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74話「地獄の幕開け!! 極悪改造!」

 広大な薄暗い空洞……。所々たいまつの火が等間隔に設置され仄かに明るい。

 まるで恐竜の骨を思わせる曲がりくねった柱が並び、牙やツノのようにトゲトゲがあちこち伸びている。

 骨柱で網目状に組まれたカゴの中には…………。


「グオオオオオオオオ!!!」


 大気を震わせるほどの咆哮が響き渡る!

 巨大な異形がそこに佇んでいた。鎧のような甲殻で覆う巨体。二本の太い足。腹に鬼のような人面。鋭い爪が伸びる太い手腕。大きな二本のツノを左右から生やし、三つの眼がギョロギョロ泳いでいる鬼のような顔。


大厄災の究極巨鬼カタストロフィー・アルテマオーガ】(悪魔族)

 威力値:1400000

 全身鎧のように甲殻で覆う巨鬼。鬼のような顔面が顔と腹にある。大きなツノを生やす頭部には三つ目、腹は大きな二つ目。鋭い爪を生やす手足。図体に関わらず音速以上で動き、それだけで都市が消し飛ぶ。吐く灼熱は超高熱プラズマ。吐く吹雪は超極寒。範囲攻撃が途方もなくて大陸すら欠けるほどの威力を誇る。大魔王級。


「ふひひっ! “魔境のラスボス”ち~ゃん! いい子にしてましたか~?」


 曲がりくねった骨柱の上にトビーが立っていて、マントをなびかせていた。その上に二つの赤黒い『珠』が浮いていた。魔境の最下層に存在するラスボスの核となるダンジョンコアだ。

 いつの間にかトビーは二つの魔境を潜って、ダンジョンコアを壊さずに手に入れていた。破壊する事で授かれる秘宝など興味はないようだ……。

 破壊しなければ浄化した事にならないのも知っていた。


「普通に魔境を攻略(クリア)じゃ、つまんないですからねぇ~」


 ギロリと究極巨鬼(アルテマオーガ)が睨み上げ「グルウウウウ……」と唸る。

 それだけでビリビリと辺りが振動していく。この空洞が壊れてしまいそうな巨大で圧倒的な威圧感だ。


「ちょち痛くなるけど、大人しくしてもらいますね~~!」

「グオオオ……!! そうはさせぬ!! この地上を地獄に焼き尽くすまで!」


 究極巨鬼(アルテマオーガ)は全身から赤黒いフォースを噴き上げて、周囲の空洞が木っ端微塵に弾け飛び、宇宙空間のような星々煌く闇が広がる。

 地面は灰色の月面のような地表。所々、トゲトゲとした恐竜の骨が突き出ている。


 究極巨鬼(アルテマオーガ)がトビーを見下ろし、巨大な手で振り下ろそうとしている。鋭い五指の爪に赤い稲光が迸った。

 トビーはゾクゾクと心地よいスリルを背筋から感じていく。


「いいですねぇ~~! この戦慄響くカイカン!」


 落雷のような速度で振り下ろされた究極巨鬼(アルテマオーガ)の爪撃が地面を穿つ!

 するとズッと波紋のように起伏が数百キロもの広範囲に渡って広がり、爆ぜるように岩盤ごと木っ端微塵に噴き上げられていった!


 ズドオオオオオオオオオオオオオンッッ!!


 容赦のない超絶破壊力は、まさに核レベル!!

 その広大な破壊地帯から抜け出すトビーは「ひゅ~ヤバイですねぇ~」と笑んでいた。

 しかし、究極巨鬼(アルテマオーガ)も追いかけていて五つある目が赤く輝いていた。


「ちょっ! 速い速い! 追い付いてきてるんですかぁ~??」


 トビーは大袈裟に驚くリアクションした。

 構わず究極巨鬼(アルテマオーガ)は口から灼熱を吐く。その瞬間、閃光が爆ぜてドンと超高熱プラズマが広範囲に膨れ上がって容赦のない破壊が一帯を蹂躙する!

 ちょっとした大陸なら吹き飛ぶほどの超巨大な爆発球が明々と眩しく輝き、天高くキノコ状の爆煙が噴いた!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!


 遥か上空へ逃れたトビーはピエロみたな不気味な偶像化(アイドラ)で全身を包み、追いかけてきた究極巨鬼(アルテマオーガ)と一撃をぶつけ合う!

 トビーの偶像化(アイドラ)が手にしているのはグネグネ曲がったような刀身の剣で、究極巨鬼(アルテマオーガ)の爪とぶつけ合い、稲光が放射状に爆ぜて凄まじい衝撃波が撒き散らされた!

