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99話「絶望の大災厄潰える! みんなの勝利!!」

 オレは惑星不死鳥(アースデマイズ)の愕然とした顔面へ向かって、全身全霊込めた渾身の鈴を振るった!!


「ロープスレイ星の心に響け────────ッ!!

 ファンタスティックヘブン! 極楽(ごくらく)(すず)────ッ!!」


 キィ─────────ンッ!!!


 炸裂した眩い音色の輝きが放射状に爆ぜ、光飛礫を舞い踊らせながら光輪が煌びやかに広がっていった!!!

 すると上方で渦巻く白き雲が広がり、神々しく温かい光の帯がいくつも降り注いで、上空中心部から放射された光の柱が惑星不死鳥(アースデマイズ)を呑み込んだ!

 その山のような巨体すら強烈な浄化で焼き尽くしていく!


《ぐあああああああああぎ、ぎぎぎぎいいいッッ!!》


 さしもの惑星不死鳥(アースデマイズ)も絶叫を上げながら必死に耐え抜きながら、内部に感じる『星の心』に思念を送った!


《命令だ!! この偉大なる余に、その星の力を与えよ!! 全て譲渡するがいい!! そうすれば────……!》


《それは拒否する! さっきまで我を否定していただろう!?》


《そんなッ! 余はどうなる!? 余なら貴様らの力を有効に使ってやれる!! だからずっと拒否してないで力をよこせッ!! 早くしろッ!! さっさとしないと余が死ぬではないかッ!!》


《そんな傲慢(ごうまん)なヤツに力を渡すとでも?》


《なッッ……!? 貴様ッ逆らうかッ!! 余は正義をなす為に永遠に生きるべき高等な存在ッ!! 正義とは何なのかよく考えろッ!! この偉大なる余と、価値のないゴミとどっちが正しいか──!!》


《妖精王ナッセこそ先を生きるべき偉大な存在! 貴様こそ無価値なゴミだ!》


《…………ゴッッ!?》


 命乞いして足掻(あが)いても足掻(あが)いても、星に突き放された!

 自分こそ崇高(すうこう)で正しくて頂点に立つべき存在と盲信していた惑星不死鳥(アースデマイズ)にとっては、心を折るには充分すぎる言葉であった。

 蛇蝎(だかつ)の如く嫌われていたのだと落胆(らくたん)し、自らの滅びの運命に心身を(ゆだ)ねるしか他になかった。


《そんなああああああぁぁぁああぁああぁぁぁぁ…………ッ》


 惑星不死鳥(アースデマイズ)は散り散りと上方へと昇っていってキラキラ煌めいていく。

 中から巨大な赤黒いダンジョンコアが三つ剥き出しに! それは全て粉々に!!


 そして『星の魂』というべき大きな光球があらわになった!



「見たか────!! オレたち勝ったんだぁ────ッ!!」


 オレは感無量(スッキリ)と手足を大の字に伸ばして吠えた。

 ヤマミも穏やかに笑んで、拳に固めてガッツポーズを取る。



 それを巨神像から見届けていた勇者たちは次第に歓喜の笑みに満ちていく。

 絶望のドン底へ突き落とされ続けながらも勝ち取った希望。


「お前が信じる理由が分かった。確かに大したヤツだ」


 セロスの肩に手を置くラルゴは柔らかい笑みを見せた。それに並んで父レクロスも「がっはっはっは」とおおらかに笑う。

 しかし逆にセロスは浮かない顔になっていって(うつむ)く。


「オレはなんにもできなかった……。結局アイツに頼ってしまった」

「まぁ、そういうな。アレは規格外だ。人類でなんとかなる範疇(はんちゅう)じゃない。妖精王と勇者、それぞれ使命が違うだけだ。気負いするな」


 セロスは儚げな顔で振り向く。


「情けない話だけど、オレはアイツに強い嫉妬を抱いてた。今も「この勇者(オレ)を差し置いて、活躍しやがって」って嫌な感情が渦巻いている……」


「ははは。オレにだってそういうのあったぞー。ラルゴ(こいつ)すげー活躍して超有名になっていくの見てて、腹が煮えくり返るほど嫉妬してたんだぜ!?」

「ああ、本気でケンカもした。……まぁ人間そういうものだ」


 父レクロスもかつてはラルゴに強い嫉妬を抱いてたと、セロスは目を丸くした。

 今は大らかに笑い合う仲になっている。

 そしてセロスも次第に顔を緩ませて「ははは……」と笑い始めた。


 ホッとしたような気が緩んだような、なんというか吹っ切れた。

 この後ろ暗い気持ちを抱くは自分だけじゃない。

 心を読めないから分からないだけで、みんなも様々な感情を巡らせて生きている。きっと当のナッセも嫉妬するような事あったりするのかもしれない……。

 そうセロスはグッと割り切る事にして!


