い 」なんて不純極まりないし、手放しで褒めれるような夢じゃないけど……。
だけど、途方にもない夢であっても、夢を実現させる為に挑戦して必死で努力して頑張る事は決して無駄にはならない。
例え夢を叶えられたくても、努力が報われなくても、未来の自分を成長させる為の糧となるからだ。
ショックはショックだから、立ち直るには時間が掛かっちゃうだろうけど……、目標にしていた夢が例え叶えられなくても、オリバーには腐らずに前を向いて逞しく生きてほしいと思う。
基礎体力を付ける為の【 基礎体力向上トレーニング 】のメニューには、ランニング,腹筋,背筋,腕立て伏せ,ヒンズースクワット,ダッシュ&スローの走り込み,反復横飛び……まぁ、色々と組み込まれている。
筋肉を付けて身体を頑丈に鍛えるのも大事だけど、柔軟さも忘れたら駄目だ。
ある程度の柔軟さを身に付ける為の体操,受け身,様々な体術も【 筋肉強化トレーニング 】のメニューに組み込まれている。
【 日替わりスペシャルメニュー 】には青汁や野菜ジュースの他に、セロが作ったプロテインサプリメントなる怪しげな栄養剤を食前と食後に飲ませたり、料理に混ぜて食べさせていたりしている。
セロだからな、やるとは思ってたよ!!
期待を裏切らず、ブレないセロのやり方には “ ゾッとする ” けど、オレの立場でセロのする事に口出しは出来ない。
オリバーには申し訳ないけど、トレーニング始まった日からオリバーはセロの実験台と化している。
料理が美味いのがせめてもの救いだと思う。
料理が不味かったら最悪だからな~~。
オリバーを鍛える為にセロが考えた1日のスケジュールは、以下だ。
午前5時
起床
朝食
午前5時30分
トレーニング前のストレッチ
午前6時
【 基礎体力向上トレーニング 】
通常ランニング,荷物を背負ったランニング,タイヤを引っ張りながらのランニング,縄跳びしながらのランニング,スキップランニング,走り込み,腹筋,背筋,通常の腕立て伏せ,荷物を背負った状態で腕立て伏せ,親指だけで腕立て伏せ,片手だけで腕立て伏せ,ヒンズースクワット,通常の反復横飛び,屈みながらの反復横飛び…等々を5時間30分みっちり。
午前11時30分
トレーニング後のストレッチ
正午
昼食
午後12時30分
トレーニング前のストレッチ
午後13時
【 肉体強化のトレーニング 】
体操,受け身,体術,筋力,腕力,握力,脚力…等々のジムトレーニングを4時間30分みっちり。
午後17時30分
トレーニング後のストレッチ
午後18時
夕食
午後18時30分
入浴
午後19時
全身マッサージ
午後20時
【 体幹トレーニング 】
表層筋,深層筋を3時間みっちり鍛える。
午後23時
トレーニング後のストレッチ
午後23時30分
就寝
とまぁ──、こんな感じで休憩時間は食事中,入浴中,全身マッサージ中,就寝中しかないかなりエグいスケジュールが組まれている。
プライベートな時間は一切無く、セロ曰く【 生かさず殺さず、死なない程度に組んだ特別メニュー 】なんだそうだ。
やっぱりセロはスパルタで鬼畜だった。
死なない程度に組んでる時点でアウトじゃないか?
やり過ぎな気がする。
だけど、オリバーは「 ハーレム 」を合言葉にして、めげずにセロの考えた訓練,特訓,鍛練,稽古を頑張っている。
掲げている目標は不純だけど、諦めずに頑張れているオリバーをオレは応援している。
エロの力は “ 病気を治す特効薬にもなりえる奇蹟の力 ” って言われるぐらい、元気を与えてくれるみたいだから、楽しく元気に生きる為にはエロも必要な要素なんだろう。
セロがトレーニングメニューやトレーニングスケジュールをオリバーに合わせて調整してくれるから、オリバーの身体は最初の頃に比べて随分と逞しくなった。
必要な部分に必要な筋肉が付いているし、無駄な筋肉は付いていない。
ゴツ盛り筋肉マッチョではなくて、オレと同じ細マッチって感じだ。
バランス良く肉付きもしていて、健康的な身体に見える。
1ヵ月間、鬼畜でハードなエグいトレーニングに耐え抜いただけはあるよ!!
◎ 訂正しました。
マーフィー ─→ マーフィ




