⭕ 冒険者ギルド 1
──*──*──*── 冒険者・傭兵ギルド
此処は冒険者や傭兵が集まって、依頼を請け負う場所だ。
実に多くの冒険者や傭兵で賑わっている。
本当は冒険者ギルドと傭兵ギルドは別々のギルドなんだけど、傭兵ギルドが “ 老朽している ” って事で、一時的にだけど冒険者ギルドの一角に傭兵ギルドの受け付けカウンターが設置されたってわけだ。
オレはセロと一緒に冒険者ギルドの受け付けカウンターに居た。
次の依頼を受ける為だ。
この≪ 町 ≫に滞在してから3ヵ月が経っている。
セロと一緒に冒険者ギルドで依頼を受けては小遣い稼ぎを続けているんだけど────。
マオ
「 ──へ?
見習い冒険者を育てる??
それが次の依頼?? 」
受付嬢
「 はい。
是非とも〈 S・G 〉さんに御願いしたいんです。
此処最近──いえ、数ヵ月前から見習い冒険者が増えているんですけど、中々成長されなくて困っているんです 」
マオ
「 成長しない?
何で? 」
受付嬢
「 それが…… 」
セロフィート
「 怪物が強くなっているからですね 」
受付嬢
「 あっ、はいっ!!
そうなんですっ!!
本来ならば、弱い怪物が出現する筈の生息フィールドに強い怪物が出現する事が増えて来ているんです。
本来、強い怪物の多くは群れずに出現すんですけど──、ここ最近は強い怪物も群れで出現するらしくて……。
LVだけじゃなくて、ランクも上がっているみたいなんです!
そんな事情がありまして……見習い冒険者だけでは倒せないんです。
勿論、ランクが高いので倒せればレアアイテムの入手率も上がるんですけど…… 」
セロフィート
「 群れで出現する事で更に倒し難く、また戦闘の難易度も上がってしまっている──という事ですね 」
受付嬢
「 そうなんですぅ!! 」
マオ
「 強い怪物を避けたいなら、怪物除けの魔法道具があるじゃん。
貸し出してあげたら良いんじゃないの? 」
受付嬢
「 勿論、怪物除けの魔法道具の貸し出しもしています。
でも、効果が低いんです。
魔法道具を持っていても怪物は避けるどころか寄って来て戦闘になってしまうんです。
フィールドでキャンプをしていた冒険者や傭兵が就寝中に怪物に襲われて命からがら逃げた話も聞きます。
魔法道具が効かないなんて……幾ら何でも異常です!! 」
マオ
「 値段の高い魔法道具はどうなの?
怪物除けの魔法道具は種類が多いし、全部が効かないってわけじゃないんだろ? 」
受付嬢
「 確かに値段が高くて高額な魔法道具なら、怪物も近付いて来ないみたいですけど、高額な魔法道具を見習い冒険者,新米冒険者,新人冒険者には貸し出す事は出来ません… 」
マオ
「 ははは……だよな。
何時死ぬかも知れない弱い冒険者達には貸し出せないよな… 」
セロフィート
「 報酬は幾らでしょう 」
受付嬢
「 あ…はい。
報酬は──、見習い冒険者1名で1.000Gになります。
新米冒険者1名で2.000Gで、新人冒険者1名で3.000Gになります 」
マオ
「 えぇっ!?
それってマジもんの報酬額なの?
やっすいじゃん…。
小遣い稼ぎにもならないじゃん?
そんなに安かったら皆他の依頼を受けるよ 」
受付嬢
「 そう……ですよね…。
同じ様な事を言われては断られているんです…… 」
マオ
「『 安過ぎて割りに合わないから他を当たってくれ 』──みたいな感じで? 」
受付嬢
「 そうです!
まさにそんな感じで断られるんですぅ!!
『 怪物が強くなったのに見習いのおもりまで出来るか! 』って怒られちゃって── 」
マオ
「 そりゃそうだよな 」
セロフィート
「 言い方は乱暴ですけど、正論です 」
受付嬢
「 ですよね…… 」
マオ
「 セロ、一寸良いかな? 」
セロフィート
「 どうしました? 」
オレはセロの腕を引っ張って冒険者ギルドの隅へ移動した。
マオ
「{ なぁ、セロ──。
怪物が群れで出現するようになったり、LVやランクが上がって強くなったりしたのって──、オレ達の所為じゃないよな? }」
セロフィート
「 はい?
何故そう思います? 」
マオ
「{ だってさ、怪物を倒しまくってドロップアイテムをゲットしまくってるじゃんか。
セロとオレを警戒した怪物が、対抗心を燃やしてLVやランクを上げまくった結果が、今の現状に繋がってるならさ……原因を作った犯人って、セロとオレになるじゃんか… }」
セロフィート
「 マオ、それは違います。
怪物のLVやランクが上がり強くなったのも、フィールドに出現する怪物の種類が変化しているのも季節の変わり目だからです。
マオとワタシは無関係です 」
マオ
「 季節の変わり目ぇ?
そんなんでフィールドに出現する怪物や遭遇率が上がったりするのかよ? 」
セロフィート
「 時間経過に依って出現する怪物の種類だけでなく、出現率,遭遇率も変わります。
季節が変われば出現する怪物の種類も変わります。
気候や気温に合わせて大移動をし、生息地を変える怪物も居ます。
“ 自然界の衣替え ” だと思ってください 」
マオ
「 そうなんだ?
じゃあ、今は自然界が衣替えを始めた時期だから出現する怪物が変わったり、出現率や遭遇率も変動してるんだな? 」
セロフィート
「 安心しました? 」
マオ
「 まぁな。
だけどさ、怪物のLVやランクまで上がってるのは何でなんだ?
上がる必要は無いだろ? 」
セロフィート
「 それは不浄から噴き出す魔素の影響です 」
マオ
「 は?
魔素ぉ??
フィールドで時々見掛けたあの黒い靄の事だよな?
あれが元凶なのか? 」
セロフィート
「 怪物が不浄の上に立ち、魔素に当たると魔気の濃度が高まります。
魔気が濃くなると体内にある魔心臓が成長し、怪物のランクが上がります。
ランクが上がれば、闘争心や戦闘意欲が増します。
怪物には縄張りがありますから、縄張り争いをする際に怪物同士で戦います。
戦えばLVも自然に上がります。
ランクの高い怪物なLVが高いのは当然の結果です 」
マオ
「 じゃあさ、怪物のランクやLVを上げない為にはさ、不浄から噴き出す魔素を “ どうにかすれば ” 良いって事だよな? 」
セロフィート
「 どうにも出来ませんよ 」
マオ
「 出来ない?
何でだよ? 」
セロフィート
「 魔素を消す為には不浄を消す必要があります。
不浄を消す唯一の方法は、奇蹟の力で浄化をする事です 」
マオ
「 奇蹟の力で浄化する??
出来る人は居ないのか? 」
セロフィート
「 残念ですけど、浄化力を使える人間は居ません。
現段階で不浄を消す事は無理です 」
マオ
「 そんな…… 」
怪物のランクを上げない方法が分かったのに、肝心の不浄を消せないなんて……。
不浄が増え続けるのを見てるしかないのかよ……。
奇蹟の力で浄化が出来なくても、何とか出来る別の方法はないのかな??
◎ 変更しました。
怪物避け ─→ 怪物除け