 上空で縦横無尽に飛び回りながら数百もの衝突の嵐で吹き荒れて、頂上対決のような激戦が繰り広げられた!


 ガッガガガン、ガガン、ガガッガッガン、ガガガッガ!!


 一撃一撃が山脈を吹き飛ばすほどの威力のものだ!

 あちこち吹き荒れる衝撃波が乱気流を生み出し、無数の竜巻がうねりながら地表を蹂躙していく。


「ひゃはははは~!! もっと遊んでいきたいんですがね~、ここら辺で切り上げましょうか~!」

「たわけた事をッ!!」


 トビーはピエロのような偶像化(アイドラ)が握るジグザグ剣を正眼に構え────!

 カッと鋭い眼光を煌めかして! 初速瞬足で飛び出す!!


(サツ)(リク)(エン)()!!!」


 なんと同時に等しい剣戟の嵐がジグザグ屈折した軌跡を描く!!

 刹那の間に究極巨鬼(アルテマオーガ)を数百もの剣閃が絡みつくように斬り裂き、全身から放射状に流血で爆ぜた!!


「ガフォォォッ!!」


 究極巨鬼(アルテマオーガ)は大量の血を吐き、血塗れのまま遥か下の地表へ落下していって砂煙を上げていった。ズズゥ……ン!


「ンンン~~、いいですねェ~~斬り裂くカイカン! 堪らない殺戮~~~~んんん!」


 イッちまった狂喜の笑顔でゾクゾク震えるトビー。

 一瞬連撃で肉や骨を斬り裂く感覚が心地よく、噴き出す血飛沫の花火が刺激的な光景に映る。これまで多くの生き物を惨殺しても飽きぬほどの殺人衝動。

 もっともっと凶刃を振るいたい。もっともっと鮮血溢れる死骸の山を見てみたい。もっともっと極楽浄土のような快感を味わいたい。

 しかし、気持ちを切り替えるようにトビーはスッと冷静な顔へ戻る。


「うっふふふ! ま~だ殺さないように手加減してますからね~! 狙いは惨殺する事ではないんですから~!」


 未だ痙攣する究極巨鬼(アルテマオーガ)の上にゆっくり降り立つ。

 半死半生で「ヴ……ヴヴ……」と唸っている。トビーは足裏から、命の鼓動を感じ取り心地よく悦に浸る。

 側で浮かしていた二つのダンジョンコアを両手に持ち、偶像化(アイドラ)の剣で究極巨鬼(アルテマオーガ)の体に突き立てて傷口を開いていく。


「ガフアアアアアアア!!!」


 絶叫を気にせずトビーは二つのダンジョンコアをその傷口に入れていく。

 グシュグシュ肉を裂き血飛沫を浴びながらも、かなり深く潜りながら押し込んでいった。

 傷口からトビーは全身真っ赤っかで抜け出し、ブルンと回転して返り血を全て拭いさっていく。


「ベルナースほいよっと!」


 最上級の回復魔法を放ち、それは瞬く間に究極巨鬼(アルテマオーガ)を光で包んで傷を全て塞いでいった。

 究極巨鬼(アルテマオーガ)の体内で三つのダンジョンコアが共鳴するように輝きを放っていく。

 相乗効果なのか、究極巨鬼(アルテマオーガ)はその身を震わせて、反射的に立ち上がって「ガアアウウウウ……」呻き出していく。

 苦しみもがき、メチャクチャに腕を振り回して破壊を撒き散らしていく。それでさえ一発一発が山一つ吹き飛ばす威力だ。

 やがて頭を抱え、苦悶の絶叫を上空へ吐き出していった。


「ウゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」



「ふひひっ! さてさ~て、どうなる事やらぁ~? お楽しみショーはこれからですヨン!」


 トビーはまるでサーカスの団長のように両手を左右に伸ばして、嬉々とする。

 するとズオッと灼熱が爆ぜて、辺り一帯が太陽の表面が如く眩い光景に変わっていった。それに照らされたトビーは狂喜の笑みに顔を歪ませた……。


「大虐殺ショーの始まり! 地獄の開幕~~~~~んんんん!!」


 そしてこの魔境は灼熱で吹き飛ぶ! モンスターはおろか冒険者までも、全て!




 ────幻獣界。


 黄緑の空に、泡の雲海。そこは宇宙を包む膜の外側の表面世界。

 そこで土星を彷彿させる輪を持った球状の神殿が悠然と漂っている。

 ロープスレイ星を担当するイリリス聖域の神殿。巨大な犬の姿をした妖精王マシュ様が統治する聖域。


 ガシャンッ!


