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84話「勇者たちの奔走! それぞれの気概!」

 アイスバーレ王城は浮遊しながらパーツごとに分解され、ライトミア王城からあらわになった接合部へドッキングしていく。

 そうして体積を増したライトミア王国はより強固になった。


「二国間の魔法炉は連結されて、より莫大(ばくだい)な魔法力が(たくわ)えられた」


 ライトミア側の魔道士(マジシャン)たちは操縦室で、それを確認していた。

 長らく駆動(くどう)してなかったが、問題なく連結できた事に安堵をもたらした。


「念の為、メンテナンスを!」

「はい!」

「こちら、魔道兵器についてですが……」


 慌ただしく動き回り、ほどなくしてアイスバーレ側の魔道士(マジシャン)たちと一緒に一連の作業に取り掛かるようになる。



 ライトミア側のオルキガ王とアイスバーレ側のセダン王が場内広場で対峙し、握手しながら「しばし世話になります」と笑い合う。

 その後も色々語らっていく最中、勇者同士でラルゴとセロスが向き合っていた。


「水臭いぞ。提案せず、それぞれ(おもんぱか)っただろうが……」

「ラルゴさん、なんの事か分かりかねますが?」


 そうとぼけるのも父レクロスと同じだとラルゴはため息。

 すると普段着のままのレクロスが歩み寄ってきてセロスの方に手を置く。


「観念しろよ? ラルゴは相当な堅物だ」「父さん……?」


 セロスは父の笑みに困惑だ。


「人の事を言えんだろう? いつもそうやって意地を張ってはぐらかす」

「善意を押しかけられても迷惑だっての! ラルゴ悪い癖だぞ?」

「曲げんぞ。レクサスの事もあるからな……」


 ラルゴのその一言にレクロスは黙る。

 セロスは何がなんだか分からなくて困惑するしかない。彼らにしか分からない内情なのだろう。過去、色々な関わりがあったのだろうと察するしかできない。

 あとレクサスとレクロスは似た名前のせいで、余計こんがらがる。


「ともかく! 今は人類の未来の為に馳せ参じた事だけは言っておくぞ!!」


 ラルゴの強めた語気(ごき)にセロスは気圧(けお)される。


 ただ自分の保身の為ではなく、後の未来へ繋ぐ為に老兵ながらも身を扮して道を切り開こうとする気概(きがい)が感じ取れる。

 かつて心に傷を残した悲劇を再び起こさぬように……と。

 だからこれまで戦い抜いてこれた歴戦の“勇者”なのだ。セロスは息を呑む。


 遠い…………。真の勇者への道が……………………。


 ラルゴと父の背中はいつ見ても大きくて、いくら追いかけようとも届かないほどに偉大なものを感じる。

 勇者の息子として常にプレッシャーはかかりまくりだ。

 普通の家族に生まれていれば、そんな息苦しい事も味わなくて済むのだろうかと、己の境遇(きょうぐう)を少々恨めしく思う。

 しかしそれ以上に自分が誇れる父を、他の誰にも渡したくない気持ちの方が大きかった。

 不満を感じつつも、勇者としての矜持(きょうじ)を持てた幸運に感謝もしていた。


「人類の未来の為にオレも戦う!!」


 ラルゴと父はその声に驚きつつも、(なご)やかに笑う。

 若き世代の勇者の頼もしい決意に心躍る老兵。


「肩の力を抜け、肩肘を張ったままでは息苦しいぞ?」

「ああそうだそうだー!」

「人の事言えないでしょう? ラルゴさんも父さんも!」


 ムスッとするセロスに、老兵の二人はかんらかんら笑う。





 ────火のルビレッド王国!


 ライトミア王国と同じく上層地殻ヘヴンプレートで、やや南の中心部にある浮遊大陸にある王国。側には標高一万キロ以上にも達する最大級の山が(そび)えている。

 山頂から雪化粧が(かぶ)さって、(ふもと)ではギザギザに枝分かれして途絶えていく。

 今や死火山で、ただの岩石の塊みたいなもの。

 その山麓(さんろく)の湖がある近くでルビレッド王国は築かれてあった。


「今こそ世界の危機だ! だからこそ国を()げて災厄に立ち向かうべきだよ!」


“火勇の守護士”ゴーファド。

 大柄な体格の女勇者。赤いパンチパーマの褐色肌。大胆不敵そうな目で強気な顔。露出度の高い服で大きい胸と尻が目立つ。炎の模様の赤いマント。

 そんな大女が高台で立ち、隊列して並ぶ男の兵士たちへ発破をかけていた。


 この国は女尊男卑────。


 男どもは恵まれた体でもって働き、国の地盤なりと人生を尽くす支柱。そして女は未来へ繋ぐ子どもを産み育む財宝。その価値観は数百年前から続いてきた。

 主に男性は鉱山発掘、運搬、製造などの力仕事、そして国の盾となる兵士。女性は王族貴族階級で美と優雅を嗜み、気品あふれる礼儀と言動を学び、優れた魔法と戦術の技術を代々継承して一騎当千の強さを得る。

