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75話「ライトミア王国の情勢! 避難激動!」

 ロープスレイ星の上層地殻ヘヴンプレートの浮遊大陸の一つに、七大王国として数えられる光のライトミア王国が、上空の日を浴びて暖かい雰囲気を醸し出していた。

 のどかで平和な光景ではあるが、その大魔法都市は慌ただしい様相を見せ始めていた。


「こちら幻獣界への直行便です!」「並んで並んで!」「落ち着いてください!」


 十二光騎士(ライト・トゥエルブ)を筆頭として、王国の騎士たちが大勢の住民を駅へ主導していた。

 大勢で並びながら、住民はザワザワと不安そうに駅へ進んでいた。

 中には冒険者も含まれていた。


 二刀を背に黒いロングコートの“双剣浪人”オズラッチと緑髪ベリショートの狼獣人“魔射手”ヨーレンもいた。

 以前、ナッセたちと冒険して、四魔将の一人と戦った事がある。

 瞬殺されたとはいえ、二人は四魔将を相手に生き残ったベテラン冒険者と泊を押されている。


「……とても恐ろしい事が起こると言っていたな」

「ええ。あの『聖絶』を目の当たりにしなければ信じなかったかもね」


 オズラッチは頷く。


「どういう事なんですか?」


 連れの新規である青髪の少年が不安そうな顔をしていた。

 彼はベテラン冒険者のオズラッチたちに手ほどきを受けている新米冒険者である。本当になりたてで、ナッセみたいな異常な強さなんて無いごくごく普通の少年……。

 背中の槍からしてクラスは『槍士(ランサー)』だ。


「……レアックス、心配するな。オレたちがついている」

「は、はい!」


 レアックスは頷く。

 オズラッチはフッと笑う。普通はこんなもんだよなぁと、しみじみ。

 むしろナッセ、ヤマミ、クックさんが異常だったのだ。


「いっつも心配症ね。なんで冒険者になったのか分からないわ」


 同じく連れの女冒険者。栗色のショートで杖を手にする魔道士(マジシャン)。やや強気だ。

 彼女もまたレアックス同様、新米の冒険者だ。丸みを帯びた三角の獣耳とふっくらとした尻尾でタヌキの御獣(ミケモ)族を表していた。


「マレーシ。新米は不安でいるのがちょうどいい。何も知らない事が多いからね。警戒すべき事は警戒する事よ!」


 ヨーレンにたしなめられ、マレーシと呼ばれたタヌキ獣人は「はーい!」と返す。


「まぁ、そう言ってやるな。この為にオレたちがいるんだ。まだ一ヶ月の付き合いだから、まだまだ学ぶべき事は多いさ。焦らずにやろう」

「……それはいいんだけどね」

「今は、幻獣界へ緊急避難との事だからな。これから何か起きるか知らんが、この勧告は滅多な事じゃない。とてつもない恐ろしい予感がするのだ……」


 強張っているオズラッチに、頬に汗を垂らすヨーレンもコクッと頷く。


 幻獣界から来ているという魔導列車は、乗り込んだ人で埋まるたびに追加で車両が具現化されていく。その為、不思議とギュウギュウ詰めにならない。

 数十万人も乗り込む為に車両もどんどん長くなっていく。



 それを遠目に、城内の大窓から眺める勇者セロスたち。

 昨日帰還してから、今日の昼に王城へ向かって王様と謁見しようとしていた。もちろん謁見の許可はもらっているので「勇者さま、どうぞです」と騎士に敬礼される。

 進むたびに幾重も扉が開かれ、ようやく謁見の広間に踏み入れると広い空間が広がった。


 王座には光のライトミア王国を治める王“剣将王”オルキガと、その王妃“凛麗騎”ミラディナが厳かな面持ちで佇んでいた。

 その傍らに大臣など幹部が控えていて、更に五輝騎士(シャイン・ファイブ)()()


