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77話「選定の罠……!? 人間の業!」

 幻獣界との交流を目論むロゼアット帝国の皇帝は、妖精王マシュ様に断られて激昂!


 元より、こうなった時の為に侵略ができるよう歴戦の騎士や戦士を大軍で訪れてきていたようだ。いずれも相当な猛者で、噴出されるオーラやエーテルは尋常じゃない量で周囲を震わせるほどだ。

 まさか避難勧告に従ったフリして、このような企みをっ!?


《この壁などぶちやぶれ!! そして略奪の限りを尽くせ!! 幻獣界を貪り尽くせ! 金も女も権力も、我らが強き者の為にあり!》

《うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!》


 士気高揚と一斉に刀剣波を放ち、壁へまっすぐ軌跡を描く!


 しかしマシュ様は不気味に静かだ。

 どことなく冷めたような威圧にゾクッとする。



 バリィィィィンッ!!!


 ガラスのようにコロニーを包んでいたバリアが砕け散った! え? 脆くねぇ?

 思惑通りに事が運ぶと、邪悪に笑みが走っていく皇帝。


「さぁ、行げっ……ぇぇぇあ!?」


 すると皇帝の剣をかざした腕から不自然にギュルギュル捻れ始めた。

 それはやがて全身へ行き渡って、バキボキ骨折する音を響かせて「あぎゃあああ!」と皇帝は絶叫を上げていく。

 その怯えるような恐怖の形相までも捻られて、目玉が弾け飛ぶも肉塊へ逆戻り。

 飛び散ろうとする血飛沫さえも()()Uターンで戻っていく。


 見えない何かに丸められるように、グシュグシュ小さく小さく圧縮され続けてブツッと掻き消えた。


 多くの騎士たちも、凄惨な悲鳴を上げながら同様の結末を迎えた。

 まるで存在していなかったかのように、肉片はおろか血すら残さず、一切消滅した……。


 し────ん……。


「だから言ったのですよ……。本来、()()()()()()()()()()のです、と」


 思わず腰を抜かしてへたり込む。まだガクガクと震えは止まらない。


 バカなオレだって分かる……。物質界の外側では、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 だからこそ人族コロニーには全てバリアが張られているのだ。

 己の野心の為に、マシュ様の厚意を無下にしたが故に迎えた末路。


「人族は確かに主役と言いましたが、あくまで表の世界。宇宙の中での話。過ぎた野心を持つ愚か者は自ら身を滅ぼすのも、また当然の末路でしょう……。よしなに」


 しれっと言ってるのを聞いてて、察した。

 あのバリアは、頑張れば人族でも()()()壊せられる程度にしているんだ、と!


「それとアクトとリョーコは特別に()()()で、コロニー外でも普段通りに動けるようにしています。よしなに」


 冷淡なマシュ様の言葉に、アクトとリョーコはビクッと竦んだぞ。


「なんてね」


 凍りついたこれまでの雰囲気が一転として、マシュ様はおちゃらけるように笑った。

 オレたちは「え?」と怪訝に首を傾げるしかなかった。

 すると別のモニターがブンッと出現したぞ。そこには砂漠に建つ帝国が映っている。


「あァ……! ロゼアット帝国……。皇帝たちの領地だァ……」

「うん。でも、こんなトコ映してどうすんのー?」


 アクトたちの言葉でロゼアット帝国だと判明。

 荒野の道路に、皇帝は騎士たちや住民と一緒に転がっていた。

 身を起こしていく騎士たちと住民は、何が起きたか分からずドヨドヨと困惑していく。皇帝も頭に手を当ててブンブン振っている。


《い、今のは……? ここは……我が国!? 戻ってきた……??》


 立ち上がった皇帝は自らの下半身と腹を、そして両手、最後に腰の剣を見やる。

 自らの体が捻れていってグチャグチャに引き裂かれた激痛と感覚は未だ残っている。だが、何もなかったかのように傷跡一つすら残っていない。


《余は……幻獣界で引き裂かれたのではなかったか?》


 騎士たちはぞろぞろと集合して皇帝へ跪く。

 

