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76話「避難を名目に、幻獣界へ侵略!?」

 ────幻獣界。ナッセたちがアクトたちと合流して四日目となる。


 アクトは小さな懐中時計を手に不満そうだった。リョーコも同じく。

 これもオレたちと同様、ドワーフたちから授けてもらった。だが針の挙動が滑らかではなく、コッチカッチとぎこちなく刻む。

 こんなんでも精密な魔法陣で構成された時計。ちゃんと昼夜の概念の発生もある。


「人間だからって適当なのはひどいよねー!」


 リョーコはプンプン頬を膨らましている。

 素妖精(フェレイス)がオレの肩に乗っていて《特別に神殿に住まわせてくれたってのも初だけどね》とクスクス微笑んでいた。

 そう、オレたち妖精王の友人という事で特別扱いしてるらしい。

 普通なら選ばれた道士でもなければ、神聖な神殿に入る事さえ許されていない。


「まぁまぁ、()()()みたいに隔離されてないだけでもマシだぞ」


 オレは宥めるように言ってみる。それはそのはず……。




 神殿外殻の避けた亀裂から、外側の広大な風景が見える。

 グラデーションがかかった黄緑の大空。泡の雲海。そして神殿を囲む幅広い輪……。


「まさか、あの輪の外側に隔離されるとは思わんかったなぞ」

「あれが人族のコロニーね」


 アクトとリョーコは、窓側にいるオレとヤマミに並んで風景を眺める。

 神殿を囲む輪は、無数の浮遊島が密集しているもの。遠くほど綺麗な輪郭に見えていく。人族用のコロニーはその外側だ。

 リョーコは目を細めて「どこ?」と聞いてくる。


「え? 見えねぇ??」

「あなた近眼だった?」


 オレとヤマミの目にはちゃんと輪の外側に人族のコロニーがいくつか浮いているのが見える。

 巨大なドンブリ型の浮遊物で、直径約五〇キロ。ガラスのような球状のバリアが取り囲んでいる。そこへ魔導列車が出入りしている。

 更に言えば、仮設住宅といえど本物の建物と変わらない。ずっと暮らしていけるほどに材質は良い。

 多くの人間が流通しているのも見える。

 同行していた騎士たちが主導しているから大した混乱もなさそう。


「あんたたち、異常に目良くない??」

「そうかな……?」

「そうだよー! あたしから見たら全然だよー」


 目を細めていたアクトは双眼鏡を取り出して視認……。


「あァ……確かに見えらァ……」

「貸して!」


 リョーコはアクトの双眼鏡をひったくって、それで眺める。

 オレはヤマミと顔を合わせて首を傾げる。クックさんが素妖精(フェレイス)に囲まれながら走ってきた。


「うわーお!! なっがーい魔導列車(まどーれっしゃー)ー! たっくさん人きてるー!!」


 クックさんも見えてるのか……?

 素で見えてんのはオレとヤマミとクックさん、あと素妖精(フェレイス)か?


