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81話「武勇の女神降臨! 絶対的な啓示!」

 ギリギリとウォタレンとバベナスが(つば)迫り合いしている!


「その辺にしとけ」


 ウォタレンの背後から、ラルゴが肩を(つか)んでくる。グッ!

 いつの間に、とギョッとした。汗が頬を伝う。

 勇者の中でも最強格と言われたラルゴ。重厚な威圧が伝わってくる。ウォタレンは震えながら力を抜いていく。

 バベナスは「止めていただいて感謝する」と双剣を収めて頭を下げていく。

 ドワーフっぽい少年マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める。


「ラルゴさんには敵いませんわー」


 アリュールは鼻で笑うが、ラルゴは「無益な挑発は感心できんな」と(とが)める。

 ビクッと怯え「す、スミマセン! 気を付けまーす!」と背筋をピンと伸ばした。



「“氷河の国勇士”ラルゴさん……! 相変わらず凄いな……!」


 彼の重厚な風格にセロスは息を飲んだ。

 何十年も勇者をやっている歴戦。魔王を倒した実績を持つ最強格の勇者。恐らく単体ではロープスレイ最強の男とも言われている。

 最高威力値は約六〇万と聞いているが、それでは真の実力を()(はか)る事はできない。妖精王ナッセも威力値以上の実力を持っていたが、ラルゴはそれ以上……。


 その気なら、不貞(ふてい)なウォタレンなど(またた)く間にねじ伏せる事もできるだろう。

 だからこそウォタレンも大人しく引き下がるしかなかった。

 ゴーファドは「いい気味だわな」と笑む。

 マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める(ツー)


「オレの父と並ぶと言われた……最強格の勇者!」


 セロスは気圧(けお)される。

 父が体を(いた)めて引退した今、自分がラルゴと(なら)()るか自信はない。


「セロス! レクロス……父は元気か?」

「ああ。隠居(いんきょ)してますが元気です。ラルゴさん」

「それは何よりだ。また会って酒を交わしたいものだな」


 懐かしむようにラルゴは微笑む。

 


「これより“武勇の女神”様が降臨なされる! (ひか)えおろう!」


 なんと一人の天使がフワリと舞い降りる。

 薄い金髪の中性的な顔は若く整っているが(おごそ)かな雰囲気で、背中からは二対の白い翼が羽ばたく。白いキトンを下地に胸当てや肩当てなど装甲を身に付けている。


 女神様の部下。されど近寄りがたい雰囲気。威圧が感じられる。


 そしてそれよりもっと巨大で重々しい威圧が膨れると共に煌びやかな光飛礫が散りながら光のモヤが大きく広がっていく。

 中から緩やかな仕草で現れてくる絶大なる存在……。


 白いキトンはキラキラ妙に輝き、美しい女体のラインが薄ら窺える。白い肌がスラリと滑らか。汚れ一つない端麗な絶世の美女。瞑っていた両目がゆっくり開くが冷淡とした視線。

 流れるような薄い金髪が煌く長い髪が風に揺れる。

 背中から八つの白い翼が優雅に羽ばたく。誰もが心を奪われるような美貌。


《我は『武勇の女神アサペンドラ』なり! 遠路遥々(はるばる)ご苦労であった……。我が愛しの各国の勇者どもよ……》


 すかさず勇者たちは(ひざまず)いた! ザッ!


《そう(かしこ)まる事もあるまい。久々に我が子らが全員の顔が見れて私は感涙の極みだ。さて今日の招集(しょうしゅう)(なんじ)の提案であったな? 勇者セロスよ?》


 女神が見やると共に、勇者セロスへ全員が注視する。

 ウォタレンは自分の懲罰だと畏怖(いふ)してたから「なに……?」と漏らす。

 跪いていたセロスは「ご無礼をお許し下さい」と立ち上がる。女神は「よい。構わぬ」と薄ら微笑む。


「今回の招集は、妖精王マシュ様より予知夢で終末の未来を迎えると神託してもらった事についてだ」

《うん。聞いているよ。私にも連絡が来ていたからね》


 ややフランクになってて、他の勇者は目を丸くしていく……。


《セロスがこれからどう提案しようが、私からも伝えておく事があるんだ》

「それは……何ですか?」


 ププラトは不安そうに問う。


《やばい詰んだ》


 青ざめた顔で女神様は唐突にそう告げてきた。

 勇者たちは「は?」と眉をひそめた。いずれも「コイツ何を言いだすんだ?」とばかりに訝しげに顔を(しか)めていく。

 マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める(スリー)