「ナッセ! きっとお前が羨むような立派な勇者になってやるからな!」


 スッキリした精悍(せいかん)な笑顔でナッセを見上げた。



 穏やかになったウォタレンは内心負けたと認め、最初の出会いの無礼を恥じた。

 最初は弱そうなガキと決め付けていたが、実際はただならぬ威圧を隠し持っているのを薄々感じていた。しかし(おご)っていた頃の自分は、王族でも何でもない下賤(げせん)風情(ふぜい)と見下して認められずにいた。

 だが、今回で高貴な王族すら及ばぬ存在と嫌というほど思い知らされた。


「……これが“妖精の白騎士”ナッセか。友人が誇らしく言うだけの事はある」


 敵わないな、と感嘆するほどに清々(すがすが)しく笑んだ。


 初顔合わせとなるバベナス、マグア、ププラトは「まさかここまでとは……」と驚嘆した。

 クーレロとマブポルトは彼らが眩しくさえ見えて、惜しみない賞賛が胸中を満たしていって涙さえ流した。

 モリッカは「いえーい! いえーい!」とはしゃいで嬉しさを体現。

 セロスの仲間であるメーミもファリアも安堵のため息。



 幻獣界でも歓声が湧いていた。


「「「わああああああああああああああああああああッ!!!」」」


 避難したロープスレイ星の住民はお祭り騒ぎ状態だ。

 最初に冒険に付き合ってくれたオズラッチとヨーレンは「またやってくれやがったな」と妙に嬉しそうだった。

 当初のナッセとヤマミは経験の浅い冒険者といったイメージだったのに、この短い間でそれは覆された。

 悪魔の教皇戦の後で、故郷で大魔王を倒したと後で聞いて納得さえした。


「全く、こっちが逆に冒険のイロハを教えてもらいたいくらいだ」


 呆れるオズラッチに、ヨーレンは「確かにね」とクスクス笑う。

 何も事情も知らないレアックスとマレーシは目をキラキラさせて、伝説の勇者様みたいな憧れを抱いてしまっていた。

 あんな風に凄い立派な冒険者になりたいと活力が漲ってきている。



 水の国の第三王女マメードはどこか達観したような儚げな笑み。


「……大した者ですわ」


 初めて会った時は悪魔の教皇を倒したと大精霊ピョタの言質もあって、婿(むこ)に迎えねばと(はや)っていた。それは狂った自分の王国を立て直してくれるかもとの希望からくる動機であった。

 しかし、今は(ナッセ)を利用しようとしてた自分を、一国の姫として恥じた。


「ナッセ……。きっとこの世界にはおさまるような器ではありません。いつしか広い世界へ飛び立つ時が来るのだと思い知らされました。私の方こそ身の程知らずでしたね……」

「せいやなせいやな。ボカァもあんな上位種なんて見た事ありませんや」


 長い歴史を見ても(たぐい)(まれ)なる事例と大精霊ピョタは確信した。



 妖精王マシュ様が鎮座(ちんざ)する広場────。


「やった────────────!!!」


 クックさんとリョーコは笑顔で手を繋いでピョンピョン跳ねてはしゃぐ。アクトはニッと笑む。


「さすが俺の相棒だァ……。多少ヤマミにもってかれて寂しいがなァ」


 魔王ジャオガは「フン!」と柔らかい笑みを見せる。

 もし魔族になってくれれば、魔界にとって大きな恵みをもたらすだろうにと惜しみさえ沸いた。だが、きっと彼らは広い世界へ渡り歩きたいであろうなと寛容(かんよう)に割り切る事にした。

 そして「余はいつでも応援しているぞ」と内心賞賛と共に激励の念を抱いた。




 光の強弱でフォンフォンと輝く数多の光球が、巨神像の肩に乗っているオレとヤマミの前で漂っていた。

 その正体は星の魂。なぜか複数いる。

 しかし、ものすげぇ鼓動と精神エネルギーだ。死んでもなお雄大で力強い。


《……ようやく解放された。ありがとう。若き妖精王》


 照れくさくなって「い、いいよ」と手を振る。


「それにさ、戦ったせいで他の星も巻き添えになっちまった……。なんて謝ったらいいか」

《いや。不可抗力だ》

《罪悪感を覚えてくれるな! 妖精王よ!》

《あれほどしなければ勝てないのは我らも承知》

惑星不死鳥(アースデマイズ)とやらが勝ってしまえば、もっと被害が多くなっていた》

《我らの犠牲だけで済んでしまえば、安心もできる》


 ああ……、みんな巻き添え食った星の魂だったんか…………。

 結構たくさん犠牲になったのは申し訳ないけど、確かに惑星不死鳥(アースデマイズ)は放っておけねぇ……。言われたように惑星不死鳥(アイツ)は全てを貪り食らう気だっただろうしな。


《こうして成仏できるんだ…………》

《ヤツに取り込まれずに済めば御の字よ……》

《妖精王ナッセよ! いつでも我らは味方であるぞ!》


「うん、ありがとうな……。それに…………」


 もうこれで全部のダンジョンコア破壊したから『星塔(スタワー)』でなんでも願いを叶えられる。と言うか、願いは一つしかねぇ。

 それにオレだって、まだ異世界を冒険するって目的果たせてねーし……。


 だから、もちろん全部元通りにしてやるさ!



 星の魂は安らかに上昇していって、成仏するかのように上方の光へ吸い込まれていく。

 それを見て、星も生きているんだなとしみじみと実感した。

 オレもヤマミも晴れ晴れと上方の光が閉じていくのを見守る。なんだか切なくなっちゃうよ……。


「でも、これで『大祓祭』は終わったな!」

「ええ」


 ヤマミとパンと手を合わせて、抱き合って勝利の余韻(よいん)を分かち合った。



 しかし不吉を(はら)む深淵の闇が忍び寄る…………! ズズ……!

あとがき雑談w


サラカート「んふーふ。なかなかやるんだねー。まぁ褒めてもいいかなー」

エムネ「本当は心躍ってウッキウッキなのにね……」

サラカート「バッ……! そ、そんな事ないからー!(赤面)」


エムネ(典型的なツンデレ……。もろ分かりやすいね……)



 次話『不死鳥(デマイズ)の元凶となった“白面の疫病神”トビーが現れて……!?』

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