 それを前に勇者セロス、戦士ファリア、賢者メーミ、魔道士モリッカは跪いて頭を下げた。


「勇者セロス殿、よく戻ってくれた……。面を上げよ!」

「ハッ!」

「……して、幻獣界から戻ってよかったのかな?」

「はい! オレは勇者です! 人類を守る為、魔と災厄を討ち滅ぼす使命を受けし者! 故に怯えて保護されるなど、もってのほか!」


 使命感溢れる鋭い双眸を見せて勇者セロスは言い切った。


「それは頼もしい限りじゃ! 共に剣を振るおうぞ!」

「……王様も!?」

「幻獣界の妖精王マシュ様の親書より、重大な報告と勧告を受けて、これより世界に未曾有の危機が及ぶだろうと余自身も感じ取っておる」


 王様も王妃も戦意を滾らせているのが窺えた。ズズズ…………!

 凄まじい威圧感で溢れている。セロスは息を飲んだ。初めて感じる王の威圧……。


「それはそうと、ナッセたちは元気でいらしてたかしら?」


 王妃は凛とした微笑みで聞いてくる。


「はい! 魔界から無事、幻獣界へ渡り待機しています!」

「おお、色々冒険しておるようじゃな!」


「それと、オレの勘でしかないのですが、その事を述べてよろしいですか?」


 側の戦士ファリアは事情を知っているから微動だにしないが、メーミはやや顔を曇らした。

 モリッカは「大丈夫ですよ~」と気楽にニコニコ。


「うむ! 申せ!」

「はい! ナッセ、ヤマミ、クックは恐らく魔族と友好関係を築き、魔境を攻略(クリア)したと思われます!」


 王様はピクンと眉をはねた。

 勇者の毅然とした顔は、魔族に対して排他的思考を窺わせている。


「どう考えても魔界で孤立無援になると、どうやって食い繋いでいけるかも疑問だ。それなのにナッセたちは何もなかったかのように平然としていた。一ヶ月以上も魔界にいて、これはおかしい、と」

「ああ。不自然に要所しか言わぬ彼らから察した程度ですが、上位生命体である妖精王ならば魔族どもが寛容になっても不思議ではないと俺の見解です」


 セロスに続いてファリアも厳しい顔で告げた。

 王様は腕を組んで「ううむ」と唸る。するとセロスは「ですが!」と言葉を続ける。


「今は『聖絶』を元とした厄介な魔境がこの世にはびこる危険な状態。真意がどうあれ、今は不問にして頂きたい! オレも悪魔の教皇を前に魔王ジャオガと共闘していた以上、同罪でしょう!」

「俺もセロスと同意見です。ご容赦を」

「ふむ」


 オルキガ王は、そのセロスの意外な言葉に内心感嘆した。

 今までのセロスなら、魔族に与したナッセたちを断罪しようと憤り、王の権力でそれを行使させようとしてただろう。

 メーミも密かにホッとした。モリッカは「でしょう~?」とニコニコ。


「妖精王ナッセも、また今の人類に必要な男! お許しを頂ければ、それ以上は何も望みません!」

「いやいや、気にせんでえーよ……。あの男は曇りなき純真な目をしておる。魔族どもに影響されて人類の敵に堕ちぬのは分かっておる。元より不問のつもりじゃ」

「それは至極恐悦。心より感謝致します!」

「うむ」


 勇者セロスと戦士ファリアは深く頭を下げた。王様は柔らかく笑む。


 そんなやり取りを見てメーミはこれこそ王の器だと内心感嘆した。

 それほどまでの王は類まれなる資質の人間。生き残るべき主要人物。なんとしてでも守らねば、と気を引き締めた。モリッカは相変わらずウッキウキで楽しそう。


 オルキガ王は「……王子たちよ、もしもの時は頼んだぞ」と呟いて、ふうと息をつく。




 幻獣界直行の魔導列車は加速を繰り返し、光速を超える速度で運行されていた。

 宇宙の果てへ向かう為に、光速の何十倍にも何百倍にもな……。


 シュ────────────────────……!!