 とある部屋で、瞑想していた狼の御獣(ミケモ)族エァミヤラはハッと顔を上げた。

 大窓に面した丸テーブルでくつろいでいたデスが恐ろしい形相で席を立っていた。取り落としたコップは床でバラバラに砕けて水がぶちまけられていた。


「トビーィ!! 忌むべき最凶最悪の奥義、殺戮演舞(さつりくえんぶ)をッ!」


 エァミヤラは前からデスの愚痴でトビーという男を聞かされていた。

 最初に殺陣進撃に憧れて弟子入りしたが、実は()()()のデスが繰り出した残虐非道の奥義を取得しようとしていた。

 それは“無間の剣戟”で、全ての命を徹底的に根絶する最凶最悪の奥義。


 デスはこれまでの残虐非道を省みて、それを封印。それに代わる奥義を編み出そうと試行錯誤して殺陣進撃(さつじんしんげき)を編み出した。

 斬り合いの演技である殺陣(たて)になぞらえて、かつての殺戮の罪を忘れぬよう自戒して名付けたのが由来だ。

 未だ完璧ではないものの、限りなく“理想に近い型”になった。それこそが!


 悪の根を断ち、善の未来を活かす奥義!!


 だからこそトビーの可逆的な思考が気に入らなかった。

 全ての命を断つ事を喜びとして凶刃を振るおうとする危険な思想にデスは憤った。


 真の殺陣進撃による洗礼で、トビーを八つ裂きにしてダルマにしてから破門したはずだった。それがまた平然と残虐の限りを尽くさんと暗躍をしているのを感じ取った。

 今まで鳴りを潜めていたが、ようやくここでトビーは本性を現し、悪意を撒き散らし始めるのを察した。


「待ってろ!! 下界し、完全に魂を塵芥にするべき屠ってやらぁー!」

《ダメです!!!》


 具現化した包丁のような剣を手に一歩踏み出そうとすると、どこからかマシュ様の念話が割り込んできた。


《それは許可しません! ただちに刀を収め、静観するように! それが誓いの言葉ではないのですか!?》


 デスは黙りこくる。


《その憤慨する気持ちは分かりますが、もはや天上の存在へと昇華した上位生命体(あなた)は地上への干渉は禁じられております。その事をゆめゆめ忘れないようにして頂きたいのです。よしなに》

「…………しかし、ワイが振りまいた悪の根がのさばるというのは」

《安心してください。あなたの奥義を受け継ぐ者が止めるでしょう! 必ず!》


 デスはエァミヤラへチラッと訝しげに見やる。

 当の本人はビクッと竦んで緊張する。念話は聞こえてないようで「デスさま、何か?」と萎縮している。


「エァミヤラ!! 我が奥義を受け継ぐであろう自慢の弟子よ!」

「は、はいい!!?」


 エァミヤラは緊張してギクシャクとする。

「よし行け!!」と、デスは明後日の方向へビシッと指差す。お互い固まったまま、しばし沈黙……。


「どこへっ??」


 エァミヤラは竦んで目を丸くした。

あとがき雑談w


 厄介なヤツを破門して下界に追放した戦犯のデス、弟子に尻拭いさせようとしたが……?


エァミヤラ「デスさま……。私は人族の世界へ行った事ありません」

デス「なにぃ??」

エァミヤラ「ここで生まれ、十五の時に弟子入りしましたが、幻獣界以外を知らないのです」

デス「なーに! 行ってみれば分からぁ! 適当でいいんだよ適当で!」


 エァミヤラは、デスが大雑把で何事も適当で済まそうとする性格なので不安……。


全裸巨乳エルフ「私もねーここで生まれて数百年。幻獣界しか知らないのよねー」

全裸ドワーフ「うむ! 欲が薄いせいで下界どうでもいいのよ!」

全裸イケメンエルフ「幻獣界出身の俺たちは人族の世界なんて行かなくても、ここで不自由のない生活できるからなぁ。必要性がないというか、なんというか……」


 現在判明している外来種は、妖精王マシュ様、デス、トビー、ナッセ&ヤマミ&クックさん、アクト&リョーコ&ティオス先輩と、意外と少数。

 大半は幻獣界出身で、そこで一生を終える運命。

 彼らにとって幻獣界が()()なのだ……。



 次話『帰還した勇者はライトミア王様にチクる!? え? バレてた!?』

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