《はい! 間違いなくもうダメだと思いました!》

《捩じ切られてたはずなのに、今は何ともないようです!》

《まるで白昼夢かと思わせられました!》

《これは一体!?》


 皇帝は広々とした自分の帝国の情景を見渡して、気分を落ち着かせる。

 自分に有利な交渉を持ちかけ、あわよくば幻獣界へ侵略しようと目論んでいたが、失敗に終わった。

 二度と招待はされないだろうと落胆していく。


 こちらから幻獣界へ攻める手段が皆無に等しい。例え我が国の『次元扉(ジゲート)』を持ってしても、宇宙の最果てにまでは届かないだろうとも……。


《やられたな……。もういい。我が城へ戻るぞ!》

《ハッ!!》


 我が城へと悠然と皇帝は踵を返して、騎士たちも整列して追従する。


 そして同じく送り返されていた住民たちも、各々自分の家へと戻っていく。しばし戸惑いの余韻が残るが、数日もすれば元通りに賑わうだろう……。

 こうしてロゼアット帝国の人たちは人族界に留まる結果となった。



 一体何が起きたか、オレは分からない……。


「み、みんな、生きてる??」

「はい。実は時空間魔法で元の住む国へ転送しただけなのです」

「えっ!? そんな事が!?」


 ヤマミも驚いて固まっている。クックさんは「列車(れっしゃー)で連れてくるより、これで助ければいいのにー?」と首を傾げる。

 確かに空間転移できるなら、魔導列車なんて要らなくね……?


「あまり気が進まない時空間転移なのですよ?」

「えっ? そうなの??」

「さっき見た通り、次元が違いすぎて距離も途方もなく遠く、だからムリヤリ空間を捻って送り返す為に途方もない負荷がかかるのです。なので回復魔法をかけつつ、元の国へ帰したのです」


 つまり、下手すれば人体の原型が残らぬほど捩れる時空間魔法で、幻獣界から元の国までムリヤリ送ったのだ!

 元通りに復元する高度な回復魔法もオマケ付きで!

 そんな方法で保護するなんてとんでもない!


 ……だから魔導列車で緩やかに転移していたのだ!


「さっきのように驕った無礼な人間もまたいます。なので保護ガラスを砕いた瞬間に時空間転移を発動させるようにしたのですよ。よしなに」

「ってか、良かった~!」


 驚かすなよ! バイオレンスに殺したかと思ったぜ!

 追い出した結果にはなるが、寝覚めの悪い事にならなくて良かったぞ……。


「でもこの通り、全人類を招待するものの様々な理由と原因によって少数しか保護できないのです」

「ん? 全人類? 選定するってジャオガさんが……」


 ヤマミから「あっ! バカ!」と罵られた?


「失敬な! 矛盾してる事に気づいたんだよ!」

「そっちなの??」


 当惑するヤマミ。この時のオレは気付かなかったが、これでアクトとリョーコにジャオガさんとの関係がバレちまった。

 クックさんの「知~らないっと~」とジト目してたのも、後で理由分かったぞ……。


「選定、っても私が選ぶのではありません! 実は全ての国や村へ避難のための招待状を送っているのです」

「……全ての国や村に??」

「はい。ですが、幻獣界直行の魔導列車に乗るかは各々の自由です。先ほどの強制帰還も合わせて、大半の人間は地上界へ留まるのです」


 ここに避難してくる人間は相当な数なもんだが、それでも少ない方らしい。

 大部分は、警戒している、疑っている、信じていない、残って戦う、仕事したい、恐れ多い、宗教の戒律、いつも通りがいい、など様々な理由で避難しない人が多いそうだ。


「言い方は悪いのですが、これだけ数を確保できれば、地上界の人族が絶滅したとしても復興は可能でしょう。よしなに」


 選定って、そーゆーコトかぁ……。



《おい!! 幻獣界の王サマよぉ! 神殿に入らせろよ!》

《ここつまんねーぞ! エロエロなエルフとかいるだろぉ? 献上しろ!》

《酒もだ! 酒もよこせ!! ここサービス最悪だな!!》

《早くしろや! 壁ブチ破んぞ!?》

《犬畜生が! ペットにして引きずり回すぞ? ああ!?》


 なんと盗賊団まで避難していたようで、無礼に通信してきたぞ。でも!