 それは生まれた時から男女で人生を決められていた。


「男は命の盾!! 女は国の矛! その事をゆめゆめ忘れるべからず!!」

「「「うおおおおおおおおおおお────ッ!!」」」


 豪胆なゴーファドは(さや)に収めた大剣を地面に突き、拳を突き上げて激を飛ばす。

 それに同調するように拳を振り上げた兵士の歓声が大音響した。


「さて……、王城の状況はどうだい?」


 ゴーファドは後方の仲間へ振り返る。

 三人並ぶ冒険者が揃って頷く。


「はい! 準備万端です。魔法炉に蓄えられた量からして威力値は約三五〇万に達するはず。こちらで省エネにやりくりするから、効率よく運営できるかと」

「そうか。さすがは頭脳明晰だな。クーレロ」

「いえ」


叡智(えいち)の大魔道士(マジシャン)”クーレロ。

 三角帽子、装飾が施された優美なローブの、メガネをかけた黒髪ロングの女魔道士(マジシャン)

 冷静沈着とクールっぽく振る舞い優雅さを醸し出している。


「ファド。この城は浮けるって話、聞いた事あるケド……」

「あたいも聞いた事がある。長らく動かしてないから本当に動くかも分からんけどなー」

「ってかさ、浮けるなら逃げれんじゃナイ?」

「スゴエ!! そうゆう軽はずみな発言は控えな!」


“闇槌の戦姫”スゴエヴォラ。

 褐色肌のダークエルフで銀髪ベリショートで黒い水着のような露出度の高い長身の女。胸が大きいのが特徴。肩にハンマーを乗せている。

 腕力よりも魔力を注ぎ込んで凄まじい膂力(りょりょく)を生み出せるタイプ。


「万が一の為に調べておいた方がいい。何事も可能性を多くした方が楽になる」

「ポル……。確かに一理あるな」


“氷震の策士”マブポルト。

 小柄なナリで大人びた女性。桃色の髪の毛でロールを巻いている。ロリっぽい風貌で、本を抱え持つ。

 攻撃魔法に限らず補助や回復魔法もこなす魔法のオールラウンドタイプ。


 女勇者ゴーファドは大剣を背中に、ザッと一歩踏み出す。


「我らは誇り高き女傑(じょけつ)!! 剛健(ごうけん)に支える男どもと優美(ゆうび)に飾る女たちの為に、武力でもって世界を脅かす厄災を(はら)う者なり!!」




 ────風のヒュング王国。


 険しい山岳で高低差の激しい家が並び、山頂に城を築く険しい国。

 低温で気圧が薄いイメージがありそうだが、古来より代々繋げられてきた魔法技術により気圧をコントロールして安定した環境を留める事に成功した。

 それに(ともな)って温度はそんなに冷えず、むしろ暑い時もあって温度調節できる魔導具が家庭ごとに備わるくらいだ。


 王城の開けた広大なベランダで、勇者バベナスが(たたず)んでいた。

 長身細身の男。センター分けのロン毛を後ろに結んでいる銀髪。(とが)っている三角の目、鼻、アゴが特徴的だ。胸元を開けた白い衣服。ツバメみたいな白いマント。

 彼は(とが)った鼻を上げるように空を見上げた。


「来る…………」


 何か予感がしたかのように目を細める。

 体を突き抜けるような巨大な威圧が微かに感じ取れたからだ。誰も気付かない極微レベルではあるが、敏感(びんかん)な彼にとって(わずら)わしい感覚だった。


「滅びの災厄が……竜の束ねた呪縛を破らんと(うごめ)き出す……」

あとがき雑談w


“火勇の守護士”ゴーファド「突然な事だが、あたいのパーティで種族詐称(さしょう)の疑惑ができた! あたいはウソサーチで見抜けるから白状しな!」


叡智(えいち)の大魔道士(マジシャン)”クーレロ「出生からの登録で私は人族とありますね」

“闇槌の戦姫”スゴエヴォラ「はぁ? わっしダーエルで登録してるんだケド?」

“氷震の策士”マブポルト「私は人間だったね」


 しばしの沈黙……。


ゴーファド「……あたい以外は人外だってのはデマだったか? まぁいいや!」


????(元が人族なので問題はありませんね)

?????(ふふん! 二人の言葉に続けば、過去形で言ってもバレないw)

スゴエヴォラ(最初っから気付いてるけど、どーでもいいから言わなくていいヨネ?)


 知能指数が150超えるヤツが教養を備えてると言葉巧みが過ぎる……。



 次話『ガイアプレートの二大帝国は好戦的すぎる! 一触即発だー!』

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