《もうダメだぁ~! この星終わりだぁ~! 創世界に帰郷するしかないのか~》


 なんか頭を抱えながらブルブル震えながらしゃがみこんで弱気な事を言い始めた。

 天使さんが「お気を確かに! 確かに詰んでますが! マリシャスの野郎のせいだと言えば大目玉喰らわないかと!」と駆け寄ってなだめてくる。

 おーよしよし、と天使さんに頭を撫でられる。


《うわああ~!!》


 不安そうに勇者は「ダメだコイツ……早く何とかしないと」と内心思った。

 マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める(フォー)


 ププラトが「お、落ち着いてください……女神様」となだめる。

 すると女神様は突然真顔に戻って、スン!

 思わずウォタレンは「うわぁ! 急に落ち着くな!」とビックリして叫ぶ。


《……とまぁ、お手上げな状態だ。もはや君らの星は消滅(きえ)る》


 絶句する勇者たち……。息を()む音が聞こえる……。


《マシュさんの予知夢はほぼ絶対だ。その予知夢……未来が見れないなら、星は消滅(きえ)ると言っていい。それだけに魔境の異常な増幅は恐るべきものさ。その様子だとロープスレイ星に(とど)まらず世界ごと食われるだろうね》

「そんな……!」

「マジで言ってんのかよ!?」

「説明してくれな! 一体何が起きてんだい!?」


 ザワザワ動揺(どうよう)が走っていく勇者たち。

 セロスは心臓が止まるほどのショックで言葉を失い、呆然自失……。

 ウォタレンも「クソがぁ……」と歯軋り。ラルゴは表情を険しくして唸る。

 マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める(ファイブ)


「なんとかでけーねんですけ!? 予知夢の結果を変えれねーですけ??」


 小太りの勇者ボゲーはしどろもどろだ。女神は振り向き首を振る。


《妖精王の予知夢は確かに確率性ではあるが、さっき言ったように今回は見れない……つまり未来が存在しない。それもまた予知の一種とも言える。その予知を上回るほどの因果(いんが)の変化を起こせればワンチャンあるだろう。だがそれを人族では引き起こせない。詰んでるね》


 ラルゴは「貴方の力では何とかできないのですか……?」と絞り出した。

 女神は首を振る。

 マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める(シックス)


《これを前提に、君たちは今後どうするのか決めてもらいたい。いいね? セロス?》


 言葉を失ったままのセロスは何も返せない。

 彼も絶対的な未来の決定を前に、己の無力に打ちひしがれて愕然としているんだ。


「なぜもっと速く言わ……」

《だから()言っているんだよ? 起きてからでは遅いのさ。()()()()()()逃げられなくなってから言ってもしょうがない。()()()他の異世界へ移住するなり()()はあるからさ》


 耐えかねたバベナスが抗議しようとすると、塞ぐように女神が論破してしまう。

 それを前に汗をドップリかきながら押し黙るしかない。

 やがて(うつむ)いて苦悩に(さいな)まされていく。


 マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める(セブン)

 ウォタレンは「てめー「ヤレヤレだぜ」してばっかじゃねーか!」とキレよく突っ込む!

 それにマグアは「てへ」と舌出しておちゃらけた。


《って事で、他の異世界へ飛ぶなり好きにしてね。決して無茶はしないよーに。あ、勇者の加護はそのまま与えとくんで、後はヨロ》


 フッ! 天使と共に一瞬の光の帯に消えた。



 どの勇者も汗を垂らしながら、しばしの沈黙…………!