 オレの肩でくつろいでいる素妖精(フェレイス)は《妖精王の目は人間のそれと全く違うからねー》と言い出してきた。

 つい「そうなんか?」と返すと、素妖精(フェレイス)は頷く。


《人間の眼球は光を取り入れて脳に映像を送るんだけど、妖精王はダイレクトに映像を()()するんだ。今は幼少期なので人間のように眼球で見てるけどさー》

「だ、ダイレクトに……?」

《光の波長以外も含めて、色々視れるんだよー。実を言うと僕たちはアクトたちには視えてないんだよー》

「ええっ!?」


「なーに、さっきから独り言が多いぞァ……? そんなに寂しかったかァ?」


 アクトが首を傾げている。オレは肩に乗っている素妖精(フェレイス)へ指さして「見えない?」と聞く。

 すると怪訝そうな顔で「なんかいるのかァ?」と返してくる。

 やはり視えていない……。


「ま、まさかオバケかァ!? 取り憑かれたかァ!!?」

「……いや違うぞ」


 額に手を当てるしかない。なんか通じなくなってきてる。


「オレ、妖精王に変身してないのに遠くの小さいの見れたり、視えないものが視えたりしてるんだもんなぁ……」

《それだけ妖精王として成長しているって事だよー》

「えー……!」


 つくづく人間離れを()()で突きつけられるってのは、嫌になるなぁ……。

 素妖精(フェレイス)によると、その気になれば素粒子レベルまでミクロの世界も視えるらしい。光の波長では決して視えぬミクロ世界って、どんな風に視えるんだろうか?

 更に地球の科学では認識不可能な色々な波長を視認して、占いじみた事も可能になるんだそう。

 師匠も同じ妖精王だから、因果の組み換えも自在にできるのも納得がいく。思ったよりスペック高くねぇ?

 もしかしたら予知夢も、何らかの波長を受け取ってるからかも……?


《ナッセ、ヤマミ、クックさん、ただちに来られますか?》


 放送のようにマシュ様の声が聞こえたぞ。




 草木緑生い茂っている巨大なストーンヘンジみたいな環状列石に囲まれた頂上。ホタルのように光飛礫がフワフワ飛び交っている。

 オレたちは、そこに佇むマシュ様の下へやってきた。


「よく来てくれましたね。よしなに」

「なんか用があるんですか?」


 聳える巨大な犬は、その長い鼻でモニターを見るよう促してきた。

 そのモニターにはどっかの国の人が映っているようだぞ。


《この度、我々を幻獣界に招待してくれた事を感謝いたそう!》


 顔に斜めに走った傷が目立つ厳つい中年の男。そして傍らには歴戦の騎士たちが寡黙に並ぶ。

 丁重なお辞儀で頭を下げてくる。

 しかし顔を上げた後、ギラリとするような鋭い目を見せた。


「あァ……、中層地殻で大陸を二分しているロゼアット帝国の皇帝さまだなァ……」

「え? 知ってんのかぞ?」

「うん、魔界へさらわれたあんたたちを助けようって帝国へ行ってたんだよー!」


 アクトとリョーコは勇者セロスたちと一緒に中層地殻の帝国へ訪れて次元扉(ジゲート)を使って魔界へ行こうとしてたらしい。

 でも皇帝から「魔境をクリアしてみせろ」と条件を突きつけられた。

 そんで、クリアしたんだけど幻獣界からの招待状で、ナッセたちがいる事も知らされた。で、ここにきたって、リョーコは言ってた。


「そんな事があったのか……」

「あァ……」


《人間界を代表として、我々ロゼアット帝国は幻獣界とも交流したい!》


 モニターに映っている皇帝は跪いて、そんな事を言ってきたぞ。

 皇帝に追従する騎士たちも跪いてじっとしたまま動かない。支配領域の広い帝国の彼らも避難勧告を受けて、ここまでやって来たのだろう。

 で、ご覧の通り交渉を試みて、未知の幻獣界と交流をしようとしているらしい。


《ナッセたち……見ておきなさい! 何があっても揺るがないように!》

「え?」


 なんで関係ないオレたちを呼んだかと思ったら、今の交渉を見ろって事?

 思わず息を飲む。なんとなーく不穏な感じはする。


「幻獣界の王として、その交渉はありがたく思いますが断らせていただきます。よしなに」

《…………それは、誠ですかな?》


 ゾワッと悪意の刃が感じ取れた。

 悪欲探知(グリードサーチ)ができる今なら、どれだけ泥のように澱んでいるかが分かる。

 途方もない野心の持ち主。何が何でも欲しい物は手に入れようとする強欲。その為にはいかなる手段も問わないと、その悍ましい悪意が訴えてくる。


「幻獣界は宇宙の最果て……。本来、人間の来る所ではないのです。私の力でコロニーを維持して、貴方たちはここでも生存してられてるだけです。よしなに」

《だからこそ、我々との交流をどうか考え直していただきたい! お互いの世界にとって貴重な物もあろう? 今後の経済に潤う事は間違いない。そちらにも悪い話ではあるまい》

「……申し上げにくい事ですが、経済など損得勘定で幻獣界を統治しているのではないのです」

《む、それでは、この皇帝の譲歩も無下にすると?》

「こちらは保護する目的で招待しただけなのです。どうかご理解を、よしなに」


 憤怒と共に悪意が一気に膨れ上がってきたぞ……!