 王族専用車両……。

 内室の扉を塞ぐように五輝騎士(シャイン・ファイブ)の一人が厳粛と立っていた。

 そして若い二人が黙々と長いソファーで座していた。背の高い長男、麗しい長女。この二人こそが由緒正しいライトミア王族の血を引く王子だ。


「共に戦いたいものだがな……」


 背の高い長男王子は腕を組みながら歯軋り。

 身なりは高貴な出で立ちで、戦う為に動きやすい軽装をしている。八二分け銀髪で顔立ちはイケメンで王族としてのキリリとした表情。側には剣が立てられている。


「第一王子アスール兄様……! お気持ちは分かりますが後継者として生き延びよ、とお父様はお考えでしょう」

「むっ……!」


 長男の名を呼ぶ麗しい長女は、同じく銀髪でストレートロング。煌びやかな装飾の白いドレス。

 顔立ちは絶世の美女でキリリとしている。

 側には剣を置いており、アスール王子と同じく剣士(セイバー)のようだ。


「第二王子ミレア、僕たちは何の為に腕を磨いたか分からんではないか!」

「悪魔の教皇でビビってなかったですか?」

「……あ、あれは武者震いだ。僕がやれば大陸すら断ち割るからな!」

「何をおっしゃって? それこそ私は星すら真っ二つでして!」

「むっ! なら、僕は本気を出せば恒星系を木っ端微塵に!」

「ほほほ! それなら私は銀河すら塵にできますわよ!」


 二人とも二十代なのにマジ顔で睨み合う。ムムム~!

 それを見ていた五輝騎士(シャイン・ファイブ)の一人であるエルフは内心「……そんなんだからでする」と呆れていた。


 緑のロングで耳が左右に尖っていて顔立ちはイケメン。

 余談だがエルフの男性は全てイケメンだと当然の概念として、世界に叩き込んでいるのだ。年寄りになったとしてもイケオジなのだ。

 上位の騎士として立派な騎士鎧を纏い、マントをなびかせている。腰には剣。


「“雷鼓天(らいこてん)(ぬし)”シュルア! 喉が渇いた! 水を!」「私にも!」

「私、水魔法(ミズッポ系)は苦手でするが? それでもっ!?」


 五輝騎士(シャイン・ファイブ)あるシュルアはムッと王子さまへ問う。二人とも頷く。

 魔法に長けたエルフなんだから、苦手であっても多少はできるだろ、とアスールとミレアはタカを括っていた。

 シュルアは汗を垂らしながらもコップを二つ具現化。

 プルプル震えて力を溜めていく様子に、王子たちは不安を募らせていく。


「うおおお!! ミズッポォォ!!」濃い顔でシュルアは気合いを入れた!


 王族専用車両から大量の水がドパ────────ンッと溢れた。

 苦手というのはこういう理由であった……。

あとがき雑談w


 序盤で出てきたオズラッチとヨーレンはベテラン冒険者。

 威力値が三〇〇〇〇ちょっとの戦闘力。こんな低いけど、人間界ではBランクの冒険者だぞ。


 威力値計測室で新規の冒険者レアックスとマレーシは測られていた。


レアックス「れああああっ!! ミストエッジ・レイン!!」

 槍を超振動で突きまくる事で刃先が霧のように霞んで見える連続攻撃だ!!

 威力値:1655


マレーシ「ヒェラバード!!」

 氷魔法(ヒェラ系)に鳥型の造形付加して、不規則な射線で攻撃だ!

 威力値:2010


マレーシ「ワチが上ね!」えっへん!

レアックス「なにをー! こっちは火力より削るの特化してるだけだから!」

マレーシ「負け惜しみ乙w」


オズラッチ「可愛いドングリの背比べだな。普通そんなもんだよなぁ」

ヨーレン「それより年下のクックさんが四〇〇〇〇ってのは、かなり異常よね」

オズラッチ「激しく同意!」


 ちなみに今のクックさんの威力値は一〇万ですw



 次話『幻獣界へ侵略する帝国!? 避難を悪用した!?』

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