「保護の為、大人しくコロニーで過ごすようお願いいたします。くれぐれも壁を破らないよう自粛していただきたい。よしなに」


 マシュ様もマシュ様で毅然とマニュアル通りのようなセリフで注意している。


《ああ!? 犬のくせに生意気だな!! 野郎ども、やっちまえ!!》

《うおおおおおおおおおおおおおお!!!》


 ガシャ────ン! あ、壁が!


《ぐぎえええぇぇぇぇえあ!!?》


 ロゼアット帝国の方々と同じように強制帰還されていったぞ……。

 この後も他の賊や裏社会の人間たちが同じような事して強制帰還させられていった。呆れるほど同じ事するんだなぁと思った。


 実際、仮設住宅は最低限の施設と飲食しかないので質素な生活を余儀される。

 しかもコロニーそれぞれ隔離されているので、お互い交通できないし情報も伝わらない。

 酒や娯楽に入り浸っている欲深い悪党にとっては耐えられない環境なようで、壁を破って好き勝手やろうとする輩は後を絶たない。

 これもまた選定なんだろうなぁ、と遠い目するしかなかった。

 多分、マシュ様も分かっててやってるっぽい。


「さァ……ジャオガさんはここにいるのかァ?」

「ああ。でも部屋にこもって瞑想ばっかしてるみてーだ」

「へぇ~? まぁ一緒に魔境をクリアしてたもんね。疲れてるんじゃない?」

「……かなぁ? そっとしておこう」


 と、間を置いた所でオレはサ────ッと青ざめていった……。

 いつものようにアクトとリョーコと話していて、ポロッと暴露してしまった事に気づいたが後の祭り……。


「ずいぶん仲良しねー? どういう事か、話してもらいましょーか?」


 ニヤニヤ笑むリョーコに詰め寄られて、ついヤマミを見る。

 額に手を当てて「バカなんだから……」と項垂れていて、クックさんは「しーらない! しらなーい!」と口笛を吹きながらそっぽ向かれる。

 オレは冷や汗タラタラしながら、迫るリョーコに畏怖するしかない。


 ギエ────!!


 白 状 し た!

あとがき雑談w


 妖精王の知能指数は150のはずが、ナッセがバカ丸出しな件!


リョーコ「本当に頭いいのー? あっやしー」

ナッセ「うう……」(焦り)


ジャオガ「確かに人族どもより知能は高いのだろうが、スペック上の問題に過ぎん」

ナッセ「ええ? どういう事だぞ?」

ヤマミ「じゃあこれ解いてみて!」


 出されたのは小学生の算数ドリルのとあるページ。


ナッセ「ええ……、これ小学生の……?」

ヤマミ「いいから!」


 554398+432909=?

 569932-32178=?

 3090×2190=?

 45870÷30=?


ナッセ「バカにしてんのかよ! 簡単だろ! 上から987307、537754、6767100、1529だぞ」


リョーコ「えー? これを即座に?? うそ!?」

ジャオガ「人生経験がアレだからバカに見えるだけで、算数に限らず()()()さえ知っていれば驚くほど速いぞ」


ナッセ「うっ、人生経験がアレで悪かったなぞ……」

ヤマミ「私も最初は似たようなもんだったからね。妹のマミエがいい例だわ」


英才教育受けた、全国学力トップのマミエ「ナッセ大好き! 結婚だー!」



 次話『全世界の勇者たち同盟!! うおおおお燃えるぜっ!!』

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