94話「発進だ!! 王城の巨神像!!」
大厄災の不死鳥デマイズは、目の前の巨神像を前に不敵な笑みを浮かべている。
《頑丈そうだが、随分鈍そうだ……。些か物足りなさそうではあるな》
王城の巨神像は、女神となった初代勇者であるアサペンドラを模していた。
八大王国の水晶魔法炉を核として、勇者の魂波動を発動する事で起動を許される最大最強の切り札である。
灼熱地獄と化した大陸を足場に、巨神像は右手を挙げていく。
なんと青白いウロコのようなものが集合していって、次第にセロスが持っていた聖剣エクスセイバーを象っていった。
それを横薙ぎに振るう!!
凄まじい烈風が巻き起こり、幅広い巨大な剣閃が超高速で飛んでいく!
下方の雲海を荒々しい津波のように巻き上げて、そのまま剣閃は不死鳥に炸裂!!
《むお……ッ!?》
被弾時に周囲が雲海とともに衝撃波の噴火で高々と吹き荒れていって、不死鳥は煽られていく!
想像以上の衝撃を受けて腹に激痛が走っている!
しかし胸の顔面が嬉しそうに歪む!
《……久しい痛みだ! ますます面白くなってきたわ!》
巨神像は両翼を羽ばたかせて浮いていく!
今度はセロスの聖剣を象っていたモノが、ウォタレンの聖剣トリアデンへ形状を変えていく!
空中に渦巻かせて巨大な水玉を作り、周囲に複数の『衛星』を浮かせていく! それらはドドドンと轟音を伴って撃ち出された! 尾を引きながら水玉が不死鳥へ降り注ぎ、閃光が溢れる!!
ドゴオオオォォォォオオオンッ!!!
なんと核融合を起こして球状の大爆発が大きく膨れ上がって言って周囲を赤々と染めた!!
徐々にキノコ雲へと立ち上っていく!
空震と共に超高熱プラズマが周囲の雲海や大陸を撫でるように通り過ぎていって、破片が流されていく!!
ズズズズズズ……!
────ライトミア王城の動力室!
周囲の壁が透けたかのように外側の風景が映し出されていて、爆発の余韻が広がっているのが見えている。
「命中した! だが、これしきで倒せるとは思わない!」
ウォタレンは聖剣を構えたまま、他の勇者へ注意を促す。
セロス、ラルゴ、バベナス、ププラト、マグアは頷く。ぞれぞれ足元の魔法陣と連結するようにラインが勇者たちの足から伝って胸元で小さな魔法陣が輝いている。
そしてウォタレンの背後に後光のように魔法陣が付いていて、外周で六方手裏剣のような輪を周回させている。
それこそが王城の巨神像を動かす操縦者に付くメイン操縦魔法陣……。
セロスからウォタレンへ移行させたように、逆の事もできるし、他の勇者にも譲渡できる。それにより勇者たち全員の能力を巨神像で再現する事が可能なのだ。
オルキガ王はそのシステムに息を呑む。
「なんと……! そのような機能が!」
ホノヒェラは「起動すんのは初めて見たけど、間に合ってよかったよ」と安心する。
それにアマリビグとソネラスは頷く。
妖精王クーレロと竜王マブポルトも息を呑む。すると大精霊ドリアと月の魔女リルラーナがスッと寄ってくる。
「あなた方はまだ幼少期だから知らなくて当然だけど、大昔に起きた大戦より予期されていた外側からの脅威に備える為に密かに八大王国の王城にそのようなシステムを組み込みまれていたのです」
「予期…………?」
「そう! 大昔の大戦が起きたのもマリシャスの野郎が仕組んだものだったからね!」
月の魔女リルラーナはプンプンと憤っている。
人類が我がもの顔で蔓延ってロープスレイ星が滅びの危機に陥った時に、魔族たちが他の種族と一緒に大規模な世界大戦を勃発させた。
その時でさえ、大災厄の円環王が仕組んだ戦争だったのだ。
だからプロパガンダでも初代勇者を誕生させて、魔族を統べる大魔王を倒す事で表向き終戦できた。
これにより長引く戦争で疲弊しきっていた生ける者は、訪れた平和に安堵した。
その一方で、妖精王と竜王たちが裏で災厄を浄化しきって、なんとか終結。
何億もの人類と数多の魔族や大魔王など、多大な犠牲を払う事になったがロープスレイ星は滅びずに済んだ。
「なん……だと…………!?」
そんな裏事情をセロスは聞いてしまい、見開いて呆然……。
父レクロスが「今はそんな事を気にするな! 戦いに集中しろ!」とセロスの肩に手を置いて揺する。
ハッと我に返って「あ、ああ……!」と返す。
「だが、今また別の災厄を送られて再び滅びの危機が迫ってきているんだよ! そうはさせるかってんの!」
激昂するリルラーナにドリアも同意して頷く。
それを聞いて、セロスは「マリシャスめ……!」と恨みづらみと歯軋りッ。
一方で魔界オンライン運営中枢の大広場で、王座でくつろぐマリシャスも大昔の大戦を思い返していた。
「忌々しい事を思い出させるな……」
アリエルもワインを啜り、艶かしく目線をマリシャスへ流す。
「大戦後も度々ちょっかいかけていたんだってねぇ~?」
「ああ。だが次は例の『星塔』が創られて、より手出ししにくくなってきた。
最近の出来事だと地球の世界大戦だ。大魔王をも浄化された挙句、あの銀の世界樹のせいで概念のままの余は二度と入れなくなってしまったのだ!」
マリシャスはグラスを握って砕き、憤る顔を見せた。ギリ……!