 口では平等にとは言っているが、あっちは幻獣界(こっち)の資源が狙いで幻獣界をも支配しようと野心を抱いてるんだもんな。

 それを突っぱねられたらコケにされたと腹を立てるよな……。


《お互い友好的に交流しようと寛大に思ってたのですが……残念だ!》

「近い内に人族界で大きな災厄が起きる故、自粛して暮らす事だけをお願いしたいのです」


《ふざけるな!! 何様だ!!》


 感情を爆発させて皇帝は吠えた。

 すぐさま腰から剣を抜き放ち、それに倣うように騎士たちも剣を抜き放っていく。殺意をあらわにするように反射光が刀身に走った。


《我々人類こそ、いずれは全ての種族の頂点に君臨するであろう種族! 我が人類の繁栄の(いしずえ)の為に、貴様ら幻獣界を踏み台にさせてもらうぞッ!!》


 全員揃って凄まじいオーラやエーテルが噴き上げられる!

 ゴゴゴゴゴゴ、と膨大な量のエネルギー奔流が高々と立ち上っていくのは圧巻させられた!


 いずれも歴戦の風格で、威力値が数万は多数で、十万を越えるのもチラホラいる。

 これほどの大軍を避難させてきたと思ったら、実はいざとなれば侵略行為ができるよう準備をしてきたみてぇだ。


「や、やべぇ!! 戦争になっちゃうぞっ!!」


 オレは慌ててしまうが、マシュ様は平然と沈黙している。

あとがき雑談w


 ロゼアット帝国は中層地殻で二分しているほどの大国……。

 数々の猛者が集まっていて騎士兵士の層が厚く、傭兵までいる強国だぞ。


ロゼアット皇帝「人類至上主義帝国を統括する王だ! 威力値は21万!」

ラゼア王妃「皇帝の第一王妃です。格闘が得意ですわ。威力値は7万!」

キテリヌ第一王子「ロゼアットの名を継承する者だ! 威力値は9万!」

王子たち「まとめられるのは不服だが、平均威力値は6万を超えるぞ!」


千閃騎士バレミアット「長身オジサマと呼ばれている。威力値19万!」

跳撃騎士キジャナ「背低い目付き悪い男よ! へへへっ! 威力値10万!」

無音の狙撃手ファバ「遠距離狙撃専門です! 威力値20万!」

乱棒騎士マッチ「ハゲ坊主の棒術使いです。威力値16万!」

連陣魔道士ヴィバン「魔法陣を幾重に操るぞ! 威力値22万!」

火輪坊ラマッシャ「炎を扱う事にかけては最強よ! 威力値20万!」


砂漠の蛮勇者ボゲー「毛深いオッサンだが強いぞ! 威力値34万!」

爆拳格闘王バ「一文字名前のオッサンでも強いぜ! 威力値30万!」

堅牢戦士ゲニゲ「筋肉オッサン盾役だが戦えるぞ! 威力値23万!」

流動僧ララニ「デブおっさん僧侶だけど癒し系! 威力値17万!」

荷物運搬士ローワ「運び屋オッサンすぜ! でも強いすぜ! 威力値11万!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


クックさん「でも魔境をクリアしたのアクトたちだよねー!」

ナッセ「そーいえば……!」

ヤマミ「あれだけ戦力揃えてるのに?」


ロゼアット帝国勢「「「言わんといて! 傷つくから!!」」」



 次話『マシュ様の力が炸裂!? ブルッと震える展開!』

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