「「「あんのヘタレ女神ィィィィ!! バックレやがったァァァア!!!」」」


 揃って一斉に勇者たちの怒号が神殿内を響き渡った。

 しばらく言いたい事だけ喚きまくった。しかしなんも反応もない為、途方に暮れるしかなかった。

 項垂れる一同は床に腰を下ろしてため息。


「……それだけ、どうしようもないって事か」


 最強格のラルゴさえ首を振りながら、ため息をついた。

 マグアは「ヤレヤレだぜ」と首を振って肩を竦める(エイト)。懲りてない。


「初めて勇者(ブレイバー)として授けられた時は高揚したものだがな……」

「あーあったあった!」

「オレん時も国の神殿でよ女神様が降臨なさって、国中が歓喜してたものだ」


 初めて『勇者(ブレイバー)』として即位される時は、女神様が神々しく舞い降りてきて加護を授けてくれるのだ。

 荘厳(そうごん)と女神様としての降臨(こうりん)で神官も誰もが萎縮(いしゅく)していた。

 それが終わった時は国中が希望に包まれて、その日は『勇者祭』が開催されて祝い事を行う。


 ……それが無意味だったのか、と彼らは打ちひしがれるしかない。




「オレは最後までライトミア王国を守る為に戦う! じゃあな!」


 セロスは移動魔法を唱え、光に包まれて弧を描きながら飛び去っていった。

 ウォタレンは思い詰めるも「我が国の為に……」と強い信念を胸に、光に包まれて帰国していった。

 他の勇者も戸惑いながらも、認められただけあって勇気を振り絞り帰国していった。




 柱の影で女神と天使が隠れていた。


「だそうですよ?」

《人族とは意地っ張りな生き物だからね。例え「他の異世界へ生き延びよ!」と命令した所で聞くまい。損得関係なく勇者の矜持(きょうじ)でもって最期まで戦うだろうね》

「…………それはそうですが」


 アサペンドラは腕を組んでフッと笑う。


《無責任な女神を演じて、それで見限って逃げてくれたらとは思ってたが……》

「元からじゃn」

《一言多い!》


 余計な事言おうとする天使をポカリと殴る。

あとがき雑談w


アサペンドラ「やーやー! 私が勇者の加護を与えている女神でーす!」


『武勇の女神アサペンドラ』(天使族:熾天使/天使(スリー)

 かつては前任の武勇の女神の加護を受けた第十七世代人類初の勇者(ブレイバー)

 栄華(えいが)を極めた人類によって星が危機に(おちい)った時に、魔族を始め竜族やエルフなどによる大侵攻が始まった。

 それにより約一二〇〇億もの人類は次々と駆逐(くちく)されて(わず)か数十万人へと追い詰められた時に、彼女は加護を受けて大侵攻を退けた。

 絶望していた人類に希望を灯す為の、ほぼプロパガンダ的な勇者。当の彼女も自覚している。

 その功績(こうせき)(たた)えられて『妖精の種(フェアリー・シード)』を(さず)けてもらい、熾天使に昇華して武勇の女神を任命された。

 元勇者だけあって戦闘能力は極めて高いが、今は加護を与えるなどサポート役に(てっ)している。

 威力値:552000(熾天使:4416000)


アサペンドラ「あの時は大変でしたねー」

女神の部下「これから大変になりそうな気が……」


『天使べィエール』(天使族:護天使/天使(ツー)

 アサペンドラの生前からの仲間。手助けした功績(こうせき)で一緒に昇格された。

 彼女と苦楽を共にした理解のある男。

 実はべィエール以外にも仲間がたくさんいたが『妖精の種(フェアリー・シード)』を摂取(せっしゅ)して昇華できたのは彼一人のみ。

 威力値:520000(護天使:1040000)


アサペンドラ「天使は三段階変身できるんだ。天使(ワン)は翼が二つ。天使(ツー)は翼が四つ。天使(スリー)は翼が八つだよん! カッコつけて護天使とか熾天使とか言ってるけどw」

ベィエール「そんな超サ○ヤ人みたいに言わなくても……」



 次話『勇者(ブレイバー)たちの奔走(ほんそう)!』

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