ナッセと魔女クッキーが創り出した銀色に輝く『世界樹ユグドラシール』によって地球側の世界からマリシャスの影響を消し去ってしまったのだ。
それによって『鍵祈手』が魔王化する概念は消失した。
「だからぁ~、肉体を欲したってワケねぇ~」
「そういう事だ! この手で捻り潰させねば気が済まんッ……!」
もうこれ以上邪魔させてなるものか、とマリシャスは執念を燃やす。
「だが、まずはこの異世界を我が手に!」
クーレロとマブポルトは知らされた事実に呆気に取られていた……。
「この世界を、地獄化した他の異世界みたいにさせまいと必死に抗していました」
大精霊ドリアはスッと両手を挙げる。
動力室の周囲の壁は、巨神像の周囲の風景を映している。不死鳥が超高熱プラズマ球を放ってきて迫ってきているのが見える。
すると巨神像の背中の翼の羽毛の一つが飛び出して、何重もの魔力壁で巨神像を球状に包む。それを前に大爆発の連鎖が巻き起こった!
凄まじい衝撃が動力室を揺るがすが、無事ダメージを受けずに済んだようだ。
「まさか、またちょっかいかけてくるとは思わなかったけどね!」
月の魔女リルラーナが杖を振るい、これまた一つの羽毛が飛び出し、三日月の魔法弾を無数撃ち出す!
不死鳥は横へ滑り、ドドドドンと追いかけるように雲海から爆風を噴き上げていく!
「ならば! これは見過ごせぬな!!」
オルキガ王は剣を振るい、一つの羽毛が巨大な剣となって極太の刀剣波を放つ!
それは一直線と大気を切り裂き、下の雲海を掻き分け、不死鳥へ!
ドオオオンッ!!
不死鳥へ被弾し、大規模大爆発が明々と広がっていく!
……このように、羽毛の一つをビットとして勇者以外の搭乗者の能力をそっくり再現しているようだ。
つまり、不死鳥は全員を相手しているようなものなのだ!
そしてこの王城の巨神像の威力値は八七〇万!!
《中々に命の危機を感じたぞ……! 愉しい!! やはりライトミア王国を最後に残しておいて良かったわ!》
ダメージを受けているのか、不死鳥の灼熱の翼にやや欠けが窺える。
それでも余裕かのように笑んでいる。
「ラルゴさん! 頼みます!!」
「ああ!」
ウォタレンが背中のメイン操縦魔法陣をラルゴの背中に転移!
ラルゴは腰を低くして槍のような聖剣ゲレカシレオを構える。すると巨神像も同じように構え、両翼を羽ばたかせて不死鳥へ高速で飛びかかる!
振り下ろされる槍を、不死鳥は飛び上がってかわす!
《ならば思う存分遊んでやろうぞ!!》
なんと、不死鳥が複数に分裂!! 巨神像を包囲するように取り囲む!
そしてそれぞれ両腕が翼とは別に生まれ、超圧縮された光球を間に生み出す!
《我が労い、くれてやろう!! 受け取れ!》
一斉に光球を撃つ!! ラルゴは巨神像と共に槍を両手で握り、一周するように横薙ぎに振るう!
ガギギギンと全ての光球を弾き散らす!
周囲へ飛んでいった光球は、それぞれ遥か遠くの雲海で爆発球に膨れた!!
ドッ! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ!
一つ一つが山脈どころか大陸ごと吹っ飛ぶレベルの規模だ! なおも震撼が絶えず伝わって来る!
「すげぇ…………!」
周囲の映像に他の兵士や魔道士は白目で呆気に取られるしかない……。
まるで天上の神々の戦いを目の辺りにしているかのような迫力だ。ゴゴゴ!
あとがき雑談w
アサペンドラ「王城の巨神像は滑らかに動く事ができて、操縦者の動きに合わせて技などを繰り出せるのが最大の特徴だね」
ベィエール「あのレンガに魔法陣を組み込んで、それを可能にしている……ですか」
アサペンドラ「そうでもしなきゃ、あの超重量と図体で動けないよ」
一つのレンガに微細なレンガが更に積み重なっている。
そしてその微細なレンガ一つ一つに刻印が内蔵されている。内蔵、すなわち表面ではなく内部に刻印が記されている為、見た目はただのレンガにしか見えないのだ。
それを前提に、合体や起動する際に組み換えがスムーズに行われて形状を自在に変えれる。
更に言えば起動した際に、内部で組み換えが行われて皮膚と筋肉と骨格と同じような役目に切り替わる。貯蔵されている粘土などが関節を滑らかにするなど色々な役割で割り振られる。
非常に精密な作りになっている為、激しい動きなどが可能なのだ。
作者「それ以上にそうした原因の一つとして、オレはロボットが描けないからw」
いざという時、イラストでロボット描こうとすれば絶対困るw(本音)
次話『絶対負けるなー!! 王城の巨神像!!』




